本記事は過去の自動シグナル発火データを用いた統計的研究であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。将来の利益を保証するものではありません。

🧪 AIシグナル研究日誌 #84
上昇配置ロングが降格確定
——前向きN=582・CI下限2回連続ゼロ割れ

2026-08-30 AIシグナル研究日誌 ma_pos IS/FWD分離 降格確定 読了 約8分
⏱️ 30秒でわかる今回のまとめ

① 検証対象:「価格がMA25・MA75の上にある状態(上昇MA配置)でのロングシグナル」
IS(N=480):勝率36.5%(175/480)、E(R)=−0.151、RCI全域マイナス——過去データで有効性なし
FWD(本記事の独立検証 N=582):勝率47.4%(276/582)、E(R)=+0.105、ナイーブRCI[+0.010,+0.200]/降格判定に用いるトラッカー(標準18銘柄 N=570)のクラスター補正後RCI[−0.037,+0.248]→CI下限マイナス
④ 降格ルール発動:CI_lo < 0 が2回連続 → 🟡蓄積中へ降格確定
⑤ 逆説:「MAの上=ロング有利」は過去データでは不成立。下降配置×ロング(N=1340)のほうがRCI全域プラス

§1 今回の研究課題と降格ルールの確認

「価格が移動平均線の上にある = 上昇トレンドが続いているから買いが有利」——これは多くの教科書的解説で語られる直感だ。 本研究日誌では、この直感が我々のシステムシグナルデータで実際に成立するかを定量的に検証する。

フィルタ定義:エントリー価格がMA25・MA75の両方より上(ma_pos = above_both)かつ方向がロング(direction = long)のシグナル。 登録日は 2026-07-20。それより前を IS(学習期間)、以降を FWD(前向き検証期間)として分離する。

降格ルール:昇格後(✅状態)に、前向き平均R の 95%CI下限(CI_lo)がマイナスになる判定が2回連続した場合、🟡蓄積中へ降格する。 本日(2026-08-30)は2回目の確認となり、降格ルールが発動した。

🟡 判定:降格確定
トラッカー(標準18銘柄)FWD N=570 / CI_lo(クラスター補正)= −0.037 < 0
→ 昇格後2回連続でCI_lo < 0 → 降格ルール発動 → 🟡蓄積中へ移行
再昇格条件:CI_lo > 0 が2回連続

§2 IS期間(〜2026-07-19):N=480で大幅マイナス

登録前の全閉鎖シグナル(上昇配置×ロング)は N=480件。IS期間は拡張ユニバース導入前のため、全銘柄ベースと標準18銘柄ベースが一致する。 結果は勝率 36.5%(175/480)、E(R)=−0.151、RCI [−0.251, −0.050]

RCIが全域マイナスという結果は顕著だ。「MAの上でロングを打つシグナル」はシステム全体で見ると、IS期間において一貫して損失を出していた。 なぜ登録時にホールドアウト合格(pct=45.3%、RCI_lo=+0.028)が出たかというと、ホールドアウト計算は全銘柄(拡張ユニバース含む)・全時間足を対象としており、 本記事の標準18銘柄・閉鎖済みシグナルのみの計算とは母集団が異なる。

IS vs FWD 勝率・期待値比較 0% 25% 50% 75% 50% 36.5% 47.4% 45.7% 42.0% IS期間 N=480 FWD期間 N=582 下降配置×L N=1340 上昇配置×S N=350 勝率比較(上昇配置×L の IS/FWD vs 比較対象) IS(上昇配置×L) FWD(上昇配置×L) 下降配置×L

図1:IS・FWD期間の勝率比較。IS=36.5%は50%を大きく下回る。FWD=47.4%はやや改善するが、クラスター補正で依然ゼロ跨ぎ。比較として下降配置×ロング(45.7%)を表示。

IS期間のグループ別内訳

グループk/n勝率E(R)RCI
metal(金・銀)6/2722.2%−0.422[−0.855, −0.110]
other_fx(ドルクロス)44/13432.8%−0.233[−0.421, −0.049]
btc10/3627.8%−0.381[−0.699, −0.007]
jpy_fx(円クロス)45/12536.0%−0.143[−0.300, +0.015]
index(指数)61/14542.1%−0.043[−0.177, +0.092]
oil(原油)9/1369.2%+0.846[+0.044, +1.648]

IS期間では metal・other_fx・btc の3グループが RCI 全域マイナスで引っ張っている。 原油(oil)は IS 期間で好成績だが N=13 と少数なため、信頼性は限定的だ。

§3 FWD期間(2026-07-20〜):N=582で表面上プラス、補正後(トラッカーN=570)で降格

前向き検証期間の N=582 では、勝率が 47.4%(276/582)、E(R)=+0.105 に改善した。 ナイーブな RCI(時系列クラスタリングを無視した単純計算)は [+0.010, +0.200] で、CI下限がわずかにプラスだ。 しかし、シグナルの自己相関(同一銘柄での連続発火)を考慮したクラスター補正後は CI下限がマイナスに転じた。

📐 ユニバースと補正値について:本記事の独立検証(N=582)はシステムが発火した全銘柄を対象としています。 前向きトラッカーは標準18銘柄のみを追跡対象としており、同一フィルタで N=570 を計上しています(差分12件は拡張銘柄)。 降格判定の根拠となるクラスター補正後 RCI [−0.037, +0.248] は、トラッカーの N=570 ベースで算出された値です。 本記事の N=582 ベースについては、ナイーブ RCI の下限が +0.010 と僅少であるため同様の補正でゼロを割り込むと見込まれますが、 N=582 ベースの補正値そのものは本記事では算出していません。降格判定はトラッカー(N=570)の補正値に基づきます。

数値サマリー(FWD期間)
本記事独立検証 N=582 / k=276 / 勝率 47.4% / ナイーブ RCI: [+0.010, +0.200](補正前)
トラッカー(標準18銘柄 N=570)クラスター補正 RCI: [−0.037, +0.248](CI_lo < 0)
降格ルールの発動根拠はトラッカー(N=570)の補正後 CI_lo < 0。本記事の N=582 はナイーブ下限が +0.010 と僅少で、方向性は整合

クラスター補正とは何か:同一銘柄(例: USDJPY)が数時間おきにシグナルを発火すると、これらは独立した観測ではなくなる。 単純なRCI計算はこの依存性を無視してCI幅を過小評価するため、銘柄グループ内の自己相関を考慮した補正を適用している。 この補正により、N=570 という十分に大きなサンプルでも CI 幅が広がり、下限がマイナスとなった。

FWD期間グループ別勝率(上昇配置×ロング) 0% 25% 50% 75% 53% 51% 48% 41% 44% 46% metal N=83 index N=131 jpy_fx N=139 other_fx N=138 btc N=46 oil N=33 FWD期間グループ別勝率(2026-07-20〜、標準18銘柄)

図2:FWD期間グループ別勝率。metal・indexが50%を超え全体を引き上げている。other_fxが41%と低迷し全体の足を引いている。

§4 グループ別の明暗

FWD期間グループ別詳細

母集団=標準18銘柄(N=570・k=270)。合計が本記事の独立検証 N=582 と一致しないのは、拡張ユニバース(PL=F・HG=F・ETH-USD 等)の12件が下記6グループに含まれないため。

グループk/n勝率E(R)RCI(ナイーブ)方向性
metal(金・銀)44/8353.0%+0.235[−0.017, +0.487]ゼロ跨ぎ
index(指数)67/13151.1%+0.200[−0.009, +0.392]ゼロ跨ぎ
jpy_fx(円クロス)67/13948.2%+0.123[−0.071, +0.317]ゼロ跨ぎ
other_fx(ドルクロス)57/13841.3%−0.038[−0.230, +0.155]ゼロ跨ぎ
btc20/4643.5%+0.025[−0.317, +0.367]ゼロ跨ぎ
oil(原油)15/3345.5%+0.040[−0.316, +0.395]ゼロ跨ぎ

FWD期間では全グループの RCI がゼロ跨ぎとなっている。個別グループでの確定的なエッジは確認できない。 metal・index の勝率が 50% 超で全体を支えているが、N が各 80〜130 件と中規模のため、グループ単独での昇格条件(CI_lo > 0 かつ N ≥ 80)は満たせていない。 other_fx(41.3%)が最も低く、FWD全体の CI_lo をマイナスに引っ張る主要因だ。

IS→FWD の変化に注目:IS で最も悲惨だった metal(IS: 22.2%)が FWD では 53.0% に転換している。 これは 2026-07 以降の金・銀相場の強いトレンドを反映している可能性がある。 一方、other_fx は IS(32.8%)から FWD(41.3%)に改善したが、依然として平均を大きく下回る。

§5 月次推移:8月の改善は遅すぎた

母集団=標準18銘柄(トラッカーと同一の N=570・k=270)。

k/n勝率E(R)RCI
2026-0757/13641.9%−0.023[−0.217, +0.170]
2026-08213/43449.1%+0.144[+0.034, +0.253]

8月単月(N=434)は E(R)=+0.144・ナイーブ RCI[+0.034, +0.253] と全域プラスの結果が観測された。 ただしこの値はクラスター補正や期間の多重比較を適用していないナイーブ CI であり、単月の結果として慎重に扱う必要がある。 累積の FWD 判定(トラッカー N=570・クラスター補正後 CI_lo = −0.037)では降格ルールが発動している。

💡 8月の単月エッジは蓄積中シグナル:8月の改善が偶然ではなく構造的なものであれば、再蓄積を経て再昇格の可能性がある。 「降格 = 完全否定」ではなく「蓄積し直して2回連続 CI_lo > 0 を確認するまで保留」が正しい解釈だ。

§6 比較分析:向き・配置の組み合わせ

フィルタk/n勝率E(R)RCI
上昇配置×ロング(IS)175/48036.5%−0.151[−0.251, −0.050]
上昇配置×ロング(FWD)276/58247.4%+0.105[−0.037, +0.248](トラッカーN=570の補正後)
上昇配置×ロング(全期間)451/106242.5%−0.011ゼロ跨ぎ
下降配置×ロング(全期間)613/134045.7%+0.066[+0.004, +0.128]
上昇配置×ショート(全期間)147/35042.0%−0.021[−0.142, +0.099]

最も注目すべき比較は「下降配置×ロング(below_both×long)」だ。 N=1340 という大きなサンプルで RCI が全域プラス([+0.004, +0.128])となっている。 これは「価格がMAの下にある = 下降MA配置」のときにロングを打つほうが、全体平均として優れている可能性を示唆する。

直感に逆らう結果に見えるが、解釈の一つとして:
上昇配置でのロング:すでに上昇した後での追いかけエントリー → 反落リスクが高い
下降配置でのロング:MAを下から突き抜けるブレイクアップ or 逆張りエントリー → MA抵抗をすでに下に控えているため、そこがサポートになりやすい

§7 データからの観察:トレンドフォローの盲点

「移動平均線の上にいるから買い有利」という直感は、個人投資家の間で広く信じられている。 しかし本データが示すのは正反対だ。IS N=480 では勝率 36.5%・RCI 全域マイナスという明確なネガティブ結果が出た。

考えられる構造的理由:

  1. 過剰追随のリスク:価格がMA25・MA75の両方より上にあるとき、それは多くの参加者がすでに「上昇トレンドを確認」している状態を意味する。この段階でのロングは「ニュースが出てから買う」に近く、逆張りの売り圧力を受けやすい。
  2. システムシグナルの特性:本システムのシグナルはRSI売られすぎ・BBタッチ・高値ブレイク等を含むが、それらが上昇MA配置のときに発火する場合、すでに「買われすぎ」状態で発火しているケースが多い可能性がある。
  3. グループの非対称性:IS期間の金属・FXは RCI 全域マイナスだが、FWD では金属・指数が改善。2026年後半の相場環境(金高騰・指数堅調)が一時的にこの配置を好転させた可能性がある。

なお、「下降配置×ロング」が RCI 全域プラス([+0.004, +0.128])という結果は、別途独立した検証に値する。 これは「MA の下にある状態でのロング = 反転狙い」が、追いかけエントリーより有効である可能性を示す。次号以降での掘り下げ候補だ。

§8 結論と今後の方針

「上昇MA配置(>MA25&75)×ロング」仮説は、前向きトラッカー(N=570、標準18銘柄)のクラスター補正後 RCI が [−0.037, +0.248](CI_lo < 0)を2回連続で記録し、本日をもって降格確定(🟡蓄積中へ移行)となった。本記事の独立検証(N=582=標準18銘柄570件+拡張銘柄12件)でも勝率 47.4%・E(R)=+0.105 と水準は一致しており、ナイーブ RCI の下限も +0.010 と僅少にとどまる(N=582 ベースのクラスター補正値は本記事では算出していない)。

本検証で確認できたこと(統計的参考情報として):

次号以降の候補

📡 前向きトラッカー定点観測

基準日 2026-08-30/昇格=前向きN≥80(🏁ホールドアウト合格はN≥30)・平均R(期待値)の95%CIが0を跨がない・基準合格2回連続で確定(2026-07-19〜)/降格=昇格後の再判定で基準割れ2回連続→🟡へ(2026-07-18〜・再昇格可)

仮説種別宣言基準前向き現在値(平均R)状態
trend=上昇×reversalLedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.10 CI[-0.07~+0.27](122/259・勝率47%)✅昇格
group=allgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.03 CI[-0.03~+0.09](1232/2784・勝率44%)🟡蓄積中
blocked=Falsegate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.04 CI[-0.03~+0.11](978/2193・勝率45%)🟡蓄積中
blocked=False×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.06 CI[-0.03~+0.15](777/1709・勝率46%)🟡蓄積中
group=indexedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R -0.03 CI[-0.13~+0.07](317/764・勝率42%)🟡蓄積中
tf=4h×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.09 CI[-0.03~+0.21](349/745・勝率47%)🟡蓄積中
tier=neutralgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.04 CI[-0.06~+0.14](319/717・勝率44%)🟡蓄積中
group=other_fx×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.02 CI[-0.11~+0.15](274/628・勝率44%)🟡蓄積中
指数×ロング(全足ライブ)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.02 CI[-0.14~+0.18](273/624・勝率44%)🟡蓄積中
ステート 上昇配置(>MA25&75)×ロングedge前向きN≥30かつ平均RのCI下限>0🏁平均R +0.10 CI[-0.04~+0.25](270/570・勝率47%)🟡蓄積中
blocked=False×dir=shortgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.02 CI[-0.15~+0.11](213/508・勝率42%)🟡蓄積中
group=metalgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.07 CI[-0.09~+0.23](168/366・勝率46%)🟡蓄積中
group=metal×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.11 CI[-0.11~+0.34](128/268・勝率48%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.11 CI[-0.04~+0.26](123/258・勝率48%)🟡蓄積中
売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.21 CI[-0.01~+0.43](130/251・勝率52%)🟡蓄積中
ロング×上昇トレンド×MA両線の上edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.07 CI[-0.17~+0.30](97/212・勝率46%)🟡蓄積中
注目度ゼロ(news=0)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R -0.14 CI[-0.36~+0.09](77/208・勝率37%)🟡蓄積中
blocked=True×dir=shortedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R -0.15 CI[-0.35~+0.04](75/207・勝率36%)🟡蓄積中
trend=下降×dir=shortgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.09 CI[-0.11~+0.30](96/205・勝率47%)🟡蓄積中
group=index×reversalLedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R -0.06 CI[-0.28~+0.16](82/204・勝率40%)🟡蓄積中
dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.07 CI[-0.02~+0.15](956/2093・勝率46%)⛔反証
trend=下降gate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.11 CI[+0.02~+0.20](350/736・勝率48%)⛔反証
reversalL(逆張り買い)gate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.14 CI[+0.02~+0.26](345/706・勝率49%)⛔反証
trend=下降×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.26 CI[+0.05~+0.47](116/215・勝率54%)⛔反証