🔬 セブン&アイ・ホールディングス(3382)を数字で見る|コンビニエンスストア事業を中心とするグループを有価証券報告書と決算短信で確認
「数字で見る、話題の企業」シリーズ第27回は、有価証券報告書の「沿革」に「2005年 9月 当社設立。東京証券取引所市場第一部上場。」と書かれている持株会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス(証券コード3382、以下「セブン&アイ」)を取り上げます。有報の「事業の内容」は、グループを「流通業を中心とする企業グループ」とし、「主として国内コンビニエンスストア事業、海外コンビニエンスストア事業を行っております」と書いています。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。①事業の中身 ②事業が使われるつながりの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。初めて出てくる言葉は、その場で説明します。
この記事が根拠にしている書類は2つで、数字の出どころを分けて書きます。①有価証券報告書(上場会社が決算期ごとに金融庁へ出す、事業や決算をくわしく書いた報告書。以下「有報」。第21期・2025年3月1日〜2026年2月28日。2026年5月20日提出)。②決算短信(上場会社が決算の内容を証券取引所に早く知らせる書類)の、2027年2月期 第2四半期(中間期)のもの(2026年3月1日〜8月31日。2026年10月8日公表)。決算短信は、決算短信自身に「公認会計士又は監査法人のレビューの対象外です」と書かれています。会計基準は日本基準(IFRS〈国際財務報告基準〉ではなく、日本の会計ルール)で、売上は「営業収益」、本業の利益は「営業利益」と呼びます。会社の2027年2月期の通期予想は、有報にも決算短信にも載っていますが、この記事は会社の予想の数字を扱わないので、数字は書きません。
- 2026年2月期(有報・連結・日本基準)の営業収益(売上のこと)は10兆4,302億円(前期比−12.9%)、営業利益は4,229億円(同+0.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,927億円(同+69.2%)でした。営業収益は、スーパーストア事業や銀行業の会社が期の途中で連結の範囲から外れた影響などで減りました(有報は、スーパーストア事業とその他の事業の変動の主な理由として、子会社の連結除外を挙げています)。純利益の増え方は営業利益と大きく違い、特別損益(通常の営業活動とは別に生じた利益や損失)が前期の−1,052億円(損失)から+571億円(利益)になったことも関わっています
- 営業収益の構成(セグメント合計に対する割合・当サイト計算)は、海外コンビニエンスストア事業81.7%、国内コンビニエンスストア事業8.7%、スーパーストア事業6.6%など。営業利益は、国内コンビニエンスストア事業が2,225億円(前期比−4.7%)、海外コンビニエンスストア事業が2,222億円(同+2.8%)でした。2026年2月期には約6,000億円の自己株式の取得(会社が自社の株式を買い戻すこと)も行われました
- 2026年10月8日の決算短信(2027年2月期の中間期・監査法人のレビューの対象外)では、営業収益5兆4,602億円(前年同期比−2.8%)、営業利益2,322億円(同+11.5%)、親会社株主に帰属する中間純利益1,244億円(同+2.2%)でした。前年同期はスーパーストア事業などを連結していた期間を含むため、連結の範囲が同じではありません。「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。上がる・下がるの結論は書きません
edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-23時点)は、セブン&アイの登場を2026年10月14日(出来高急増)・10月20日(値上がり)の2回と数えています。最後に登場した日(10月20日)から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)、有報の本文が取得できていること、直近3本がすべて日本株であることを確かめたうえで、候補の中の1社として選びました。ランキングに登場した理由(なぜ値上がりや出来高の増加があったか)は、一次情報で確かめられないため書きません。当サイトの解説記事に、この会社が主役の記事はありません。2026年5月15日公開の円キャリートレードの解説記事の表に、他の会社の名前と並んで社名が1回出ますが、主役ではありません(この記事は、その表の内容を引用・参照していません)。直近14日のニュース記事に、この会社を扱ったものはありません。
TDnet(東京証券取引所の適時開示サイト。適時開示=上場会社が、株価に影響しうる情報を証券取引所を通じてすぐに公表する仕組み)は、当サイトが一覧を閲覧できた2026年9月16日〜10月25日(40日分・87ページ・5,671件)を、社名ではなく証券コード33820で全ページ検索しました(9月15日以前の一覧は閲覧できませんでした)。セブン&アイ自身の開示は4件でした。2026年10月8日15時30分の「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」、同日の決算補足資料と決算説明資料(この2つは存在を確認しただけで、内容は使っていません)、2026年10月23日12時30分の「無担保社債発行に関するお知らせ」です。配当や自己株式の取得についての単独のお知らせは、この期間の一覧にはありませんでした。会社のIRサイトは、当サイトの調査環境から接続を拒否されたため(迂回はしていません)、内容を取得していません。
億円の数字は、百万円単位の表の億円未満を切り捨てたもの(会社の文章中の億円表示と同じ方法)で、「当サイト計算」と書いた増減率や構成比は、その数字から当サイトが計算して四捨五入したものです。株式分割:有報の経営指標等の注に、2024年3月1日付で普通株式1株を3株に分割した旨が書かれており、1株当たりの数字は第17期の期首に分割が行われたものとして計算されています。2025年3月以降、有報でも決算短信でも株式分割の記載はありません(発行済株式総数の変動は自己株式の消却によるものです)。有報の「重要な後発事象」には、2026年4月9日の取締役会で事業セグメントの変更を決議した旨だけが書かれています(個別財務諸表では「該当事項はありません」)。有報の提出後(2026年5月20日以降)の出来事は、決算短信に書かれた範囲だけを使っています。会社が文章に書いている言葉は、会社の書き方のまま引いています。成長の見通し・景気・為替・燃料需要などについて会社が書いている部分は、会社の認識として引用するだけで、この記事の見方ではありません。出資先・売却や出資の相手・提携先・商品メーカーなどの名前は、この記事では一般名に置き換えています(出典には書かれています)。
1️⃣ セブン&アイはどんな会社か
有報の「事業の内容」によると、セブン&アイは純粋持株会社(自分では事業をせず、グループの会社の株式を持って全体を統括する会社)で、当社を含む154社でグループを構成しています(2026年2月28日現在)。会社の2026年2月期の区分(報告セグメント)は「国内コンビニエンスストア事業」「海外コンビニエンスストア事業」「スーパーストア事業」「金融関連事業」「その他の事業」の5つです。連結の従業員数は35,967人で、前期末の62,012人から減っています(有報は、減少の理由として、米国の事業会社の直営店の店舗数の減少や、スーパーストア事業・銀行業の会社が連結の範囲から除外されたことなどを挙げています)。有報の「大株主の状況」(2026年2月28日現在)では、上位10名の所有株式数の割合の合計が45.43%と書かれています(上位には、信託業務として株式を持つ信託銀行の信託口が含まれると有報の注にあります。株式の需給や値動きについての見方ではありません)。
会社は有報の「経営方針」で、「2025年9月からコンビニエンスストア(CVS)事業に特化した新たな体制となり、それに先立ち、同年8月に「7-Elevenの変革」と題した計画…を発表しました」と書き、2030年に目指すグループ像を「セブン‐イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する、「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」としています(会社の方針の紹介で、この記事の見方ではありません)(出典:有価証券報告書 第21期「事業の内容」「従業員の状況」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「大株主の状況」、2026-10-25確認)。
2026年2月期の、セグメント別の営業収益と営業利益は次のとおりです(有報・連結・日本基準。2026年2月期は2025年3月1日〜2026年2月28日)。構成比と、営業収益の前期比は、当サイトが百万円単位の数字から計算しました。
| 事業(報告セグメント) | 内容・動き(有報の記載) | 営業収益 | 構成比 | 前期比 | 営業利益(2026年2月期) | 前期 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 国内コンビニエンスストア事業 | 国内のコンビニエンスストア事業。有報は「出来立て商品の「セブンカフェ ベーカリー」や「セブンカフェ ティー」の全国展開を図りました」と書いています | 9,145億円 | 8.7% | +1.2% | 2,225億円 | 2,335億円 | −4.7% |
| 海外コンビニエンスストア事業 | 米国・豪州・中国などのコンビニエンスストア事業。ガソリンの販売を含みます(有報の売上表) | 8兆5,568億円 | 81.7% | −6.7% | 2,222億円 | 2,162億円 | +2.8% |
| スーパーストア事業 | 2025年9月1日付で、この事業の子会社(持株会社の傘下)が連結の範囲から除外されました(それまでの業績は連結に含まれます) | 6,894億円 | 6.6% | −51.9% | 175億円 | 104億円 | +68.2% |
| 金融関連事業 | 2025年6月24日付で、銀行業の子会社とその子会社9社が連結の範囲から除外されました(それまでの業績は連結に含まれます) | 1,371億円 | 1.3% | −35.3% | 209億円 | 320億円 | −34.5% |
| その他の事業 | 同じ持株会社の傘下にあった子会社のうち、この区分に入っていたものも、2025年9月1日付で連結の範囲から除外されました | 1,797億円 | 1.7% | −44.0% | 69億円 | 57億円 | +20.8% |
2つのコンビニエンスストア事業の営業収益は、セグメント合計の90.4%、営業利益は90.7%(セグメント合計の営業利益4,902億円に対する割合。いずれも当サイト計算)にあたります。有報には、チェーン全店売上も書かれています。国内コンビニエンスストア事業は5兆4,693億円(前期比+1.9%)、米国の事業会社は9兆7,254億円(同−7.3%)で、米国の事業会社の全店売上のうち、ガソリンが5兆7,303億円(構成比58.9%・前期比−10.2%)、商品が3兆9,950億円(同41.1%・前期比−2.9%)でした。同じ書類に、グループ全体で加盟店の売上を含めた「グループ売上」が16兆9,920億円(前期比−7.9%)とあります(出典:有価証券報告書 第21期「経営成績等の概況」「主要な子会社の売上状況」、2026-10-25確認)。
会社は2026年4月9日の取締役会で事業セグメントの変更を決議し、2027年2月期から「国内コンビニエンスストア事業」「海外コンビニエンスストア事業」「その他の事業」の3区分になりました(スーパーストア事業と金融関連事業は「その他の事業」に入ります)。この変更は有報の「重要な後発事象」にも書かれています。次の節以降の2026年2月期の数字は旧区分、2027年2月期の中間期の数字(決算短信)は新区分です。
2️⃣ 事業が使われるつながりの中のどこにいるか
次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、セブン&アイの事業が、食品・飲料・燃料などが店舗を通じてお客様に届くまでの流れのどこに入っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。有報の記載から読み取れるセブン&アイは、商品の開発や店舗運営の指導、直営店の運営を自社グループで行い、商品の供給元や製造・配送では取引先の会社と組んでいる会社です。
この流れの中に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。2つのコンビニエンスストア事業は、営業収益でセグメント合計の90.4%(当サイト計算。有報の表から)を占めます。
- 加盟店との関係:有報の「重要な契約等」によると、国内のコンビニエンスストア事業会社は、加盟店と「フランチャイズ契約関係」を結んでいます。加盟者は、事業会社が実施するサービスの対価として、月間売上総利益を基にした一定の計算で算出した金額を支払い、契約の期間は新規に開店した初日から15年間です。事業会社は「継続的に担当者を派遣して、店舗・商品・販売の状況を観察させて助言・指導」を行うと書かれています。有報の注記には、損益計算書の営業収入に含まれる加盟店からの収入が、国内と米国・豪州の事業会社の分で1兆2,800億円(前期は1兆2,587億円)とあります。
- 商品の仕入:国内の加盟者は、事業会社が推薦する仕入先やその他の任意の仕入先から商品を買い取ると有報に書かれています。事業会社は開業時の在庫の買取りを求める以外、加盟者に商品を販売しません。
- 商品開発・店舗:会社は有報で、国内では「出来立て商品」の展開を強め、「商品の付加価値追求のため、約3,000億円規模の積極投資を行い、出来立て商材「ライブミール」の展開を進めています」「2026年度中に「セブンカフェ ベーカリー」を約18,000店へ、「セブンカフェ ティー」を約10,000店へ導入拡大いたします」と書いています(会社の計画の紹介で、この記事の見方ではありません)。米国については、フレッシュフードの差別化、店舗ネットワークの拡大、即時配送サービスの拡大などを挙げています。
- 前後の工程にいる会社の種類:上流には、食品・飲料などの製造会社、製造を受け持つ工場、燃料(石油製品)の供給会社があります。下流には、独立した事業体として店を運営する加盟者と、お客様がいます。物流の配送委託業者は、有報の「サプライチェーンリスク」に出てきます(ここは一般的な説明で、有報の言葉ではありません。社名は挙げません)。
このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報で挙げています。「サプライチェーンリスク」として、「気候変動などに伴う工場生産停止等により、仕入ルートの一部が寸断する可能性があります。また、物流における配送委託業者における燃料費高騰や人財不足により、サプライチェーンが寸断される可能性があります」と書いています。燃料については、「経営視点リスク」の1項目に「ガソリン需要の低下」があり、「各国の脱炭素政策の方向性に応じて、ガソリン車の販売規制やEV等への移行が進むことにより、将来的にガソリン販売から得られる収益が減少し、給油所が併設された店舗への来客数も減少する可能性があります」と書いています(出典:有価証券報告書 第21期「事業等のリスク」「重要な契約等」、2026-10-25確認。会社の認識であり、この記事の見方ではありません)。
3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事
各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。この年表は、有価証券報告書と適時開示(決算短信など)だけで作っています(Wikipediaなどの二次情報は使っていません)。売却や出資の相手・提携先の社名は、この記事では一般名に置き換えています(出典には書かれています)。
| 年月 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2005年9月 | 国内のコンビニエンスストア事業会社、総合スーパーの事業会社、外食の事業会社の3社が共同して株式移転により完全親会社となる持株会社(当社)を設立することを、2005年4月に取締役会で決議。2005年9月、当社設立。東京証券取引所市場第一部上場(3社の社名は出典に書かれています) | 有価証券報告書 第21期「沿革」(2026-10-25確認) |
| 2005年11月 | 米国のコンビニエンスストア会社の株式を、子会社を通じて公開買付けにより取得し、完全子会社とした(有報の沿革の書き方による) | 有価証券報告書 第21期「沿革」(2026-10-25確認) |
| 2006年1月/6月 | ある会社の株式65.45%を取得し、その子会社である百貨店の会社ほか11社が当社の子会社となった(2006年1月)。同年6月、追加取得と株式交換を経て、その会社が完全子会社となった | 有価証券報告書 第21期「沿革」(2026-10-25確認) |
| 2021年5月 | 米国で、ある企業から、1社とその他20社の株式その他の持分を取得し、これらが連結子会社となった(海外コンビニエンスストア事業に区分) | 有価証券報告書 第21期「沿革」「事業の内容」(2026-10-25確認) |
| 2022年4月 | 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、市場第一部からプライム市場に移行 | 有価証券報告書 第21期「沿革」(2026-10-25確認) |
| 2023年9月 | 百貨店事業の子会社の発行済株式の全部を譲渡し、同社及びその子会社を連結の範囲から除外 | 有価証券報告書 第21期「沿革」(2026-10-25確認) |
| 2024年3月 | 2024年3月1日付で、普通株式1株を3株に株式分割 | 有価証券報告書 第21期「主要な経営指標等の推移」の注(2026-10-25確認) |
| 2025年3月6日 | 取締役会で、食品スーパーマーケット事業及び専門店・その他事業に属する会社の管理機能等の権利義務を、投資ファンドが設立する買収目的会社の完全子会社に、吸収分割で承継させることを決議 | 有価証券報告書 第21期「企業結合等関係」(2026-10-25確認) |
| 2025年4月9日 | 取締役会で、自己株式の取得(上限400,000,000株・6,000億円、取得期間2025年4月10日〜2026年2月28日)を決議 | 有価証券報告書 第21期「自己株式の取得等の状況」(2026-10-25確認) |
| 2025年6月24日 | 銀行業の子会社の株式の一部を、その会社が公表した自己株式買付けに応じて譲渡。このときの当社グループの議決権比率は39.9%となり、同社とその子会社9社は連結の範囲から除外、同社は持分法適用会社となった | 有価証券報告書 第21期「企業結合等関係」「沿革」(2026-10-25確認) |
| 2025年8月6日 | 「7-Elevenの変革」と題した計画を公表(有報の「経営者による分析」の記載) | 有価証券報告書 第21期「経営方針」「経営者による分析」(2026-10-25確認) |
| 2025年9月1日 | 吸収分割の手続きが完了し、スーパーストア事業等に属する子会社が連結の範囲から除外。買収目的会社への再出資が完了し(出資比率35.07%)、同社は持分法適用会社となった | 有価証券報告書 第21期「企業結合等関係」「沿革」(2026-10-25確認) |
| 2026年4月9日 | 取締役会で事業セグメントの変更を決議(2027年2月期から新区分。有報の「重要な後発事象」にも記載) | 有価証券報告書 第21期「重要な後発事象」(2026-10-25確認) |
| 2026年5月20日 | 有価証券報告書(第21期)を提出 | 有価証券報告書 第21期「表紙」(2026-10-25確認) |
| 2026年7月15日 | 自己株式284,297,500株を消却(2026年7月9日の取締役会決議に基づく) | 決算短信 2027年2月期 中間期「株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記」(2026-10-25確認) |
| 2026年7月31日/8月3日 | 取締役会で自己株式の取得を決議(7月31日)。8月3日に自己株式189,663,300株(399,999百万円)を取得。取得の一部にはファシリティ型自己株式取得(ASR)の方法が使われた | 決算短信 2027年2月期 中間期「追加情報」(2026-10-25確認) |
| 2026年8月17日 | 2026年7月31日の取締役会決議に基づき、株式会社3社を割当先とする第三者割当による自己株式144,927,534株の処分を実施 | 決算短信 2027年2月期 中間期「株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記」(2026-10-25確認) |
| 2026年10月8日 | 2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信を公表。同日の取締役会で、国内無担保普通社債の発行(発行総額1,200億円以下)を包括決議したと「重要な後発事象」に記載 | 決算短信 2027年2月期 中間期(2026-10-25確認) |
| 2026年10月23日 | 無担保社債の第20回・第21回・第22回(総額1,100億円)の発行を決定 | 「無担保社債発行に関するお知らせ」(2026-10-25確認) |
4️⃣ 直近の決算の数字(有報と決算短信)
【有報】2026年2月期(第21期・連結・日本基準)
まず、有報の連結の数字です。期間は2025年3月1日〜2026年2月28日、前期(第20期)は2024年3月1日〜2025年2月28日です。前期の数字は、有報に書かれた遡及適用後(会計ルールの変更をさかのぼって適用した後)の数字です。確認日は2026-10-25です。この表の主な数字は、有報に付く監査法人の監査報告書の対象となった連結財務諸表に基づきます(従業員数・ROEなどは監査の対象外の記載です)。
| 指標(連結・日本基準) | 2026年2月期 | 2025年2月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 営業収益(売上高+営業収入) | 10兆4,302億円 | 11兆9,727億円 | −12.9% |
| 営業利益 | 4,229億円 | 4,209億円 | +0.5% |
| 経常利益 | 3,774億円 | 3,745億円 | +0.8% |
| 税金等調整前当期純利益 | 4,345億円 | 2,693億円 | +61.3%(当サイト計算) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,927億円 | 1,730億円 | +69.2% |
| 1株当たり当期純利益 | 118.81円 | 66.62円 | — |
| 総資産(期末) | 9兆1,429億円 | 11兆3,861億円 | −2兆2,431億円(当サイト計算) |
| 純資産(期末) | 3兆6,481億円 | 4兆2,232億円 | −5,750億円(当サイト計算) |
| 自己資本比率(期末) | 39.6% | 35.4% | +4.2ポイント(当サイト計算) |
| 自己資本利益率(株主のお金に対する1年の利益の割合。ROE) | 7.6% | 4.5% | — |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 6,667億円 | 8,764億円 | −23.9% |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | −4,773億円 | −7,323億円 | — |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | −1兆1,098億円 | −3,926億円 | — |
| 現金及び現金同等物(期末) | 4,261億円 | 1兆3,498億円 | — |
| 連結の従業員数(期末) | 35,967人 | 62,012人 | — |
出典:有価証券報告書 第21期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「連結財務諸表」(2026-05-20提出、2026-10-25確認)。億円は百万円単位の表の億円未満切り捨て。キャッシュ・フロー=お金の出入りで、営業活動は本業の稼ぎや運転資金、投資活動は設備や有価証券・子会社株式などへの投資や売却、財務活動は借入・返済・社債・配当・自己株式の取得などによるものです。
営業収益の前期との差は−1兆5,424億円です。セグメント別に見ると(調整額を除く・当サイト計算)、国内コンビニエンスストア事業が+104億円、海外コンビニエンスストア事業が−6,139億円、スーパーストア事業が−7,426億円、金融関連事業が−749億円、その他の事業が−1,411億円です。有報は、スーパーストア事業とその他の事業の変動の主な理由として、子会社が連結の範囲から除外されたことを挙げています。為替の影響については、「為替による影響は前年同期と比べ、グループ売上は1,466億円、営業収益は1,197億円、営業利益は31億円減少しております」と書かれています。
セグメントの動きについて、有報は次のように書いています(会社の説明の紹介で、各事業の先行きについてこの記事は何も予想していません)。
- 国内コンビニエンスストア事業:「既存店売上が前年同期を上回った一方で、米等の原材料価格の高騰により荒利率が前年同期を下回りました。加えて、物価上昇等の影響により販管費は前年同期を上回り、営業利益は220,263百万円(同94.2%)となりました」(国内の事業会社の営業利益)。
- 海外コンビニエンスストア事業:米国の事業会社は「ドルベースの米国内既存店商品売上は前年を下回ったものの、コスト適正化を継続して実施したことにより、営業利益(のれん償却前)は332,381百万円(同100.8%)」。第4四半期(2025年12月〜2026年2月)の3か月間は、「10月及び11月の政府閉鎖影響等による客数減少の影響をカバーできず既存店商品売上は前年同期を下回りました」、ガソリンは「市況の影響により収益は回復しました」と書かれています。
【有報】5期の推移
| 期(連結・日本基準) | 営業収益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1株当たり当期純利益 | 自己資本比率 | 自己資本利益率(ROE) | 株価収益率(有報の表・参考) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第17期(2022年2月期) | 8兆7,497億円 | 3,585億円 | 2,107億円 | 79.56円 | 34.1% | 7.5% | 23.4倍 |
| 第18期(2023年2月期) | 11兆8,113億円 | 4,758億円 | 2,809億円 | 106.05円 | 32.9% | 8.7% | 19.1倍 |
| 第19期(2024年2月期) | 11兆4,717億円 | 5,070億円 | 2,246億円 | 84.88円 | 35.1% | 6.2% | 26.3倍 |
| 第20期(2025年2月期) | 11兆9,727億円 | 3,745億円 | 1,730億円 | 66.62円 | 35.4% | 4.5% | 32.2倍 |
| 第21期(2026年2月期) | 10兆4,302億円 | 3,774億円 | 2,927億円 | 118.81円 | 39.6% | 7.6% | 18.5倍 |
出典:有価証券報告書 第21期「主要な経営指標等の推移」(2026-10-25確認)。1株当たり当期純利益は、2024年3月1日付の1株を3株にする株式分割が第17期の期首に行われたと仮定して計算された、分割後の基準の数字です。第17期は収益認識会計基準の適用前、第18期以降は適用後の数字です(有報の注)。株価収益率(PER)は、有報の表にある、年度末の株価と1株当たり当期純利益から計算された倍率で、確認日時点の株価で計算した倍率ではありません。倍率が高いか低いかの評価はしません。
【有報】本業以外の損益項目(上がる側にも下がる側にも)
2026年2月期の純利益の動きは、営業利益の動きと大きく違います。営業利益は+0.5%でしたが、親会社株主に帰属する当期純利益は+69.2%でした。その間に入る、営業外損益と特別損益(連結損益計算書)を、利益を増やす項目と減らす項目の両方で並べます。日本基準の有報には、国際会計基準のような「継続事業・非継続事業」の区分はありません。
| 項目(連結) | 2026年2月期 | 2025年2月期 | 内訳・会社の説明(有報) |
|---|---|---|---|
| 営業外収益(合計) | 187億円 | 257億円 | うち投資有価証券評価益は22億円(前期76億円)。受取利息は110億円(前期103億円) |
| 営業外費用(合計) | 643億円 | 721億円 | うち支払利息297億円(前期408億円)、社債利息197億円(前期205億円)、持分法による投資損失53億円(前期4億円) |
| 営業外損益(純額) | −455億円 | −464億円 | 有報は、米国の事業会社の支払利息が減少したこと等によると書いています |
| 特別利益(合計) | 1,429億円 | 1,157億円 | うち固定資産売却益945億円(前期919億円。ほかに前期は事業構造改革に伴う固定資産売却益31億円)、スーパーストア事業持分変動益269億円(前期はなし)、投資有価証券売却益54億円(前期118億円) |
| 特別損失(合計) | 857億円 | 2,209億円 | うち減損損失328億円(前期982億円)、固定資産廃棄損225億円(前期231億円)、事業構造改革費用8億円(前期256億円)、関係会社事業関連損失(前期のみ464億円) |
| 特別損益(純額) | 571億円 | −1,052億円 | 有報は、子会社の非連結化等により特別利益を計上したこと等によると書いています |
| 法人税等(税効果会計適用後) | 1,354億円 | 863億円 | 税効果会計適用後の負担率は31.2%と書かれています |
出典:有価証券報告書 第21期「連結損益計算書」「経営者による分析」(2026-10-25確認)。内訳は主なものだけで、すべてではありません。固定資産売却益について、有報の注記には、米国の事業会社が2025年12月に実施したセール・リースバック(資産を売却して、そのまま借りて使い続ける取引)に伴う売却益が514億円(前期は2024年11月の実施で882億円)と書かれています。このほか、有報は、為替レートの違いによる円換算への影響(営業収益−1,197億円、営業利益−31億円)を書いています。提出会社(持株会社自身)の損益計算書には、特別損失として「買収提案対応費用」46億円と「スーパーストア事業組織再編費用」40億円があります(どちらも前期はなし)。この記事は、金額だけを有報から引いています(内容は有報の提出会社の損益計算書の表記のとおりで、この記事は意味づけをしていません)。
【有報】お金の出入り・自己株式・配当
- キャッシュ・フロー:営業活動は6,667億円の収入(前期比−23.9%)。投資活動は4,773億円の支出で、会社の説明によると、有形固定資産の取得による支出3,336億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出7,586億円と収入5,383億円などが主なものです。財務活動は1兆1,098億円の支出で、長期借入金の返済2,717億円、社債の償還2,100億円、自己株式の取得6,000億円などが主なものです。現金及び現金同等物は1兆3,498億円から4,261億円になりました。借入金・社債・リース債務を含む有利子負債の残高は2兆2,744億円です。
- 自己株式の取得:2025年4月9日の取締役会決議(上限400,000,000株・6,000億円)に基づき、当期に284,297,500株(599,999,827,083円)を取得しました。期末の自己株式(役員向け株式報酬の信託が持つ株式を除く)は289,783,358株で、発行済株式総数の11.12%です(有報の記載)。
- 配当:有報の配当政策は、「持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を導入しております」と書き、決定機関は「期末配当については株主総会、中間配当については取締役会」としています。2026年2月期の配当は、2025年10月9日の取締役会決議による中間配当1株25円(総額616億円)と、2026年5月27日の定時株主総会の決議事項とされた期末配当1株25円(総額578億円、有報の提出時点では予定)で、年間50円です。期末配当の最終的な決議の結果は、この記事では確認していません。
- のれん:連結貸借対照表で、のれんは2兆1,098億円(前期末2兆2,644億円)、総資産に対して23.1%(当サイト計算)です。
【決算短信】2027年2月期 第2四半期(中間期)(連結・日本基準)
次に、2026年10月8日公表の決算短信(2027年2月期 第2四半期)の数字です。期間は2026年3月1日〜8月31日です。この数字は、決算短信自身に「公認会計士又は監査法人のレビューの対象外です」と書かれたもので、上の有報の数字とは出どころが違います。事業の区分は、2027年2月期からの新区分で、前年同期の事業別の数字は決算短信が新区分に組み替えて載せているものです。前年同期(2025年3月1日〜8月31日)にはスーパーストア事業と銀行業の子会社を連結していた期間が含まれるため、連結の範囲が同じではありません。決算短信は、その影響を調整した「実質ベース」の数字(会社の計算)も載せています。
| 指標(連結・日本基準) | 2027年2月期 中間期 | 2026年2月期 中間期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 5兆4,602億円 | 5兆6,166億円 | −2.8% |
| 営業利益 | 2,322億円 | 2,083億円 | +11.5% |
| 経常利益 | 2,219億円 | 1,864億円 | +19.0% |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 1,244億円 | 1,218億円 | +2.2% |
| 1株当たり中間純利益 | 54.26円 | 47.83円 | — |
| 国内コンビニエンスストア事業(営業収益/営業利益) | 4,673億円/1,098億円 | 4,625億円/1,217億円 | +1.0%/−9.8% |
| 海外コンビニエンスストア事業(営業収益/営業利益) | 4兆9,666億円/1,504億円 | 4兆2,211億円/801億円 | +17.7%/+87.7% |
| その他の事業(営業収益/営業利益) | 323億円/27億円 | 9,455億円/414億円 | −96.6%/−93.4% |
| 特別利益/特別損失 | 63億円/541億円 | 483億円/312億円 | うち減損損失は229億円(前年同期80億円) |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 3,370億円 | 3,821億円 | −11.8% |
| 総資産(期末)/自己資本比率 | 9兆4,684億円/39.1% | 9兆1,429億円/39.6%(2026年2月末) | — |
| 為替レート(損益計算書・1米ドル) | 158.29円 | 148.40円 | 為替による影響は営業収益+3,110億円、営業利益+94億円(会社の記載) |
出典:決算短信 2027年2月期 第2四半期(中間期)「経営成績等の概況」「中間連結財務諸表」(2026-10-08公表、2026-10-25確認)。増減は、「営業収益」から「営業利益」「経常利益」「親会社株主に帰属する中間純利益」までは会社の前年同期比、そのほかは当サイトが計算(四捨五入)。会社が示す「実質ベース」では、営業収益が4兆6,967億円→5兆4,602億円(実質ベース比+16.3%)、営業利益が1,700億円→2,322億円(同+36.6%)です。
決算短信の本文は、国内については「客単価が上昇し、既存店売上は前年同期を上回り、荒利率は前年同期並みとなりました。一方、店内調理設備や次世代店舗システムの導入の先行投資に加え物価上昇等により販管費が増加し」と書いています。米国の事業会社については「ドルベースの米国内既存店商品売上は前年同期を上回りました」「荒利率は前年同期から改善しました」と書き、第2四半期の3か月間は「客数は減少し、米国内既存店商品売上は前年同期をやや下回りました」と書いています。決算短信には、2027年2月期の連結業績予想と配当予想も載っていますが、この記事は会社の予想の数字を扱わないので、数字は書きません。
決算短信には、資本に関する出来事も書かれています。2026年7月15日の自己株式284,297,500株の消却、8月3日の自己株式189,663,300株(3,999億円)の取得、8月17日の第三者割当による自己株式144,927,534株の処分(キャッシュ・フロー計算書では、自己株式の売却による収入3,000億円、自己株式の取得による支出4,000億円)です。中間期末の発行済株式総数(自己株式を含む)は2,320,258,349株、自己株式は53,174,608株(役員向け株式報酬の信託が持つ株式を含む)で、2026年2月末の2,604,555,849株・292,876,123株から変わっています。取得の一部にはファシリティ型自己株式取得(ASR)が使われ、決算短信は「実質的な取得総額又は取得株式数は上記より変動する可能性があります」と書いています。2026年10月8日の取締役会で決議された国内無担保普通社債の発行(発行総額1,200億円以下)に基づき、10月23日には第20回〜第22回(総額1,100億円)の発行が決定されました(利率は年2.435%〜3.568%、償還期限は2029年10月29日〜2036年10月29日、資金使途は社債償還資金・借入金返済資金・運転資金)(出典:「無担保社債発行に関するお知らせ」、2026-10-25確認)。
5️⃣ 会社自身が挙げているリスク
以下は有報(第21期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。有報は、リスクを「中長期視点リスク(経営視点リスク)」と「短期視点リスク」に分けて書いています。ここでは5つを紹介します。原文は有価証券報告書 第21期「事業等のリスク」でご確認ください。
- ①グループ経営戦略・成長戦略に関するリスク(短期視点リスク):会社は「各国・地域の事業環境や運営体制の違いにより、グローバルでの一体的な経営運営や戦略遂行が十分に進まない場合、成長施策の効果が限定され、投資回収の遅延や競争力の低下を招き、当社グループの成長戦略の実現や業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります」と書いています。取り組みとして、グループ横断での戦略策定と個社の課題に応じたKPI(目標の達成度を測る指標)の設定、IT・デジタル基盤の共通化による業務標準化などを挙げています。
- ②ガソリン需要の低下(経営視点リスクの1項目):「各国の脱炭素政策の方向性に応じて、ガソリン車の販売規制やEV等への移行が進むことにより、将来的にガソリン販売から得られる収益が減少し、給油所が併設された店舗への来客数も減少する可能性があります」と書き、「これに伴い、事業の見直しが必要となり、関連法規制への対応やEV充電設備等の増設などにかかるコストが発生する可能性があります」としています。取り組みとして、米国のガソリンロイヤルティプログラムによる競争力強化、豪州の価格最適化ツールの導入などを挙げています。
- ③ビジネスモデルに関するリスク(短期視点リスク):「日本、米国及び事業を展開している国又は地域の景気や個人消費の動向などの経済状態の悪化や、お客様や市場のニーズに合わせた商品やサービスを提供できないことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります」と書いています。取り組みとして、独立社外取締役が過半数を占める取締役会による事業会社の経営状況のモニタリング、市場および顧客ニーズの調査に基づく価格戦略の見直しなどを挙げています。
- ④固定資産の減損に関するリスク(短期視点リスク):「当社グループは、連結総資産に占める有形固定資産やのれん等の割合が高く、店舗等の収益管理を厳格に実施しています。しかしながら、今後、店舗等の収益性が悪化する、保有資産の市場価格が著しく下落すること等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります」と書いています。取り組みとして、出店審査基準の設定と定期的なモニタリングなどを挙げています。
- ⑤金利・為替の変動に関するリスクと、買収防衛に関するリスク:金利と為替について会社は、金利の変動が「受払利息や金融資産・負債の価値に影響を与え」、海外のグループ会社の現地通貨建ての資産・負債等は「連結財務諸表作成のために円換算されます」として、為替相場の変動が業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があると書き、為替予約やスワップなどのデリバティブ取引を行っています。買収防衛については、リスク項目に「M&Aに関するリスク(買収防衛)」があり、「当社の企業価値を毀損するような当社に対するTOB(公開株式買付)が成立した場合、新たな株主や経営陣の支配下で企業の戦略方針や企業文化が変更となり…業務プロセス・ITシステムの統合に多大な負荷と様々な問題が生じる可能性があります」と書いています。対策は「業績の更なる向上やコーポレート・ガバナンスの強化等を通じたグループ企業価値の最大化」です。(これらは会社の認識であり、この記事の見方ではありません)。
出典:有価証券報告書 第21期「事業等のリスク」(2026-05-20提出、2026-10-25確認)。有報のリスクには、このほか、国内・海外コンビニエンスストア事業の成長戦略に関するリスク(出店計画、設備導入、物流の混乱、食品安全、情報セキュリティなど)、人事・労務(カスタマーハラスメントを含む)、競争法(取適法・優越的地位濫用規制)、知的財産、サイバーセキュリティ・システム・個人情報、食品の品質表示・衛生管理、サプライチェーン、地震・風水害などの災害、人権、環境(気候変動・自然資本)が並びます。これらは2026年5月時点の有報の記載です。
6️⃣ 上がる材料/下がる材料
ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。
以上が、いま公開情報から拾える材料です。どれが重いか、どう見るかはご自身で。この記事は上がる・下がるの結論を出していません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。
7️⃣ これから何を見れば分かるか
決算短信(2027年2月期の中間期)には、半期報告書の提出予定日が2026年10月14日、配当支払開始予定日が2026年11月13日と書かれています(どちらも予定で、この記事は半期報告書の提出を確認していません)。次の決算(2027年2月期の第3四半期=2026年9〜11月)の発表日は、当サイトの決算予定データ earnings-calendar.json に載っておらず、一次情報でも確かめられていません。会社のIRサイト(投資家向けの情報を載せたページ)でご確認ください。決算短信には、2027年2月期の連結業績予想と配当予想が載っています。この記事は会社の予想の数字を扱わないので、数字は書きません。
- 国内コンビニエンスストア事業の営業利益と、その内訳:2026年2月期は2,225億円(前期比−4.7%)、2027年2月期の中間期は1,098億円(前年同期比−9.8%)。次の開示で、既存店売上・荒利率・販管費がどう書かれるか
- 米国の事業会社の既存店商品売上・荒利率・ガソリンの収益:2026年2月期の米国のチェーン全店売上は9兆7,254億円(前期比−7.3%)、中間期は5兆5,431億円(同+15.8%)。為替の影響(中間期は営業収益+3,110億円、営業利益+94億円)が、次の開示でどう書かれるか
- 特別損益と減損損失:2026年2月期の特別損益は571億円の利益、中間期は特別利益63億円・特別損失541億円(うち減損損失229億円)。純利益の前年比に、本業以外の項目がどう関わるか
- 資本政策と借入:発行済株式総数・自己株式の数、社債の発行(10月23日の1,100億円を含む)、有利子負債、配当。取締役会の決議や適時開示で、どう書かれるか(有報の配当政策には、期末配当は株主総会、中間配当は取締役会が決定機関と書かれています)
- 有報(第22期)の「事業等のリスク」:この記事の5節は2026年5月の有報の記載です。2027年2月期の有報で、リスクの項目や書き方がどう変わるか
有価証券報告書と半期報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説に、適時開示のしくみはこちらの解説にまとめています。
8️⃣ まとめ
結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①国内・海外それぞれのコンビニエンスストア事業の営業利益と、その内訳(既存店売上・荒利率・販管費・ガソリンの収益)、②特別損益・減損損失(純利益の中身)、③お金の出入りと資本政策(キャッシュ・フロー、自己株式、社債・借入、配当)。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。
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⚠️ 当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録もしていません。本記事は金融庁の開示システム(EDINET)に提出された有価証券報告書や、証券取引所の適時開示などの一次情報に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示、将来の業績・株価・為替・景気・燃料需要の予測、株価水準に関する評価的な断定は行っていません。会社の方針・目標・計画・見方として引用した内容は、あくまで「会社がそのように公表している」という事実の紹介で、この記事の見方ではありません。文中に出てくる会社や機関の種類は、産業の構造を説明するための一般名で、特定の会社の株式をおすすめするものではありません。2027年2月期の中間期の数字は決算短信のもので、監査法人のレビューの対象外です。投資には元本割れのリスクが伴います。投資判断はご自身の責任で行ってください。