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🔬 数字で見る、話題の企業
⚠️ 本記事は公開情報(有価証券報告書・決算短信等の一次情報)に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示や将来の業績・株価の予測は行っていません。投資には元本割れリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

🔬 ファーストリテイリング(9983)を数字で見る|ユニクロ・ジーユーを展開する衣料品の企業を有価証券報告書と決算短信で確認

公開日:2026年10月24日 / 読了時間:約30分 / カテゴリ:数字で見る企業(第26回・日本株)

「数字で見る、話題の企業」シリーズ第26回は、有価証券報告書の「沿革」に「1949年3月、山口県宇部市に当社の前身である「メンズショップ小郡商事」を…開業し」と書かれている衣料品の会社、株式会社ファーストリテイリング(証券コード9983、以下「ファーストリテイリング」)を取り上げます。「ユニクロ」「ジーユー」などの衣料品を、日本と海外の店舗や、Eコマース(インターネット通販)で販売しています。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。①事業の中身 ②事業が使われるつながりの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。初めて出てくる言葉は、その場で説明します。

この記事が根拠にしている書類は2つで、数字の出どころを分けて書きます。①有価証券報告書(上場会社が決算期ごとに金融庁へ出す、事業や決算をくわしく書いた報告書。以下「有報」。第64期・2024年9月〜2025年8月。2025年11月28日提出)。②決算短信(上場会社が決算の内容を証券取引所に早く知らせる書類。2026年8月期・2026年10月8日公表)。2026年8月期の有報はまだ提出されていません(決算短信に「有価証券報告書提出予定日 2026年11月27日」とあります)。そのため、2026年8月期の数字は決算短信から、2025年8月期の数字と会社自身のリスクの説明は有報から引いています。決算短信は、決算短信自身に「公認会計士又は監査法人の監査の対象外です」と書かれています。

📌 30秒でわかるこの記事
  • 2026年8月期(決算短信・連結・IFRS)の売上収益(売上のこと。IFRSでの呼び名)は3兆9,633億円(前期比+16.6%)、事業利益(売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた、事業そのものの利益)は7,184億円(同+30.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,425億円(同+25.3%)でした。会社は「5期連続で過去最高の業績を達成」と書いています。ただしこれは決算短信の数字で、監査法人の監査の対象外です
  • 売上収益の構成は、海外ユニクロ事業60.8%(2兆4,111億円、前期比+26.2%)、国内ユニクロ事業27.4%、ジーユー事業8.5%、グローバルブランド事業3.2%(当サイトの計算)。事業利益は海外ユニクロ事業が4,398億円(同+44.1%)、国内ユニクロ事業が1,960億円(同+8.1%)でした。一方、ジーユー事業の2026年6〜8月(第4四半期)について、会社は「販売に苦戦しました」と書いています。2026年8月期の年間配当(予想)は、2026年10月8日の「配当予想の修正に関するお知らせ」で640円から850円へ修正されました(前期の実績は500円。最終的な決議と支払いは、この記事では確認していません)
  • この記事は、2025年8月期の有報(2025年11月28日提出)と、2026年8月期の決算短信(2026年10月8日公表)を根拠にしていて、2026年8月期の有報はまだ出ていません。2026年11月27日に提出予定です(決算短信の記載)。「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。上がる・下がるの結論は書きません
💡 なぜファーストリテイリングか(選定根拠):本シリーズは日本株を中心にする方針で、直近3本(古河電気工業・オリエンタルランド・IHI)はすべて日本株でした。当サイトが機械的に集計する候補データ(edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-23時点)は、ファーストリテイリングの登場を2026年10月13日・10月14日・10月16日・10月20日の4回と数えています。最後に登場した日(10月20日)から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)、有報の本文が取得できていること、直近3本がすべて日本株であることを確かめたうえで、候補の中の1社として選びました。ランキングに登場した理由(なぜ値上がりや出来高の増加があったか)は、一次情報で確かめられないため書きません。

当サイトの解説記事に、この会社が主役の記事はありません。2026年10月9日のニュース記事(日経平均の動きを扱った記事)に、他の会社と並べて社名が出る箇所がありますが、主役ではありません。
数字の出どころと確認日(2026-10-24):①2025年8月期の数字と、会社のリスク・歴史の記述は、有価証券報告書 第64期(2024年9月1日〜2025年8月31日、2025年11月28日提出)(同じ書類のPDF:EDINET公式のダウンロード)から引いています。②2026年8月期の数字は、決算短信〔IFRS〕(連結)2026年8月期(2026年10月8日公表)と、同じ日の「2026年8月期の配当予想の修正に関するお知らせ」から引いています。ファーストリテイリングは8月決算で、会計基準はIFRS(国際財務報告基準。日本基準とは項目の名前が一部違い、売上は「売上収益」、最後の利益は「当期利益」と呼ぶ)です。決算短信の「前期」の欄の数字は、有報の2025年8月期の数字と同じであることを確かめました(売上収益・営業利益・税引前利益・親会社の所有者に帰属する当期利益・キャッシュ・フロー・1株当たり当期利益)。

TDnet(東京証券取引所の適時開示サイト。適時開示=上場会社が、株価に影響しうる情報を証券取引所を通じてすぐに公表する仕組み)は、当サイトが一覧を閲覧できた2026年9月14日〜10月24日(41日分・92ページ・6,122件)を、社名ではなく証券コード99830で全ページ検索しました。ファーストリテイリング自身の開示は2件(いずれも2026年10月8日15時31分。「2026年8月期 決算短信〔IFRS会計基準〕(連結)」と「2026年8月期の配当予想の修正に関するお知らせ」)で、この2件を使っています。9月13日以前の一覧は閲覧できませんでした。会社のIRサイトは、当サイトの調査環境から接続を拒否されたため(迂回はしていません)、内容を取得していません。

億円の数字は、百万円単位の表の億円未満を切り捨てたもの(会社の文章中の億円表示と同じ方法)で、「当サイト計算」と書いた増減率や構成比は、その数字から当サイトが計算して四捨五入したものです。株式分割:有報の経営指標等の注に、2023年3月1日付で普通株式1株を3株に分割した旨が書かれています。有報の「重要な後発事象」と決算短信の「後発事象」は、どちらも「該当事項はありません」で、2025年9月〜2026年8月の決算短信に株式分割の記載はなく、発行済株式総数(自己株式を含む)は2025年8月末・2026年8月末とも318,220,968株です。1株当たりの数字は、会社が開示している基準のまま引いています。会社が文章に書いている言葉は、会社の書き方のまま引いています。成長の見通し・為替・消費動向・各国の政策などについて会社が書いている部分は、会社の認識として引用するだけで、この記事の見方ではありません。取引先・生産委託先・提携先・競合・子会社の名前は、この記事では一般名に置き換えています(出典には書かれています)。

1️⃣ ファーストリテイリングはどんな会社か

有報の「事業の内容」によると、ファーストリテイリングは持株会社(グループの会社の株式を持ち、全体を統括する会社)で、連結子会社68社と持分法適用会社4社(2025年8月31日現在)でグループを構成しています。事業は「国内ユニクロ事業」「海外ユニクロ事業」「ジーユー事業」「グローバルブランド事業」の4つの報告セグメントに分かれ、そのほかに不動産賃貸業等の「その他」があります。会社は企業理念として「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」を掲げ、服づくりのコンセプトを「LifeWear(究極の普段着)」と呼んでいます。連結の従業員数は59,522人(2025年8月31日現在)です。有報の「大株主の状況」(2025年8月31日現在)では、代表取締役会長兼社長の所有株式数の割合が17.40%、上位10名の合計が76.43%と書かれています(上位10名には、信託業務として株式を持つ信託銀行が含まれると有報の注にあります。株式の需給や値動きについての見方ではありません)(出典:有価証券報告書 第64期「事業の内容」「従業員の状況」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「大株主の状況」、2026-10-24確認)。

💡 用語メモ:売上収益はIFRSでの売上のことです。事業利益は、会社の定義で「売上収益から売上原価と販管費を控除して算出する事業そのものの利益」です。営業利益は、事業利益に「その他収益」「その他費用」「持分法による投資損益」を加減した利益です。連結は、グループ全体を1つの会社とみなした数字です。持分法適用会社は、出資先の損益を持ち分に応じて自社の連結の数字に取り込む会社です。報告セグメントは、会社が業績を管理・開示するときの事業の区分です。グレーターチャイナは、会社の区分で、中国大陸・香港・台湾です。既存店売上高は、前の年からある店舗の売上高で、会社はEコマースを含めて示しています。フランチャイズ(FC)は、他社が店を運営し、会社が商品を供給してロイヤリティ(使用料)を受け取る形です。売上総利益は売上収益から売上原価を引いた利益、販管費は販売費及び一般管理費(人件費・地代家賃・広告宣伝費など)です。

決算短信(2026年8月期)による、事業別の売上収益と事業利益は次のとおりです。前期(2025年8月期)の数字は有報の「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」にある数字です。

事業(報告セグメント)主な内容(有報の記載)売上収益(2026年8月期)構成比前期比事業利益(2026年8月期)前期(2025年8月期)前期比
国内ユニクロ事業日本で展開する「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売1兆848億円27.4%+5.7%1,960億円1,813億円+8.1%
海外ユニクロ事業海外で展開する「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売2兆4,111億円60.8%+26.2%4,398億円3,053億円+44.1%
ジーユー事業日本・海外で展開する「ジーユー」ブランドのカジュアル衣料品販売3,367億円8.5%+1.8%315億円283億円+11.0%
グローバルブランド事業衣料品の国内・海外における企画、販売及び製造事業等(セオリー事業、プラステ事業ほか)1,285億円3.2%−2.3%28億円26億円+6.8%
その他不動産賃貸業等21億円0.1%————

出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」「セグメント情報」「収益」(2026-10-08公表、2026-10-24確認)、有価証券報告書 第64期「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(前期の事業利益。2025-11-28提出)。売上収益は決算短信のセグメント情報の表、構成比は連結の売上収益 3兆9,633億円に対する割合を当サイトが計算(四捨五入)、前期比は会社の文章に書かれた数字です。4つの事業の事業利益を足しても連結の事業利益(7,184億円)にはならず、その差の内訳は決算短信の文章には書かれていません。「その他」の事業利益は決算短信の文章に書かれていないため載せていません。

ファーストリテイリングの2026年8月期の事業別の売上収益の構成(連結)と、事業ごとの事業利益(前期との比較) 上:事業別の売上収益の構成(連結・2026年8月期・単位:億円・構成比は当サイトの計算) 国内ユニクロ事業 10,848(27.4%) 海外ユニクロ事業 24,111(60.8%) ジーユー事業 3,367(8.5%) グローバルブランド事業 1,285(3.2%) その他(不動産賃貸業等) 21(0.1%) 合計は連結の売上収益 3兆9,633億円です。 構成比は四捨五入のため、合計が100%にならないことがあります。 下:事業ごとの事業利益(単位:億円・濃い色が2026年8月期、薄い色が前期) 国内ユニクロ事業 1,960 1,813 海外ユニクロ事業 4,398 3,053 ジーユー事業 315 283 グローバルブランド事業 28 26 事業利益=売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた利益(会社の定義)。億円未満は切り捨て。 上と下は別の切り口で、棒の長さの目盛りも違います。「その他」の事業利益は開示がないため載せていません。
▲ 決算短信 2026年8月期「セグメント情報」「経営成績等の概況」と有価証券報告書 第64期「分析」(百万円または億円表示、億円未満切り捨て、2026-10-24確認)。構成比は連結の売上収益に対する割合を当サイトが計算したもの(四捨五入)。事業利益の前期は有報の数字です。※概念を示すイメージ図です。

売上収益を、お客様のいる地域で分けると次のとおりです(決算短信の「収益」の表。ユニクロ事業の地域別の合計は3兆4,959億円で、連結の88.2%です)。

地域(ユニクロ事業)2026年8月期構成比2025年8月期前期比(当サイト計算)
日本1兆848億円27.4%1兆260億円+5.7%
グレーターチャイナ7,240億円18.3%6,502億円+11.3%
韓国・東南アジア・インド・豪州8,094億円20.4%6,194億円+30.7%
北米3,649億円9.2%2,711億円+34.6%
欧州5,126億円12.9%3,695億円+38.7%
ジーユー事業/グローバルブランド事業/その他3,367億円/1,285億円/21億円8.5%/3.2%/0.1%3,307億円/1,315億円/19億円+1.8%/−2.3%/—

出典:決算短信 2026年8月期「収益」(注記2)、有価証券報告書 第64期「経営者による分析」「販売の状況」(2026-10-24確認)。会社の区分で、北米は米国・カナダ、欧州は英国・フランス・ドイツなど11か国・地域、韓国・東南アジア・インド・豪州は韓国・シンガポール・マレーシア・タイ・フィリピン・インドネシア・オーストラリア・ベトナム・インドです。顧客の所在地を基礎とした分類で、ジーユー事業とグローバルブランド事業の売上収益は国や地域に分けずに表示されています。

有報には、2025年8月期の出店も書かれています。国内ユニクロ事業で直営店31店舗、海外ユニクロ事業で合計122店舗(グレーターチャイナ44店舗、北米23店舗、欧州9店舗、韓国14店舗ほか。当サイトが有報の国別の数を合計)、ジーユー事業で39店舗、グローバルブランド事業で46店舗を新しく出店しました(出典:有価証券報告書 第64期「設備投資等の概要」、2026-10-24確認)。

2️⃣ 事業が使われるつながりの中のどこにいるか

次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、ファーストリテイリングの事業が、衣料品が原材料からお客様に届くまでの流れのどこに入っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。有報の記載から読み取れるファーストリテイリングは、商品の企画・開発と、店舗やEコマースでの販売を自社グループで行い、素材や縫製、輸送や保管では取引先の工場や事業者と組んでいる会社です。

ファーストリテイリングが立っている工程の地図。原材料の供給、素材・縫製の取引先工場、輸配送・倉庫、店舗・Eコマースでの販売、お客様という商品の流れのうち、グループが自ら行う店舗・Eコマースでの販売と商品の企画・開発を濃い枠で示す。外側の枠組みとして為替・生産国の情勢・人権・消費動向があり、会社が有価証券報告書のリスクで挙げている 工程の地図(色の濃い枠=ファーストリテイリンググループが自ら行っていると有報に書かれている箇所) 商品の流れ(一般的な工程を簡単にしたもの) 原材料の 供給会社 (綿花・ダウンなど) 素材・縫製の 取引先工場 輸配送の事業者 倉庫の事業者 (取引先) [グループの事業] 店舗・Eコマース での販売 お客様 (個人など) 上の流れの手前で、グループが自ら行っていると有報に書かれている仕事 [グループの事業]商品の企画・開発 お客様の声を集めて分析し、商品開発に活かす(有報「対処すべき課題」) 外側の枠組み:為替・生産国や事業展開国の情勢・人権・原材料の調達・消費動向 会社が有価証券報告書の「事業等のリスク」で挙げているもの つながりが弱まる条件:生産国の情勢変化・原材料の調達難・サプライチェーンの人権問題など 会社自身が有価証券報告書で挙げているもの(この記事の5節) ※矢印は「製品や取引が流れる方向」を示す事実の関係です。業績や株価が連動する方向を示すものではありません。 ※濃い枠は有報で確認できる箇所で、各箇所での売上や利益の大きさを示すものではありません。
▲ 事業が使われる流れの中でのファーストリテイリンググループの位置(概念図)。流れの並びは一般的なしくみを簡単にしたもので、有報の言葉ではありません。濃い枠の内容は、有報の「事業の内容」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に出てくるものから選んだ例で、すべてではありません(2026-10-24確認)。白い枠は役割の一般名で、特定の会社を指すものではありません。※概念を示すイメージ図です。

この流れの中に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。売上収益のうち、国内ユニクロ事業・海外ユニクロ事業・ジーユー事業の3つは、「ユニクロ」「ジーユー」のブランドで衣料品を販売する事業で、合計は連結の売上収益の96.7%(当サイト計算。決算短信の売上収益の表から)にあたります。

このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報で挙げています。「カントリーリスク、国際情勢に関わるリスク」として、「商品生産国・地域または事業展開国・地域における、政治・経済情勢の変動、テロ・紛争等による治安状態の悪化や社会的混乱、法制度・租税制度の変更、地震や風水害等の大規模な自然災害や世界的規模の感染症の発生等により、当社グループの商品の生産、供給および販売体制および業績に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いています。原材料については、「災害・気候変動その他の理由により、当社グループ各事業で販売する商品に使用する原材料(綿花やカシミヤ、ダウンなど)の十分な調達が困難になり、また価格が高騰する可能性があります」と書き、人権については、サプライチェーン(原材料の調達から製造・輸送・販売までのつながり)に関して「労働環境・安全衛生の悪化や人権侵害行為」などが発生した場合に「当社の商品供給や販売体制に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いています(出典:有価証券報告書 第64期「事業等のリスク」、2026-10-24確認。会社の認識であり、この記事の見方ではありません。法的な評価はしていません)。

産業のつながりがあることと、株価が連動することは別です。同じ工程にいる会社でも、業績も株価も会社ごとに大きく異なります。ここでお伝えしているのは産業構造の事実であって、値動きの予想ではありません。為替・消費動向・各国の政策などの先行きについても、この記事は何も予想していません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。

3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事

各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。この年表は、有価証券報告書と適時開示だけで作っています(Wikipediaなどの二次情報は使っていません)。取引先・提携先・子会社の社名は、この記事では書いていません(出典には書かれています)。

年月出来事出典
1949年3月/1963年5月山口県宇部市に前身の「メンズショップ小郡商事」が開業。1963年5月、個人営業を引き継いで小郡商事株式会社を設立(有報の「沿革」の書き方による)有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
1984年6月広島市に「ユニクロ袋町店」を出店し、「ユニクロ」という店名でカジュアルウエア小売業に進出有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
1991年9月商号を小郡商事株式会社から株式会社ファーストリテイリングに変更有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
1994年7月/1997年4月/1999年2月1994年7月に広島証券取引所に上場。1997年4月に東京証券取引所市場第二部に上場。1999年2月に東京証券取引所市場第一部銘柄に指定有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2000年10月インターネット通信販売業務を開始有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2001年9月/2002年9月2001年9月に英国ロンドンで4店舗をオープンし、英国での営業を開始。2002年9月に中国上海市で2店舗をオープンし、中国での営業を開始有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2005年11月ユニクロ事業の再強化及び新規事業の拡大を目的として、持株会社体制に移行有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2006年3月低価格なカジュアル衣料品を販売する株式会社ジーユーを設立有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2006年11月ニューヨークに、ユニクロ初のグローバル旗艦店を出店有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2014年3月香港証券取引所メインボード市場にHDR(香港預託証券)を上場有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2022年4月東京証券取引所の新市場区分「プライム市場」に移行有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2023年3月1日普通株式1株につき3株の割合で株式分割(効力発生日。発行済株式総数は106,073,656株から318,220,968株へ)有価証券報告書 第64期「主要な経営指標等の推移」の注(2026-10-24確認)
2024年9月米国初のジーユー店舗をニューヨークに出店有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2025年10月ユニクロのグローバル旗艦店を出店(有報の「沿革」に書かれた最後の項目)有価証券報告書 第64期「沿革」(2026-10-24確認)
2025年11月28日有価証券報告書 第64期(2024年9月〜2025年8月)を提出EDINET 有価証券報告書 第64期(2026-10-24確認)
2026年10月8日2026年8月期の決算短信を公表。同じ日に、2026年8月期の期末配当予想を320円から530円へ、年間配当予想を640円から850円へ修正するお知らせを公表(修正前の予想は2026年7月9日に発表と、お知らせに記載)TDnet 適時開示:決算短信(ファーストリテイリング・2026-10-08)/TDnet 適時開示:配当予想の修正(同・2026-10-08)(2026-10-24確認)

HDR(香港預託証券)=海外の会社の株式を預かった金融機関が発行する、その株式の代わりに取引される証券です。株式分割=1株を複数の株に分けることで、会社の価値そのものを変えるものではありません。年表の行は、有報の沿革に書かれた出来事から主なものを選んだもので、すべてではありません。

4️⃣ 直近の決算の数字(決算短信と有報)

まず、決算短信(2026年8月期・2026年10月8日公表)の連結の数字です(IFRS)。期間は2025年9月1日〜2026年8月31日です。前期(2025年8月期、2024年9月1日〜2025年8月31日)の数字は、有報の数字と同じです。確認日は2026-10-24です。2026年8月期の数字は決算短信のもので、監査法人の監査の対象外です(2025年8月期の連結財務諸表は、有報に監査法人の監査報告書が付いています)。

指標(連結・IFRS)2026年8月期(決算短信)2025年8月期(有報)増減
売上収益3兆9,633億円3兆4,005億円+16.6%
売上総利益2兆1,885億円1兆8,288億円+19.7%(当サイト計算)
販売費及び一般管理費1兆4,700億円1兆2,777億円+15.1%(当サイト計算)
事業利益7,184億円5,511億円+30.4%
営業利益7,431億円5,642億円+31.7%
税引前利益8,025億円6,505億円+23.4%
当期利益5,841億円4,591億円+27.2%
親会社の所有者に帰属する当期利益5,425億円4,330億円+25.3%
基本的1株当たり当期利益1,768.08円1,411.44円—
親会社所有者帰属持分比率(期末)62.6%58.9%+3.7ポイント
親会社所有者帰属持分当期利益率(株主のお金に対する1年の利益の割合。ROE)21.2%20.2%—
株価収益率(有報の表・参考)—(決算短信に記載なし)33.0倍—
資産合計(期末)4兆5,494億円3兆8,593億円+6,901億円
棚卸資産(期末)6,172億円5,109億円+1,062億円(会社の文章)
営業活動によるキャッシュ・フロー7,885億円5,806億円+2,079億円(当サイト計算)
投資活動によるキャッシュ・フロー−3,168億円−5,789億円—
財務活動によるキャッシュ・フロー−4,290億円−3,391億円—
現金及び現金同等物(期末)1兆75億円8,932億円+1,143億円(会社の文章)
設備投資1,127億円1,719億円—
1株当たりの年間配当(決算短信の配当の状況)850円500円—
従業員数(連結・期末)—(決算短信に記載なし)59,522人—

出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」「連結財務諸表」「配当の状況」(2026-10-08公表)と、有価証券報告書 第64期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「連結財務諸表」(2025-11-28提出)、2026-10-24確認。億円は百万円単位の表の億円未満切り捨て。キャッシュ・フロー=お金の出入りで、営業活動は本業の稼ぎや運転資金、投資活動は設備や有価証券・定期預金などへの投資、財務活動は借入・返済や配当などによるものです。棚卸資産は、売るために持っている商品の在庫です。親会社所有者帰属持分比率は、資産合計のうち株主のお金(親会社の所有者に帰属する持分)の割合です。株価収益率(PER)は、有報の表にある、年度末(2025年8月末)の株価と1株当たり当期利益から会社が計算した倍率で、確認日時点の株価で計算した倍率ではありません。倍率の高い低いの評価はしません。1株当たりの数字と配当は、会社が開示している基準のままです(分割は2023年3月で、この表の期間にはありません)。決算短信の配当の状況は、期末530円・年間850円で、2026年10月8日の「配当予想の修正に関するお知らせ」で、前回予想(期末320円・年間640円。2026年7月9日発表と記載)から修正されたものです(第2四半期末は320円)。この配当の最終的な決議や支払いは、確認していません。2025年8月期の年間配当500円は、有報に「前期比100円の増配」と書かれています。

会社は、2026年8月期の業績を次のように説明しています。「当連結会計年度(2025年9月1日~2026年8月31日)の連結業績は、売上収益が3兆9,633億円(前期比16.6%増)、売上収益から売上原価と販管費を控除して算出する事業そのものの利益である事業利益が7,184億円(同30.4%増)と、大幅な増収増益、5期連続で過去最高の業績を達成しました。LifeWearの価値を伝える質の高い出店を継続したことに加え、戦略的に商品と売り場づくり、情報発信の連動を強化したことが奏功し、ユニクロ事業はすべての地域で増収増益を達成しました」。金融収益・費用については、「593億円のプラスとなりました。これは、利息がネットで522億円のプラスとなったことに加え、外貨建資産の換算などによる為替差益が71億円発生したことによります」と書かれています(出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」、2026-10-24確認)。事業ごとの会社の説明は、次のとおりです(売上収益・事業利益は前期比)。

ファーストリテイリングの連結売上収益と、親会社の所有者に帰属する当期利益の推移。2021年8月期から2025年8月期は有価証券報告書、2026年8月期は決算短信の数字(国際財務報告基準) 上:連結売上収益(IFRS・単位:億円・億円未満切り捨て) 21,329 23,011 27,665 31,038 34,005 39,633 下:親会社の所有者に帰属する当期利益(IFRS・単位:億円・億円未満切り捨て) 1,698 2,733 2,962 3,719 4,330 5,425 第60期 2021年8月期 第61期 2022年8月期 第62期 2023年8月期 第63期 2024年8月期 第64期 2025年8月期 第65期 2026年8月期 (有報) (決算短信) 上と下で縦の目盛りが違います。決算期は各年9月から翌年8月までです。 2021年8月期〜2025年8月期は有価証券報告書、2026年8月期(濃い色)は決算短信の数字です。 決算短信は監査法人の監査の対象外です。6期とも国際財務報告基準(IFRS)です。
▲ 有価証券報告書 第64期「主要な経営指標等の推移」(2021年8月期〜2025年8月期、百万円を億円に換算)と決算短信 2026年8月期(2026年8月期)の数値から作成(億円未満切り捨て、2026-10-24確認)。決算期は9月から翌年8月までで、「第64期」は2024年9月〜2025年8月です。6期とも国際財務報告基準(IFRS)です。濃い色の2026年8月期は決算短信の数字で、監査法人の監査の対象外です。※概念を示すイメージ図です。

6期の数字では、連結売上収益は2兆1,329億円(2021年8月期)から3兆9,633億円(2026年8月期)へ、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,698億円から5,425億円へと動きました。2025年8月期までの5期の連結営業利益は、有報の表で2,490億円、2,973億円、3,810億円、5,009億円、5,642億円と並んでいます(億円未満切り捨て)。会社は有報で、2025年8月期について「4期連続で過去最高の業績を達成」と書き、2026年8月期の決算短信では「5期連続で過去最高の業績を達成」と書いています。

営業利益などに含まれる本業以外の項目

営業利益と最終の利益のあいだには、「その他収益」「その他費用」「金融収益」「金融費用」「持分法による投資損益」「法人所得税費用」が入ります。会社は、営業取引から発生した為替差益を営業利益に入る「その他収益」に、営業取引以外から発生した為替差益を「金融収益」に、それぞれ計上しています。主な項目には、利益を増やす側と減らす側の両方があります。

主な項目(連結)2026年8月期2025年8月期利益への向き(2026年8月期)
為替差益(営業取引・その他収益)153億円59億円押し上げ(前期より大きい)
減損損失戻入益(その他収益)2億円32億円押し上げ(前期より小さい)
減損損失(その他費用)11億円38億円押し下げ(前期より小さい)
固定資産除却損(その他費用)12億円13億円押し下げ
受取利息(金融収益)672億円653億円押し上げ
為替差益(営業取引以外・金融収益)71億円338億円押し上げ(前期よりかなり小さい)
支払利息(金融費用)150億円128億円押し下げ
持分法による投資損益7億円(利益)17億円(利益)押し上げ(前期より小さい)
法人所得税費用2,183億円1,914億円費用(前期より大きい)
非支配持分に帰属する当期利益416億円261億円親会社の所有者に帰属する利益を減らす側(前期より大きい)

出典:決算短信 2026年8月期「連結損益計算書」「その他収益及びその他費用」「金融収益及び金融費用」「減損損失」(注記4〜6)(2026-10-08公表)、有価証券報告書 第64期「連結損益計算書」「財務諸表注記」(2025-11-28提出)、2026-10-24確認(百万円単位の表の億円未満切り捨て)。表の向きは、利益に対する向きです。減損損失(見込んでいた収益が得られなくなった資産の帳簿価額を、回収できる金額まで減らす処理)は、決算短信では主に店舗資産の収益性の低下等に伴うものと書かれています。減損損失戻入益は、市況の改善等に伴い店舗資産の収益性を見直した結果、以前の減損損失の一部を戻したものです。非支配持分は、子会社の株式のうち、ファーストリテイリング以外の株主が持つ部分です。こうした項目は期ごとに金額が違い、同じ項目が今後も同じ大きさで出るかどうかは、この記事で読んだ範囲の開示には書かれていないため、書きません。

会社の経営目標と、株主への還元の方針

会社は有報で、「2023年8月期を第4創業の始まりと位置づけ、売上収益10兆円をめざします。その中間目標として、2028年8月期を目途に売上収益5兆円の達成をめざし、事業基盤を強化していきます」と書いています(これらは会社の目標であり、この記事の予測ではありません)。重点課題としては、経営人材の育成、サステナビリティに寄与するビジネスモデルの追求、お客様のニーズに応えること、グローバルで収益の柱を多様化すること、グループブランドの拡大、インフレ時代に合わせた経費構造の改革の6つを挙げています。

配当については、有報の「配当政策」に「業績に応じた高配当を積極的に実施する方針です」「内部留保資金ならびにフリー・キャッシュ・フローにつきましては、グループ企業の事業基盤強化のための投融資に有効活用し、継続的かつ安定的な成長に努めていきます」と書かれています。2026年10月8日のお知らせでは、配当予想を修正する理由を「グローバルでの成長の柱が強固となったことで、事業の収益力とキャッシュ創出力は大きく向上しており、積極的な成長投資を実施しても、十分な資金を確保できると考えています」と説明し、「高成長を最優先としながら、株主の皆様への高還元を両立していく方針です」と書いています。決算短信の配当の状況では、連結の配当性向(利益のうち配当に回した割合)は、2025年8月期が35.4%、2026年8月期が48.1%です。決算短信には2027年8月期の連結業績予想と配当予想も載っていますが、この記事は会社の予想の数字を扱わないので、数字は書きません(原文は決算短信でご確認ください)。

5️⃣ 会社自身が挙げているリスク

以下は有報(第64期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。有報は、リスクを「方針」と「個別のリスク」に分けて書いています。ここでは個別のリスクのうち5つを紹介します。原文は有価証券報告書 第64期「事業等のリスク」でご確認ください。

出典:有価証券報告書 第64期「事業等のリスク」(2025-11-28提出、2026-10-24確認)。有報のリスクには、このほか、環境、情報セキュリティ(個人情報の流出やシステムの停止)、大規模災害、資源管理・原材料調達、取引先に起因するリスク(物流関連の法律への対応を含む)、知的財産、減損が並びます。有報は、リスクの項目のうち「顕在化している」旨の記載のないものについて、リスクの顕在化には至っていないと説明しています。これらは2025年11月時点の有報の記載で、2026年8月期の有報で記載が変わる可能性があります。

6️⃣ 上がる材料/下がる材料

ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。

📈 上がる可能性がある材料
利益の水準が前期より上がった。売上収益は3兆9,633億円(前期比+16.6%)、事業利益は7,184億円(同+30.4%)、営業利益は7,431億円(同+31.7%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,425億円(同+25.3%)。会社は「5期連続で過去最高の業績を達成しました」と書いている。ただし営業利益には、為替差益153億円などが含まれる。出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」「連結損益計算書」(2026-10-08公表・監査対象外)/確認日2026-10-24/効くと:1株当たり当期利益(1,411.44円から1,768.08円)や、配当の原資に関わる
海外ユニクロ事業が大きく伸びた。売上収益は2兆4,111億円(+26.2%)、事業利益は4,398億円(+44.1%)で、会社は「すべての地域で2桁の増収増益」と書いている。北米は売上収益+34.6%・事業利益679億円(前期比+53.3%)、欧州は売上収益+38.7%・事業利益917億円(同+69.0%)。(会社の説明の紹介で、各地域の先行きについてこの記事は何も予想していません)出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」(2026-10-08公表)/確認日2026-10-24/効くと:売上収益の60.8%を占める事業の動きが、グループ全体の売上と利益に響く
財務の体質を示す数字が改善した。親会社所有者帰属持分比率は58.9%から62.6%、営業活動によるキャッシュ・フローは5,806億円から7,885億円、現金及び現金同等物は8,932億円から1兆75億円になった。出典:決算短信 2026年8月期「連結財務諸表」「当期のキャッシュ・フローの状況」(2026-10-08公表)/確認日2026-10-24/効くと:投資や配当に回せるお金の余裕に関わる(会社は有報で、運転資金や不測の事態に備えて月商3〜5か月分の手許流動性(すぐに使える現金や預金など)の確保に努めると書いている)
配当の予想が引き上げられた。2026年8月期の年間配当は、決算短信の配当の状況で850円(前期の実績は500円)。このうち期末530円は、2026年10月8日の「配当予想の修正に関するお知らせ」で前回予想の320円から修正されたもの(年間では640円から850円)で、最終的な決議と支払いはこの記事では確認していない。連結の配当性向は35.4%から48.1%。会社は修正の理由として、「事業の収益力とキャッシュ創出力は大きく向上しており、積極的な成長投資を実施しても、十分な資金を確保できる」と説明している。出典:決算短信 2026年8月期「配当の状況」、2026年10月8日の「配当予想の修正に関するお知らせ」/確認日2026-10-24/効くと:1株当たりで受け取る配当の金額に関わる(配当は会社の決議で決まり、将来も同じとは限らない)
国内ユニクロ事業が増収増益、中国大陸の事業構造改革が進んだと会社は書いている。国内は売上収益+5.7%・事業利益+8.1%で、既存店売上高は+5.1%、会社は「過去最高の業績」と書いている。グレーターチャイナは売上収益7,240億円(+11.3%)、事業利益1,120億円(+24.6%)。出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」(2026-10-08公表)/確認日2026-10-24/効くと:日本(売上収益の27.4%)とグレーターチャイナ(18.3%)の動きが、グループ全体の売上と利益に響く
📉 下がる可能性がある材料
金融収益の中の為替差益が小さくなり、税引前利益の伸びが営業利益の伸びより小さかった。営業取引以外の為替差益は338億円から71億円に減り、金融収益・費用のプラス幅は863億円から593億円になった。営業利益は+31.7%、税引前利益は+23.4%。出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」「金融収益及び金融費用」、有価証券報告書 第64期「経営者による分析」(2025年11月28日提出)/確認日2026-10-24/効くと:為替の動きは金融損益を通じて利益に出る(会社は有報のリスクで、円の為替変動によって「金融損益が大きく変動する可能性」と書いている)
ジーユー事業とグローバルブランド事業に、課題が残ると会社が書いている。ジーユー事業は2026年6〜8月(第4四半期)に「販売に苦戦しました」「事業構造改革はまだ途上」、売上収益は+1.8%。グローバルブランド事業は売上収益−2.3%で、セオリー事業は「構造改革の過渡期」と書かれている。出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」(2026-10-08公表)/確認日2026-10-24/効くと:売上収益の合計11.7%(ジーユー8.5%・グローバルブランド3.2%、当サイト計算)を占める事業の動きが、グループ全体に響く
費用の金額が大きく増えている。販管費は1兆2,777億円から1兆4,700億円(+15.1%、当サイト計算)で、人件費は4,698億円から5,504億円(+17.1%、当サイト計算)、地代家賃は1,264億円から1,456億円(+15.1%、同)、物流費は1,441億円から1,689億円(+17.2%、同)。売上収益に対する販管費の比率は37.6%から37.1%(当サイト計算)。会社は課題の1つに「インフレ時代に合わせた経費構造の改革」を挙げている。出典:決算短信 2026年8月期「販売費及び一般管理費」(注記3)、有価証券報告書 第64期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-24/効くと:費用の増え方が売上の増え方を上回ると、利益率に響く(2026年8月期は売上収益+16.6%が、販管費+15.1%を上回った)
為替・調達・人権・消費動向など、外部環境の影響を会社自身がリスクとして挙げている。国内ユニクロ事業の上期の売上総利益率は、「調達に使用する為替予約レートが円安となり、原価率が上昇した」ことで前年同期比0.2ポイント低下と書かれている。有報は、2025年8月期の米国の第4四半期について「追加関税の影響が出始めた」としたうえで、「追加関税によるコスト増を吸収し、事業利益率も改善しました」と書いている(北米の記述)。出典:決算短信 2026年8月期「経営成績等の概況」、有価証券報告書 第64期「経営者による分析」「事業等のリスク」/確認日2026-10-24/効くと:為替レート・関税・調達コスト・生産国の情勢が動くと、原価や費用の金額が動く(会社は為替予約や生産拠点の分散で対応すると書いている)
在庫が増えている。棚卸資産は5,109億円から6,172億円(+1,062億円、+20.8%・当サイト計算)で、売上収益の伸び(+16.6%)より大きい。在庫が増えた理由は、決算短信の文章には書かれていない。会社は有報のリスクで、経営環境の変化により「商品の売上の減少や過剰在庫が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いている。出典:決算短信 2026年8月期「財政状態の概況」「連結財政状態計算書」、有価証券報告書 第64期「事業等のリスク」/確認日2026-10-24/効くと:売れ行きが想定を下回ると、在庫の増加が業績に響く可能性があると、会社は書いている(今回の在庫の増加がこれにあたるとは、決算短信には書かれていない)

以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

※ 材料の数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来の予測は行っていません。会社の目標・方針・認識として書いた内容は、会社がそう公表しているという事実の紹介で、この記事が実現を見込むものではありません。為替・関税・消費動向・各国の政策などの先行きについて、この記事は何も予想していません。2026年8月期の数字は決算短信のもので、監査法人の監査の対象外です。

7️⃣ これから何を見れば分かるか

決算短信(2026年8月期)には、定時株主総会の開催予定日が2026年11月26日、配当支払開始予定日が2026年11月6日、有価証券報告書の提出予定日が2026年11月27日と書かれています(予定であり、確認日時点で有報は未提出です)。次の決算(2027年8月期の第1四半期=2026年9〜11月)の発表日は、当サイトの決算予定データ earnings-calendar.json に載っておらず、一次情報でも確かめられていません。会社のIRサイト(投資家向けの情報を載せたページ)でご確認ください。決算短信には、2027年8月期の連結業績予想と配当予想が載っています。この記事は会社の予想の数字を扱わないので、数字は書きません。

有価証券報告書と半期報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説に、適時開示のしくみはこちらの解説にまとめています。

8️⃣ まとめ

結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①事業別・地域別の売上収益と事業利益(特に海外ユニクロ事業の各地域と、ジーユー事業・グローバルブランド事業の動き)、②売上総利益率と販管費の比率(為替予約レートや人件費などの影響)、③棚卸資産とキャッシュ・フロー(在庫の金額と、本業でお金を生み出す力)。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。

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