🔬 レゾナック・ホールディングス(4004)を数字で見る|半導体材料から化学品まで手がける会社を有価証券報告書・半期報告書で確認
「数字で見る、話題の企業」シリーズ第21回は、半導体をつくるときに使う材料から、自動車の部品、化学品までを手がけるレゾナック・ホールディングス株式会社(証券コード4004、以下「レゾナック」)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。会社が金融庁の開示システム(EDINET)に提出した有価証券報告書(上場会社が決算期ごとに金融庁へ出す、事業や決算をくわしく書いた報告書。以下「有報」。第117期・2025年1月〜12月)と、半期報告書(有報の半年版にあたる報告書。第118期の中間期・2026年1〜6月)、証券取引所を通じた適時開示をもとに、①事業の中身 ②材料が使われるまでの流れの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。
- 2025年12月期(第117期)の売上収益(売上高にあたる数字)は約1兆3,471億円(前期比−3.2%)、コア営業利益(会社が営業利益から、減損損失や事業の売却損益などを除いて示す指標)は約1,091億円(同+18.4%)、営業利益は約467億円(同−47.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は約290億円(同−60.5%)でした(国際会計基準IFRS・連結=グループ全体の数字)。会社は営業利益の減益について、前期にあった固定資産の売却益と、「複数事業譲渡の意思決定に伴う減損損失の計上等」を挙げています
- 半期報告書(2026年1〜6月)では、売上収益が約6,769億円(前年同期比+5.4%)、コア営業利益が約888億円(同+156.5%)、親会社の所有者に帰属する中間利益が約485億円(同+146.5%)でした。半導体・電子材料の事業が売上収益の44.2%を占めます(当サイトの計算)
- 2026年10月1日に、石油化学事業を営む子会社の「パーシャル・スピンオフ」(子会社の株式の大部分を、親会社の株主に配当として分配する方法)が実行され、その子会社は連結の対象から外れました。この事業は2025年12月期の売上収益の22.3%を占めていました。会社は連結業績への影響額を「精査中」と開示しています。この記事は、2026年7〜9月期の決算は扱っていません。「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-16時点)は、レゾナックの登場を2026年10月2日(値上がり・出来高急増)・10月5日(出来高急増)・10月6日(出来高急増)・10月13日(値下がり)の4回と数えています。最後に登場した日から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)と、有報の本文が取得できていることを満たす候補のうち、候補データの並びで先頭の1社は当サイトのニュース記事と14日以内に重なるため見送り、次の1社は本シリーズで前日(10月18日)に取り上げたため見送り、その次の1社であるレゾナックを選びました(時価総額の金額や順位は本文に書きません)。当サイトのニュース記事・解説記事に、この会社が主役の記事はなく、社名や証券コードが出てくる記事も見当たりません(
ls guide-*.html と guides.html、ニュース記事の台帳を社名・証券コードで確認)。ランキングに登場した理由(なぜ値上がり・値下がり・出来高の増加があったか)は、一次情報で確かめられないため書きません。1️⃣ レゾナックはどんな会社か
レゾナックは、有報の「沿革」によると、1939年に日本電気工業と昭和肥料が合併して発足した会社で(当時は昭和電工)、2023年1月に持株会社体制へ移行して現在の商号になりました。本店は東京都港区にあります。12月決算で、有報は、会社が持株会社として「当社グループの戦略立案及びグループ全体の統括管理を行っております」と書いています。グループは会社本体と関係会社134社でできていて、連結の従業員数は21,525人(2025年12月31日現在・前期末は23,936人)です。会社は自社の目指す姿を「世界トップクラスの機能性化学メーカー」と書いています(出典:有価証券報告書 第117期「沿革」「事業の内容」「主要な経営指標等の推移」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-19確認))。
有報は事業の区分(セグメント)を5つに分け、それ以外を「その他」にしています。主な製品は有報に次のように書かれています(括弧内の補足は一般的な説明で、有報の言葉ではありません)。
| セグメント | 主な製品(有報の記載) | 売上収益(構成比) | 前期比 | コア営業利益 |
|---|---|---|---|---|
| 半導体・電子材料 | 半導体前工程材料(電子材料用高純度ガス、CMPスラリー)/半導体後工程材料(エポキシ封止材、ダイボンディング材料、銅張積層板、感光性フィルム、感光性ソルダーレジスト)/デバイスソリューション(HDメディア、SiCエピタキシャルウェハー) | 約5,063億円(37.6%) | +13.7% | 約1,084億円 |
| モビリティ | 樹脂成形品、摩擦材、粉末冶金製品、アルミ機能部材 | 約1,784億円(13.2%) | −10.9% | 約44億円 |
| イノベーション材料 | 樹脂材料、機能性化学品(合成樹脂エマルジョン、不飽和ポリエステル樹脂)、コーティング材料、セラミックス(アルミナ、研削研磨材、ファインセラミックス) | 約922億円(6.8%) | −4.9% | 約104億円 |
| ケミカル | 化学品(基礎化学品、産業ガス)、グラファイト(黒鉛電極、カーボン負極材) | 約1,744億円(12.9%) | −14.0% | −約55億円 |
| 石油化学 | オレフィン、有機化学品、合成樹脂 | 約3,003億円(22.3%) | −8.9% | 約47億円 |
| その他 | 報告セグメントに含まれない製造・販売等の事業 | 約955億円(7.1%) | −18.1% | 約44億円 |
出典:有価証券報告書 第117期 連結財務諸表注記「セグメント情報」・「経営者による分析」(2026-10-19確認)。売上収益は外部の顧客への売上収益。構成比は連結の売上収益 1,347,125百万円に対する割合を当サイトが計算したもの(四捨五入のため、足し合わせても100にならないことがあります)。前期比は有報の記載。コア営業利益は、各セグメントの数字を足し、本社の共通費用など「調整額」約−176億円を引くと、全体の約1,091億円になります。石油化学は、2025年1月1日付で石油化学事業を子会社が承継したことに伴い、第117期から独立したセグメントになりました(有報の記載)。半導体前工程材料=半導体チップをつくる工程で使う材料です。CMPスラリーは、ウェハー(半導体の土台になる薄い円い板)の表面を平らに磨く研磨材です。半導体後工程材料=つくったチップを切り分けて、樹脂で包んだり、基板に載せたりする工程で使う材料です。HDメディア=ハードディスクの、データを記録する円盤です。SiCエピタキシャルウェハー=炭化ケイ素(SiC)の結晶を薄く積んだウェハーで、電力を制御するパワー半導体の土台になります。黒鉛電極=電気炉で鉄スクラップなどを溶かすとき、電気を流すのに使う炭素製の電極です。負極材=リチウムイオン電池の部材の一つです。オレフィン=石油化学の基本となる原料(エチレンなど)の総称です。
顧客の所在地ごとに前期と比べると、日本は約6,155億円から約5,847億円(−5.0%)、アジア(中国を除く)は約3,318億円から約3,810億円(+14.8%)、中国は約2,096億円から約1,940億円(−7.4%)、その他の地域は約2,346億円から約1,873億円(−20.2%)でした(増減の率は当サイトの計算)。有報は、日本と中国を除いて「外部顧客への売上収益が重要な単一の国及び地域はありません」と書いています。主な顧客については、「外部顧客への売上収益の10%以上を占める顧客はありません」と書かれています(出典:同有報「セグメント情報」の「地域別に関する情報」「主要な顧客に関する情報」)。
半期報告書の2026年1〜6月では、顧客の所在地ごとの売上収益は、日本が約2,846億円(42.0%)、アジア(中国を除く)が約2,068億円(30.6%)、中国が約1,072億円(15.8%)、その他の地域が約783億円(11.6%)でした(当サイトの計算。出典:半期報告書 第118期中 要約中間連結財務諸表注記「売上収益」(2026-10-19確認))。
2️⃣ 材料が使われるまでの流れの中のどこにいるか
次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、レゾナックの材料が、使われるまでの流れのどこに立っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。レゾナックは、半導体の製造に使う材料や、自動車・産業向けの部材、化学品などを自社でつくって売る会社で、最終製品そのものをつくる会社ではありません。材料は、半導体メーカーや部品メーカーなどが、それぞれの製品に組み込んで使います。
レゾナックがこの流れの「材料をつくって売る」位置に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。売上収益のうち、半導体・電子材料が37.6%(2025年12月期)、2026年1〜6月では44.2%でした(当サイトの計算)。有報の「研究開発活動」には、半導体の後工程について、AI半導体をはじめとした高性能デバイス向けに「パッケージ基板用積層材料(MCL)の供給確保、絶縁接着フィルム(NCF)及び放熱シート(TIM)の生産能力を増強し」と書かれています。また、材料・装置・設計の企業27社による新しい共創型の評価プラットフォームを設立し、2026年中の稼働開始に向けて準備していることも書かれています(出典:有価証券報告書 第117期「研究開発活動」「設備投資等の概要」(2026-10-19確認))。
- 支える側とのつながり:有報のリスクの項では、地政学リスク等による「原材料・エネルギー・物流コストの高騰、サプライチェーンの寸断などの可能性があります」と書かれています。黒鉛電極と並ぶグラファイト事業の負極材については、主な原料の調達先は中国で、「中国の輸出規制強化等によりサプライチェーンが影響を受ける可能性があります」とも書かれています(出典:同有報「事業等のリスク」)。
- 売り先とのつながり:半導体・電子材料の製品は、「モバイル機器、データセンタ、パワーモジュール、ITインフラストラクチャ、電気自動車や先進運転支援システム搭載車など」に使用されると、有報のリスクの項に書かれています(出典:同有報「事業等のリスク」)。
- 前後の工程にいる会社の種類:前(支える側)には、高純度ガスや金属・樹脂などの原料を供給する会社、材料や半導体の製造に使う装置をつくる会社、共同で評価や研究を行う会社があります。後ろ(売り先)には、半導体チップや基板をつくる会社、ハードディスク装置やパワー半導体をつくる会社、自動車部品・産業機器の会社と、その先に自動車メーカーや機器メーカー、データセンターを運営する会社などがいます。黒鉛電極は電気炉を使う鉄鋼の会社などに、石油化学の製品は樹脂・化学品をつくる会社などに使われます(ここは一般的な説明で、有報の言葉ではありません)。
このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報で挙げています。会社は、半導体・電子材料について「世界のマクロ経済や業界動向等に基づく最終製品需要の変化により、その需要は大きく影響を受けます」と書き、これらの市場は「急激な技術変化や製品の陳腐化による価格低下などの影響を受ける国際的競争が厳しい事業です」とも書いています。モビリティについては、「EVシフトによる内燃機関車市場の縮小により、既存事業の収益性が低下するリスクもあります」としています(出典:同有報「事業等のリスク」、2026-10-19確認)。
3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事
各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。この年表は、有価証券報告書、半期報告書、適時開示だけで作っています(Wikipediaなどの二次情報は使っていません)。譲渡先や買収先の社名は有報などには書かれていますが、この記事では書いていません(会社自身の合併・統合の経緯を除きます)。
| 年月 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 1908年12月 | 創業者が沃度(ヨウ素)の製造販売を目的として、総房水産株式会社(後の日本沃度株式会社の母体)を設立 | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 1939年6月 | 日本電気工業株式会社と昭和肥料株式会社が合併し、昭和電工株式会社が設立された(有報は、日本電気工業の発祥は1908年に遡り、昭和肥料は化学肥料の製造販売を目的に設立された会社と説明している) | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 1949年5月 | 東京証券取引所等に上場 | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 1962年10月 | 日立化成工業株式会社が設立された(後の日立化成株式会社。有報の沿革の表記) | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 1969年4月 | 大分石油化学コンビナートが営業運転を開始 | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 1988年7月・2017年10月 | 海外の黒鉛電極事業を、それぞれ買収(買収先の社名は有報に記載あり) | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 2003年1月・2009年7月 | ハードディスク事業を、他社のグループ(2003年1月)と別の会社(2009年7月)から、それぞれ買収(社名は有報に記載あり) | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 2016年9月 | 合成樹脂ポリプロピレンの事業会社を連結子会社にした(社名は有報に記載あり) | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 2020年4月 | 日立化成株式会社を買収(後の昭和電工マテリアルズ株式会社。有報の沿革の表記) | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 2022年4月 | 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、市場第一部からプライム市場に移行 | 有価証券報告書 第117期「沿革」(2026-10-19確認) |
| 2023年1月 | 持株会社体制に移行し、商号を株式会社レゾナック・ホールディングスに変更。連結子会社の昭和電工マテリアルズ株式会社は商号を株式会社レゾナックに変更し、当社の全事業を承継した(有報は、2023年に旧昭和電工と旧日立化成〈旧昭和電工マテリアルズ〉が統合したと説明している) | 有価証券報告書 第117期「沿革」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-19確認) |
| 2025年1月 | 石油化学事業を、子会社(2024年8月設立)が承継した。第117期から、石油化学が独立したセグメントになった | 有価証券報告書 第117期「沿革」・連結財務諸表注記「セグメント情報」(2026-10-19確認) |
| 2025年6月〜12月 | 事業の譲渡が続いた。6月27日に中国の自動車部品の子会社の資産譲渡契約を結び、設備を6月30日に譲渡(土地使用権と建屋は後日の予定)。6月30日に海外の子会社の株式譲渡契約を結び、9月4日に譲渡実行。8月1日に欧州の自動車用・産業用鉛蓄電池事業を営む子会社の株式譲渡契約を結び、12月1日に譲渡実行。9月24日に日本とタイの自動車成形部材事業を譲渡する契約を結んだ(譲渡先の社名は有報に記載あり) | 有価証券報告書 第117期「重要な契約等」(2026-10-19確認) |
| 2026年3月25日 | 有価証券報告書 第117期を提出。同日付の連結財務諸表の承認も有報に記載されている。なお、2026年1月1日付で国内の連結子会社(有報は株式会社レゾナックと記載)が退職金制度を改定し、確定給付企業年金制度から確定拠出年金制度に移行した(有報は、第1四半期にその他の費用として約95億円を計上する見込みと書いている) | EDINET 有価証券報告書 第117期(連結財務諸表注記「重要な後発事象」、2026-10-19確認) |
| 2026年4月1日 | 日本およびタイにおける自動車成形部材事業の譲渡を実行(半期報告書は、この事業を営む2社を連結子会社から除外したと書いている) | 半期報告書 第118期中「事業の内容」「主要な設備」(2026-10-19確認) |
| 2026年7月6日 | 経営会議で、石油化学事業の子会社のパーシャル・スピンオフを実行する方針を決め、8月下旬の取締役会に付議することにした | 半期報告書 第118期中 要約中間連結財務諸表注記「重要な後発事象」(2026-10-19確認) |
| 2026年8月7日 | 半期報告書 第118期中を提出(期中レビュー報告書の「強調事項」に、スピンオフの方針決定が記載されている。強調事項=監査人の結論には影響しないが、利用者の注意を促すために記載する事項) | EDINET 半期報告書 第118期中(2026-10-19確認) |
| 2026年8月25日 | 取締役会で、石油化学事業の子会社のパーシャル・スピンオフを2026年10月1日付で実行することを決議(9月17日付の会社の適時開示が、この決議を引いている) | TDnet 適時開示(2026-09-17 15:30)(2026-10-19確認) |
| 2026年9月29日 | 石油化学事業の子会社の株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場。この日が会社の株式の権利落ち日(スピンオフの分配を受ける権利がなくなる日)。9月30日が現物配当の基準日、10月1日が効力発生日・分配実行日と開示された | TDnet 適時開示(2026-09-29 08:00)(2026-10-19確認) |
| 2026年10月1日 | スピンオフの現物配当の効力が発生し、実行が完了。会社が持つ子会社株式の持分比率は18.57%になり、その子会社は連結子会社ではなくなり、持分法適用対象外にもなった。連結業績に与える影響額は「現在精査中」と開示されている | TDnet 適時開示(2026-10-01 15:30)(2026-10-19確認) |
| 2026年10月6日 | 2028年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の転換価額が、スピンオフの実行に伴い、調整前4,510.9円から調整後4,444.1円になったと開示 | TDnet 適時開示(2026-10-06 15:30)(2026-10-19確認) |
吸収分割・承継=会社の事業の一部を、別の会社に引き継ぐことです。株式譲渡=子会社などの株式を他社に売って、その会社を手放すことです。転換社債型新株予約権付社債=あらかじめ決めた価格(転換価額)で、会社の株式に換えられる社債です。現物配当=お金ではなく、株式などの財産で行う配当です。持分法適用対象外=出資先の損益を、自社の連結の数字に取り込む対象から外れることです。
4️⃣ 直近の決算の数字(有報 第117期と半期報告書)
まず、有報 第117期(2025年1月1日〜2025年12月31日、2026年3月25日提出)の連結の数字です(IFRS)。有報の財務諸表(決算書)は、会社の外の監査法人による監査(決算の数字が正しいかを確かめること)を受けています。確認日は2026-10-19です。
| 指標(連結・IFRS) | 第117期(2025/1〜12) | 第116期(前期・2024/1〜12) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 約1兆3,471億円 | 約1兆3,915億円 | −3.2% |
| コア営業利益 | 約1,091億円 | 約921億円 | +18.4% |
| 営業利益 | 約467億円 | 約890億円 | −47.6% |
| 持分法による投資利益 | 約93億円 | 約68億円 | — |
| 税引前当期利益 | 約450億円 | 約846億円 | — |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 約290億円 | 約735億円 | −60.5% |
| 基本的1株当たり当期利益 | 160.49円 | 406.61円 | — |
| 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) | 4.3% | 12.0% | — |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 約1,303億円 | 約1,637億円 | 約−334億円 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | −約871億円 | −約523億円 | — |
| フリー・キャッシュ・フロー | 約432億円 | 約1,113億円 | 約−682億円 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | −約699億円 | −約205億円 | — |
| 現金及び現金同等物(期末) | 約2,620億円 | 約2,947億円 | 約−327億円 |
| 資産合計(期末) | 約2兆1,067億円 | 約2兆1,726億円 | 約−659億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率(期末) | 33.2% | 30.6% | +2.6ポイント |
| 社債及び借入金(流動と非流動の合計・期末) | 約9,466億円 | 約9,963億円 | 約−496億円 |
| 減損損失 | 約510億円 | 約244億円 | — |
| 研究開発費 | 約465億円 | 約448億円 | — |
| 1株当たり配当額(提出会社=レゾナック単体の数字) | 65円(中間配当は無配・期末配当のみ) | 65円 | — |
出典:有価証券報告書 第117期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「配当政策」・連結財政状態計算書・連結財務諸表注記(2026-03-25提出)。億円の数字は有報の百万円から当サイトが計算したもの(億円未満四捨五入)。売上収益・コア営業利益・営業利益・親会社の所有者に帰属する当期利益の増減の率と、各キャッシュ・フロー、現金及び現金同等物は、有報の「経営者による分析」の記載。増減の欄の億円の数字は、有報に書かれた差額(営業活動によるキャッシュ・フローが−333億67百万円、フリー・キャッシュ・フローが−681億84百万円、現金及び現金同等物が−326億85百万円)や、百万円の差額を、当サイトが億円に直したものです。社債及び借入金は、連結財政状態計算書の流動負債(169,611百万円)と非流動負債(777,010百万円)の合計です。フリー・キャッシュ・フロー=有報の数字では、営業活動と投資活動のキャッシュ・フローの合計です。キャッシュ・フロー=実際のお金の出入りです。税引前当期利益=営業利益に金融収益・金融費用などを足し引きして、税金を払う前の利益を出したものです。持分法による投資利益=出資している会社の利益のうち、持ち分に応じた額を取り込んだものです。ROE=株主のお金に対して1年でどれだけ利益を出したかの割合です。親会社所有者帰属持分比率=総資産のうち、親会社の株主のお金が占める割合(日本基準の「自己資本比率」にあたるもの)です。現金及び現金同等物=現金と、すぐに現金に換えられる短期の預金などです。流動・非流動=返済期限が1年以内のものを流動、それより先のものを非流動と呼びます。1株当たり配当額65円は、2026年3月26日開催予定の定時株主総会で決議する予定と有報に書かれていた金額で、配当金の総額は118億円(11,791百万円)です。決議の結果は、半期報告書の「剰余金の配当」で確認でき、同じ65円・効力発生日2026年3月27日でした。
3期の数字では、売上収益は約1兆2,954億円(第115期)、約1兆3,915億円、約1兆3,471億円(第117期)と動きました。親会社の所有者に帰属する当期利益(損失)は、−約65億円、約735億円、約290億円です。営業活動によるキャッシュ・フローは、約1,187億円、約1,637億円、約1,303億円でした(出典:同有報「主要な経営指標等の推移」)。2023年より前の期は、有報では日本基準の数字で載っていて、会計基準が違うため、この記事では並べていません。
2026年1〜6月(半期報告書)の数字
次に、半期報告書 第118期中(2026年1月1日〜2026年6月30日、2026年8月7日提出)の連結の数字です。半期報告書の財務諸表(要約中間連結財務諸表)は、会社の外の監査法人による期中レビュー(決算の数字がおかしくないかを確かめる、監査より簡易な手続き)を受けていて、2026年8月7日付のレビュー報告書は、財務諸表が適正に表示されていないと信じさせる事項は認められなかったという結論です。
| 指標(連結・IFRS) | 2026年1〜6月 | 2025年1〜6月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 約6,769億円 | 約6,421億円 | +5.4% |
| コア営業利益 | 約888億円 | 約346億円 | +156.5% |
| 営業利益 | 約733億円 | 約326億円 | +124.8% |
| 税引前中間利益 | 約728億円 | 約304億円 | — |
| 親会社の所有者に帰属する中間利益 | 約485億円 | 約197億円 | +146.5% |
| 基本的1株当たり中間利益 | 267.15円 | 108.71円 | — |
| 希薄化後1株当たり中間利益 | 240.25円 | 108.71円 | — |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 約844億円 | 約346億円 | 約+498億円 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 約274億円 | −約133億円 | 約+407億円 |
| 現金及び現金同等物(中間期末) | 約3,271億円 | 約2,080億円 | — |
出典:半期報告書 第118期中「主要な経営指標等の推移」「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(2026-08-07提出、2026-10-19確認)。億円の数字は半期報告書の百万円から当サイトが計算したもの(億円未満四捨五入)。売上収益・コア営業利益・営業利益・親会社の所有者に帰属する中間利益の増減の率は半期報告書の記載。希薄化後1株当たり中間利益=転換社債型新株予約権付社債が、すべて株式に換わったと仮定して株数を増やして計算した1株当たりの利益です。半期報告書は、希薄化後の計算で2028年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の分として21,888,027株を普通株式増加数に加えています。
会社は半期報告書で、2026年1〜6月の売上収益について、モビリティと石油化学の2つのセグメントは減収、半導体・電子材料(「先端半導体用途を中心に好調が続く」と説明)、イノベーション材料、ケミカルの3つのセグメントは増収で、全体として増収になったと説明しています。コア営業利益は全てのセグメントで増益でした。営業利益については、「退職給付制度の改定に伴う損失計上など非経常的な要因により発生した損失が増加したものの、コア営業利益の増加がこれを上回り、増益となる」と書いています。
| セグメント | 売上収益(2026年1〜6月) | 前年同期比 | コア営業利益(2026年1〜6月) | コア営業利益(2025年1〜6月) |
|---|---|---|---|---|
| 半導体・電子材料 | 約2,990億円 | +29.6% | 約815億円 | 約425億円 |
| モビリティ | 約846億円 | −5.6% | 約43億円 | 約13億円 |
| イノベーション材料 | 約500億円 | +11.3% | 約63億円 | 約49億円 |
| ケミカル | 約918億円 | +17.0% | −約6億円 | −約82億円 |
| 石油化学 | 約1,301億円 | −13.2% | 約38億円 | −約8億円 |
| その他 | 約214億円 | — | 約33億円 | 約21億円 |
| 全体(調整額を含む) | 約6,769億円 | +5.4% | 約888億円 | 約346億円 |
出典:半期報告書 第118期中「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」・要約中間連結財務諸表注記「セグメント情報」(2026-10-19確認)。億円の数字は当サイトが計算(億円未満四捨五入)。「その他」の売上収益は、前年同期は約485億円で、自動車成形部材事業の子会社を連結から除外したことなどで事業の範囲が変わっています(除外の事実は半期報告書「事業の内容」の記載。「その他」の減少の理由は、この記事で読んだ範囲の開示には書かれていません)。全体のコア営業利益は、各セグメントとその他の合計から、本社の共通費用など調整額(約−98億円)を引いたものです。
営業利益より下と、営業利益の中にある「本業以外」の項目
営業利益には、コア営業利益に入らない項目が入ります。2025年12月期は、コア営業利益 約1,091億円から、減損損失 約510億円を引き、その他の収益 約176億円を足し、その他の費用 約290億円を引いた結果が、営業利益 約467億円です(有報の「セグメント情報」の調整表)。減損損失(工場の設備や買収で得た資産などが、帳簿に載せている金額ほどの価値を生まないと判断したときに、帳簿の金額を減らして計上する損失)は前期の約244億円から約510億円に増えました。有報の注記によると、主なものは、モビリティの樹脂成形品の製造設備などの約208億円(のれん〈会社を買収したときに、買収の金額が、相手の会社の資産から負債を引いた金額を上回った分の差額〉約121億円を含む)と、電気機械器具の製造販売の約204億円です。どちらも、売却対象の事業について、「売却予定価額が帳簿価額を下回ったため、帳簿価額を回収可能価額まで減額し」たものと説明されています。会社は営業利益の減益の理由として、「旧本社土地建物の固定資産売却益があった前期に対し」と、「複数事業譲渡の意思決定に伴う減損損失の計上等により」を挙げています。
その他の収益は約176億円(前期 約387億円)で、固定資産売却益は約6億円(前期 約289億円)、事業再編等利益は約66億円(前期 約7億円。当期は二次電池外装材・食品包装材事業の譲渡利益等)でした。その他の費用は約290億円(前期 約178億円)で、固定資産除売却損 約51億円、事業再編等損失 約42億円(海外の電池関連の子会社の株式譲渡に伴う損失等)、特別退職金 約29億円(黒鉛電極事業の再編に伴う退職加算金等)、事業構造改善費用 約24億円(主に黒鉛電極事業の構造改善に係る費用)、その他 約144億円などです。2026年1〜6月も同じように、その他の収益は約44億円(前年同期 約100億円)、その他の費用は約190億円(同 約119億円)で、その他の費用には、退職給付制度改定損 約95億円(国内の一部の子会社が、確定給付企業年金制度から確定拠出年金制度に移行したことに伴う費用)、固定資産除売却損 約31億円、事業再編等損失 約15億円、特別退職金 約11億円が含まれます(出典:同有報「セグメント情報」「その他の収益及びその他の費用」「主要な減損損失」、半期報告書「その他の収益及びその他の費用」)。
こうした項目には、営業利益を押し上げる側(固定資産売却益、事業再編等利益など)と、押し下げる側(減損損失、事業再編等損失、退職給付制度改定損など)の両方があり、年や期ごとに入る項目も金額も違います。同じ項目が今後も出るかどうかは、この記事で読んだ範囲の開示には書かれていないため、書きません。
お金の出入りと財政状態
2025年12月期の営業活動によるキャッシュ・フローは約1,303億円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは約871億円の支出で、会社は投資活動の支出が増えた理由を「有形固定資産の取得による支出の増加等」と書いています。財務活動は約699億円の支出で、現金及び現金同等物の期末残高は約2,620億円でした。資金の流動性について、会社は600億円のコミットメント・ライン(金融機関とあらかじめ契約して、限度額まで必要なときに借りられる枠)を確保していると書いています。社債及び借入金は、2025年12月末の約9,466億円から、2026年6月末には約9,349億円(流動 約2,637億円・非流動 約6,712億円)になりました。半期報告書は、財政状態について、「有利子負債残高は減少したものの、仕入債務が増加したこと等により」負債合計が増えたと説明しています。資産合計は約2兆2,160億円、親会社所有者帰属持分比率は35.6%(2025年12月末は33.2%)で、会社は、転換社債型新株予約権付社債の転換に伴う資本金・資本剰余金の増加などで資本合計が増えたと書いています(出典:同有報・半期報告書「経営者による分析」「財政状態の概況」・連結財政状態計算書)。
のれんは、2025年12月末で約2,755億円(連結財務諸表注記「無形資産」の数字。総資産に対する割合13.1%は当サイトの計算)です。有報は、重要な無形資産は、株式会社レゾナック(旧会社名 昭和電工マテリアルズ)の子会社化により認識されたのれんと顧客関連無形資産等と書いています。2025年12月期にはのれんの減損損失が約121億円ありました。2028年満期のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債は、2026年1〜6月に帳簿価額約368億円が株式に転換され、発行済株式総数は184,901,292株から191,019,801株に増えました(半期報告書。株式の増加は6,118,509株)。半期報告書は、基本的1株当たり中間利益と希薄化後の数字(上の表)の違いを、この転換社債によるものとして計算しています。
研究開発と設備投資、会社の目標
2025年12月期の研究開発費は約465億円(売上収益の3.4%・当サイトの計算)で、前期の約448億円より増えました。設備投資は約1,129億円(使用権資産を含む)で、このうち半導体・電子材料が約641億円です。有報は、半導体前工程材料のCMPスラリー、後工程材料のダイボンディング材料、半導体パッケージ基板用銅張積層板の生産能力増強を実施したと書いています。契約はしているが、まだ発生していない有形固定資産と無形資産の取得も約736億円あります(出典:同有報「設備投資等の概要」「研究開発活動」・連結財務諸表注記「コミットメント及び偶発事象」)。
| 会社が示している長期数値目標 | 2025年実績 | 目標 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1.35兆円 | 1兆円超 |
| EBITDAマージン | 15.1% | 20% |
| ROIC | 6.2% | 10% |
| ネットD/Eレシオ | 0.83倍 | 1.0倍以下 |
出典:有価証券報告書 第117期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「経営者による分析」(2026-10-19確認)。目標は会社の方針で、当サイトの予測ではありません。会社は、目標数値の達成により、TSR(株主総利回り)は中長期的に化学業界で上位25%の水準をめざすと書いています。EBITDAマージン=有報の算定式は「(コア営業利益+減価償却費及び償却費)÷売上収益」です。ROIC=投下した資金に対して、どれだけ利益を出したかを見る指標で、有報の算定式は、(コア営業利益 ± 持分法投資損益 − 法人所得税費用)÷(有利子負債 + 資本合計)です(記号は読みやすく書き換えています)。ネットD/Eレシオ=有利子負債から現金などを引いた額が、株主のお金の何倍かを見る指標です(有報の算定式では、劣後ローンの50%を資本として扱います)。TSR=株価の値上がりと配当を合わせた、株主にとっての総合的な収益率です。
石油化学のスピンオフと、この記事の数字の範囲
パーシャル・スピンオフは、子会社の株式の一部を親会社が持ち続けながら、大部分を親会社の株主に配当として分配して、子会社を独立した上場会社にする方法です。会社の開示によると、2026年10月1日の現物配当で、会社が持つ石油化学事業の子会社の株式の80%超が会社の株主に分配され、会社の持分比率は18.57%になりました。配当財産の帳簿価額(日本の会計基準に基づく単体の数字)は約380億円(37,989,829,147円、1株当たり199.02円)で、会社は、この1株当たり価額は会計上の帳簿価額に基づく金額で、子会社の株式の「実際の取引値段・株式価値を示唆するものではありません」と断っています。税務上の分配資産割合(分配後の税務上の取得価額を計算するための係数)は「0.085」と確定しました。
この記事の売上収益や利益の数字(2025年12月期と2026年1〜6月)には、石油化学の事業が含まれています。半期報告書は、2026年12月期第3四半期の連結の決算から、石油化学のセグメントを「非継続事業」(IFRSで、売却や分離が決まった事業を別枠で表示する区分)に分類し、継続事業と区分して損益を表示する、と書いています。連結業績に与える影響額は、2026年10月1日の適時開示の時点で「精査中」とされています。そのため、次の決算書では、この記事の数字と範囲がそろっていない表示になる可能性があります。
5️⃣ 会社自身が挙げているリスク
以下は有価証券報告書(第117期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社は、リスクを「外部環境リスク」「オペレーショナルリスク」「ハザードリスク」に区分して管理していると書いています。ここではそのうち5つを紹介します。原文はEDINET掲載の有価証券報告書でご確認ください。
- ①半導体・電子材料の需要と競争:「世界のマクロ経済や業界動向等に基づく最終製品需要の変化により、その需要は大きく影響を受けます」と書き、これらの市場は「急激な技術変化や製品の陳腐化による価格低下などの影響を受ける国際的競争が厳しい事業です」としています。地政学リスク等による「原材料・エネルギー・物流コストの高騰、サプライチェーンの寸断などの可能性があります」とも書いています。
- ②モビリティ(自動車向け):自動車の電動化などに向けた商品開発が求められる中で、競合他社や新規参入者との競争環境が「激化しており」、新しい技術・製品により既存事業が陳腐化して市場競争力を失い、販売価格が下落することがあると書いています。「EVシフトによる内燃機関車市場の縮小により、既存事業の収益性が低下するリスクもあります」ともしています。
- ③グラファイト事業(黒鉛電極と負極材):黒鉛電極について、「黒鉛電極の需要が急激に減少した場合には、需給バランスの悪化により、販売価格と原材料調達価格との間に十分なスプレッドを確保できず」、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があると書いています。負極材は、「EVやハイブリッド車の成長鈍化による影響を受ける可能性があります」とし、主な原料の調達先が中国であることから、「中国の輸出規制強化等によりサプライチェーンが影響を受ける可能性があります」としています。
- ④企業買収、資本提携及び事業再編:事業領域の拡大や収益性向上を目的に企業買収や事業再編を実施していて、「当初期待していた成果が得られない場合には、のれん及び無形資産の減損等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります」と書いています。不採算事業からの撤退や関係会社の整理などを行った場合も、経営成績や財務状況が影響を受ける可能性があるとしています。
- ⑤為替相場と金融市場の動向:「米ドルをはじめとする他の通貨に対する急激な円高は、国内から海外市場に輸出される製品の価格競争力を弱め、一方、円安は、海外から輸入する原材料価格を上昇させ」、それぞれ経営成績に悪影響を与える可能性があると書いています。また、金融市場の動向や会社の財務指標の悪化が、「一部借入金等の財務制限条項への抵触による期限前弁済を含め、当社グループの資金調達や支払金利に対して影響を与え」る可能性があるとしています。
出典:有価証券報告書 第117期「事業等のリスク」(2026-03-25提出、2026-10-19確認)。半期報告書は、「新たに発生した事業等のリスクはありません」「前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません」と書いています(半期報告書 第118期中「事業等のリスク」)。有報のリスクには、このほか石油化学事業のナフサ価格と販売価格の差(スプレッド)・需給、法規制、知的財産、品質保証・製造物責任、事故・災害、環境、感染症、気候変動、人権、人材・労務、サプライチェーン、情報セキュリティなどが並びます。石油化学事業は2026年10月1日に連結から外れましたが、有報の記載は提出時点(2026年3月)のものです。また、有報の連結財務諸表注記(金融商品の為替リスクの項)では、為替感応度分析(為替レートが一定割合動いたときの利益への影響の試算)として、日本円が米ドルに対して1%円安となった場合の税引前利益への影響額を、約7.6億円(増加・前期は約3.7億円)と開示しています(保有する外貨建金融商品の分のみの試算で、営業利益全体への影響の試算ではありません)。財務制限条項=お金を借りるときの契約に付ける、財務の状態に関する約束事です。期限前弁済=返済期限より前に返済することです。スプレッド=製品の販売価格と、原材料の調達価格との差です。
6️⃣ 上がる材料/下がる材料
ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。
以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。
※ 材料の数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来の予測は行っていません。石油化学の売上収益に占める割合(22.3%)は、有報の数字から計算した当サイトの数字で、会社が今後の売上収益の水準を示したものではありません。
7️⃣ これから何を見れば分かるか
次の決算(2026年12月期の第3四半期=7〜9月期)の発表日は、当サイトの決算予定データ earnings-calendar.json にレゾナックが載っておらず、一次情報でも確かめられていません。会社のIRサイト(投資家向けの情報を載せたページ)でご確認ください。この記事で挙げた材料がその後どうなったかは、次の開示で確かめられます。前回の通期決算(2025年12月期)の有報は2026年3月25日に提出されています。
- スピンオフの会計上の影響と、決算書の表示の変わり方:会社が「精査中」とした連結業績への影響額が、どの開示に、いくらで出るか。石油化学が「非継続事業」として別枠で表示されたあと、継続事業の売上収益・利益がどの水準になるか
- 半導体・電子材料の売上収益とコア営業利益:2026年1〜6月は売上収益が約2,990億円(+29.6%)、コア営業利益が約815億円。次の期にどう動いたか
- モビリティ・ケミカル・イノベーション材料の動き:2026年1〜6月は、ケミカルのコア営業利益が約−6億円まで赤字が縮小。モビリティの売上収益は事業の譲渡の影響を受けている。これらがどう動いたか
- 営業利益の中の本業以外の項目:2025年12月期は減損損失が約510億円、2026年1〜6月は退職給付制度改定損が約95億円。次の期にその他の収益・費用がどう出るか
- 有利子負債・のれん・株式数:2026年6月末の社債及び借入金は約9,349億円、のれんは2025年12月末で約2,755億円。借入の条件や減損テストの結果、転換社債型新株予約権付社債の転換の進み方が、次の報告書でどう書かれるか
有価証券報告書と半期報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説に、適時開示のしくみはこちらの解説にまとめています。
8️⃣ まとめ
結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①半導体・電子材料と、それ以外の事業の売上収益・コア営業利益(事業ごとの動きの違い)、②営業利益の中の本業以外の項目を含む最終損益(減損・事業再編・退職給付制度改定などの有無)、③石油化学のスピンオフが連結の決算書に与える影響額と表示の変化。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。
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