🔬 ルネサスエレクトロニクス(6723)を数字で見る|自動車・産業機器向けの半導体を有価証券報告書で確認
「数字で見る、話題の企業」シリーズ第20回は、自動車や工場の機械、電力・通信の設備などに使われる半導体を、設計から製造・販売まで手がけるルネサスエレクトロニクス株式会社(証券コード6723、以下「ルネサス」)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。会社が金融庁の開示システム(EDINET)に提出した有価証券報告書(上場会社が決算期ごとに金融庁へ出す、事業や決算をくわしく書いた報告書。以下「有報」。第24期・2025年1月〜12月)をもとに、①事業の中身 ②半導体が使われるまでの流れの中での位置 ③歴史 ④直近の通期決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。
- ルネサスの第24期(2025年1月〜12月)の売上収益(売上高にあたる数字)は約1兆3,212億円(前期比−2.0%)、営業利益は約2,012億円(同−9.8%)でした。一方、親会社の所有者に帰属する当期損失は約518億円で、前期は約2,191億円の利益でした(国際会計基準IFRS・連結=グループ全体の数字)。営業利益より下の項目の金融費用が、前期の約110億円から約2,456億円に増えています
- 事業は「自動車向け」(売上収益の48.4%)と「産業・インフラ・IoT向け」(50.8%)の2つが中心です。前期と比べて、自動車向けは−9.0%、産業・インフラ・IoT向けは+5.5%でした。顧客の所在地では中国が31.0%で最大です。売上収益の10%以上を占めた外部の顧客は1社(17.1%)でした
- 直近の四半期(2026年1〜3月期以降)の決算短信(決算の要点をまとめた書類)は取得できなかったため、この記事は有報だけを根拠にしています。会社の業績予想の数字は書いていません。「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-16時点)は、ルネサスの登場を2026年10月5日(値上がり・出来高急増)・10月6日(出来高急増)・10月9日(値下がり)・10月13日(値下がり・出来高急増)の4回と数えています。最後に登場した日から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)と、有報の本文が取得できていることを満たす候補のうち、候補データの並びで先頭の1社は当サイトのニュース記事と14日以内に重なるため見送り、次の1社であるルネサスを選びました(時価総額の金額や順位は本文に書きません)。ルネサスは、14日より前の当サイトのニュース記事2本(2026年6月24日の記事、2026年8月1日の記事)に、その日の市況の解説の中で半導体・AI関連の日本企業の例として社名が出てきます。どちらもこの会社が主役の記事ではありません。ニュース記事は「その日に何が起きたか」を伝えるもので、この記事は「この会社は何で稼いでいて、材料は何か」を整理するもので、役割が違います(ニュース記事に書かれた株価の動きや見方は、この記事では引用していません)。本レーンでの既刊記事・この会社が主役の解説記事の既刊はありません(
ls guide-*.html と guides.html を社名・証券コードで確認)。ランキングに登場した理由(なぜ値上がり・値下がりがあったか)は、一次情報で確かめられないため書きません。1️⃣ ルネサスはどんな会社か
ルネサスは、有報の「沿革」によると、2002年11月に電機大手(有報には社名の記載あり)の半導体事業を分社化して発足し、2010年4月に別の会社と合併して現在の社名になりました。本店は東京都江東区にあります。12月決算で、グループは会社本体と連結子会社108社(国内6社・海外102社)、持分法適用会社1社でできています。連結の従業員数は21,629人(2025年12月31日現在)です。会社は自社を「半導体専業メーカー」と説明し、研究・開発・設計・製造・販売・サービスを行っています。設計は会社本体と海外の子会社、製造は主に国内外の生産子会社が担当し、受託生産専門の会社(ファウンドリ)も必要に応じて活用しています。販売は、国内では主に販売特約店、海外では販売子会社やディストリビューターを通じて行っています(出典:有価証券報告書 第24期「沿革」「事業の内容」「主要な経営指標等の推移」(2026-10-18確認))。
有報は事業の区分(セグメント:会社が業績を管理・開示するときの事業の区分)を、「自動車向け事業」と「産業・インフラ・IoT向け事業」の2つとし、会社の設計・生産子会社が行っている半導体の受託開発・受託生産などを「その他」に分けています。自動車向け事業には、エンジンや車体などを制御する半導体を提供する「車載制御」と、車内外の環境を検知するセンサリングシステムや、運転者などに情報を伝える車載情報機器に半導体を提供する「車載情報」が含まれます。産業・インフラ・IoT向け事業には、「スマート社会を支える『産業』、『インフラストラクチャー』および『IoT』」が含まれます。どちらの事業でも、会社はマイクロコントローラ、SoC、アナログ半導体、パワー半導体を中心に提供しています(出典:有価証券報告書 第24期「事業の内容」・連結財務諸表注記「事業セグメント」(2026-10-18確認))。
会社は、経営者が意思決定に使う社内の指標としてNon-GAAP(ノン・ギャープ)の数字も開示しています。IFRSの売上収益・売上総利益・営業利益から、企業買収で認識した無形資産の償却額、株式報酬費用、一過性の利益や損失などを一定のルールで除いたものです。この記事では、ことわりがなければIFRSの数字を使い、Non-GAAPの数字には「Non-GAAP」と書きます(出典:同有報「経営者による分析」)。
前期と比べると、自動車向け事業の売上収益は約7,028億円から約6,397億円(−9.0%)に減り、産業・インフラ・IoT向け事業は約6,368億円から約6,718億円(+5.5%)に増えました(増減の率は会社の記載)。構成比で見ると、自動車向けは前期の52.1%から48.4%に、産業・インフラ・IoT向けは47.2%から50.8%になりました(当サイトの計算)。会社は、自動車向けの売上収益の減少を「主に市場の軟化によるもの」、産業・インフラ・IoT向けの増加を「インフラ事業の需要増加により」と説明しています(出典:同有報「経営者による分析」・連結財務諸表注記「事業セグメント」)。
顧客の所在地ごとに前期と比べると、中国は約3,752億円から約4,095億円(+9.1%)に増え、構成比は27.8%から31.0%になりました。アジア(中国を除く)は約3,008億円から約3,019億円(+0.4%)、日本は約2,837億円から約2,691億円(−5.1%)、欧州は約2,306億円から約2,028億円(−12.1%)、北米は約1,556億円から約1,357億円(−12.8%)でした(増減の率は当サイトの計算)。主な相手先ごとの売上も有報に載っています。売上収益の10%以上を占めた外部の顧客は、第24期は1社で、約2,254億円(17.1%)でした。この1社は前期も約1,710億円(12.7%)で、前期にはもう1社が12.7%でしたが、第24期は10%未満でした。有報には相手先の社名が書かれていますが、この記事では社名を書きません(出典:同有報「事業セグメント」の「地域に関する情報」「主要顧客」)。
2️⃣ 半導体が使われるまでの流れの中のどこにいるか
次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、ルネサスの半導体が、使われるまでの流れのどこに立っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。ルネサスは、演算をするデジタル製品、センシング(周囲の状況を検知すること)をするアナログ製品、モーターなどを動かすパワー製品を組み合わせて提供する(会社が研究開発の項で書いている説明)半導体を、自分で設計し、自社と外部の工場でつくって売る会社です。つくった半導体は、自動車や産業機器のメーカーなどが機器に組み込んで使います。
ルネサスがこの流れの「半導体をつくって売る」位置に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。事業の区分は「自動車向け」と「産業・インフラ・IoT向け」で、売上収益のうち自動車向けが48.4%、産業・インフラ・IoT向けが50.8%でした(当サイトの計算)。会社は経営方針の中で、「SDV(Software-Defined Vehicle)、AIインフラ/コンピュートおよびIntelligence at the Edge」という3つの分野を「成長のベクトル」とする「Secular Growth分野」を、「競争力と収益性が見込まれる重点領域」と位置づけています。研究開発では、データセンターなどの次世代AIインフラ向けの電源(GaN〈窒化ガリウム〉という材料を使ったパワー半導体)や、「マイコンでAI」を実現するマイコンの発売、電子機器の開発をクラウド上で一元的に管理するプラットフォームの発表を挙げています(出典:有価証券報告書 第24期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「研究開発活動」「事業の内容」(2026-10-18確認))。
工程の前後とのつながりも、開示に書かれています。
- 支える側とのつながり:会社はリスクの項で、半導体の生産には原材料・部品・生産設備などを適時に調達する必要があり、複数の供給者との関係づくりに努めているものの、「特定の供給者からしか入手できないものも含まれている」と書いています。また、生産の一部を外部のファウンドリに委託しているとも書いています。研究開発では、コンソーシアム(共同で研究を進める団体)や外部の研究機関への研究委託も活用しています(出典:同有報「事業等のリスク」「研究開発活動」)。
- 売り先までのつながり:国内では主に販売特約店、海外では販売子会社やディストリビューターを通じて販売します。会社はリスクの項で、日本国内とアジア地域では、多くの製品を「特定の主要な販売特約店など」を通じて販売していると書いています(出典:同有報「事業の内容」「事業等のリスク」)。
- 使う側とのつながり:自動車向けでは、エンジンや車体の制御、車内外のセンサー、車載情報機器に半導体が使われます。産業・インフラ・IoT向けでは、産業機器、インフラ設備、IoT機器などに使われます。データセンターの電源に使う半導体は、会社が研究開発で挙げている用途の例です(出典:同有報「事業の内容」「研究開発活動」)。
- 前後の工程にいる会社の種類:前(支える側)には、半導体の原材料や部品のメーカー、製造に使う設備のメーカー、受託生産専門の会社、研究機関があります。後ろには、半導体を機器に組み込む自動車部品メーカー・産業機器メーカー・電力や通信の設備のメーカー、データセンターの設備をつくる会社と、その先に自動車メーカーや設備を使う事業者がいます。部品を仕入れて売る商社もあいだに入ります。
このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報で挙げています。会社は、「当社グループは、当社グループ製品の顧客に対する売上高の多くを特定の主要顧客に依存しております。」と書き、主要顧客が製品の採用を中止したり、発注数量を著しく減らしたりした場合には業績に悪影響を与える可能性があるとしています。顧客の特別な仕様に基づいた製品では、発注元が最終製品の市場投入を延期・中止した場合や、最終製品の売れ行きが芳しくない場合に、発注数量を減らしたり、納入期日を延期したりすることがあるとも書いています。さらに、半導体の市況(世界各国の景気や、最終顧客の製品需要の変化)が下がった局面では、製品需要の縮小、生産・在庫数量の増加、販売価格の低下を招く可能性があるとしています(出典:同有報「事業等のリスク」、2026-10-18確認)。
3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事
各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。この年表は、有価証券報告書と、適時開示(2026年10月2日の1行のみ)だけで作っています(Wikipediaなどの二次情報は使っていません)。他社の社名は有報には書かれていますが、この記事では書いていません。
| 年月 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2002年11月 | 電機大手(有報には社名の記載あり)の、汎用DRAMを除く半導体事業を会社分割で分社化し、その100%子会社として神奈川県川崎市に設立(現在の社名の前身にあたる会社) | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2003年7月 | 東京証券取引所の市場第一部に上場 | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2010年4月 | 別の会社(有報には社名の記載あり)と合併し、現在の社名であるルネサスエレクトロニクス株式会社に商号変更 | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2011年5月〜2018年10月 | 国内外の工場・生産ラインの譲渡が続く(2011年 米国ローズビル工場の前工程ライン、2012年 津軽工場の前工程ライン、2013年 函館・福井・熊本の後工程ライン、2014年 鶴岡工場の前工程ライン、2016年 滋賀工場の一部、2018年 高知工場)。譲渡先は他社(有報には社名の記載あり)。理由は有報の沿革には書かれていない | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2013年9月 | 9社(有報には社名の記載あり)を割当先とする第三者割当増資を実施 | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2014年4月 | 半導体の前工程の製造事業と後工程の製造事業を、それぞれ子会社に集約(前工程=ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング株式会社。後工程の子会社は2019年1月に当社へ吸収合併) | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2017年2月・2019年3月 | 米国の会社(2017年2月)と、米国の別の会社(2019年3月)の全株式をそれぞれ取得し、子会社化(いずれも有報には社名の記載あり) | 有価証券報告書 第24期「沿革」・連結財務諸表注記「のれん及び無形資産」(2026-10-18確認) |
| 2021年8月・12月 | 英国の会社(2021年8月)と、イスラエルの会社の持株会社(2021年12月)の全株式をそれぞれ取得し、子会社化(いずれも有報には社名の記載あり) | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2022年4月 | 東京証券取引所の市場区分の再編に伴い、プライム市場に移行 | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2022年7月〜2024年8月 | 米国(2022年7月)、インド(2022年10月)、オーストリア(2023年6月)、米国(2024年6月・2024年8月)の会社の全株式を順次取得し、子会社化(有報の沿革の表記のまま。社名は有報に記載あり) | 有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-18確認) |
| 2025年4月 | 米国子会社が2008年11月に他社から提起された、特許侵害およびトレード・シークレット(営業秘密)の不正使用等に関する民事訴訟について、第二審裁判所の判決を踏まえて当事者間の協議で和解し、終結(有報の記載) | 有価証券報告書 第24期連結財務諸表注記「コミットメント及び偶発債務」(2026-10-18確認) |
| 2025年6月〜9月 | 米国の会社(有報には社名の記載あり。以下「A社」)の財務再建について定める再建支援契約を、A社とその主要債権者との間で締結(6月23日)。A社は米国連邦倒産法第11章の手続きに基づいて再建計画を申請(6月30日)、裁判所の認可(9月18日)を経て、再建計画は9月29日に効力が発生。当社のA社に対する預託金は、転換社債・普通株式・新株予約権への転換で合意し、その他金融資産に転換された | 有価証券報告書 第24期連結財務諸表注記「追加情報」(2026-10-18確認) |
| 2025年(中間期) | 借入契約の財務制限条項の一部に抵触したが、期限の利益喪失の権利を行使しないことについて取引先金融機関の承諾を得た(有報の記載。年度末には抵触する事象は生じていない) | 有価証券報告書 第24期連結財務諸表注記「社債及び借入金」(2026-10-18確認) |
| 2025年12月 | 2021年12月に実行した借入のうち2,400億円を、12月30日に期限前弁済 | 有価証券報告書 第24期「経営者による分析」(2026-10-18確認) |
| 2026年1月 | A社が当社の米国子会社に普通株式16,852,372株を発行(1月29日・米国時間。対米外国投資委員会の承認を受けたもの)。当社の米国子会社は、4,943,555株の追加普通株式の新株予約権も受け取り、すでに持っていた転換社債が転換可能になった。保有制限・議決権制限があり、当社はA社に対して支配や重要な影響力を持たないと有報は書いている | 有価証券報告書 第24期連結財務諸表注記「後発事象」(2026-10-18確認) |
| 2026年2月 | タイミング事業(有報の言葉。一般には、電子機器の中で動作のタイミングをそろえる信号をつくる部品を指しますが、有報にこの説明はありません)を米国の会社(有報には社名の記載あり)に譲渡することを取締役会で決議し、当社の米国子会社が最終契約を締結(2月5日)。譲渡価額は30億米ドル(約4,680億円、1米ドル156円で換算)で、決済は現金15億米ドルと譲渡先の普通株式413万株。実際の譲渡価額は最終契約に定める価格調整で変動する可能性がある。一般的な取引条件の充足と規制当局の承認を経て、2026年末までに完了する予定。会社は、連結決算で「一時利益」を計上する見込み(時期・金額は精査中)と書いている | 有価証券報告書 第24期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」・連結財務諸表注記「後発事象」(2026-10-18確認) |
| 2026年3月 | 有価証券報告書 第24期を提出(3月19日) | EDINET 有価証券報告書 第24期(2026-10-18確認) |
| 2026年10月2日 | 「特定子会社の異動(米国での子会社設立)に関するお知らせ」を適時開示。米国に、ソフトウェア&デジタライゼーション事業に関する持株会社(当社の100%子会社)を2026年10月中旬に設立する予定で、2025年7月25日の公表時に未確定だった事項が決まったとしている。会社は当期の連結業績への影響は軽微と書いている | TDnet 適時開示(2026-10-02 17:30)(2026-10-18確認) |
会社分割=会社の事業の一部を切り出して、別の会社に引き継ぐことです。市場第一部=東京証券取引所の当時の市場の区分です(2022年4月に今のプライム・スタンダード・グロースの区分に見直されました)。前工程・後工程=半導体の製造で、ウエハ(半導体の土台になる薄い円い板)の上に回路をつくる工程が前工程、できあがったウエハをチップに切り分けて包む工程が後工程です。第三者割当増資=会社が特定の相手に新しい株を発行して、資金を集めることです。子会社化=議決権の過半数を持つなどして、経営を支配する子会社にすることです。トレード・シークレット=営業秘密のことです。米国連邦倒産法第11章=米国で、会社が裁判所の関与のもとで債務を整理して再建を目指す手続きです(一般的な説明)。預託金=有報の言葉で、当社がA社に預けていたお金のことです。転換社債=あらかじめ決めた条件で株に換えられる社債、新株予約権=あらかじめ決めた価格で株を買える権利です。財務制限条項=お金を借りるときの契約に付ける、財務の状態に関する約束事です。期限の利益の喪失=約束した返済期限より前に、返済を求められる状態になることです。期限前弁済=返済期限より前に返済することです。特定子会社=会社の財務や経営に重要な影響を与える子会社として、法令で定められた条件に当てはまる子会社です。対米外国投資委員会=外国からの米国企業への投資を、安全保障の面から審査する米国の機関です。
4️⃣ 直近の決算の数字(有価証券報告書 第24期)
有価証券報告書 第24期(2025年1月1日〜2025年12月31日、2026年3月19日提出)の連結の数字です(IFRS)。ルネサスは12月決算で、その後の四半期の決算短信は、上の注意書きのとおり当サイトでは取得できていません。有報の財務諸表(決算書)は、会社の外の監査法人による監査(決算の数字が正しいかを確かめること)を受けています。確認日は2026-10-18です。
| 指標(連結・IFRS) | 第24期(2025/1〜12) | 第23期(前期・2024/1〜12) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 約1兆3,212億円 | 約1兆3,485億円 | −2.0% |
| 売上総利益 | 約7,538億円 | 約7,498億円 | +0.5% |
| 売上総利益率 | 57.1% | 55.6% | +1.4ポイント |
| 営業利益 | 約2,012億円 | 約2,230億円 | −9.8% |
| 営業利益率 | 15.2% | 16.5% | −1.3ポイント |
| 金融収益 | 約147億円 | 約521億円 | — |
| 金融費用 | 約2,456億円 | 約110億円 | — |
| うち公正価値の評価損 | 約2,266億円 | なし | — |
| 税引前利益(損失) | −約303億円(損失) | 約2,638億円 | — |
| 法人所得税費用 | 約214億円 | 約444億円 | — |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益(損失) | −約518億円(損失) | 約2,191億円 | — |
| 基本的1株当たり当期利益(損失) | −28.65円 | 122.51円 | — |
| 親会社所有者帰属持分利益率(ROE) | −2.1% | 9.7% | — |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 58.5% | 56.5% | +2.0ポイント |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 約4,529億円 | 約3,405億円 | +33.0% |
| フリー・キャッシュ・フロー | 約3,282億円 | −約9,436億円 | — |
| 研究開発費 | 2,403億円 | 2,498億円 | −95億円 |
| 設備投資額(投資決定ベース・会社の記載) | 576億円 | — | — |
| 1株当たり配当額(提出会社=ルネサス単体の数字) | 28円 | 28円 | — |
出典:有価証券報告書 第24期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「設備投資等の概要」「研究開発活動」「配当政策」・連結損益計算書・連結財務諸表注記(2026-03-19提出)。億円の数字は有報の百万円から当サイトが計算したもの(億円未満四捨五入)。売上収益・売上総利益・営業利益の増減の率と、売上総利益率・営業利益率の数字(増減のポイントを含む)、親会社所有者帰属持分比率、営業活動によるキャッシュ・フロー、フリー・キャッシュ・フロー、研究開発費、設備投資額は、有報の「経営者による分析」「研究開発活動」「設備投資等の概要」の記載。営業活動によるキャッシュ・フローの増減の率は、当サイトが有報の数字から計算したもの。前期の設備投資額は、この記事で読んだ範囲では確かめていないため「—」としています。1株当たり配当額28円は、2026年3月25日開催予定の定時株主総会で期末配当として決議する予定と、有報に書かれていた金額で、配当金の総額は約508億円です(決議の結果は、この記事では確かめていません)。フリー・キャッシュ・フロー=有報の定義で「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計です。公正価値の評価損=持っている金融資産を、その時点の価値(公正価値)で見直したときに出た損失です。確認日:2026-10-18。
会社は有報で、Non-GAAPの売上収益が前期より2.2%減ったことを、産業・インフラ・IoT向け事業の増加と自動車向け事業の減少の差し引きと説明し、Non-GAAPの売上総利益率は57.6%(前期56.1%)に上がったと書いています。Non-GAAPの売上総利益が増えた理由として、会社は「自動車向け事業の売上収益の減少とそれに伴う工場の稼働率の減少があった一方、製造費用の減少などによる」と説明しています。IFRSの営業利益とNon-GAAPの営業利益(約3,869億円)の差は、無形資産および固定資産の償却費(約1,114億円、前期は約1,224億円)、株式報酬費用(約371億円)、企業買収関連費用や一過性の損益などの「その他非経常的な項目および調整項目」(約399億円、前期は約162億円)などです(出典:同有報「経営者による分析」)。
| Non-GAAP(会社の社内指標) | 第24期 | 第23期(前期) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 約1兆3,185億円 | 約1兆3,485億円 | −2.2% |
| 売上総利益(率) | 約7,599億円(57.6%) | 約7,563億円(56.1%) | +0.5% |
| 営業利益(率) | 約3,869億円(29.3%) | 約3,979億円(29.5%) | −2.8% |
| うち自動車向け 営業利益(率) | 約1,966億円(30.7%) | 約2,225億円(31.7%) | −11.6% |
| うち産業・インフラ・IoT向け 営業利益(率) | 約1,694億円(25.2%) | 約1,734億円(27.2%) | −2.3% |
出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」の業績表(億円・会社の記載のまま。2026-10-18確認)。換算に使った為替レートは、1米ドル=150円(前期151円)、1ユーロ=167円(前期164円)と有報に書かれています(収益・費用の換算に用いた各月のレートの平均)。Non-GAAPは会社の社内指標で、IFRSの数字とは別のものです。
営業利益の下の段にも、前期と比べるときに知っておきたい項目があります。IFRSの連結損益計算書では、営業利益 約2,012億円のあとに、金融収益 約147億円(前期 約521億円)と、金融費用 約2,456億円(前期 約110億円)が並び、税引前損失 約303億円になっています。金融費用の内訳は、支払利息 約190億円(前期 約109億円)と、公正価値の評価損 約2,266億円などです。有報の注記は、この評価損を「主にA社の米国連邦倒産法適用申請および再建計画を受けた同社向けその他金融資産の評価損失」と説明しています。A社の財務再建に関する追加情報として、有報は、当社が再建支援契約に伴って為替影響も含めて約2,366億円(236,600百万円)の損失を計上し、この損失は連結損益計算書の「金融費用」に含めたと書いています。2つの金額(約2,266億円と約2,366億円)の差の内訳は、この記事で読んだ範囲の有報には書かれていません。その他の金融資産の注記では、前期末に約3,280億円あった貸付金が当期末は「―」の表示になり(有報は、減少の主な理由をA社の再建計画を受けたものと注記しています)、「その他」が約123億円から約1,035億円に増えました(出典:同有報「連結財務諸表注記」の「追加情報」「金融収益及び金融費用」「その他の金融資産」、「経営者による分析」)。
こうした営業利益より下の項目は、キャッシュ・フローには別の形で現れます。会社は、営業活動によるキャッシュ・フローが約4,529億円の収入となったのは、「税引前損失を303億円計上したものの、主として減価償却費およびA社のその他金融資産の評価損失などの非資金項目を調整したことなど」によると書いています(非資金項目=実際にはお金が出ていかない費用や損失のこと)。法人所得税費用は、税引前損失にもかかわらず約214億円が計上されています。有報は、A社向けの評価損失を米国の子会社で計上したことについて、米国の税制上、キャピタルロス(株式などの資本取引で生じる損失)はキャピタルゲイン(同じく利益)と相殺できる見込みの範囲でしか繰延税金資産(将来の税金を減らせる権利)の計上が認められないため、繰延税金資産を認識していないと書いています(出典:同有報「経営者による分析」・連結財務諸表注記「法人所得税」)。
営業利益の中にも、「その他の収益・費用」として計上される項目があります。「その他の費用」は約376億円(前期 約193億円)で、そのうち減損損失(資産の価値が下がったとして帳簿の金額を減らす損失)が約184億円(前期 約30億円)です。減損損失の約184億円には、事業の譲渡に伴う無形資産約40億円とのれん約18億円が含まれます。そのほかに事業構造改善費用(割増退職金や拠点集約に伴う設備撤去費用など)約74億円、固定資産廃棄損約41億円、訴訟損失引当金繰入額約25億円などがあります。「その他の収益」は約62億円(前期 約200億円)です(出典:同有報 連結財務諸表注記「その他の費用」「非金融資産の減損損失」)。これらの評価損や減損が、今後も同じ規模で出るかどうかは、この記事で読んだ範囲の有報には書かれていないため、この記事でも書きません。
5期の数字では、売上収益は約9,939億円(第20期)、約1兆5,009億円、約1兆4,694億円、約1兆3,485億円、約1兆3,212億円(第24期)と動きました。親会社の所有者に帰属する当期利益(損失)は、約1,195億円、約2,566億円、約3,371億円、約2,191億円、−約518億円です。営業活動によるキャッシュ・フローは、約3,074億円、約4,793億円、約4,966億円、約3,405億円、約4,529億円でした(出典:同有報「主要な経営指標等の推移」)。この記事で読んだ範囲の有報には、第23期より前の年ごとの増減の理由の説明はないため、理由は書きません。第24期の中身を半年ごとに見ると、有報の「半期情報」では、中間連結会計期間(2025年1〜6月)の売上収益は約6,343億円、税引前中間損失は約1,693億円、親会社の所有者に帰属する中間損失は約1,753億円でした。通期の数字から中間の数字を引いた7〜12月の分は、売上収益が約6,869億円、税引前利益が約1,390億円になります(当サイトの計算で、会社が開示した数字ではありません)。
お金の出入りと財政状態では、投資活動によるキャッシュ・フローは約1,247億円の支出(前期は約1兆2,841億円の支出)、財務活動によるキャッシュ・フローは約2,697億円の支出(前期は約6,773億円の収入)でした。会社は、財務活動の支出を「主要取引銀行などへの借入金の返済を行ったことや、配当金の支払などによるもの」と書いています。現金及び現金同等物(現金と、すぐに現金に換えられる短期の預金など)は約2,959億円です。資産合計は約4兆1,772億円(前期末 約4兆4,904億円)で、会社は減少の理由を、買収で生じた無形資産の償却が進んだことと、A社向けその他金融資産の評価損失の計上などと書いています。このうちのれんは約2兆2,393億円で、資産合計の53.6%にあたります(当サイトの計算)。のれんは主に、2017年12月期・2019年12月期・2021年12月期・2024年12月期の買収に伴って認識したものと、有報は書いています。有利子負債(利息をつけて返す必要のある借入金や社債など)は約1兆2,268億円(前期末 約1兆4,228億円)で、借入金の残高は約1兆736億円、2026年11月25日が償還期日の米ドル建社債は約1,330億円です。D/Eレシオ(有利子負債が親会社の所有者に帰属する持分の何倍かを示す数字)は0.50倍(前期末 0.56倍)です(出典:同有報「経営者による分析」・連結財務諸表注記「のれん及び無形資産」「社債及び借入金」)。
借入金には、財務制限条項が付いているものがあります。有報は、年度末の時点で条項が付いている借入金が約1兆669億円(1年内返済予定の約1,020億円と、長期の約9,649億円)で、条項の内容は、有利子負債のEBITDA(利払い・税金・償却費の前の利益)に対する比率を一定以下にすること、資本合計を前期の75%以上に維持すること、営業損益と当期損益がそれぞれ2期連続で損失とならないこと、などと書いています。そのうえで、中間連結会計期間(2025年1〜6月)に「財務制限条項の一部に抵触しましたが、当該抵触を理由とする期限の利益喪失の権利行使を行わないことについて、取引先金融機関より承諾を得ております」、当連結会計年度末においては「財務制限条項に抵触するような事象は生じておりません」と書いています。この記事で読んだ範囲の有報には、どの条項に抵触したのかは書かれていません(出典:同有報「社債及び借入金」)。
配当については、有報の「配当政策」で、新製品・技術の研究開発や設備投資などの戦略的な投資に向けた内部留保を確保して財務体質を強くしつつ、継続的かつ安定的に利益の一部を株主に還元することを基本とし、各期の配当金の額は、利益剰余金の状況、連結の利益の状況、翌期以降の利益見通し、キャッシュ・フローの状況などを考慮して決めると書いています。提出会社の1株当たり配当額は、第22期・第23期・第24期とも28円です(第24期の期末配当28円は、2026年3月25日の定時株主総会で決議する予定と有報に書かれていました)。第24期の連結の当期利益は損失でしたが、提出会社(ルネサス単体)の当期純利益は約1,587億円で、配当性向(利益のうち配当に回す割合)は31.9%と、有報の「提出会社の経営指標等」にあります。提出会社は、ルネサス単体のことです。
投資については、第24期の設備投資額(投資決定ベース)は576億円で、主な内容として高耐圧MOSFET(電力を制御する半導体の一種。一般的な説明)の製造ラインの構築、設計開発拠点の統廃合、ITインフラの更新、生産拠点の設備の刷新を挙げています。研究開発費は2,403億円(売上収益に対して18.2%・当サイトの計算)で、前期の2,498億円より95億円減りました。会社は設備投資について、売上収益に対する適正水準の維持を図りつつ、「中長期的には売上収益比5%程度にコントロールすることを目指します」と書いています(目標は会社の方針で、当サイトの予測ではありません)。また、通期の業績予想について信頼性の高い数値を算出することが困難であるとして、四半期ごとの連結業績予想を開示しており、2026年第1四半期の投資額(投資決定ベース)は約850億円を予定していると書いています(出典:同有報「設備投資等の概要」「研究開発活動」「設備の新設、除却等の計画」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)。
会社は中期の目標として、Non-GAAPベースで、1米ドル=100円・1ユーロ=120円の固定為替レートを使い、売上総利益率55%、営業利益率25〜30%を掲げています。有報には、2025年6月25日の説明会(Capital Markets Day)で営業利益率の目標を従来の30%から「25%から30%」という幅を持った数字に見直したこと、同じ固定為替レートでの第24期のNon-GAAP売上総利益率は約55%、Non-GAAP営業利益率は約24%だったことも書かれています。会社は、この目標は「その達成を保証するものではなく」、事業等のリスクに書かれた事項を含む多くの要因で結果が左右される可能性があるとしています(出典:同有報「経営者による分析」。目標は会社の方針で、当サイトの予測ではありません)。
5️⃣ 会社自身が挙げているリスク
以下は有価証券報告書(第24期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社はリスクを22項目挙げています。ここではそのうち5つを紹介します。原文はEDINET掲載の有価証券報告書でご確認ください。
- ①市況の変動:「世界各国の景気循環、最終顧客の製品の需要の変化などに起因する、半導体市場の市況変動の影響を受けております」と書いています。市況が下降した局面では、製品需要の縮小、生産・在庫数量の増加、販売価格の低下を招く可能性があり、その結果、売上の減少や、工場稼働率の低下に伴う売上総利益率の悪化につながって、収益が悪化する可能性があるとしています。影響を完全に回避することは困難だとも書いています。
- ②競争:半導体市場は「熾烈な競合状態」にあり、製品の性能・構成・価格・品質などの面で、国内外の多くの同業他社との激しい競争にさらされていると書いています。近年は同業他社間の買収・統合・業務提携が行われていて、競争環境がさらに激しくなる可能性があるとしています。販売価格が急激な下方圧力にさらされ、価格交渉や原価低減では補いきれずに売上総利益率が悪化する可能性も挙げています。
- ③製品の販売(主要顧客・販売特約店への依存):「当社グループは、当社グループ製品の顧客に対する売上高の多くを特定の主要顧客に依存しております。」と書き、主要顧客が採用を中止したり、発注数量を著しく減らしたりした場合の影響を挙げています。顧客固有の仕様に基づく製品では、発注元の計画の変更や発注の減少・延期が売上や収益性を下げる可能性があるとしています。国内とアジアでは、特定の主要な販売特約店などを通じた販売に依存しているとも書いています。
- ④資金調達:事業資金を借入や社債で調達していて、半導体業界の環境の悪化、金融・証券市場の環境の悪化、貸し手の融資方針の変更などで、必要な資金を適時に調達できなかったり、資金調達コストが増えたりする可能性があると書いています。また、「借入に係る契約の一部には財務制限条項が定められて」おり、財務内容などの悪化によりこの条項に抵触し、借入について期限の利益を喪失する場合には、「事業、業績および財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります」としています。
- ⑤設備投資と固定費比率・固定資産の減損:半導体事業は多額の設備投資を必要とし、費用の大部分が設備投資に伴う償却費用や、工場の維持に伴う生産コスト、研究開発費用といった固定費で占められているため、売上が減ったり工場の稼働率が下がったりしても固定費を減らすことが難しく、「比較的小規模の売上の減少等が当社グループの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いています。また、「過去の企業買収に伴う多額ののれんなどの無形資産を含む多くの固定資産を保有」しており、そこから得られる将来のキャッシュ・フローで資産の帳簿価額を回収できない場合は、減損を認識しなければならない可能性があるとしています。
出典:有価証券報告書 第24期「事業等のリスク」(2026-03-19提出、2026-10-18確認)。原文のリスクには、このほか為替相場および金利の変動、自然災害など、事業戦略の推進、グローバルな事業展開、戦略的提携および企業買収、急速な技術革新、製品の生産、品質問題、人材の確保、確定給付制度債務、情報システム等、情報管理、法的規制、環境問題、知的財産権、法的手続が並んでいます。為替について会社は、為替変動のリスクをヘッジする(損失が出る可能性を小さくする)取組みを行っているとしたうえで、為替相場が大きく変動した場合に業績に影響を受ける可能性を挙げています。為替感応度分析(為替レートが一定割合動いたときの利益への影響の試算)としては、日本円が米ドル・ユーロに対して1.0%円高になった場合の、保有する外貨建金融商品による税引前利益への影響額を、米ドルで約2.9億円(増加)、ユーロで約1.0億円(減少)と開示しています(外貨建金融商品の分のみの試算です。第24期の営業利益全体への影響の試算ではありません)。なお、法的手続の項は、連結財務諸表注記の記載に譲っています。ヘッジ=将来の値動きによる損失を小さくするための手当てです。期限の利益=借りたお金を、決められた期限まで返さなくてよいという借り手の権利です。EBITDA=利払い・税金・償却費を引く前の利益です。
6️⃣ 上がる材料/下がる材料
ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。
以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。
※ 材料の数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来の予測は行っていません。コミットメントライン=金融機関とあらかじめ契約して、限度額まで必要なときに借りられる枠です。回収可能価額=資産を使い続けて得られる価値と、売ったときの価値のうち、高いほうの金額のことです(のれんなどの減損テストで使う考え方)。
7️⃣ これから何を見れば分かるか
次の決算の発表日は、当サイトの決算予定データ earnings-calendar.json にルネサスが載っておらず、当サイトは一次情報でも確かめられていません。会社のIRサイト(投資家向けの情報を載せたページ)でご確認ください。会社は有報で、通期の業績予想の数字を算出することが困難であるとして、四半期ごとの連結業績予想を開示していると書いています。また、有報の将来に関する記述は、その時点の情報にもとづくものと説明しています。この記事で挙げた材料がその後どうなったかは、次の開示で確かめられます。
- 自動車向けと産業・インフラ・IoT向けの売上収益・営業利益率:第24期は、自動車向けが約6,397億円(Non-GAAP営業利益率30.7%)、産業・インフラ・IoT向けが約6,718億円(同25.2%)。それぞれがどう動いたか
- 営業利益より下の項目と最終損益:第24期は金融費用が約2,456億円、減損損失が約184億円、親会社の所有者に帰属する当期損失が約518億円。同じような項目が次の期にあるか、ないか
- 有利子負債・財務制限条項・のれん:第24期末は有利子負債が約1兆2,268億円、のれんが約2兆2,393億円。借入の条件や減損テストの結果が、次の有報でどう書かれるか
- 地域と主要顧客の偏り:第24期は中国31.0%、売上収益の10%以上を占めた外部の顧客が1社で17.1%。地域別・相手先別の数字は、次の有報(第25期)で確かめられます
- タイミング事業の譲渡:譲渡の完了(2026年末までの予定)、受け取る対価の使い道(成長投資・株主還元)の決定、連結決算で計上する見込みの「一時利益」の時期と金額(有報では精査中)が、どの開示に出るか
有価証券報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説に、適時開示のしくみはこちらの解説にまとめています。
8️⃣ まとめ
結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①自動車向けと産業・インフラ・IoT向けの売上収益と営業利益率(2つの事業の動きの違い)、②営業利益より下の項目を含む最終損益(金融費用・評価損・減損のあるなし)、③有利子負債・財務制限条項・のれん(借入の条件と資産の評価)。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。
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