🔬 第一三共(4568)を数字で見る|がん領域に力を入れる医薬品メーカーを有価証券報告書と適時開示で確認
「数字で見る、話題の企業」シリーズ第28回は、有価証券報告書の「事業の内容」に「医薬品等の製造販売を主な事業内容としております」と書かれている、第一三共株式会社(証券コード4568、以下「第一三共」)を取り上げます。同じ書類は「当社グループは、報告セグメントが単一であるため、セグメント情報の記載を省略しております」とも書いています。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。①事業の中身 ②事業が使われるつながりの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。初めて出てくる言葉は、その場で説明します。
この記事が根拠にしている書類は2つで、数字の出どころを分けて書きます。①有価証券報告書(上場会社が決算期ごとに金融庁へ出す、事業や決算をくわしく書いた報告書。以下「有報」。第21期・2025年4月1日〜2026年3月31日。2026年6月19日提出)。②証券取引所の適時開示(上場会社が、株価に影響しうる情報を証券取引所を通じてすぐに公表する仕組み)のうち、2026年9月28日に公表された1件です。この記事は2026年3月期の有価証券報告書と適時開示を根拠とし、直近四半期は扱っていません。決算短信(上場会社が決算の内容を証券取引所に早く知らせる書類)は、使っていません(理由は下の「数字の出どころと確認日」に書きました)。会計基準はIFRS(国際財務報告基準)で、売上は「売上収益」、本業の利益は「営業利益」と呼び、「経常利益」という項目はありません。会社の将来の目標や計画の数字は有報に載っていますが、この記事は会社の業績予想や中期目標の数字は扱いません(有報の後発事象に書かれた会社の見込みだけは、会社の言葉として出どころを示して引用します)。
- 2026年3月期(有報・連結・IFRS)の売上収益(売上のこと)は2兆1,230億円(前期比+12.6%)、営業利益は2,291億円(同−31.0%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,599億円(同−12.1%)でした。営業利益が減った理由として、会社は「製造委託先への損失補償等を一過性の費用に計上した」ことを挙げています(一過性の費用は1,530億円で、前期は31億円)。会社が独自に示す「コア営業利益」(一過性の収益・費用を除いた指標)は3,600億円(同+15.1%)です
- 売上収益の構成(連結に対する割合・当サイト計算)は、米国35.3%、日本27.3%、欧州23.4%、その他の地域13.9%。がんの薬エンハーツの売上収益は8,195億円(前期比+25.8%)で、売上収益の38.6%にあたります。有報は、がん領域の売上収益を9,540億円(売上収益の44.9%・当サイト計算)と書いています。製品名は売上の説明のための事実として挙げており、効き目や安全性について述べるものではありません
- 2026年9月28日の適時開示では、会社に対して提起されていた損害賠償等の請求訴訟について、東京地方裁判所が請求を全て棄却する判決を出したあと、相手方が控訴したことが公表されました(請求金額は2,033億円余・会社は連結業績への影響を「精査中」と書いています)。「上がる材料」「下がる材料」を各6件ずつ、出典付きで対に並べます。上がる・下がるの結論は書きません
edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-23時点)は、第一三共の登場を2026年10月14日・10月20日の2回と数えています(どのランキングに載ったかは、この記事では確かめていません)。最後に登場した日(10月20日)から中3営業日以上あいていること(同データの cooled: true)、有報の本文が取得できていることを確かめたうえで、候補の中の1社として選びました。ランキングに登場した理由(なぜ値上がりや出来高の増加があったか)は、一次情報で確かめられないため書きません。当サイトの解説記事に、この会社の名前が出る記事が2本あります(2026年8月26日公開のニュース記事に1箇所、2026年9月12日公開の別の会社の記事に1箇所)。どちらも主役ではなく、この記事はそれらの内容を引用・参照していません。
TDnet(東京証券取引所の適時開示サイト)は、当サイトが一覧を閲覧できた2026年9月17日〜10月26日(平日28日分・74ページ・5,548件)を、証券コード「45680」と社名「第一三共」の両方で全ページ検索しました。第一三共自身の開示は上の1件のみで、配当・自己株式・提携や開発の進捗・業績修正などの開示は見つかりませんでした(2026年9月16日以前は一覧が閲覧できず、確認できていません)。第2四半期(2026年4〜9月)の決算短信は、10月26日時点のTDnetに見つからず、第1四半期(2026年4〜6月)の決算短信は、閲覧できる範囲より前に公表されたとみられ、取得できていません。そのため決算短信の数字は使いません。会社のIRサイトはアクセスが拒否された(403)ため、内容は確認していません(回避はしていません)。上の適時開示は2026年9月10日付の会社の発表資料にも触れていますが、その資料自体は確認していません。
1️⃣ 第一三共はどんな会社か
有報の「事業の内容」によると、第一三共は医薬品等の製造販売を主な事業とする会社で、当社と子会社43社、関連会社1社の計45社でグループを構成しています(国内7社・海外38社)。国内では医療用医薬品の研究開発・製造・販売を当社が行い、一般用医薬品を扱う子会社やワクチンの子会社があります。海外では米国・欧州・中国・ブラジルなどにある子会社が、医薬品の研究開発・製造・販売を行っています。連結の従業員数は20,171人(前期末19,765人)です。有報の「大株主の状況」(2026年3月31日現在)では、上位10名の所有株式数の割合の合計が41.71%と書かれています(上位には、信託業務として株式を持つ信託銀行の信託口が含まれます。株式の需給や値動きについての見方ではありません)。出典:有価証券報告書 第21期「事業の内容」「従業員の状況」「大株主の状況」、2026-10-26確認。
会社は有報の「経営方針」で、2035年のビジョンと、2026〜2030年度の「第6期中期経営計画」を書いています。柱として、DXd ADC(会社独自のADC技術)の製品価値の最大化によるがん事業の拡大、次の成長の柱となる技術の特定(有報は「BGTs(Breakthrough Generating Technologies)」と呼び、「より革新的な医薬品を患者さんに迅速に届けるための創薬技術プラットフォーム」と注記しています)、全社の生産性とコストの最適化(有報は「Operational Excellence」と呼びます)を挙げています。株主還元では、「累進配当」(原則として配当を維持・増配し続ける方針)を導入し、配当水準の指標として「調整後DOE」(株主資本から株価や為替で変わる項目を除いた「調整後株主資本」に対する配当総額の割合)を掲げています(会社の方針の紹介で、この記事の見方ではありません。2030年度の目標などの将来の数字は、この記事では扱いません)。
2026年3月期の売上収益を、地域別と中身で分けると次のとおりです(有報・連結・IFRS。2026年3月期は2025年4月1日〜2026年3月31日)。構成比と前期比は、当サイトが百万円単位の数字から計算しました。
| 地域(有報の区分) | 売上収益 | 構成比 | 前期 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 5,801億円 | 27.3% | 5,838億円 | −0.6% |
| 米国 | 7,494億円 | 35.3% | 6,422億円 | +16.7% |
| 欧州 | 4,974億円 | 23.4% | 4,182億円 | +18.9% |
| その他の地域 | 2,962億円 | 13.9% | 2,420億円 | +22.4% |
| 合計(連結) | 2兆1,230億円 | 全体 | 1兆8,863億円 | +12.6% |
有報は、製品・サービス別の売上収益を「医療用医薬品」2兆295億円(構成比95.6%・前期比+12.9%)、「ヘルスケア」908億円(4.3%・同+4.8%)、「その他」27億円(0.1%)と書いています。別の切り口の「収益の分解」では、「製商品の販売」が1兆8,540億円(87.3%)、「技術料収入」が1,902億円(9.0%・前期1,608億円・当サイト計算で+18.3%)、「その他」が788億円(3.7%)です。技術料収入は、有報によると、第三者に製品の研究開発・製造・販売や技術の使用を許諾する契約から得る契約一時金、マイルストーン収入、ランニング・ロイヤリティーなどです。有報は、過去の期間に充足した履行義務(契約で約束した製品や役務を相手に渡す義務)から認識した収益(主なものはマイルストーン収入とロイヤリティー)を1,037億円(前期892億円)と書き、技術料収入などに関わる契約負債の残高は8,812億円(前期末8,190億円)と書いています。
主な製品の売上収益は次のとおりです(有報「経営者による分析」の表。連結・IFRS・億円)。製品名は売上の説明のための事実として挙げており、効き目や安全性について述べるものではありません。
| 製品(有報の区分) | 2026年3月期 | 前期 | 前期比 | 有報の説明 |
|---|---|---|---|---|
| エンハーツ(がんの薬) | 8,195億円 | 6,514億円 | +25.8% | 「グローバル主力品」。地域別は、米国3,863億円(+27.9%)、欧州1,748億円(+16.9%)、日本377億円(+21.4%)。有報は増収の理由を「既上市国での市場浸透及び上市国の拡大」と書いています |
| リクシアナ(血液が固まるのを防ぐ薬) | 3,677億円 | 3,440億円 | +6.9% | 「グローバル主力品」。日本1,418億円(+6.6%)、欧州1,930億円(+7.8%) |
| ダトロウェイ(がんの薬) | 米欧344億円、日本131億円 | 米欧11億円、日本3億円 | — | 有報の表の区分(オンコロジー事業ユニットとジャパン事業ユニット)。米国332億円、欧州12億円 |
出典:有価証券報告書 第21期「経営者による分析」(グローバル主力品売上収益、ユニット別売上収益)(2026-10-26確認)。エンハーツが売上収益に占める割合は38.6%、リクシアナは17.3%(いずれも当サイト計算)。有報は、がん領域の売上収益を9,540億円と書いています(売上収益2兆1,230億円のうち。割合44.9%は当サイト計算)。
有報の「後発事象」(決算日のあとに起きた出来事の注記)には、一般用医薬品などを扱う国内の連結子会社の全株式を、国内の飲料・食品を扱う会社に譲渡する契約(2026年4月15日締結)が書かれています。譲渡価額は2,465億円(予定。契約の価格調整で変わる可能性があると注記)、譲渡は2026年7月1日(議決権割合が70%となるよう)、2027年6月1日(同30%)、2029年6月1日(全て)の段階的な日程で、連結財務諸表の注記は、譲渡益は計上の時点を精査中で、額は支配を失う時点の子会社の純資産によって変わるため「現時点では未定」と書いています。一方、提出会社(第一三共単体)の財務諸表の「重要な後発事象」は「株式譲渡の都度、子会社株式売却益を計上する見込み」「2027年3月期においては、約600億円の株式売却益を計上する見込み」と書いています。これは単体の見込みで、連結の売却益の額ではありません(会社の見込みであり、この記事の予想ではありません)。この子会社の資産・負債は、2026年3月期末の連結財政状態計算書で「売却目的で保有する資産」(1,222億円)と「直接関連する負債」(316億円)に区分されています。損益計算書の上で「継続事業」と「非継続事業」(すでに処分された、または売却目的保有に分類された企業の構成要素の損益)を分けた表示は、当サイトが確認した範囲では見当たりません。
2️⃣ 事業が使われるつながりの中のどこにいるか
次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、第一三共の事業が、薬が研究されて患者さんに届くまでの流れのどこに入っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。有報の記載から読み取れる第一三共は、薬の研究開発・製造・販売を自社グループで行い、一部の開発と販売で海外の製薬会社と組み、製造の一部を外部の会社に委託している会社です。
この流れの中に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。
- 研究・開発:有報の「研究開発活動」によると、2026年3月期の研究開発費(IFRSベース)は4,660億円(前期比+6.9%)で、売上収益に対する比率は21.9%です。会社は「5つのDXd ADCの製品価値最大化」と、将来の成長に向けた「Next Wave」と呼ぶ新しい製品群の創薬に取り組むと書き、外部の研究機関や企業との連携(オープンイノベーション)を強めると書いています。
- 海外の製薬会社との提携:有報の注記「共同開発及び共同販促」によると、会社は海外の製薬会社2社と、がんの薬の共同開発・販売の契約を結んでいます(1社とは2019年3月・2020年7月に2つの製品について、もう1社とは2023年10月に3つの開発品について。社名は一般名に置き換えています)。日本を除く全世界を対象にした契約が中心で、利益は折半し、費用の分け方は契約ごとに違います。製造と供給は主に会社が担います。売上収益は、地域ごとにどちらの会社が計上するかが決まっています。会社は契約の対価として、契約一時金を受け取り、開発や売上の節目でマイルストーンを受け取る権利を持つ一方、提携先に支払う義務を負う面もあります(有報の注記)。
- 製造:有報の「事業等のリスク」と注記によると、会社はADC製品の一部の製造を複数の製造委託先に委託していて、契約には年別の最低購入義務が含まれています。この記事の4節と6節で扱う損失補償引当金は、この契約に関わります。
- 販売:売上収益の10%以上を占める相手先が3つあり(金額は2,694億円・2,510億円・2,324億円、割合は12.7%・11.8%・10.9%で、3つの合計は売上収益の35.5%・当サイト計算)、社名は有報に書かれています。社名はこの記事では挙げません。
- 前後の工程にいる会社の種類:上流には、外部の研究機関や企業、製造を請け負う会社があります。下流には、医薬品の卸売会社、医療機関・薬局があります(卸売会社以降は一般的な流れの説明で、有報の言葉ではありません。社名は挙げません)。薬の承認は、国や地域ごとの規制当局が審査します。
このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報で挙げています。提携については、「第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いています。製造については、需要予測や供給計画が当初の想定から変わり、最低購入義務を満たせない場合には「CMOに対して補償金の支払いの必要が生じる可能性があります」と書いています。薬の価格や規制については、「薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いています(出典:有価証券報告書 第21期「事業等のリスク」「重要な契約等」、2026-10-26確認。会社の認識であり、この記事の見方ではありません)。
3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事
各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。この年表は、有価証券報告書と適時開示だけで作っています(Wikipediaなどの二次情報は使っていません)。提携先・買収や譲渡の相手・訴訟の相手方・過去の子会社の社名は、この記事では一般名に置き換えています(出典には書かれています)。
| 年月 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2005年2月〜9月 | 国内の製薬会社2社(三共株式会社と第一製薬株式会社)が、株式移転により完全親会社となる共同持株会社を設立して経営統合することに基本合意(2月)。2005年9月、当社設立。東京証券取引所第一部に株式を上場 | 有報 第21期「沿革」(2026-10-26確認) |
| 2007年4月 | 当社が、上の2社を吸収合併 | 有報 第21期「沿革」(2026-10-26確認) |
| 2008年11月/2015年3月 | ある会社の株式取得により、そのグループを子会社化(2008年11月)。2015年3月、そのグループが別の会社に吸収合併されたことにより、連結の範囲から除外 | 有報 第21期「沿革」(2026-10-26確認) |
| 2011年4月/2014年11月 | ある会社の株式取得により子会社化(2011年4月)。別の会社の株式取得により子会社化(2014年11月。この会社は2026年3月期に清算された) | 有報 第21期「沿革」(2026-10-26確認) |
| 2019年3月29日 | 海外の製薬会社と、がんの薬エンハーツの全世界(日本を除く)での共同開発・販売の契約を締結。同社から13.5億米ドルの契約一時金を受領(有報の記載) | 有報 第21期「注記 共同開発及び共同販促」(2026-10-26確認) |
| 2020年7月27日 | 同じ海外の製薬会社と、がんの薬ダトロウェイの共同開発・販売の契約を締結。同社から10億米ドルの契約一時金を受領(有報の記載) | 有報 第21期「注記 共同開発及び共同販促」(2026-10-26確認) |
| 2020年10月1日 | 普通株式1株を3株とする株式分割(効力発生日)。この記事の5期の表(2022年3月期以降)の期間中に、株式分割はありません | 有報 第21期「新株予約権等の状況」の注(2026-10-26確認) |
| 2022年4月 | 東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い、市場第一部からプライム市場に移行 | 有報 第21期「沿革」(2026-10-26確認) |
| 2023年10月20日 | 別の海外の製薬会社と、開発中のがんの薬3つの全世界(日本を除く)での共同開発・販売の契約を締結。同社から3つの開発品についてそれぞれ15億米ドルの契約一時金を受領(有報の記載) | 有報 第21期「注記 共同開発及び共同販促」(2026-10-26確認) |
| 2024年4月 | 国内の子会社の株式を国内の企業に一部譲渡し、持分法適用関連会社(出資先の損益を持ち分に応じて取り込む会社)にした | 有報 第21期「沿革」(2026-10-26確認) |
| 2025年4月 | 当社が、国内の子会社2社を吸収合併 | 有報 第21期「沿革」(2026-10-26確認) |
| 2025年5月 | 開発中のがんの薬の1つについて、米国での非小細胞肺がんに係る承認申請を自主的に取り下げ(有報「研究開発活動」の記載) | 有報 第21期「研究開発活動」(2026-10-26確認) |
| 2025年6月 | がんの薬ダトロウェイについて、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんを対象とした米国での承認を取得(有報の記載) | 有報 第21期「経営者による分析」「研究開発活動」(2026-10-26確認) |
| 2025年12月〜2026年3月 | ADC製品の米国特許をめぐる特許侵害訴訟(一審は、損害賠償及びエンハーツの米国売上に対するロイヤルティの支払いを命じた)について、2025年12月、米国の控訴裁判所は当該特許は無効であるとして一審判決を取り消す判決を下し、相手方が期限の2026年3月2日までに不服申立て手続きを行わなかったため、特許係争は終結(有報の記載。法的な評価はこの記事では行いません) | 有報 第21期「事業等のリスク」(2026-10-26確認) |
| 2026年3月 | がんの薬エンハーツについて、HER2陽性(HER2遺伝子増幅 又は IHC 3+)の進行・再発の固形がんを対象とした日本での承認を取得(有報の記載) | 有報 第21期「経営者による分析」「研究開発活動」(2026-10-26確認) |
| 2026年3月31日/4月15日 | 取締役会で、一般用医薬品などを扱う国内の連結子会社の全株式を国内の飲料・食品を扱う会社に譲渡することを決議(3月31日)。4月15日に株式譲渡契約を締結(段階的に2029年度中に完了する予定) | 有報 第21期「重要な後発事象」(2026-10-26確認) |
| 2026年6月10日 | 自己株式31,457,200株を消却(2026年5月11日の取締役会決議に基づく。消却前の発行済株式総数の1.66%) | 有報 第21期「重要な後発事象」(2026-10-26確認) |
| 2026年6月19日 | 有価証券報告書(第21期)を提出。同日、2,000億円(3年・5年)のシンジケートローン(複数の銀行による協調融資)による借入を実行 | 有報 第21期「表紙」「重要な後発事象」(2026-10-26確認) |
| 2026年9月28日 | 適時開示:会社に対して提起されていた損害賠償等の請求訴訟について、2026年9月10日に東京地方裁判所が請求を全て棄却する判決を言い渡したあと、相手方が2026年9月24日に東京高等裁判所へ控訴したことを公表 | 適時開示(2026年9月28日・控訴提起のお知らせ)(2026-10-26確認) |
4️⃣ 直近の決算の数字(有報)
【有報】2026年3月期(第21期・連結・IFRS)
有報の連結の数字です。期間は2025年4月1日〜2026年3月31日、前期(第20期)は2024年4月1日〜2025年3月31日です。確認日は2026-10-26です。この表の主な数字は、有報に付く監査法人の監査報告書の対象となった連結財務諸表に基づきます(従業員数などは監査の対象外の記載です)。億円は百万円単位の数字を四捨五入したため、会社の説明文の数字と1億円ずれる場合があります。
| 指標(連結・IFRS) | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆1,230億円 | 1兆8,863億円 | +12.6% |
| 売上原価 | 6,690億円 | 4,158億円 | +60.9%(当サイト計算) |
| 販売費及び一般管理費 | 7,807億円 | 7,312億円 | +6.8%(当サイト計算) |
| 研究開発費 | 4,660億円 | 4,360億円 | +6.9% |
| その他の収益/その他の費用 | 221億円/3億円 | 287億円/1億円 | — |
| 営業利益 | 2,291億円 | 3,319億円 | −31.0% |
| 金融収益/金融費用 | 408億円/80億円 | 341億円/119億円 | — |
| 税引前利益 | 2,634億円 | 3,556億円 | −25.9% |
| 法人所得税費用 | 36億円 | 599億円 | — |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2,599億円 | 2,958億円 | −12.1% |
| 基本的1株当たり当期利益 | 140.44円 | 155.96円 | — |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 777億円 | 538億円 | +44.2%(当サイト計算) |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | −1,482億円 | +3,342億円 | — |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | −979億円 | −3,778億円 | — |
| 現金及び現金同等物(期末) | 4,498億円 | 6,398億円 | — |
| 総資産(期末) | 4兆54億円 | 3兆4,561億円 | +5,493億円(会社の説明) |
| 親会社の所有者に帰属する持分/比率(期末) | 1兆6,642億円/41.5% | 1兆6,234億円/47.0% | — |
| 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) | 15.8% | 17.9% | — |
出典:有価証券報告書 第21期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「連結財務諸表」(2026-06-19提出、2026-10-26確認)。現金及び現金同等物の4,498億円は連結財政状態計算書の値です。有報の「経営者による分析」は4,890億円と書いていますが、これは譲渡予定の子会社の現金392億円を「売却目的で保有する資産」へ振り替える前の値です(連結キャッシュ・フロー計算書の「売却目的で保有する資産への振替額」〈△392億円〉の行より・当サイトで差を確認)。キャッシュ・フロー=お金の出入りで、営業活動は本業の稼ぎや運転資金、投資活動は設備や有価証券・子会社株式などへの投資や売却、財務活動は借入・返済・社債・配当・自己株式の取得などによるものです。ROE(自己資本利益率)は、株主のお金に対する1年の利益の割合です。
会社は、営業利益の前期比−1,028億円の理由を「当期に製造委託先への損失補償等を一過性の費用に計上したことにより、減益となりました」と書き、税引前利益については「為替差損益の改善等により、金融収支が改善したため、営業利益に比べて減益額が縮小いたしました」、当期利益については「法人税等の減少により、税引前利益に比べて減益額が縮小いたしました」と書いています。売上収益の増加(前期比+2,368億円)については、エンハーツ等の伸長、ダトロウェイの売上寄与、円安の進行による為替の増収影響等を理由に挙げ、為替の増収影響は218億円(コア営業利益では147億円)としています。期中平均レートは、1米ドルが152.57円から150.78円、1ユーロが163.74円から174.79円でした。
【有報】会社が示す「コアベース」の数字
会社は、IFRSの数字とは別に、一過性の収益・費用を除いた「コアベース」の数字を有報の「経営者による分析」に載せています(会社独自の指標で、IFRSの指標ではありません)。IFRSの営業利益とコア営業利益の差が、会社が「一過性」に分類した項目です。
| 項目(コアベース・億円) | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 21,230 | 18,863 | +12.6% |
| 売上原価 | 4,413 | 4,157 | +6.2% |
| 販売費及び一般管理費 | 8,596 | 7,248 | +18.6% |
| 研究開発費 | 4,621 | 4,329 | +6.8% |
| コア営業利益 | 3,600 | 3,128 | +15.1% |
| 一過性の収益 | 221 | 222 | −0.3% |
| 一過性の費用 | 1,530 | 31 | — |
| 営業利益(IFRS) | 2,291 | 3,319 | −31.0% |
出典:有価証券報告書 第21期「経営者による分析」(連結業績〈コアベース〉)(2026-10-26確認)。会社は、販売費及び一般管理費の増加の理由として、海外の提携先の製薬会社との利益分配(プロフィット・シェア)の増加による費用増等を、研究開発費の増加の理由として、開発中のがんの薬への研究開発投資の増加等を挙げています(社名は一般名に置き換えています)。
【有報】5期の推移
| 期(連結・IFRS) | 売上収益 | 税引前利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 基本的1株当たり当期利益 | 親会社所有者帰属持分比率 | ROE | 株価収益率(有報の表・参考) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第17期(2022年3月期) | 1兆449億円 | 735億円 | 670億円 | 34.94円 | 60.8% | 5.1% | 76.7倍 |
| 第18期(2023年3月期) | 1兆2,785億円 | 1,269億円 | 1,092億円 | 56.96円 | 57.6% | 7.8% | 84.7倍 |
| 第19期(2024年3月期) | 1兆6,017億円 | 2,372億円 | 2,007億円 | 104.69円 | 48.8% | 12.8% | 45.6倍 |
| 第20期(2025年3月期) | 1兆8,863億円 | 3,556億円 | 2,958億円 | 155.96円 | 47.0% | 17.9% | 22.5倍 |
| 第21期(2026年3月期) | 2兆1,230億円 | 2,634億円 | 2,599億円 | 140.44円 | 41.5% | 15.8% | 19.7倍 |
出典:有価証券報告書 第21期「主要な経営指標等の推移」(2026-10-26確認)。2020年10月1日の1株を3株にする株式分割は表の期間より前で、表の期間中に株式分割はありません(有報の発行済株式総数の推移と注記から)。株価収益率(PER)は、有報の表にある、年度末の株価と1株当たり当期利益から計算された倍率で、確認日時点の株価で計算した倍率ではありません。倍率が高いか低いかの評価はしません。
【有報】本業以外の損益項目と一過性の項目(上がる側にも下がる側にも)
2026年3月期は、営業利益の動き(−31.0%)と、当期利益の動き(−12.1%)が大きく違います。営業利益に含まれる「その他の収益・費用」や一過性の項目、営業利益より下の項目を、利益を増やす項目と減らす項目の両方で並べます。
| 項目(連結) | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 内訳・会社の説明(有報) |
|---|---|---|---|
| 損失補償金及び損失補償引当金の繰入額(費用) | 1,859億円 | — | うち損失補償引当金への繰入1,822億円。内訳は、ADC製品の製造委託に係る1,695億円(有報は、臨床試験結果等を踏まえて供給計画を見直し、リスク調整を織り込んだ新たな供給計画に変更した結果、製造委託契約の年別の最低購入義務との間に差異が生じたため、と書いています)(どの臨床試験のどんな結果かは有報に書かれておらず、この記事は特定の治験の結果や製品の評価について何も述べていません)と、国内工場の一部の設備投資を中止する意思決定に伴う127億円。有報は「具体的な損失補償の発生年度とその額は…現時点では未定」とし、見積りの前提が異なる結果になれば翌年度に修正する可能性があると書いています |
| 環境対策引当金の繰入(費用) | 160億円 | — | 旧工場跡地の土壌浄化対策で、同工場南側敷地に追加の対策が必要と判明したため新たに計上(有報の注記) |
| 減損損失(費用) | 60億円 | 31億円 | 「主な費用の性質に関する情報」の注記 |
| 子会社清算益(その他の収益) | 168億円 | — | 子会社の清算によるもの(有報の注記) |
| 前期にあった収益(その他の収益) | — | 子会社売却益163億円、固定資産売却益38億円、仲裁費用の受領75億円 | 子会社売却益は国内の子会社の出資持分の譲渡によるもの(有報の注記) |
| 金融収益/金融費用 | 408億円/80億円 | 341億円/119億円 | 有報は、為替差損益の改善等により金融収支が改善したと書いています |
| 法人所得税費用/実際負担税率 | 36億円/1.4% | 599億円/16.8% | 税率の差の主な項目は、試験研究費等の税額控除(今期−23.8%、前期−11.6%)と連結子会社清算の影響(今期−5.7%、前期0.0%)。法定実効税率は両期とも30.5%(有報の注記) |
出典:有価証券報告書 第21期「連結損益計算書」「注記 引当金」「注記 主な費用の性質」「注記 その他の収益及び費用」「注記 法人所得税」(2026-10-26確認)。内訳は主なものだけで、すべてではありません。損失補償の引当金は、会社の見積りです。このほか、有報の「その他の収益」の注記には、前期に固定資産売却益として国内の支店ビルの売却益などが含まれると書かれています。
【有報】お金の出入り・自己株式・配当
- キャッシュ・フロー:営業活動は777億円の収入(前期538億円)。会社は、税引前利益2,634億円、減価償却費及び償却費775億円などの非資金項目のほか、開発中のがんの薬の戦略的提携の契約一時金の収入があった一方で、運転資金の増加等があったと書いています。貸借対照表では、棚卸資産が6,924億円(前期末5,149億円・当サイト計算で+34.5%)、営業債権及びその他の債権が7,411億円(同6,191億円)です。投資活動は1,482億円の支出、財務活動は979億円の支出(社債の発行による収入があった一方で、自己株式の取得と配当金の支払い等)でした。
- 借入・社債:連結の社債及び借入金(流動と非流動の合計)は3,005億円(前期末1,013億円・当サイト計算)です。有報は、2025年に償還年限が3年〜10年の無担保社債を計2,000億円発行したと書いています。決算日のあとの2026年6月19日には、シンジケートローン2,000億円の借入を実行しました(返済期限は2029年6月19日と2031年6月19日。借入契約には、連結の資本合計を直前の決算期末の75%以上に維持することなどの特約があると有報の後発事象に書かれています)。2026年5月29日の取締役会では、国内無担保普通社債の発行の包括決議(上限2,000億円・2026年6月1日〜2027年5月31日)も行われています。
- 自己株式の取得:2025年4月25日の取締役会決議(取得株数の上限8,000万株・取得総額の上限2,000億円・取得期間2025年5月1日〜2026年3月24日・東京証券取引所での市場買付)に基づき、当期に31,457,200株(918億円)を取得しました(取得期間の終了時点で使われなかった枠は48,542,800株・1,082億円)。この全株式は2026年6月10日に消却されました。このほか、前の決議(2025年2月28日)に基づく当期の取得4,069,300株(146億円)などがあり、有報の「経営者による分析」は当期の自己株式の取得を4,720万株・1,505億円と書いています。
- 配当:有報の配当政策は、「配当を安定的に維持することを基本方針」とし、決定機関は「期末配当については株主総会、中間配当については取締役会」と書いています。2026年3月期の配当は、2025年10月31日の取締役会決議による中間配当1株39円(総額727億円)と、2026年6月22日の定時株主総会の決議事項とされた期末配当1株39円(総額715億円、有報の提出時点では予定)で、年間78円です。期末配当の最終的な決議の結果は、この記事では確認していません。
5️⃣ 会社自身が挙げているリスク
以下は有報(第21期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社は「重大リスク」として12項目を挙げ、さらに「エマージング・リスク」(新しいリスクで、複数年にわたる影響が生じうる可能性があり、初期的な検討は始めているが全容は把握できていないもの)も別に挙げています。ここでは5つを紹介します。提携先・訴訟の相手の社名は一般名に置き換えています。原文は有価証券報告書 第21期「事業等のリスク」でご確認ください。
- ①研究開発・他社とのアライアンス等に関するリスク:会社は、新薬候補品の研究開発には多額の費用と長い年月が必要で、その間に有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があること、「承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性」があること、「第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合」に経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があること、「開発計画の変更により、設備投資が過剰となり投資額を回収できない、あるいは過剰在庫が発生し廃棄費用が生じる可能性」があることを書いています。重点領域のがん領域で海外の製薬会社2社と戦略的提携を結んでおり、当該品目で研究開発・承認申請・上市の遅延や販売計画からの進捗遅延が生じた場合に悪影響を及ぼす可能性があるとも書いています。対応として、共同委員会による提携の管理や、当局との継続的なコミュニケーションを挙げています。
- ②外部環境変化(競争環境変化含む)及び計画の変動に関するリスク:「競合他社による新薬の上市、既存治療薬の適応拡大、あるいは次世代技術の台頭など、他社との激しい競争環境にあります」「各国の医療財政の逼迫に伴う薬価抑制策の導入や、治療ガイドラインの更新といった市場環境の変化が、製品需要に大きな影響を与える可能性があります」と書いています。さらに、製造委託先との契約に年別の最低購入義務があり、これを満たせない場合には「補償金の支払いの必要が生じる可能性があります」「当該契約は長期にわたることから、将来において同様の差異が生じる可能性があり、その結果、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いています。対応として、需要見通しと契約条件の差を継続的に把握し、契約条件の見直しの協議や生産体制の最適化を行うことを挙げています。
- ③医薬品の品質問題や副作用に関するリスク:「生産、供給過程等に起因する品質問題や、販売後に予期せぬ副作用の発現が生じる可能性があります」「これらの事象が発生した場合、患者さんへの影響に加え、製品回収、販売中止、業務停止等の措置、並びに訴訟・損害賠償等、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いています。対応として、品質管理の基準に適合する管理体制の強化や、副作用情報の収集と医療現場への情報提供を挙げています(会社の自己申告の紹介で、個々の製品の安全性についてこの記事は何も述べていません)。
- ④法規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク:「薬価基準の改定をはじめとして、医療制度や健康保険に関する行政施策の動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります」と書き、海外についても同様としたうえで、例として「米国における最恵国待遇薬価政策の導入」や、これと関連する薬価抑制を目的とした政策動向(インフレ抑制法〈IRA〉の運用見直しを含む)を挙げ、これらが「ADC製品を含む米国における販売や収益性に重大な影響を与える可能性があります」と書いています。対応として、薬価制度改革などの行政動向の継続的な注視と、業界団体等を通じた政府への要望の検討を挙げています。
- ⑤知的財産権に関するリスク/訴訟に関するリスク(有報では別々の2項目。ここではまとめて紹介):「ADCに代表されるバイオ医薬品や新規モダリティ医薬品のパイプラインの増大、及びジェネリック医薬品市場の拡大を背景に、訴訟提起等を含め、当社グループの知的財産権に関するリスクが一層増大する可能性があります」と書き、訴訟については「医薬品の副作用、製造物責任、労務問題及び公正取引に関する問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります」と書いています。知的財産権の項目に、特許係争が2026年3月に終結した経緯(この記事の3節)が書かれています。
出典:有価証券報告書 第21期「事業等のリスク」(2026-06-19提出、2026-10-26確認)。有報のリスクには、このほか、海外における事業展開(地政学・各国の法規制・米国の関税政策を含む通商政策)、製造・仕入れ(自然災害や、特定の取引先に供給を依存する製品の品質問題)、環境・安全、法令違反、金融市況及び為替変動、情報セキュリティ、人材、AIの利活用(エマージング・リスク)が並びます。これらは2026年6月時点の有報の記載です。2026年9月28日の適時開示(この記事の6節)は、有報の提出より後に公表されたもので、有報の本文には、この訴訟を指す記載を当サイトの検索では見つけられませんでした。
6️⃣ 上がる材料/下がる材料
ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。
以上が、いま公開情報から拾える材料です。どれが重いか、どう見るかはご自身で。この記事は上がる・下がるの結論を出していません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。
※ 材料の数は左右6件ずつでそろえています。上の内容は開示の要約で、どちらが重いかの判断や将来の予測はしていません。製品名は売上の説明のための事実として挙げており、効き目や安全性について述べるものではありません。承認・申請などの日付と事実は有報の記載のとおりで、承認の見通しや売上の見通しは書いていません。
7️⃣ これから何を見れば分かるか
次の決算発表の日は、当サイトの決算予定データ earnings-calendar.json に第一三共が載っておらず、一次情報でも確かめられていません。2026年10月26日時点のTDnetでは、第2四半期(2026年4〜9月)の決算短信は見つかりませんでした。会社のIRサイト(投資家向けの情報を載せたページ)でご確認ください。決算短信には、通期の連結業績予想や配当予想が載ることがありますが、この記事は会社の予想の数字を扱わないので、数字は書きません。
- 主力のがんの薬の売上(地域別)と、承認・申請の進み方:2026年3月期は、エンハーツが8,195億円(前期比+25.8%)、ダトロウェイが米欧344億円・日本131億円。次の開示で、地域別の売上と、承認・申請の進み方がどう書かれるか
- 一過性の費用と、引当金の動き:営業利益2,291億円とコア営業利益3,600億円の差(一過性の費用1,530億円)。損失補償引当金(2026年3月期末の残高1,822億円)の残高や、見積りの変更が、次の開示でどう書かれるか
- 訴訟の開示:2026年9月28日の適時開示のあと、控訴審の経過や、連結業績への影響の精査の結果が、適時開示や決算の注記でどう書かれるか
- お金の出入りと資本政策:営業活動によるキャッシュ・フロー、棚卸資産、社債及び借入金、配当、自己株式の取得(取締役会の決議や適時開示で)。有報の配当政策には、期末配当は株主総会、中間配当は取締役会が決定機関と書かれています
- 国内子会社の譲渡の進み方:有報の日程では、2026年7月1日が第1回の譲渡の予定日でした。実行されたか、売却益がどの期にどれだけ計上されたかは、この記事では確認していません
- 有報(第22期)の「事業等のリスク」:この記事の5節は2026年6月の有報の記載です。2027年3月期の有報で、リスクの項目や書き方がどう変わるか
有価証券報告書と半期報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説に、適時開示のしくみはこちらの解説にまとめています。
8️⃣ まとめ
結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①主力のがんの薬の売上(地域別)と、承認・申請の進み方、②一過性の費用と引当金(営業利益とコア営業利益の差)、③お金の出入りと資本政策(営業活動によるキャッシュ・フロー、棚卸資産、借入、配当と自己株式)。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。
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⚠️ 当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録もしていません。本記事は金融庁の開示システム(EDINET)に提出された有価証券報告書や、証券取引所の適時開示などの一次情報に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示、将来の業績・株価・為替・薬価・景気の予測、株価水準に関する評価的な断定、薬の効き目・安全性・承認や売上の見通しの評価は行っていません。会社の方針・計画・見方として引用した内容は、あくまで「会社がそのように公表している」という事実の紹介で、この記事の見方ではありません。文中に出てくる会社や機関の種類は、産業の構造を説明するための一般名で、特定の会社の株式をおすすめするものではありません。訴訟については、会社の適時開示の記載を紹介したもので、結果を予想するものではありません。投資には元本割れのリスクが伴います。投資判断はご自身の責任で行ってください。