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🔬 数字で見る、話題の企業
⚠️ 本記事は公開情報(有価証券報告書等の一次情報)に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示や将来の業績・株価の予測は行っていません。投資には元本割れリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

🔬 古河電気工業(5801)を数字で見る|電線・光ファイバ・自動車部品の素材メーカーを有価証券報告書で確認

公開日:2026年10月21日 / 読了時間:約26分 / カテゴリ:数字で見る企業(第23回・日本株)

「数字で見る、話題の企業」シリーズ第23回は、1896年に電線の会社として設立され、いまは光ファイバ・電力ケーブル、自動車用ワイヤハーネス(自動車の中の電線を束ねた配線部品)、銅の加工品、放熱・冷却製品などを手がける素材・部品メーカー、古河電気工業株式会社(証券コード5801、以下「古河電工」)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。会社が金融庁の開示システム(EDINET)に提出した有価証券報告書(上場会社が決算期ごとに金融庁へ出す、事業や決算をくわしく書いた報告書。以下「有報」。第204期・2025年4月〜2026年3月)と、証券取引所を通じた適時開示をもとに、①事業の中身 ②製品が使われるつながりの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。初めて出てくる言葉は、その場で説明します。

📌 30秒でわかるこの記事
  • 2025年度(2026年3月期・第204期)の連結売上高は1兆3,076億円(前期比+8.8%)、営業利益(売上から原価と販売費・一般管理費を引いた、本業の利益)は639億円(同+35.8%)、経常利益は759億円(同+56.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は725億円(同+117.4%)でした(日本基準・連結=グループ全体の数字)。会社は増収の要因として、データセンタ関連製品と自動車部品の増収、銅地金価格の高騰の影響を挙げています。純利益には、投資有価証券売却益193億円や退職給付制度改定益194億円などを含む特別損益(純額)+291億円が入っています
  • 外部顧客への売上高の構成は、電装エレクトロニクス57.8%、インフラ27.8%、機能製品11.5%、サービス・開発等2.8%(当サイトの計算)。セグメントの営業利益はインフラが57億円から214億円へ増えた一方、サービス・開発等は67億円の損失でした。海外売上高比率は50.6%です。会社は2030年度の到達水準として、営業利益2,500億円・ROE(自己資本利益率)20%・ROIC(投下資本利益率)15%を公表しています(目標であり、予想ではありません)
  • この記事は有報(2026年3月期)と適時開示だけを根拠にしていて、2026年4月以降の四半期の決算は扱っていません。「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。上がる・下がるの結論は書きません
💡 なぜ古河電工か(選定根拠):本シリーズは日本株を中心にする方針で、直近3本(ルネサスエレクトロニクス・レゾナック・ホールディングス・りそなホールディングス)はすべて日本株でした。当サイトが機械的に集計する候補データ(edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-20時点)は、古河電工の登場を2026年10月9日・10月15日の2回と数えています。最後に登場した日から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)、有報の本文が取得できていること、当サイトのニュース記事と14日以内に重ならないこと、直近3本がすべて日本株であることを確かめたうえで、候補の中の1社として選びました(時価総額の金額や順位は本文に書きません)。

当サイトの解説記事に、この会社が主役の記事はありません。2026年6月19日のニュース記事に、同じ日の株式市場の値動きの中で社名が出る箇所が1つありますが、主役ではなく、14日より前の記事です。ランキングに登場した理由(なぜ値上がり・値下がり・出来高の増加があったか)は、一次情報で確かめられないため書きません。
数字の出どころと確認日(2026-10-21):決算の数字は、有価証券報告書 第204期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月24日提出)(同じ書類のPDF:EDINET公式のダウンロード)から引いています。古河電工は3月決算で、これが確認日の時点でいちばん新しい通期の報告書です。2026年9月以降の出来事は、TDnet(東京証券取引所の適時開示サイト。適時開示=上場会社が、株価に影響しうる情報を証券取引所を通じてすぐに公表する仕組み)の資料で確かめました。当サイトが一覧を閲覧できた2026年9月14日〜10月21日の間に、社名・証券コードで探して見つかった古河電工自身の開示は2件(2026年9月24日・9月25日、いずれも保有する上場株式の売却に関するもの)で、年表に載せています。この記事は有報と適時開示だけを根拠にしていて、2026年4月以降の四半期の決算(決算短信)は扱っていません。決算短信が掲載される東京証券取引所のサイトは、当サイトの調査環境から接続を拒否されて内容を取得できなかったため、その期間の数字や、会社がその時点で示した業績の予想・目標は書いていません。この記事の決算の数字は2026年3月期までのものです。最新の数字や会社の業績の予想は、会社のIRサイトやTDnetの最新の開示でご確認ください。なお、2030年度の到達水準や株主還元の方針など有報に書かれた会社の方針・目標は、会社がそう書いているという事実として紹介しています。億円の数字は、有報の「経営者による分析」に億円単位で書かれているものはそのまま、百万円単位の表から引いたものは当サイトが計算(億円未満四捨五入)したもので「約」を付けています。会社が文章に書いている言葉は、会社の書き方のまま引いています。

1️⃣ 古河電工はどんな会社か

有報の「事業の内容」によると、古河電工グループは、「インフラ、電装エレクトロニクス、機能製品の各事業において培われた技術を発展、応用した製品の製造販売を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究及びその他のサービス等の事業活動を展開して」います。連結の従業員数は49,112人(2026年3月31日現在・前期末は51,167人)で、うち電装エレクトロニクスが34,934人、インフラが9,319人、機能製品が2,503人、サービス・開発等が2,356人です。外部顧客への売上高のうち、連結売上高の10%以上を占める相手先はない、と有報に書かれています。会社は、グループのパーパス(存在意義)を「『つづく』をつくり、世界を明るくする。」とし、2030年の「ありたい姿」を「古河電工グループ ビジョン2030」と呼んでいます(出典:有価証券報告書 第204期「事業の内容」「従業員の状況」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「セグメント情報」、2026-10-21確認)。

💡 用語メモ:営業利益は、売上高から売上原価と販売費・一般管理費を引いた、本業の利益です。経常利益は、営業利益に、受取利息・受取配当金・持分法による投資損益(出資先の損益を、持ち分に応じて自社の決算に取り込むもの)などの本業以外の収益・費用を加えたものです。特別利益・特別損失は、経常利益のあとに加わる、その期に限った性格の強い項目(固定資産や有価証券の売却益、減損損失など)です。連結は、グループ全体を1つの会社とみなした数字です。日本基準は、日本の会計のルールで、古河電工の有報はこの基準で書かれています(国際ルールのIFRSを使う会社とは、項目の名前が一部違います)。セグメント(報告セグメント)は、会社が業績を管理・開示するときの事業の区分で、古河電工は4つに分けています。光ファイバは、光の信号を遠くまで送るガラスの細い線で、これを束ねて保護したものが光ファイバケーブルです。伸銅品は、銅や銅合金を板・条(帯状の板)・線・棒などに加工した製品です。巻線は、モーターやコイルに巻いて使う、絶縁の被膜をつけた金属線です(ここは一般的な説明です)。

古河電工は、報告セグメントを「インフラ」「電装エレクトロニクス」「機能製品」「サービス・開発等」の4つに分けています。2025年度から区分の一部を組み替えており、前期の数字も新しい区分に直して開示されています。各セグメントの主な製品は、有報に次のように書かれています。

セグメント主な製品・サービス(有報の記載の抜粋)外部顧客への売上高(2025年度)構成比営業利益(セグメント利益)前期
インフラ光ファイバ、光ファイバケーブル、光接続製品、光半導体デバイス、光送受信機、ネットワーク機器、電力ケーブル及び接続部品、産業用電線、送配電部品等3,639億円27.8%214億円57億円
電装エレクトロニクス自動車部品(ワイヤハーネス、ステアリング・ロール・コネクタ、バッテリ状態検知センサ、周辺監視レーダほか)、自動車用・産業用電池、銅線・アルミ線、巻線、伸銅品(条、線、棒)、貴金属めっき製品、特殊金属材料等7,562億円57.8%339億円326億円
機能製品ケーブル管路材、発泡製品、半導体製造用テープ、電子部品、放熱・冷却製品、ハードディスクドライブ用アルミブランク材、電解銅箔等1,508億円11.5%154億円141億円
サービス・開発等主に水力発電、新製品研究開発、不動産賃貸等366億円2.8%−67億円−54億円

出典:有価証券報告書 第204期「セグメント情報等」「収益認識関係」(2026-06-24提出、2026-10-21確認)。外部顧客への売上高と営業利益は百万円単位の表を当サイトが億円に換算(億円未満四捨五入)、構成比は連結売上高 1兆3,076億円に対する割合を当サイトが計算(四捨五入)。4つのセグメントの営業利益の合計は約640億円で、連結の営業利益(639億円)との差(約−1億円)は、有報の注記によると、主に未実現利益の消去等の調整額です。有報の「経営者による分析」には、セグメント間の内部取引を含む売上高(インフラ3,709億円〈前期比+20.0%〉、電装エレクトロニクス7,651億円〈+3.9%〉、機能製品1,611億円〈+9.6%〉、サービス・開発等422億円〈+21.2%〉)も書かれています。この表の外部顧客への売上高とは数字が違うのは、内部取引を含むかどうかの違いです。

古河電気工業の2025年度(2026年3月期)の外部顧客への売上高の構成(4つの報告セグメント)と、セグメントごとの営業利益(2025年度と2024年度の比較) 上:外部顧客への売上高の構成(連結・2025年度・単位:億円・構成比は当サイトの計算) インフラ 3,639(27.8%) 電装エレクトロニクス 7,562(57.8%) 機能製品 1,508(11.5%) サービス・開発等 366(2.8%) 合計は連結売上高 1兆3,076億円です(セグメント間の内部取引は含みません)。 下:セグメントごとの営業利益(セグメント利益・単位:億円・濃い色が2025年度、薄い色が2024年度) インフラ 214 57 電装エレクトロニクス 339 326 機能製品 154 141 サービス・開発等 −67 −54 灰色の棒は営業損失(マイナス)です。上と下は別の切り口で、棒の長さの目盛りも違います。 営業利益の合計(約640億円)と連結の営業利益(639億円)の差は、未実現利益の消去などの調整額です。
▲ 有価証券報告書 第204期「セグメント情報等」「収益認識関係」(百万円を億円に換算、2026-10-21確認)。構成比は連結売上高に対する割合を当サイトが計算したもの(四捨五入)。前期の営業利益は、有報が新しい区分に直して開示している数字です。※概念を示すイメージ図です。

外部顧客への売上高の内訳を、有報の「収益認識関係」でさらに見ると、インフラのうち「情報通信ソリューション事業」が2,276億円(前期1,643億円)、「エネルギーインフラ事業」が1,363億円(前期1,391億円)、電装エレクトロニクスのうち「自動車部品・電池」が4,112億円(前期4,201億円)、「電装エレクトロニクス材料」が3,450億円(前期3,076億円)です(百万円単位の表を当サイトが換算)。売上を顧客の所在地で分けると、日本が6,456億円(49.4%)、アジア(中国を除く)が2,902億円、北中米が1,786億円、中国が1,257億円、その他が675億円で、会社は海外売上高比率を50.6%(前期比−2.4ポイント)と書いています。

2️⃣ 製品が使われるつながりの中のどこにいるか

次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、古河電工の製品が、情報通信・電力と、自動車・産業向けの流れのどこで使われているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。古河電工は、素材(金属やポリマー)の加工技術をもとに、ひとつの完成品ではなく、完成品の中や、完成品をつなぐ設備に使われる部材・部品を作る立場にいます。会社は、4つのコア技術として「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」(光の技術)「高周波」を挙げています。

古河電気工業が立っている工程の地図。上段は情報通信・データセンター関連の流れ(半導体・電子部品、光通信の部品・機器、サーバー・ネットワーク機器、通信ネットワーク、電力の供給網)、下段は自動車・産業向けの流れ(非鉄金属などの原材料、電線・銅の加工品・自動車部品、完成品メーカー、最終の利用者)。古河電工グループの製品が入る箇所を濃い枠で示す。外側の枠組みとして景気や顧客の設備投資、通商政策、為替、原材料価格があり、会社が有価証券報告書のリスクで挙げている 工程の地図(色の濃い枠=古河電工グループの製品が入る箇所) A 情報通信・データセンター関連の流れ(一般的な工程を簡単にしたもの) 半導体・電子部品 の製造 [機能製品] 半導体製造用 テープ 高周波基板用 電解銅箔 光通信の部品・ 機器の製造 [インフラ] 光半導体 デバイス 光コネクタ部品 光ファイバ サーバー・ネット ワーク機器の製造 [機能製品] 放熱・冷却 製品(水冷 モジュール など) 通信ネットワーク の構築 [インフラ] 光ファイバ ケーブル (超多心 ローラブル等) 電力の供給網 (送電・変電) [インフラ] 電力ケーブル (超高圧地中線 ・海底線 など) B 自動車・産業向けの流れ(一般的な工程を簡単にしたもの) 銅・アルミなどの 非鉄金属の原材料 電線・銅の加工品 ・自動車部品の製造 自動車・機器などの 完成品メーカー 最終の利用者 (個人・企業など) [電装エレクトロニクス] 自動車用ワイヤハーネス・銅の加工品(条・線・棒) 巻線(コイル用の被膜つき金属線)・特殊金属材料 (原材料には銅・アルミなどの非鉄金属を使う) 外側の枠組み:景気・顧客の設備投資・通商政策・為替・銅などの原材料価格 会社が有価証券報告書の「事業等のリスク」や「経営者による分析」で挙げているもの つながりが弱まる条件:顧客の設備投資の変化・供給の滞り・競争・品質問題など 会社自身が有価証券報告書の「事業等のリスク」で挙げているもの(この記事の5節) ※矢印は「製品や取引が流れる方向」を示す事実の関係です。業績や株価が連動する方向を示すものではありません。 ※濃い枠は有報で製品が確認できる箇所で、各箇所での売上の大きさを示すものではありません。
▲ 製品が使われる流れの中での古河電工グループの位置(概念図)。流れの並びは一般的なしくみを簡単にしたもので、有報の言葉ではありません。濃い枠の製品名は、有報の「経営者による分析」「研究開発活動」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に出てくるものから、一般名で選んだ例で、すべてではありません(2026-10-21確認)。白い枠は役割の一般名で、特定の会社や機関を指すものではありません。※概念を示すイメージ図です。

この流れの中に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。外部顧客への売上高では、インフラのうち情報通信ソリューション事業が2,276億円(連結売上高の17.4%)、機能製品が1,508億円(11.5%)、電装エレクトロニクスが7,562億円(57.8%)です。会社は有報で、データセンター関連の事業に含まれるものとして、光ファイバ・ケーブル、放熱・冷却(サーマル)、光半導体デバイス、半導体製造用テープ、メモリーディスク、銅箔、光電融合デバイスなどを挙げています(会社の表記を当サイトが一般名に言い換えました)。なお、データセンター向けの売上高そのものの金額は、この記事で読んだ範囲の有報の文章には書かれていません。上の図の濃い枠は、製品が使われる場所を示すもので、売上の大きさを示すものではありません。

このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報で挙げています。「政治経済情勢」のリスクとして、「景気悪化や顧客の設備投資、購買施策の変化による需要減退の影響が事業全体に及ぶことによる収益の低下」と「競争激化による製品及びサービスの優位性の低下」を挙げ、「国際紛争の影響拡大に伴う、国家群間での経済制裁の影響等によるサプライチェーンの寸断」や「特定の購入先への供給依存による供給不足、供給停止」も書いています。データセンター領域については、「市場環境の変動リスクが大きいため、市況をいち早く捉え即座にアクションを起こせるように、主要顧客からの信頼感を一層高め共創関係の構築を強化します」と書いています(出典:有価証券報告書 第204期「事業等のリスク」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、2026-10-21確認)。

産業のつながりがあることと、株価が連動することは別です。同じ工程にいる会社でも、業績も株価も会社ごとに大きく異なります。ここでお伝えしているのは産業構造の事実であって、値動きの予想ではありません。AIやデータセンターの需要、銅の価格、為替の先行きについても、この記事は何も予想していません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。

3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事

各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。この年表は、有価証券報告書と適時開示だけで作っています(Wikipediaなどの二次情報は使っていません)。取引先・出資先・提携先・子会社の社名は、この記事では書いていません(出典には書かれています)。

年月出来事出典
1896年6月横浜電線製造株式会社として設立有価証券報告書 第204期「沿革」(2026-10-21確認)
1920年4月別の会社から日光電気精銅所(現・日光事業所)を取得し、商号を現在の古河電気工業株式会社に変更有価証券報告書 第204期「沿革」(2026-10-21確認)
1949年5月株式を東京証券取引所に上場有価証券報告書 第204期「沿革」(2026-10-21確認)
1981年4月非鉄金属の総合メーカーとして将来の発展を図るため、別の金属会社を吸収合併有価証券報告書 第204期「沿革」(2026-10-21確認)
2001年11月米国の通信関連会社(当時)の光ファイバ・ケーブル部門を買収(有報は、これを現在の連結子会社の一つと記載)有価証券報告書 第204期「沿革」(2026-10-21確認)
2005年1月/2015年4月/2016年10月2005年1月に電力事業部門を持分法適用関連会社へ営業譲渡。2015年4月に海外電力ケーブル事業、2016年10月に国内電力ケーブル事業を、同じ会社から譲り受けた有価証券報告書 第204期「沿革」(2026-10-21確認)
2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しにより、市場第一部からプライム市場へ移行有価証券報告書 第204期「沿革」(2026-10-21確認)
2024年7月23日取締役会で、電池事業を行う上場子会社の株式(所有割合57.30%)のすべてを、公開買付けなど一連の手続きの後に譲渡すること、および買い手側の持株会社の株式(所有割合約20%)を取得することなどを定めた契約の締結を決議有価証券報告書 第204期「企業結合等関係(事業分離)」(2026-10-21確認)
2025年4月光ファイバ・ケーブル事業の再編を実施し、同事業を新設した連結子会社に承継(ブランド名はLightera)有価証券報告書 第204期「沿革」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-21確認)
2025年6月監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行有価証券報告書 第204期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-21確認)
2025年10月メタル電線事業の再編を実施し、同事業を連結子会社に承継有価証券報告書 第204期「沿革」(2026-10-21確認)
2025年12月電池事業を行う子会社の株式を譲渡し、同社は連結の範囲から除外された(事業分離日は2025年12月24日。その期の連結損益計算書に含まれる当該事業の売上高は約590億円、営業利益は約18億円)有価証券報告書 第204期「沿革」「企業結合等関係(事業分離)」(2026-10-21確認)
2025年12月11日/2026年2月10日12月11日の取締役会で、超高圧電力ケーブルなどを作る中国の連結子会社の全持分の譲渡を決議し、2026年2月10日に譲渡。会社は理由を「今後の中長期的な市場拡大を前提としても現体制のままでの当期純利益の黒字化は困難と判断」と書いている有価証券報告書 第204期「企業結合等関係(事業分離)」(2026-10-21確認)
2026年3月持分法適用関連会社の解散に伴い、同社は持分法適用範囲から除外された。また、3月1日に、退職給付制度を企業型確定拠出年金制度へ全面移行し、退職給付制度改定益194億円を特別利益に計上有価証券報告書 第204期「沿革」「追加情報」(2026-10-21確認)
2026年4月2026年度から、事業の組み替えや本部機能の事業部門への移管、CXO制(経営上の重要課題ごとに担当役員を置く体制)の導入など、執行力を強化する組織体制へ変更有価証券報告書 第204期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-21確認)
2026年6月24日有価証券報告書 第204期を提出EDINET 有価証券報告書 第204期(2026-10-21確認)
2026年7月1日2026年5月12日の取締役会決議に基づき、普通株式1株を10株に分割(効力発生日は2026年7月1日。分割前の発行済株式総数70,666,917株、分割後706,669,170株。資本金の額に変更なし)有価証券報告書 第204期「重要な後発事象」(2026-10-21確認)
2026年9月24日/9月25日保有する上場株式1銘柄(政策保有株式)の売却を発表(理由は「政策保有株式の削減および成長資金の確保」と記載)。9月25日に売却を実行し、売却益約217億円を2027年3月期第2四半期に特別利益として計上すると開示。業績予想への織り込みについての会社の説明は原文でご確認ください(この記事は業績の予想を扱いません)。売却された側の会社も同日に開示していますTDnet 適時開示(古河電工・2026-09-24)、TDnet 適時開示(古河電工・2026-09-25)(2026-10-21確認)

持分法適用関連会社=出資先の損益を、持ち分に応じて自社の連結の数字に取り込む会社です。承継=会社分割などで、事業を別の会社に引き継がせることです。監査等委員会設置会社=取締役会の中に、取締役の職務を監査する委員会を置く形の株式会社です。企業型確定拠出年金制度=会社が掛金を拠出し、従業員が運用方法を選ぶ年金制度です。政策保有株式=取引先との関係維持などのために持つ株式です。所有割合=発行済みの株式のうち、その会社が持つ割合です。

4️⃣ 直近の決算の数字(有報 第204期)

まず、有報 第204期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月24日提出)の連結の数字です(日本基準)。有報の財務諸表(決算書)は、会社の外の監査法人による監査(決算の数字が正しいかを確かめること)を受けています。前期(2025年3月期)の数字は、企業結合に係る暫定的な会計処理(買収した会社の資産などの金額を、いったん仮の金額で処理すること)が確定したことを反映した後の数字です。確認日は2026-10-21です。

指標(連結・日本基準)2025年度(2026年3月期)2024年度(2025年3月期)増減
売上高1兆3,076億円1兆2,018億円+8.8%
営業利益639億円約470億円+35.8%
経常利益759億円約485億円+56.4%
税金等調整前当期純利益1,049億円約540億円約+509億円
親会社株主に帰属する当期純利益725億円約334億円+117.4%
1株当たり当期純利益1,030.17円473.36円—
自己資本利益率(有報の表の定義)19.12%9.96%—
自己資本比率(期末)39.1%34.6%+4.5ポイント
総資産(期末)1兆664億円約9,881億円+783億円
純資産(期末)4,352億円約3,738億円+615億円
有利子負債(借入金・社債・コマーシャル・ペーパーの合計、期末)3,167億円約3,062億円+105億円
設備投資(有形・無形固定資産の増加額)約567億円約386億円+46.8%
研究開発費約284億円約254億円+11.7%
営業活動によるキャッシュ・フロー281億円約598億円−317億円
投資活動によるキャッシュ・フロー−471億円約−72億円約−399億円
財務活動によるキャッシュ・フロー+199億円約−442億円+641億円
現金及び現金同等物(期末)705億円約661億円+44億円
従業員数(連結・期末)49,112人51,167人−2,055人

出典:有価証券報告書 第204期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「連結損益計算書」「設備投資等の概要」「研究開発活動」(2026-06-24提出、2026-10-21確認)。「約」を付けた数字は百万円単位の表を当サイトが億円に直したもの(億円未満四捨五入)、「約」を付けていない数字は有報の「経営者による分析」に億円単位で書かれたもの(前期の有利子負債は有報の増減額から当サイトが計算)です。営業活動によるキャッシュ・フロー=本業の稼ぎや運転資金の増減によるお金の出入りです。投資活動によるキャッシュ・フロー=設備や有価証券などへの投資によるお金の出入りです。財務活動によるキャッシュ・フロー=借入や返済、株主への配当などによるお金の出入りです。自己資本利益率(ROE)=株主のお金(自己資本)でどれだけ利益を出したかを表す割合です。有報の表の自己資本利益率は19.12%で、会社が経営指標に掲げるROEは19.1%です。なお、会社は2026年7月1日付で普通株式1株を10株に分割しています(有報「重要な後発事象」)。表の1株当たり当期純利益と本文の1株当たり配当金は分割前の基準の数字で、分割が前期の初めに行われたと仮定すると1株当たり当期純利益は103.01円(前期47.33円)と有報に書かれています。

会社は、2025年度の業績を次のように説明しています。「光ファイバケーブル等のデータセンタ関連製品の増収、ワイヤハーネス等の自動車部品での増収、また銅地金価格の高騰の影響により、グループ全体の売上は増加しました。損益面では、売上増による利益押上げに加えて生産性改善や販売価格の適正化に取り組んだことにより増益となりました」。セグメントごとの会社の説明は、次のとおりです(セグメントの売上高は内部取引を含みます)。

古河電気工業の連結売上高と、親会社株主に帰属する当期純利益の推移。2021年度から2025年度(2022年3月期から2026年3月期) 上:連結売上高(日本基準・単位:億円・億円未満四捨五入) 9,305 10,663 10,565 12,018 13,076 下:親会社株主に帰属する当期純利益(日本基準・単位:億円・億円未満四捨五入) 101 159 65 334 725 2021年度 (2022年3月期) 2022年度 (2023年3月期) 2023年度 (2024年3月期) 2024年度 (2025年3月期) 2025年度 (2026年3月期) 上と下で縦の目盛りが違います。決算期は各年4月から翌年3月までです。
▲ 有価証券報告書 第204期「主要な経営指標等の推移」の数値(百万円)を億円に換算して作成(億円未満四捨五入、2026-10-21確認)。決算期は4月から翌年3月までで、「2025年度」は2025年4月〜2026年3月です。この表は日本基準で、5期とも同じ基準です。2024年度の数字は、暫定的な会計処理の確定を反映した後のものです。※概念を示すイメージ図です。

5期の数字では、連結売上高は9,305億円(2021年度)から1兆3,076億円(2025年度)へ、親会社株主に帰属する当期純利益は101億円から725億円へと動きました。この間、2023年度(2024年3月期)は売上高が1兆565億円(前期比で微減)、純利益が65億円と、数字が下がった期もありました(出典:同有報「主要な経営指標等の推移」)。

経常利益などに含まれる「本業以外」の項目

営業利益と純利益のあいだには、営業外の収益・費用、特別利益・特別損失、税金が入ります。2025年度は、特別損益(純額)が約291億円の利益(特別利益402億円、特別損失111億円)で、前期の約55億円の利益から増えました。主な項目には、利益を増やす側と減らす側の両方があります。

主な項目(連結)2025年度2024年度利益への向き(2025年度)
持分法による投資利益約165億円約106億円押し上げ(前期より大きい)
受取配当金約30億円約22億円押し上げ
為替差益(△は為替差損)約2億円約−22億円押し上げ(前期は押し下げ)
投資有価証券売却益約193億円約104億円押し上げ
退職給付制度改定益約194億円—押し上げ
株式交換差益・受取保険金—約48億円・約20億円前期のみ(押し上げ)
貸倒引当金繰入額約−41億円約−0.4億円押し下げ
減損損失約−16億円約−26億円押し下げ
製品補償引当金繰入額—約−61億円前期のみ(押し下げ)
法人税等調整額(税金の費用側)約−96億円約+18億円押し下げ(前期は押し上げ)

出典:有価証券報告書 第204期「連結損益計算書」「連結損益計算書関係」「経営者による分析」(2026-10-21確認、百万円単位の表を当サイトが億円に換算)。表の符号は、利益に対する向きです。投資有価証券売却益は、有報の注記によると、2024年度・2025年度とも「主に政策保有株式の一部を売却したことによるもの」です。退職給付制度改定益は、退職一時金制度・確定給付企業年金制度・企業型確定拠出年金制度からなる従来の制度を、企業型確定拠出年金制度へ全面移行したことによるものです。貸倒引当金繰入額は、2025年度は「当社の連結子会社であった」中国の会社への貸付金に対して計上したものです。減損損失は、見込んでいた収益が得られなくなった設備などの帳簿価額を、回収できる金額まで減らす処理です。製品補償引当金繰入額(2024年度)は、電池子会社が過去に出荷した製品の不具合への対応費用と、過去に納品した電力の大型プロジェクトの不具合への対応費用(ケーブルの交換と費用の一部負担への合意)などです(2026年9月の売却益の開示は年表に記載)。こうした項目は期ごとに入る項目も金額も違い、同じ項目が今後も出るかどうかは、この記事で読んだ範囲の開示には書かれていないため、書きません。

会社の目標と、株主への還元の方針

会社は、2025年度を最終年度とする中期経営計画(会社の4年間の経営計画。以下「25中計」)の財務目標について、「全て達成いたしました」と書いています。2025年度の目標と実績は、ROIC(投下資本利益率)が6%以上に対して12.2%、ROEが11%以上に対して19.1%、Net D/Eレシオ(純有利子負債が自己資本の何倍か)が0.8以下に対して0.6、自己資本比率が35%以上に対して39.1%、連結売上高が1.1兆円以上に対して1.3兆円、連結営業利益が580億円以上に対して639億円、親会社株主に帰属する当期純利益が370億円以上に対して725億円でした。2026年度以降は、新しい考え方の経営に移り、「2030年度財務到達水準は、営業利益2,500億円、自己資本利益率(ROE)20%、投下資本利益率(ROIC)15%」と書いています。会社は、経営環境や財務状況を継続的に点検し、必要に応じて「財務到達水準も見直してまいります」とも書いています。2030年度までの5年間合計の投資額は6,500億円(うち注力分野投資は5,000億円)、フリーキャッシュフロー(一般には、営業活動で得たお金から投資に使ったお金を引いたもの)は5年間合計2,400億円を予定し、「2026、2027年度については、大型投資の実行のため一時的に資金調達が拡大する見込みですが、2030年度以降は、先行投資分の刈り取り等を踏まえて投下資本の増加を抑制しつつ収益性を高めます」と書かれています。これらは会社の目標と計画であり、当サイトの予測ではありません。

配当については、25中計の期間は親会社株主に帰属する当期純利益の30%を目途に業績に連動した配当を行う方針でした。2025年度の期末配当は、2026年6月26日開催予定の定時株主総会で承認された場合に1株当たり210円(分割前の基準。提出会社の1株当たり配当金は前期120円)とされています(有報の提出時点では株主総会の議案で、当サイトは承認の結果を確認していません)。今後は、2026年度から2030年度の期間について、「企業価値向上に向けた投資を進めたうえで、安定的な株主還元を行うことを基本方針とし」、現行の配当性向に代えて株主資本配当率(DOE=配当の総額が株主資本の何%にあたるか)を新しい指標とし、株主資本の3.5%を目途とした配当を行う、と書かれています。また、2027年3月期の配当は、「利益配分の機会を充実させること及び長期保有していただけるよう株価の動きを安定させることを意図して中間配当を再開する予定」と書かれています。

5️⃣ 会社自身が挙げているリスク

以下は有価証券報告書(第204期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社は、発生可能性と影響度の両方が「中」以上の重要なリスクとして19項目を挙げ、「経営視点のリスク」6項目と「オペレーショナル視点のリスク」13項目に分けています。ここではそのうち5つを紹介します。原文は有価証券報告書 第204期「事業等のリスク」でご確認ください。

このほか、有報は「法令違反等」のリスクに付けた注として、次のことを書いています。「当社は、自動車用部品カルテルに関し、ブラジル競争法当局の審査を受けております。また、米国での一連の自動車用部品カルテルによる損害の賠償を求める集団訴訟等において、当社や当社連結子会社がその被告となっております。このほか、自動車メーカー等の顧客に対して、当社又は当社関係会社が民事賠償金を支払う可能性があります」。会社は、「これまで複数の原告・顧客等との間で和解が成立し、上記継続案件の当社決算への潜在的な金額的インパクトは大きくないものと認識しております」と書き、継続案件はいずれも過去の競争法違反行為に関するもので、「現時点においてはこれらの行為は行われておりません」としています(会社の認識であり、結果を当サイトが保証するものではありません)。

出典:有価証券報告書 第204期「事業等のリスク」(2026-06-24提出、2026-10-21確認)。有報のリスクには、このほか、事業ポートフォリオ(収益性・成長性の停滞・悪化、M&A後の効果が期待に届かないこと)、新事業の創出、気候変動、人材・組織、人権・労働慣行、災害・感染症、情報システム・情報セキュリティ、研究開発・知的財産、従業員の安全・衛生、環境汚染・環境規制、固定資産の減損、資金管理、開示・ブランドなどが並びます。会社は、リスクを認識したうえで、リスク管理体制の整備・充実に努めると書いています。

6️⃣ 上がる材料/下がる材料

ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。

📈 上がる可能性がある材料
本業の利益が増えた。連結の営業利益は470億円から639億円(+35.8%)、売上高は1兆2,018億円から1兆3,076億円(+8.8%)になり、セグメント別ではインフラの営業利益が57億円から214億円へ増えた。会社は、データセンタ関連製品と自動車部品の増収に加え、生産性改善と販売価格の適正化に取り組んだことで増益になったと説明している。出典:有価証券報告書 第204期「経営者による分析」「セグメント情報」/確認日2026-10-21/効くと:本業の稼ぎの水準が、利益全体の土台になる
データセンター関連の領域に経営資源を集める方針と、そのための投資が書かれている。会社は「需要拡大が続くデータセンタ領域に経営資源を集中」すると書き、2025年度の設備投資は約567億円(+46.8%)で、光半導体デバイスや光ファイバの増強、データセンター向け水冷モジュールの新工場建設などを行った。2025年度に半導体製造用テープの新工場が稼働し、製品の安定供給を開始したとも書かれている。出典:有価証券報告書 第204期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「設備投資等の概要」「経営者による分析」/確認日2026-10-21/効くと:製造能力の増強が、売上や利益に結びつくかに関わる(受注や需要の動きは会社の方針とは別に決まる)
25中計の財務目標がすべて達成されたと会社が書いている。営業利益は目標580億円以上に対して639億円、親会社株主に帰属する当期純利益は370億円以上に対して725億円、ROEは11%以上に対して19.1%。さらに会社は、2030年度の財務到達水準を営業利益2,500億円・ROE20%・ROIC15%と公表している(目標であり、予想ではない)。出典:有価証券報告書 第204期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-21/効くと:会社が目標を数字で掲げており、達成度を毎期の開示で確かめられる
財務の体質を示す数字が改善した。自己資本比率は34.6%から39.1%(+4.5ポイント)、純資産は615億円増えて4,352億円、Net D/Eレシオは目標0.8以下に対して0.6だった。2026年9月には、保有する上場株式1銘柄を約283億円で売却し、売却益約217億円を2027年3月期第2四半期に特別利益として計上すると開示した(売却理由は「政策保有株式の削減および成長資金の確保」)。出典:有価証券報告書 第204期「経営者による分析」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」・TDnet適時開示(2026-09-24、09-25)/確認日2026-10-21/効くと:借入に頼る度合いが小さいほど、投資や金利の動きに対する余裕に関わる
株主還元の方針が書かれている。2025年度の期末配当は1株当たり210円(分割前の基準。株主総会の議案・提出会社の前期は120円)とされ、2026年度から2030年度は株主資本の3.5%を目途とする配当(DOE)を基本方針とし、2027年3月期は中間配当を再開する予定と書かれている。出典:有価証券報告書 第204期「配当政策」/確認日2026-10-21/効くと:1株当たりの数字や、株主に返されるお金の量に関わる(配当は会社の決議により変わる)
📉 下がる可能性がある材料
投資と借入の負担が大きくなっている。設備投資は約386億円から約567億円に増え、営業活動によるキャッシュ・フロー(281億円、前期比−317億円)より、投資活動の支出(471億円)が大きかった。有利子負債は3,167億円(+105億円)。会社は2030年度までの5年間で6,500億円の投資を予定し、「大型投資の実行のため一時的に資金調達が拡大する見込み」(2026、2027年度について)と書き、リスクにも「金利上昇による資金調達コストの増加」を挙げている。出典:有価証券報告書 第204期「経営者による分析」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」/確認日2026-10-21/効くと:投資の回収が進むまでのあいだ、借入や利払いが利益やお金の出入りに響く
原材料の価格、為替、通商政策の影響を受ける。会社は、電装エレクトロニクス材料事業の説明で「銅地金価格の高騰や円安の影響を受けたものの」増収増益と書き、機能製品事業の説明でも「銅地金価格の高騰や為替の影響を受けたものの」増収増益と書いている。グループ全体の売上の増加の要因にも「銅地金価格の高騰の影響」を挙げている。自動車部品事業の説明では、「米国の通商政策や為替、人件費の上昇等の影響を受け販売価格の適正化に取り組んだ」と書いている。リスクには、米ドルに対し1円円高につき年間で約5億円の減益を予想、と書かれている。出典:有価証券報告書 第204期「経営者による分析」「事業等のリスク」/確認日2026-10-21/効くと:原材料の価格や為替レートが動くと、売上や利益の金額が動く(会社は価格転嫁やヘッジに取り組むと書いている)
事業の入れ替えに伴う変化がある。電池事業を行う子会社が連結から外れ、自動車部品・電池の外部売上は4,201億円から4,112億円に減った。中国の子会社は、会社が「現体制のままでの当期純利益の黒字化は困難」と判断して全持分を譲渡し、その貸付金に貸倒引当金繰入額約41億円が出た。中国の事業用資産には、収益性の低下を理由とする減損損失も計上されている。従業員数も51,167人から49,112人になった。出典:有価証券報告書 第204期「企業結合等関係(事業分離)」「連結損益計算書関係」「収益認識関係」/確認日2026-10-21/効くと:事業を入れ替えるあいだは、売上の規模や費用の出方が前の期と単純に比べにくくなる
品質や法令に関わる費用が出る可能性が、リスクとして挙げられている。会社は、電力ケーブル、通信ケーブル、自動車用部品等で不具合が起きた場合の「多額な追加コスト」を挙げ、前期(2024年度)には製品補償引当金繰入額が約61億円出た。自動車用部品カルテルに関する審査と集団訴訟も続いている(会社は、潜在的な金額的インパクトは大きくないものと認識していると書いている)。出典:有価証券報告書 第204期「事業等のリスク」「連結損益計算書関係」/確認日2026-10-21/効くと:不具合や法令の問題が起きた場合に、補償や賠償の費用が決算に出る
本業以外の項目が純利益を大きく動かしている。2025年度の特別損益(純額)は約291億円の利益で、前期の約55億円から増えた。この中には、投資有価証券売却益約193億円、退職給付制度改定益約194億円が含まれる。一方で、貸倒引当金繰入額約41億円などの押し下げ項目もある。2026年9月には、保有株式の売却益約217億円を2027年3月期第2四半期に特別利益として計上すると会社が開示している(年表参照)。それ以外の項目が今後も同じ規模で出るかどうかは、この記事で読んだ範囲の開示には書かれていない。出典:有価証券報告書 第204期「連結損益計算書」「連結損益計算書関係」「経営者による分析」・TDnet適時開示(2026-09-24、09-25)/確認日2026-10-21/効くと:本業以外の項目の出方によって、経常利益や純利益の金額が前の期より大きく動くことがある

以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

※ 材料の数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来の予測は行っていません。会社の目標・計画・認識として書いた内容は、会社がそう公表しているという事実の紹介で、当サイトが実現を見込むものではありません。

7️⃣ これから何を見れば分かるか

次の決算(2027年3月期の第2四半期=2026年4〜9月)の発表日は、当サイトの決算予定データ earnings-calendar.json に古河電工が載っておらず、一次情報でも確かめられていません。会社のIRサイト(投資家向けの情報を載せたページ)でご確認ください。この記事で挙げた材料がその後どうなったかは、次の開示で確かめられます。直近の通期決算(2026年3月期)の有報は2026年6月24日に提出されています。2026年4〜6月(第1四半期)の決算短信は、この記事では取得できず、扱っていません。

有価証券報告書と半期報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説に、適時開示のしくみはこちらの解説にまとめています。

8️⃣ まとめ

結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①セグメント別の営業利益(特にインフラと機能製品の動きと、売上の中身)、②設備投資・有利子負債・営業キャッシュ・フローの関係(投資の負担と、本業でお金を生み出す力)、③本業以外の項目(特別損益・持分法による投資損益)を除いた営業利益の推移。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。

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