🔬 パナソニック ホールディングス(6752)を数字で見る|6つの事業を持つ総合エレクトロニクスメーカーを有価証券報告書で確認
「数字で見る、話題の企業」シリーズ第29回は、有価証券報告書の「事業の内容」に「総合エレクトロニクスメーカーとして関連する事業分野について国内外のグループ各社との緊密な連携のもとに、開発・生産・販売・サービス活動を展開しています」と書かれている、パナソニック ホールディングス株式会社(証券コード6752、以下「パナソニックHD」)を取り上げます。同じ書類は、製品の範囲を「電気機械器具のほとんどすべてにわたっており」とし、「コネクト」「エレクトリックワークス」「HVAC & CC」「エナジー」「インダストリー」「スマートライフ」の6つの報告セグメント(会社が事業の種類ごとに損益を区切って開示する単位)で構成していると書いています。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。①事業の中身 ②事業が置かれたつながりの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。初めて出てくる言葉は、その場で説明します。
この記事が根拠にしている書類は、有価証券報告書(上場会社が決算期ごとに金融庁へ出す、事業や決算をくわしく書いた報告書。以下「有報」)の1つです。第119期(2025年4月1日〜2026年3月31日)で、2026年6月19日に提出されました。会計基準はIFRS(国際財務報告基準)で、有報の「事業の内容」に「IFRSに基づいて連結財務諸表を作成しており」と書かれています。この会計基準では、連結の損益計算書の売上は「売上高」、本業の利益は「営業利益」と呼ばれ、「経常利益」という項目はありません。この記事は2026年3月期の有価証券報告書を根拠とし、直近四半期は扱っていません。証券取引所の適時開示(上場会社が株価に影響しうる情報を取引所を通じてすぐに公表する仕組み)も探しましたが、パナソニックHD自身の開示は見つかりませんでした(探し方は下の「数字の出どころと確認日」に書きました)。決算短信(上場会社が決算の内容を証券取引所に早く知らせる書類)は使っていません。会社の業績予想や中期の目標の数字は有報に載っていますが、この記事では扱いません。
- 2026年3月期(有報・連結・IFRS)の売上高は8兆487億円(前期比−4.8%)、営業利益は2,364億円(同−44.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,895億円(同−48.2%)でした(増減率は当サイト計算。会社の説明は「5%減」「45%減」「48%減」)。営業利益が減った理由として、会社は「インフレによる固定費増加や戦略投資の増加に加え、グループ経営改革に関する構造改革費用を計上したことなど」を挙げています。「その他の損益」は−2,375億円(前期−607億円)で、うち事業構造改革費用は1,697億円です。前期の売上高には、2024年12月に譲渡した車載機器事業の約8か月分(7,985億円)が含まれます
- 売上高(外部顧客向け・当サイト計算)の構成は、コネクト16.4%、スマートライフ15.5%、その他14.8%、HVAC & CC14.3%、インダストリー13.9%、エレクトリックワークス13.4%、エナジー11.7%。営業利益では、スマートライフが373億円の営業損失(前期は416億円の利益)、エナジーが前期から504億円の減益、コネクトが234億円の増益でした。会社は、データセンター向けの蓄電システムや生成AIサーバー向けの電子部品・材料の売上が伸びたと書いています(会社の認識で、この記事の見方ではありません)
- 「上がる材料」「下がる材料」を各6件ずつ、出典付きで対に並べます。上がる・下がるの結論は書きません。連結(グループ全体)と提出会社(親会社だけ)の数字は別物なので、取り違えないよう出どころを分けて書きます
edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-26時点)は、パナソニックHDの登場を2026年10月15日・10月16日・10月21日の3回と数えています(どのランキングに載ったかは、この記事では確かめていません)。最後に登場した日(10月21日)から中3営業日以上あいていること(同データの cooled: true)、有報の本文が取得できていることを確かめたうえで、候補の中の1社として選びました。ランキングに登場した理由(なぜ値上がりや出来高の増加があったか)は、一次情報で確かめられないため書きません。当サイトの解説記事に、この会社の名前が出る記事があります(2026年8月1日公開のニュース記事に1箇所、2026年8月25日公開の格言の記事に創業者に関する説明で1箇所)。どちらも主役ではなく、この記事はそれらの内容を引用・参照していません。
連結と提出会社の取り違えを防ぐため、この記事の数字は特に断らない限り「連結」(グループ全体)です。提出会社(パナソニックHDという会社だけ)の数字は、配当の決議の主体を確かめた箇所、後発事象を確かめた箇所、発行済株式総数(株式分割の有無の確認)と、連結との違いを示す株価収益率の比較でのみ使っています。連結の「5期の推移」と提出会社の「5期の推移」は有報の別の表で、数字が大きく違います(たとえば提出会社の株価収益率は483.18倍ですが、この記事で使う連結の数字は31.85倍です)。
TDnet(東京証券取引所の適時開示サイト)は、当サイトが一覧を閲覧できた2026年9月18日〜10月27日(86ページ・5,539件。10月27日分は確認時点まで)を、証券コード「67520」と社名「パナソニック」「Panasonic」で全ページ検索しました。パナソニックHD自身の開示は0件で、配当・自己株式・事業再編・業績修正・第2四半期の決算短信などは見つかりませんでした(2026年9月17日以前は一覧が閲覧できず、確認できていません)。会社のIRサイトは、この記事の作成では使っていません。そのため決算短信の数字は使いません。
後発事象と株式分割の確認:有報の「重要な後発事象」(決算日のあとに起きた出来事の注記)は、提出会社の財務諸表の注記(211ページ)で「該当事項はありません」と書かれています。連結財務諸表の注記(1〜38)には、後発事象の項目がありません(当サイトの検索で確認)。決算日(2026年3月31日)のあとの出来事(2026年4月の事業会社の再編など)は、有報の「経営者による分析」「事業等のリスク」に書かれています。株式分割・株式併合は、表の5期の間にありません(4節の注)。
1️⃣ パナソニックHDはどんな会社か
有報の「事業の内容」によると、パナソニックHDは持株会社(グループ全体の戦略を決め、事業を行う子会社を束ねる会社)で、当社と連結子会社446社を中心にグループを構成しています。連結の従業員数は183,685人(前期末207,548人)で、減った23,863人について、有報は「グループ経営改革に伴う人員の適正化を実施したこと」と、住宅設備事業の子会社ともう1社の株式譲渡で両社が連結子会社でなくなったことを理由に挙げています。有報の「大株主の状況」(2026年3月31日現在)では、上位10名の所有株式数の割合の合計が37.06%と書かれています(上位には、信託業務として株式を持つ信託銀行の信託口が含まれます。株式の需給や値動きについての見方ではありません)。出典:有価証券報告書 第119期「事業の内容」「従業員の状況」「大株主の状況」、2026-10-27確認。
有報は、報告セグメントの中身を次のように書いています(注記4)。「コネクト」は航空機内エンターテインメントシステム・通信サービス、電子部品実装システム、溶接機、プロジェクター、パソコン・タブレット、サプライチェーンマネジメントソフトウェア等。「エレクトリックワークス」は照明器具、ランプ、配線器具、太陽光発電システム、燃料電池、介護関連等。「HVAC & CC」は家庭用空調機器、業務用空調機器、ヒートポンプ式温水給湯暖房機、換気・送風機器、空気清浄機、ショーケース、業務用冷蔵庫等。「エナジー」は車載用円筒形リチウムイオン電池、一次電池(乾電池、マイクロ電池)、小型二次電池等。「インダストリー」は電子部品、モーター、FAデバイス、電子材料等。「スマートライフ」は冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、洗濯機、掃除機、美・理容器具、デジタルカメラ、業務用カメラシステム、ビデオ機器、オーディオ機器、固定電話、テレビ、自転車等。「その他」は、報告セグメントに含まれない事業セグメントやその他の事業活動で、水まわり設備、内装建材、外装建材、原材料の販売等が含まれます。
有報によると、報告セグメントは2026年1月1日付のグループ体制の再編に伴って区分が変更され、従来の5つ(くらし事業・オートモーティブ・コネクト・インダストリー・エナジー)から、上の6つになりました。前期の数字は、変更後の区分に組み替えて表示されています。また、2024年12月に譲渡した車載機器事業は、有報が「明瞭性を高める観点から」前期の表に「オートモーティブ」として残しており、その売上高は前期7,985億円(非連結化するまでの約8か月分)です。
2026年3月期の売上高を、事業別と顧客の所在地別に分けると次のとおりです(有報・連結・IFRS。2026年3月期は2025年4月1日〜2026年3月31日)。構成比は、当サイトが百万円単位の数字から計算しました。事業別は「外部顧客に対する売上高」で、グループ内の取引を除いています。
| 事業(報告セグメント) | 売上高(外部顧客向け) | 構成比 | 前期(組替後) |
|---|---|---|---|
| コネクト | 1兆3,207億円 | 16.4% | 1兆2,398億円 |
| エレクトリックワークス | 1兆806億円 | 13.4% | 1兆313億円 |
| HVAC & CC | 1兆1,496億円 | 14.3% | 1兆1,658億円 |
| エナジー | 9,410億円 | 11.7% | 8,285億円 |
| インダストリー | 1兆1,175億円 | 13.9% | 9,199億円 |
| スマートライフ | 1兆2,502億円 | 15.5% | 1兆3,192億円 |
| その他 | 1兆1,892億円 | 14.8% | 1兆1,552億円 |
| 合計(連結) | 8兆487億円 | 全体 | 8兆4,582億円 |
前期の「その他」1兆1,552億円のほかに、前期だけ「オートモーティブ」7,985億円があります(上の表の前期の合計に含まれます)。出典:有価証券報告書 第119期 注記4「セグメント情報」(134ページ・連結・IFRS、2026-10-27確認)。
| 顧客の所在地(有報の区分) | 売上高 | 構成比 | 前期 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 3兆2,034億円 | 39.8% | 3兆4,202億円 | −6.3% |
| 米州(うち米国 1兆5,109億円・18.8%) | 1兆7,371億円 | 21.6% | 1兆8,406億円 | −5.6% |
| 欧州 | 9,225億円 | 11.5% | 9,698億円 | −4.9% |
| アジア・中国他(うち中国 9,148億円・11.4%) | 2兆1,858億円 | 27.2% | 2兆2,276億円 | −1.9% |
| 合計(連結) | 8兆487億円 | 全体 | 8兆4,582億円 | −4.8% |
出典:有価証券報告書 第119期 注記4「地域に関する情報」(135ページ、2026-10-27確認)。構成比と前期比は当サイト計算。有報は、売上高の10%を超える単一の相手先はないと書いています。非流動資産(持分法投資・金融資産・繰延税金資産などを除く)4兆9,733億円のうち、米国が3兆929億円(62.2%・当サイト計算)です。
損益計算書とは別に、有報は連結の範囲が変わったことを次のように書いています。住宅設備・建材事業を行う子会社の株式80%は、2026年3月31日にある企業が全株式を保有する中間持株会社へ譲渡され、この子会社は持分法適用会社(出資先の損益を持ち分に応じて取り込む会社)になりました(有報「重要な契約等」)。このため、期末の2026年3月31日の連結貸借対照表にはこの子会社の資産・負債が含まれません。2026年3月期の損益には、譲渡までのこの子会社の損益が含まれています。有報は損益計算書の上で「継続事業」と「非継続事業」(すでに処分された、または売却目的保有に分類された企業の構成要素の損益)を分けた表示をしていません(当サイトが確認した範囲では見当たりません)。
2️⃣ 事業が置かれたつながりの中のどこにいるか
次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、パナソニックHDの6つの事業が、部品から使う側までの流れのどこに入っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。有報の記載から読み取れるパナソニックHDは、電子部品・電子材料、電池、電気設備、空調、現場向けのソフトウェアや機器、家庭向けの家電と、流れの上流から下流までの幅広い箇所に事業を持つ会社です。
この流れの中に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。
- 部品・材料:「インダストリー」は電子部品、モーター、FAデバイス、電子材料等で、売上高は1兆1,175億円(連結の13.9%)。有報の「経営者による分析」は、電子デバイス事業で「生成AIサーバーなど情報通信インフラ・端末向けコンデンサー等が好調に推移し」、電子材料事業で「生成AIサーバーをはじめとする情報通信インフラ向けの多層基板材料の需要の拡大などにより」増収になったと書いています(会社の説明で、この記事の見方ではありません)。
- 電池・蓄電:「エナジー」の売上高は9,410億円(11.7%)。有報は「車載電池は減収となりましたが、産業・民生向けではデータセンター向け蓄電システムの販売が大きく伸長し、全体で増収となりました」と書いています(会社の説明)。
- 電気設備・空調:「エレクトリックワークス」は照明・配線器具・電設資材など(13.4%)、「HVAC & CC」は空調・冷凍・冷蔵など(14.3%)。有報は、前者の一部について「2027年末までに蛍光灯の製造・輸出入が禁止になることに伴う置き換え需要を背景に」国内LED照明の生産能力を増強したと書いています(会社の説明。規制や需要の先行きについて、この記事は何も予想していません)。
- 現場・暮らし向け:「コネクト」は航空機内システム、電子部品実装システム、サプライチェーン管理のソフトウェアなど(16.4%)、「スマートライフ」は冷蔵庫・洗濯機などの家電とテレビなど(15.5%)です。
- 前後の工程にいる会社の種類:上流には、原材料や素材のメーカー、部品の供給元があります。下流には、機器を使う企業・店舗・工場・公共機関・家庭があります(一般的な流れの説明で、有報の言葉ではありません。社名は挙げません)。
このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報で挙げています。AIに関連する需要については「AI市場は、投資に見合った収益拡大が実現しない場合の金融市場の調整圧力や電力等のインフラ面及び半導体等の供給面での制約による収益化の遅れが成長を阻害するリスクとなる」、取引先については「当社グループが部材を納入している取引先において生産の中断・停止、生産規模の縮小又は倒産等が生じ、当社グループの販売数量が減少する」、車載電池については「EVに関連する義務化撤廃又は補助金削減等によるEV普及率の鈍化によって、車載電池関連事業に悪影響を及ぼす可能性がある」と書いています(出典:有価証券報告書 第119期「事業等のリスク」、22〜35ページ、2026-10-27確認。会社の認識であり、この記事の見方ではありません)。
3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事
各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。この年表は、有価証券報告書だけで作っています(Wikipediaなどの二次情報は使っていません)。提携先・買収や譲渡の相手・過去の子会社の社名は、この記事では一般名に置き換えています(出典には書かれています)。自社の旧商号(松下電器産業)、自社のブランド名(ナショナル、Panasonic)は有報の記載のまま書いています。
| 年月 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 1918年3月 | 松下幸之助により大阪市に松下電気器具製作所を設立し、配線器具の製造を開始 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 1927年4月 | 「ナショナル」の商標を制定 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 1935年12月 | 改組し、松下電器産業株式会社となる(資本金1,000万円) | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 1949年5月 | 東京証券取引所に株式を上場 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 1971年12月/2013年4月 | ニューヨーク証券取引所に株式を上場(1971年12月)。2013年4月に同取引所の上場を廃止 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 1987年3月 | 決算期を11月20日から3月31日に変更 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 1990年12月/1995年6月/2006年2月 | 米国の大手エンターテインメント企業を買収(1990年12月)。1995年6月に持分の80%を譲渡し、2006年2月に米国子会社が保有する同社株式のすべてを譲渡 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 2003年4月 | グローバルブランドを「Panasonic」に統一 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 2008年10月 | 会社名を松下電器産業株式会社からパナソニック株式会社に変更 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 2009年12月/2011年4月 | ある電機メーカーの議決権の過半数を取得し、同社と子会社を連結子会社化(2009年12月)。2011年4月に、この会社ともう1社の子会社を株式交換により完全子会社化 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 2020年1月/4月 | ある自動車メーカーと、街づくり事業の合弁会社(2020年1月)、車載用角形電池事業の合弁会社(2020年4月)を設立 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 2021年9月 | 米国のサプライチェーン分野のソフトウェアの会社の株式(2020年7月に20%取得済)を追加取得し、同社と子会社を完全子会社化 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 2022年4月 | 各事業を吸収分割で事業会社を含む9社に承継し、持株会社になった。会社名をパナソニック株式会社からパナソニック ホールディングス株式会社に変更 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 2024年12月 | 車載機器の事業会社の全株式を譲渡し、譲渡先の全株式を保有する持株会社の株式の20%を取得 | 有報 第119期「沿革」(2026-10-27確認) |
| 2025年2月 | 「グループ経営改革」を発信(有報の事業等のリスクの記載。同改革の内容として、固定費構造改革や事業ポートフォリオマネジメントが挙げられている) | 有報 第119期「事業等のリスク」「経営者による分析」(2026-10-27確認) |
| 2025年7月 | 2024年7月にある企業と締結していたプロジェクター事業等に関する戦略的資本提携の契約を、合意に基づき解約 | 有報 第119期「重要な契約等」(2026-10-27確認) |
| 2025年11月17日/2026年3月31日 | 取締役会で、建築資材・住宅設備事業の子会社の株式の80%を、ある企業が全株式を保有する中間持株会社へ譲渡する契約の締結を決議(2025年11月17日・企業価値2,276億円に純有利子負債などの調整を行って譲渡価額を確定する、と有報に記載)。2026年3月31日に取引を実施し、この子会社は持分法適用会社になった | 有報 第119期「沿革」「重要な契約等」(2026-10-27確認) |
| 2026年1月1日 | 新体制への移行に伴い、報告セグメントを5つから6つに区分変更 | 有報 第119期 注記4「セグメント情報」(2026-10-27確認) |
| 2026年4月 | パナソニック株式会社(事業会社)を発展的に解消し、新たに3つの事業会社(空調・冷熱、電設・照明、家電)を発足。2026年4月から6つの事業会社を中心とした新たなグループ体制へ移行(有報の記載) | 有報 第119期「経営者による分析」「事業等のリスク」(2026-10-27確認) |
| 2026年6月19日 | 有価証券報告書(第119期)を提出 | 有報 第119期「表紙」(2026-10-27確認) |
4️⃣ 直近の決算の数字(有報)
【有報】2026年3月期(第119期・連結・IFRS)
有報の連結の数字です。期間は2025年4月1日〜2026年3月31日、前期(第118期)は2024年4月1日〜2025年3月31日です。確認日は2026-10-27です。この表の主な数字は、有報に付く監査法人の監査報告書の対象となった連結財務諸表に基づきます(従業員数などは監査の対象外の記載です)。億円は百万円単位の数字を四捨五入しています。
| 指標(連結・IFRS) | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8兆487億円 | 8兆4,582億円 | −4.8%(当サイト計算) |
| 売上原価 | 5兆5,219億円 | 5兆8,296億円 | −5.3%(当サイト計算) |
| 売上総利益 | 2兆5,269億円 | 2兆6,286億円 | −3.9%(当サイト計算) |
| 販売費及び一般管理費 | 2兆794億円 | 2兆1,614億円 | −3.8%(当サイト計算) |
| 持分法による投資損益 | 264億円 | 200億円 | +32.5%(当サイト計算) |
| その他の損益 | −2,375億円 | −607億円 | — |
| 営業利益 | 2,364億円 | 4,265億円 | −44.6%(当サイト計算) |
| 金融収益 | 687億円 | 885億円 | −22.4%(当サイト計算) |
| 金融費用 | 420億円 | 287億円 | +46.2%(当サイト計算) |
| 税引前利益 | 2,631億円 | 4,863億円 | −45.9%(当サイト計算) |
| 法人所得税費用 | 541億円 | 1,019億円 | −46.9%(当サイト計算) |
| 当期純利益(非支配持分を含む) | 2,090億円 | 3,844億円 | −45.6%(当サイト計算) |
| 親会社の所有者に帰属する当期純利益 | 1,895億円 | 3,662億円 | −48.2%(当サイト計算) |
| 基本的1株当たり当期利益(親会社の所有者に帰属) | 81.19円 | 156.87円 | — |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 6,243億円 | 7,961億円 | −21.6%(当サイト計算) |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | −6,074億円 | −8,599億円 | — |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | −1,668億円 | −1,903億円 | — |
| 現金及び現金同等物(期末) | 7,702億円 | 8,476億円 | −774億円(会社の説明) |
| 総資産(期末) | 10兆1,724億円 | 9兆3,432億円 | +8,292億円(会社の説明) |
| 親会社の所有者に帰属する持分/比率(期末) | 5兆2,113億円/51.2% | 4兆6,944億円/50.2% | — |
| 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) | 3.8% | 7.9% | — |
| 研究開発費 | 4,264億円 | 4,778億円 | −10.8%(当サイト計算) |
| 設備投資(有形固定資産のみ) | 6,291億円 | 7,689億円 | −1,398億円(会社の説明) |
出典:有価証券報告書 第119期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「連結財務諸表」(2026-06-19提出、2026-10-27確認。連結損益計算書は117ページ、連結財政状態計算書は115〜116ページ)。MD&A(経営者による分析)の文章の数字と、財務諸表の数字は一致していました(売上高8兆487億円、営業利益2,364億円、現金7,702億円など)。ただし、MD&Aの事業別の売上高は「セグメント間取引を含む売上高」で、この記事の1節の表(外部顧客向けの売上高)とは数字が違います(たとえばコネクトは、MD&Aが1兆3,803億円、外部顧客向けが1兆3,207億円)。前期の営業活動によるキャッシュ・フロー7,961億円は、有報の「経営者による分析」の記載です。キャッシュ・フロー=お金の出入りで、営業活動は本業の稼ぎや運転資金、投資活動は設備や有価証券・子会社株式などへの投資や売却、財務活動は借入・返済・社債・配当などによるものです。ROE(自己資本利益率)は、株主のお金に対する1年の利益の割合です。
会社は、営業利益の減少を「増販益や合理化の進捗などによる増益や、〔住宅設備・建材事業の子会社〕の株式譲渡益の計上はありましたが、インフレによる固定費増加や戦略投資の増加に加え、グループ経営改革に関する構造改革費用を計上したことなどにより、減益となりました」と書いています(〔 〕内は、原文の略称を当サイトが言い換えた部分です。この子会社は、2026年3月に株式の80%を譲渡しました)。営業利益率(営業利益÷売上高・当サイト計算)は2.9%(前期5.0%)です。売上高の減少について、会社は「エナジー・インダストリー・コネクト・エレクトリックワークスの販売増はありましたが、前年度のオートモーティブ事業の非連結化の影響などにより、減収となりました」と書いています。
【有報】事業(報告セグメント)別の数字
有報のセグメント情報(注記4)と「経営者による分析」の数字です。売上高はセグメント間取引を含むもの、営業利益は報告セグメントの利益(営業利益をベースとした数字)です。前期は変更後の区分に組み替えられています。
| 事業(報告セグメント) | 売上高(間取引を含む) | 前期比(当サイト計算) | 営業利益 | 前期の営業利益 | 増減(会社の説明) |
|---|---|---|---|---|---|
| コネクト | 1兆3,803億円 | +5.0% | 1,001億円 | 767億円 | +234億円 |
| エレクトリックワークス | 1兆1,606億円 | +4.1% | 577億円 | 685億円 | −108億円 |
| HVAC & CC | 1兆3,124億円 | −0.8% | 231億円 | 232億円 | −1億円 |
| エナジー | 9,842億円 | +12.7% | 698億円 | 1,202億円 | −504億円 |
| インダストリー | 1兆1,673億円 | +7.7% | 405億円 | 432億円 | −27億円 |
| スマートライフ | 1兆3,742億円 | −5.0% | −373億円 | 416億円 | 損失に転じた |
| その他 | 1兆4,146億円 | — | 509億円 | 777億円 | — |
| 消去・調整 | −7,449億円 | — | −683億円 | −547億円 | — |
| 連結 | 8兆487億円 | −4.8% | 2,364億円 | 4,265億円 | −45% |
出典:有価証券報告書 第119期 注記4「セグメント情報」(134ページ)、「経営者による分析」(2026-10-27確認)。前期の「オートモーティブ」(車載機器事業の約8か月分)は営業利益301億円で、上の表の前期の営業利益の合計(4,265億円)には含まれますが、行としては省いています。「消去・調整」には、グループ内取引の消去のほか、セグメントに帰属しない損益(本社部門の損益、住宅設備・建材事業の子会社の譲渡に関する損益、その他の会社の株式譲渡に関する費用、車載機器事業の株式譲渡損と関連する費用)が含まれると有報に書かれています。
【有報】5期の推移
| 期(連結・IFRS) | 売上高 | 税引前利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 基本的1株当たり当期利益 | 親会社所有者帰属持分比率 | ROE | 株価収益率(有報の表・参考) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第115期(2022年3月期) | 7兆3,888億円 | 3,604億円 | 2,553億円 | 109.41円 | 39.4% | 8.9% | 10.86倍 |
| 第116期(2023年3月期) | 8兆3,789億円 | 3,164億円 | 2,655億円 | 113.75円 | 44.9% | 7.8% | 10.39倍 |
| 第117期(2024年3月期) | 8兆4,964億円 | 4,252億円 | 4,440億円 | 190.21円 | 48.3% | 10.9% | 7.60倍 |
| 第118期(2025年3月期) | 8兆4,582億円 | 4,863億円 | 3,662億円 | 156.87円 | 50.2% | 7.9% | 11.29倍 |
| 第119期(2026年3月期) | 8兆487億円 | 2,631億円 | 1,895億円 | 81.19円 | 51.2% | 3.8% | 31.85倍 |
出典:有価証券報告書 第119期「主要な経営指標等の推移」(2ページ、2026-10-27確認)。5期の間、発行済株式総数は2,453,866千株から2,454,531千株へ小さく増えただけで、株式分割・株式併合はありません(有報の提出会社の経営指標等の表から。当サイトの確認範囲)。第117期の当期利益が税引前利益を上回るのは、有報の数字のとおりです(理由はこの記事では確かめていません)。株価収益率(PER)は、有報の表にある、年度末の株価と1株当たり当期利益から計算された倍率で、確認日時点の株価で計算した倍率ではありません。倍率が高いか低いかの評価はしません。
【有報】本業以外の損益項目と大きな費用項目(上がる側にも下がる側にも)
2026年3月期は、営業利益の動き(−44.6%)に、「その他の損益」の大きな動きが響いています。営業利益に含まれる項目や、営業利益より下の項目を、利益を増やした項目と減らした項目の両方で並べます。
| 項目(連結) | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 内訳・会社の説明(有報) |
|---|---|---|---|
| 【増やした】住宅設備・建材事業の子会社の株式譲渡に関連する利益(その他の損益) | 761億円 | — | うち譲渡益785億円(残存持分再評価益157億円を含む)、譲渡関連費用24億円。この譲渡益は、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動の「その他(純額)」に含めて表示(有報の注記27) |
| 【増やした】持分法による投資損益 | 264億円 | 200億円 | 営業利益に含まれる項目 |
| 【増やした】米国のEV向け電池の製造・販売に伴う補助金(税額控除)のうち、政府から直接支払を受けて資金化すると見込まれる金額(売上原価の減額) | 2,134億円 | 2,062億円 | 有報の注記24。受け取るまで「その他の流動資産」「その他の非流動資産」に計上。2026年3月末の残高は流動2,198億円、非流動2,263億円。前期には、過年度に発生した補助金の権利の第三者への譲渡で1,826億円を受領(連結キャッシュ・フロー。提出会社の注記にある1,955億円は別の数字で、この記事では使いません)。会社の認識で、この記事の見方ではありません |
| 【増やした/減った】為替差益(金融収益) | 343億円 | 424億円 | 金融収益の内訳(注記29)。受取利息は284億円(前期423億円) |
| 【減らした】事業構造改革費用(その他の損益) | 1,697億円 | — | うち早期退職一時金1,574億円、拠点再編費用等123億円(注記27)。前期の「その他の損益」には事業構造改革に伴う早期退職一時金87億円が含まれると有報に書かれている |
| 【減らした】ある会社の株式譲渡に関連する費用(その他の損益) | 468億円 | — | 売却目的で保有する資産への分類による減損損失426億円を含む(注記27・28) |
| 【減らした】車載機器事業の旧子会社の株式譲渡に関連する追加費用(その他の損益) | 368億円 | 前期の譲渡関連費用326億円(うち譲渡損230億円) | 注記27 |
| 【減らした】減損損失(連結計) | 744億円 | 274億円 | 注記28。セグメント別は、その他465億円、エレクトリックワークス114億円、スマートライフ88億円、インダストリー60億円など。うち426億円は、上の「ある会社の株式譲渡」に伴う売却目的保有への分類によるもの。のれんの減損損失は103億円 |
| 【減らした】金融費用 | 420億円 | 287億円 | うち支払利息(償却原価で測定する金融負債)316億円(前期199億円)、リース負債に係る支払利息68億円(前期57億円) |
| 法人所得税費用/実際負担税率 | 541億円/20.6% | 1,019億円/21.0% | 税率の差の主な項目(注記)は、税務上益金算入されない米国のインフレ抑制法に基づく補助金(今期−24.8%、前期−13.5%)、子会社等への投資に伴う税効果(今期+10.6%、前期+2.7%)、未認識の繰延税金資産の変動(今期+7.7%、前期+3.1%)。法定実効税率は両期とも30.6% |
出典:有価証券報告書 第119期「連結損益計算書」「注記 その他の損益(27)」「注記 非金融資産の減損(28)」「注記 政府補助金(24)」「注記 金融収益及び金融費用(29)」「注記 法人所得税」(2026-10-27確認。ページは176・176・175・178・150ページ)。内訳は主なものだけで、すべてではありません。この記事は、補助金や税制などの政策の先行きについて何も予想していません。
【有報】お金の出入り・借入・配当・自己株式
- キャッシュ・フロー:営業活動は6,243億円の収入(前期7,961億円)、投資活動は6,074億円の支出(前期8,599億円)で、会社が示すフリーキャッシュ・フロー(営業活動と投資活動の合計)は169億円の収入です(前年差807億円の良化)。会社は営業活動の前年差の主な要因を「前年度に米国IRA補助金の第三者への権利売却による資金化があったことなど」と書いています。設備投資(有形固定資産)は6,291億円(前年度から1,398億円減少。エナジーの北米の新工場稼働に伴う減少と書かれている)、減価償却費(有形固定資産)は2,291億円です。
- 借入・社債:有利子負債は1兆6,032億円(前期末から350億円増加)。主な内訳は、円建無担保普通社債7,100億円、円建公募ハイブリッド社債(資本と負債の中間的な性質を持つ、劣後特約付きの社債)4,000億円、米ドル建無担保普通社債10億米ドル、長期借入金250億円、コマーシャルペーパー500億円、リース負債2,548億円です。2024年6月に、複数の金融機関と期間3年のコミットメントライン(あらかじめ契約した枠の範囲で融資を受けられる契約。借入設定上限は総額6,000億円)を結んでいます。
- 配当:有報の配当政策は、連結配当性向30%を目安とし、中間配当と期末配当の年2回で、これらの配当は「定款に基づき、取締役会で決議しています」と書いています。2026年3月期の配当は、2025年10月30日と2026年5月12日の取締役会決議で、いずれも1株20円(総額467億円ずつ)、年間40円です。前期(2025年3月期)の年間配当は48円(中間20円)でした(提出会社の経営指標等の表から)。
- 自己株式:2026年3月期は、株主総会・取締役会の決議に基づく自己株式の取得は「該当事項はありません」と書かれています。連結の自己株式の残高は2,090億円(前期末と同水準)です。
5️⃣ 会社自身が挙げているリスク
以下は有報(第119期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社は重要なリスクを4つの大きな分類(①成長の原動力としてのソリューション事業の信頼基盤強化 ②事業ポートフォリオマネジメントの継続的な推進 ③グローバルでの安全・コンプライアンス体制確立 ④不確実性の高い環境でのレジリエンス強化)の下に並べています。ここでは5つを紹介します。提携先・取引先・売却先・認証機関の社名は一般名に置き換えています。原文は有価証券報告書 第119期「事業等のリスク」でご確認ください。
- ①事業再編・提携・買収に関するリスク(分類②):会社は、事業再編について「経営の効率化や競争力強化のための現在及び将来におけるグループ事業体制の再編…において、当初期待した成果が十分に得られない、判断や意思決定に時間を要し事業構成の組替がスムーズに進まない、又は適切な事業ポートフォリオマネジメントが実行できない」と書いています。コネクトの米国のサプライチェーン管理ソフト子会社については、買収によるのれんや無形資産の計上額が増えているとし、「事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断されたり、適用される割引率が高くなったことにより、見積りにより算定した回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、減損損失が発生する可能性がある」と書いています。対応として、事業ポートフォリオの見直し(グループ内で続けるか、グループ外で競争力を得るかという「ベストオーナー」の視点)を挙げています。
- ②品質に関するリスク(分類③):「製品の欠陥による品質問題(不安全事故や大規模なリコール等)が発生し、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対し生産物賠償責任保険で補償しきれない賠償責任を負担する又は多大な対策費用を負担する。また、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起する」と書いています。このリスクの中で、会社は過去に判明した事案として、子会社が製造・販売する電子材料製品で、2023年度に米国の第三者安全科学機関の認証登録等に関する複数の不正行為を行っていたことが判明したと書き、外部調査委員会の調査報告書と再発防止策の公表、再発防止策の進捗の公表(2025年10月31日)、取り消された一部の認証の再取得に向けた取り組みの継続(一部は取得済み)を挙げています。グループ全体の品質コンプライアンスの自主調査(2024年1月〜2025年8月)では、「行政処分の対象となったものや認証取り消しとなった事案は特定されなかった」と書いています(会社の自己申告の紹介で、法的な評価はこの記事では行いません)。
- ③国際的な事業運営・環境政策に関するリスク(分類④):会社は「米国政権が外交・安全保障政策の一環として、追加関税をはじめとする貿易・経済関連の措置を講じることにより、これらに対する諸外国の報復措置等を含め、政策・法規制の動向に関する不確実性が高まり、貿易規制・経済制裁や関税障壁が一層強化される」と書き、「特に、EVに関連する義務化撤廃又は補助金削減等によるEV普及率の鈍化によって、車載電池関連事業に悪影響を及ぼす可能性がある」と書いています。環境問題の項目では「米国IRA(インフレ抑制法)をはじめとする気候変動対策関連の法制度が廃止又は縮小することに起因し、車載電池を始めとする製品需要及びIRAに基づく税制優遇が当社グループの見込みを割り込む」と書いています(会社の認識であり、この記事の見方ではありません)。
- ④経済状況の変動・為替・金利に関するリスク(分類④):会社は、AI市場について「投資に見合った収益拡大が実現しない場合の金融市場の調整圧力や電力等のインフラ面及び半導体等の供給面での制約による収益化の遅れが成長を阻害するリスクとなる」、地政学リスクについて「中東情勢の長期化による原油・天然ガス価格の高騰を背景に世界的な物価高と供給網の混乱が長期化する恐れがある」と書いています。為替については「急激な為替変動により、外貨建てで取引されている製品・サービス等のコスト及び価格の価格競争力が低下する又は部材等の輸入価格が上昇する」、金利については「金利の上昇によって支払利息や有利子負債が増加する」と書き、また2026年度について「年間を通してドルやユーロに対して円高に動くと想定しており、全体としては業績に対して一定の悪影響が生じることを見込む」とも書いています(会社の想定の紹介で、この記事は為替を予想しません)。
- ⑤サプライチェーンに関するリスク(分類④):「サプライチェーンにおける災害・事故、感染症の流行・拡大又はサイバー攻撃の発生、輸出規制等による供給の不足又は中断、業界内での需要の増加によって、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難になる」と書き、対応として、調達先の複線化、主要原材料サプライヤとの連携による供給状況の定期確認、代替輸送ルートや調達計画の検討を挙げています。
出典:有価証券報告書 第119期「事業等のリスク」(2026-06-19提出、2026-10-27確認)。有報のリスクには、このほか、情報セキュリティ・サイバーセキュリティ、AIの利活用、競合・業界、コンプライアンス・法規制、人権・労働コンプライアンス、労働災害、知的財産、環境問題・気候変動、災害・事故、人材の誘引・獲得・維持、会計上の見積り(減損・繰延税金資産)が並びます。これらは2026年6月時点の有報の記載です。
6️⃣ 上がる材料/下がる材料
ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。
以上が、いま公開情報から拾える材料です。どれが重いか、どう見るかはご自身で。この記事は上がる・下がるの結論を出していません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。
※ 材料の数は左右6件ずつでそろえています。上の内容は開示の要約で、どちらが重いかの判断や将来の予測はしていません。データセンター・電池・空調・家電・電子部品などの需要見通しや、補助金・関税・EV関連の政策、顧客の動向については、有報の文言を会社の認識として紹介したもので、この記事の見方ではありません。
7️⃣ これから何を見れば分かるか
次の決算発表の日は、当サイトの決算予定データ earnings-calendar.json(2026-10-25更新)にパナソニックHDが載っておらず、一次情報でも確かめられていません。2026-10-27時点のTDnetでは、第2四半期(2026年4〜9月)の決算短信は見つかりませんでした。会社のIRサイト(投資家向けの情報を載せたページ)でご確認ください。決算短信には、通期の連結業績予想や配当予想が載ることがありますが、この記事は会社の予想の数字を扱わないので、数字は書きません。
- 事業別の営業利益と、「その他の損益」の中身:2026年3月期は、スマートライフの営業損失373億円、エナジーの営業利益698億円(前期1,202億円)、コネクトの1,001億円と、「その他の損益」の−2,375億円(うち事業構造改革費用1,697億円)。次の開示で、事業別の損益や、構造改革費用などの大きな項目がどう書かれるか
- お金の出入りと借入:営業活動によるキャッシュ・フロー(6,243億円)、設備投資(6,291億円)、フリーキャッシュ・フロー(169億円)、有利子負債(1兆6,032億円)、金融費用(420億円)、配当(取締役会の決議。有報の配当政策は、中間配当・期末配当とも取締役会が決議すると書いています)
- 事業の見直しの進み方:2026年4月の事業会社の再編、住宅設備・建材事業の子会社(持分法適用会社になった)、売却目的保有に分類された会社などについて、取締役会の決議や適時開示でどう書かれるか。会社が有報で書く「ベストオーナー」の視点での事業ポートフォリオの見直しが、開示にどう表れるか
- 有報(第120期)の「事業等のリスク」:この記事の5節は2026年6月の有報の記載です。2027年3月期の有報で、リスクの項目や書き方がどう変わるか
有価証券報告書と半期報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説に、適時開示のしくみはこちらの解説にまとめています。
8️⃣ まとめ
結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①事業別の営業利益(特にスマートライフ・エナジー・コネクト)と、「その他の損益」の中身、②お金の出入りと借入(営業活動によるキャッシュ・フロー、設備投資、有利子負債、配当)、③事業の見直し(再編・譲渡・売却目的保有)の進み方。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。
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