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🔬 AMD(AMD)を数字で見る|5月の記事からの続報・AI向け半導体の設計会社をSEC開示資料で確認

公開日:2026年10月8日 / 読了時間:約16分 / カテゴリ:数字で見る企業(第10回・海外株・続報)

「数字で見る、話題の企業」シリーズ第10回は、米国の半導体の会社 Advanced Micro Devices, Inc.(ティッカー:AMD、以下「AMD」)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。会社が米国の証券取引委員会(SEC)に出した書類から、⓪前回の記事のその後 ①事業の中身 ②産業のつながりの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。

📌 30秒でわかるこの記事
  • AMDは、パソコンやサーバー(データセンターで使う業務用コンピューター)の頭脳にあたる半導体を設計し、製造は外部の工場に任せている会社です。2026年4〜6月の3か月(第2四半期)の売上高は115.36億ドルで、前年同期より約50%増えました
  • 売上の約58.2%をデータセンター向けが占めました。2026年5月28日公開の当サイトの記事の時点(2026年1〜3月の決算)では、この区分の売上は57.75億ドルで、今回は67.18億ドルです
  • 一方で会社自身は、米国の輸出管理(中国向けの出荷の制限)、メモリの業界全体の品不足、製造を外部の工場に頼っていることなどをリスクとして挙げています
  • 「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典つきで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
💡 なぜAMDか(選定根拠):本シリーズは日本株を中心にする方針で、直近3本のうち海外株が1本以上あれば日本株、直近3本がすべて日本株のときだけ海外株を選べます。今回の直近3本(MS&ADインシュアランスグループホールディングス・中外製薬・みずほフィナンシャルグループ)はすべて日本株だったため、海外株の番です。海外株の候補は、当サイトのデータから次の順で機械的に探しています。①earnings-calendar.json の米国企業で、決算発表が2営業日前〜14日前の会社=該当なし(2026年9月20日〜10月8日の発表予定は0件)。②直近15〜60日(2026年8月9日〜9月23日)の当サイトのニュース記事(guide-news-*.html)で単独の主役だった海外の上場企業=Applied Materials(8月14日の記事・本シリーズで10月3日に掲載済みのため90日ルールで対象外)、NVIDIA(8月24日・27日の記事・本シリーズで9月に掲載済みのため対象外)、Moderna(8月26日の記事・他社との共同開発の話題)、AMD(9月22日の記事)が見つかり、対象外を除いた2社のうち時価総額の大きいAMDを選びました(時価総額の金額は本文に書きません)。AMDの直近の決算発表は2026年8月4日(米国時間)で、発表の当日・翌日ではありません。本シリーズでのAMDの掲載はなく(90日ルールに該当なし)、AMDが主役の既刊として2026年5月28日公開の記事があるため、今回は続報として、冒頭に「前回の記事のその後」を置きます。
💡 ニュース記事とのちがい:9月22日のニュース記事は「その日に何が起きたか」を伝える記事です。この記事は「この会社は何で稼いでいて、材料は何か」を、会社が出した書類の数字で整理する記事です。株価や値動きの話は、ここでは扱いません。
数字の出どころと確認日(2026-10-08):この記事の数字は、米国の証券取引委員会(SEC)の開示システム(EDGAR)に出された次の書類から引いています。年次報告書(Form 10-K、2026年2月4日提出、2025年12月27日に終わった2025年度)、四半期報告書(Form 10-Q・第2四半期、2026年8月5日提出、2026年6月27日までの3か月)、同(Form 10-Q・第1四半期、2026年5月6日提出)、臨時報告書(Form 8-K)に付いた決算発表資料(2026年第2四半期・2026年第1四半期・2025年第4四半期と通期)。確認日はいずれも2026-10-08です。「億ドル」の数字は、書類の百万ドルの数字を当サイトが換算したもので、割合(%)のうち「約」が付くものは当サイトが計算したものです。円に換算した数字は書きません。
💡 用語メモ:10-K(フォーム10-K)は米国の上場企業が年に1回出す年次報告書、10-Qは四半期ごとの報告書、8-Kは決算発表や大きな契約など、重要なできごとがあったときに出す臨時報告書です。日本の有価証券報告書・四半期の報告・適時開示にあたります。GAAP(ギャップ)は米国で一般に認められた会計のルールで、非GAAPは、会社が買収にともなう費用などを除いて独自に計算し直した数字です。会社はGAAPの数字との差を表にして公表しています。1株あたり利益は利益を株の数で割ったもので、希薄化後は将来増えるかもしれない株も数に入れて割った値です。

0️⃣ 前回の記事のその後

当サイトは2026年5月28日公開の記事で、AMDの2026年第1四半期(2026年1〜3月)の決算を取り上げました。ここでは、その記事に載っている数字を3つ取り出し、いまの数字(2026年第2四半期=2026年4〜6月)と並べます。前回の記事の評価や見立ては引用しません。並べるのは数字の事実だけです。

項目前回の記事の時点
(2026年1〜3月)
いま
(2026年4〜6月)
一次情報
売上高103億ドル(記事の表記)
=102.53億ドル
115.36億ドル決算発表資料(8-K)第1四半期・第2四半期
データセンター区分の売上高58億ドル(記事の表記)
=57.75億ドル
67.18億ドル同上
非GAAPの1株あたり利益(希薄化後)1.37ドル1.66ドル同上

前回の記事の3つの数字は、SECに出された第1四半期の決算発表資料(2026年5月5日提出の8-K)と第1四半期の10-Qの数字と食い違いがないことを確かめました(前回の記事は10億ドル単位で丸めた表記)。確認日:2026-10-08。

その間に起きたこと(SECに出された書類から。日付は米国時間):

1️⃣ AMDはどんな会社か

AMDは、1969年5月1日に米国デラウェア州で設立され、1972年に株式を公開した半導体の会社です(出典:10-K「Item 1. Business」、2026-10-08確認)。主な製品は、AIの計算を速くする半導体(AIアクセラレーター)、CPU、GPUなどで、2025年末の従業員は約31,000人です(同出典)。

💡 用語メモ:CPUはコンピューターの全体の処理を受け持つ「頭脳」の半導体です。GPUはもともと画像を描くための半導体で、同じ計算をたくさん同時にこなせるため、いまはAIの学習や計算にも使われます。データセンターは、たくさんのサーバーを置いて、ネットのサービスやAIの計算を行う大きな施設です。FPGAは、買ったあとで回路の働きを書き換えられる半導体です。

会社は事業を3つの区分(セグメント)に分けて公表しています。区分ごとの中身は、決算発表資料の注記によると次のとおりです(出典:8-K 2026年第2四半期の決算発表資料、2026-10-08確認)。

AMD 2026年第2四半期(2026年6月27日までの3か月)の事業別の売上構成 事業別の売上構成(2026年第2四半期・合計115.36億ドル) ← 左ほど大きい区分。クライアントとゲーミングは同じ区分の内訳 データセンター 67.18億ドル(約58.2%) クライアント(パソコン向け) 30.62億ドル(約26.5%) ゲーミング 7.79億ドル(約6.8%) エンベデッド(組み込み) 9.77億ドル(約8.5%)
▲ 8-K 2026年第2四半期の決算発表資料「Segment and Disaggregated Revenue Information」の数字(百万ドル)をもとに作成(2026-10-08確認)。割合は当サイトが計算。※概念を示すイメージ図です。

データセンター区分の売上の割合は、前回の記事の時点(2026年1〜3月)の約56.3%から、今回は約58.2%になりました(当サイト計算。出典:第1四半期・第2四半期の決算発表資料)。会社は第2四半期の10-Qで、売上が増えた主な理由をサーバー用CPU「EPYC(エピック)」とGPU「Instinct(インスティンクト)MI350シリーズ」の需要の強さと説明しています(出典:10-Q 第2四半期「経営者による分析」)。

2️⃣ どのつながりの中にいるか

次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、AMDが「AIのデータセンター向けの半導体」の工程のどこに立っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。

AIのデータセンター向け半導体の工程。設計、製造の受託、先端パッケージ、メモリ、サーバーの組み立て、データセンター、電力と冷却の順につながる AIのデータセンター向け半導体の工程(川上から川下へ) ① 半導体の設計 工場を持たない会社 AMDはここ ② 製造の受託 設計図をもとに ウエハーを作る工場 ③ 先端パッケージ チップを基板に載せ 組み立て・検査する ④ メモリ AI用の高速の メモリ(HBM)など ②③を支える:半導体の製造装置・素材・基板の材料 ⑤ サーバーの 組み立て・ラック ⑥ データセンター 建設・運営 ⑦ 電力・冷却 変電・送電・空調 矢印はモノと技術が流れる向きで、業績や株価が連動する向きではありません。
▲ AMDの10-Q・10-Kの事業とリスクの記載をもとに作成した工程の地図(2026-10-08確認)。箱の中は会社の種類で、具体的な社名は入れていません。※概念を示すイメージ図です。
💡 用語メモ:ファブレスは、工場(ファブ)を持たずに半導体の設計に集中し、製造は外部の工場に任せるやり方です。ウエハーは半導体の回路を焼き付ける薄い円い板です。先端パッケージは、作ったチップを基板の上に並べてつなぎ、1つの部品にまとめる工程です。HBM(高帯域幅メモリ)は、メモリのチップを積み重ねて、データのやりとりを速くしたメモリで、AI用のGPUのすぐ横に置かれます。ラックは、サーバーを棚のように何台も積み重ねて収める枠のことです。

AMDが「設計」の箱にいる根拠:会社は10-Qのリスクの項で、すべての製品のウエハーを外部の工場(受託生産の会社)で作っていると書いています。回路の線の幅が7ナノメートル以下の最先端のCPU・GPUのウエハーは、台湾の受託生産の会社(TSMC)に頼っているとも書いています。さらに、チップを組み立て・検査し、包装する工程も外部の会社に任せています(出典:10-Q 第2四半期「Item 1A. Risk Factors」、2026-10-08確認)。数字で見ると、売上の約58.2%がデータセンター区分です(§1の図)。

前後の工程にいる会社の種類:設計の箱には、AMDのほかに、GPUを設計する会社や、大手のクラウドの会社が自社のために設計するASIC(特定の用途に合わせて作る専用の半導体)の設計会社などがあります。その先には、ウエハーを作る受託生産の会社、半導体の製造装置や素材のメーカー、パッケージの基板の材料のメーカー、メモリのメーカー、サーバーを組み立てる会社、データセンターを建てて運営する会社、変電・送電の設備や空調・冷却の設備のメーカーが続きます。AMDは製造装置や素材を直接買う立場ではなく、受託生産の工場やパッケージの工程に注文を出す立場です。会社は10-Qで、ウエハー・基板・部品の購入を中心とする取り消せない支払いの約束(クラウドの利用契約やライセンスの支払いも含む)が約303億ドルあると書いています(2026年6月27日時点)。この金額はAMDが支払う約束の合計で、製造装置や素材のメーカーの売上を示すものではありません。日本にも製造装置・素材・基板の材料の工程に属する会社がありますが、AMDとの取引の有無や規模は、AMDの開示からは分かりません。

つながりが細る条件:会社は10-Qで、メモリや基板などは「限られた数の仕入れ先」からしか手に入らず、いまは業界全体でメモリが品不足になり、価格も上がっていると書いています。また、ラックに収めて使う製品は、ほかの会社の部品が手に入らないと、出荷や導入が遅れる場合があるとも書いています(出典:同10-Q「Item 1A. Risk Factors」)。つまり、ある工程で部品が足りなくなると、その前後のつながりの強さそのものが変わり得ます。

産業のつながりがあることと、株価が連動することは別です。同じ工程にいる会社でも、業績も株価も会社ごとに大きく異なります。ここでお伝えしているのは産業構造の事実であって、値動きの予想ではありません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。

3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事

確かめられる出来事だけを並べた年表です。原因の決めつけや物語にすることは避けています。SECの書類に無い出来事は、出典欄に明記したうえでWikipedia(英語版・二次情報)を使っています(本シリーズのルールで、歴史の年表だけに使い、数字とリスクには使いません)。

年月出来事出典
1969年5月米国デラウェア州で設立(5月1日)。半導体の会社の元社員たちが立ち上げた10-K「Item 1. Business」(設立日)/en.wikipedia.org「AMD」(創業の経緯)。2026-10-08確認
1972年株式を公開10-K「Item 1. Business」
1982年2月インテルと契約し、パソコン用CPU(8086・8088)の認定を受けた2番目の製造元になったen.wikipedia.org「AMD」(2026-10-08確認)
2003年64ビットの命令に対応したパソコン用CPU「Athlon 64」を発売en.wikipedia.org「AMD」(2026-10-08確認)
2006年10月カナダの画像用半導体の会社ATI Technologiesの買収を完了en.wikipedia.org「AMD」(2026-10-08確認)
2008年10月製造部門を切り離して別会社(GlobalFoundries)にする計画を発表。以後、設計に集中する形にen.wikipedia.org「AMD」(2026-10-08確認)
2009年11月インテルとの和解契約と、特許を互いに使えるようにする契約を結んだ10-K 添付書類一覧(Exhibit 10.9 ほか)
2014年10月リサ・スー氏が社長兼CEO(最高経営責任者)に就任en.wikipedia.org「AMD」(2026-10-08確認)
2017年3月新しい設計(Zen)のパソコン用CPU「Ryzen(ライゼン)」を発売。その後、同じ設計をもとにしたサーバー用CPU「EPYC」も投入en.wikipedia.org「AMD」(2026-10-08確認)
2022年2月FPGAの大手Xilinx(ザイリンクス)の買収を完了(株式交換)en.wikipedia.org「AMD」(2026-10-08確認)
2025年3月・10月サーバーの設計・製造の会社ZT Systemsを現金32億ドルと株式830万株で買収(3月)。10月に製造部門を別の会社に現金24億ドルなどで売却し、設計部門を残した10-K「経営者による分析」
2025年10月・2026年2月AI開発やネットサービスの大手2社とそれぞれ複数年の契約。各社が最大6ギガワット分のAMDのデータセンター用GPUを導入する計画で、AMDは各社に最大1億6,000万株を買える権利(ワラント)を発行10-Q 第2四半期/8-K 2026年2月24日の発表資料
2026年8月第2四半期の決算を発表(4日)。合計47.5億ドルの社債の発行を完了(17日)8-K 決算発表資料/8-K 社債
2026年9月World Labs Technologies, Inc. を約82億ドル分の株式で買収する契約を結んだ(26日)8-K(2026-09-28提出)
💡 用語メモ:ギガワットは電力の大きさの単位で、ここではデータセンターで使うGPUの規模を、使う電力の量で表しています。ワラントは、決められた値段で会社の株を買える権利です。10-Qによると、この2つのワラントは、GPUの購入の節目や株価などの条件を満たすごとに段階的に使えるようになるしくみで、2026年6月27日の時点では、まだどの部分も使える状態になっていません。

4️⃣ 直近の決算の数字(2026年第2四半期)

2026年第2四半期(2026年6月27日までの3か月。2026年8月4日発表)の数字です。前年同期(2025年6月28日までの3か月)と並べています。数字はすべて決算発表資料(8-K)からで、確認日は2026-10-08です。

指標2026年 第2四半期2025年 第2四半期増減
売上高115.36億ドル76.85億ドル+50%
うちデータセンター区分67.18億ドル32.40億ドル+107%
うちクライアント30.62億ドル24.99億ドル+23%
うちゲーミング7.79億ドル11.22億ドル−31%
うちエンベデッド区分9.77億ドル8.24億ドル+19%
GAAPの粗利率54%40%+14ポイント
GAAPの営業利益19.90億ドル−1.34億ドル(赤字)—
GAAPの純利益22.97億ドル8.72億ドル+163%
GAAPの1株あたり利益(希薄化後)1.38ドル0.54ドル+156%
非GAAPの1株あたり利益(希薄化後)1.66ドル0.48ドル+246%

出典:8-K 決算発表資料「AMD Reports Second Quarter 2026 Financial Results」(2026-08-04提出)。増減は会社の表の値(区分別の増減は会社の文中の値)。⚠️ 2025年第2四半期は、米国政府の輸出管理により中国向けのGPU「MI308」が出荷できなくなったことに関わる、在庫などの費用8億ドルを含んでいると会社が注記しています。そのため、粗利率や営業利益の前年同期との比べ幅は、この費用の分だけ大きく出ています(売上高の比べ幅には関わらない費用です)。確認日:2026-10-08。

💡 用語メモ:粗利率は、売上から製品を作るのにかかった費用を引いた「粗利」が、売上の何%かを表します。EPSは1株あたり利益の英語の略です。ゲーミングの減少について、会社はゲーム機などに組み込む専用の半導体(セミカスタム)の売上が減ったためと説明しています。
AMDの四半期ごとの売上高の推移(2025年第2四半期から2026年第2四半期まで)。濃い色がデータセンター区分 四半期ごとの売上高(単位:億ドル)。濃い色=データセンター区分 データセンター そのほかの区分 76.85 2025年 第2四半期 92.46 2025年 第3四半期 102.70 2025年 第4四半期 102.53 2026年 第1四半期 115.36 2026年 第2四半期
▲ 8-K 決算発表資料(2026年第2四半期・2025年第4四半期と通期)の四半期ごとの売上高と、データセンター区分の売上高(百万ドル)をもとに作成(2026-10-08確認)。データセンター区分は、左から32.40・43.41・53.80・57.75・67.18億ドル。※概念を示すイメージ図です。

通期(1年間)の数字:2025年度(2025年12月27日まで)の売上高は346.39億ドルで、2024年度の257.85億ドルから34%増えました。GAAPの純利益は43.35億ドル(2024年度は16.41億ドル)でした。2026年の上半期(6月27日までの6か月)の売上高は217.89億ドルで、前年同期の151.23億ドルから約44.1%増えています(出典:8-K 2025年第4四半期と通期の決算発表資料・8-K 2026年第2四半期の決算発表資料、2026-10-08確認)。

💡 会社が公表している次の四半期の見通し:会社は2026年第3四半期について、売上高を約130億ドル(上下3億ドルの幅)、非GAAPの粗利率を約56%と見込んでいると公表しています(出典:同8-K「Current Outlook」、2026-10-08確認)。これは会社自身が公表している見通しで、当サイトの予測ではありません。会社は同じ資料で、見通しは今の時点の予想であり、市場の状況などによって実際の結果は大きく変わり得るとも書いています。

5️⃣ 会社自身が挙げているリスク

以下は、会社がSECに出した10-Q(第2四半期)と10-K(2025年度)の「Item 1A. Risk Factors(リスク要因)」で、会社自身が開示しているリスクの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズでいちばん大事にしている情報です。原文はSEC EDGARのAMDの提出書類一覧から確かめられます。

💡 用語メモ:輸出管理は、国の安全などを理由に、特定の製品や技術を特定の国・相手へ売ることを、政府が許可制にしたり禁止したりするしくみです。米国では商務省の産業安全保障局(BIS)が担当しています。

出典:10-Q「Item 1A. Risk Factors」(2026-08-05提出)・10-K「Item 1A. Risk Factors」(2026-02-04提出)の要旨(英語の原文を当サイトが要約したもの)。確認日:2026-10-08。原文には、このほかにも為替、税、買収の統合、人材の確保、株価の変動などの項目が並んでいます。

6️⃣ 上がる材料/下がる材料

ここがこの記事の主役です。会社の開示で確かめられる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。

📈 上がる可能性がある材料
会社は2026年第3四半期の売上高を約130億ドル(上下3億ドルの幅)、非GAAPの粗利率を約56%と見込んでいると公表している(会社自身の見通しで、当サイトの予測ではない)。出典:8-K 決算発表資料「Current Outlook」(2026-08-04提出)/確認日2026-10-08/効くと:次の決算で、実際の数字をこの見通しと比べられる
データセンター区分の売上は67.18億ドルで前年同期より約107%増え、売上全体の約58.2%を占めた。会社はサーバー用CPUとGPUの需要の強さを理由に挙げている。出典:8-K 決算発表資料・10-Q 第2四半期/確認日2026-10-08/効くと:いちばん大きな区分の伸びが、会社全体の売上を左右する
AI開発やネットサービスの大手2社が、それぞれ最大6ギガワット分のAMDのGPUを導入する複数年の契約を結んでいる。このうち2026年2月に契約した1社については、最初の1ギガワットに向けた出荷を2026年後半に始める予定と、会社が発表資料で公表している。出典:10-Q 第2四半期・8-K 2026年2月24日の発表資料/確認日2026-10-08/効くと:出荷が始まったかどうかが、今後の決算や10-Qで確かめられる
パソコン用CPUのクライアントの売上は30.62億ドルで前年同期より約23%増えた。会社はパソコン用CPU「Ryzen」の需要の強さを理由に挙げている。出典:8-K 決算発表資料(2026-08-04提出)/確認日2026-10-08/効くと:データセンター以外の区分でも売上が伸びているかを確かめる材料になる
2026年上半期の営業活動によるお金の出入り(継続事業)は53.21億ドルの入りで、前年同期の24.01億ドルから増えた。会社独自の計算によるフリーキャッシュフローは41.24億ドル(前年同期19.07億ドル)。出典:8-K 決算発表資料のキャッシュフロー計算書と調整表/確認日2026-10-08/効くと:事業で手元に残るお金が、投資や返済に回せる大きさを示す
📉 下がる可能性がある材料
中国向けのGPUの出荷は、米国の輸出の許可と、中国側の輸入の規則しだいだと会社自身が書いている。2025年には輸出管理の影響で差し引き(正味)で約4.4億ドルの在庫などの費用が出た。出典:10-Q 第2四半期「Item 1A. Risk Factors」/確認日2026-10-08/効くと:規制が変わると、売れる相手や在庫の価値が変わり得る
業界全体でメモリが品不足になり、値段も上がっていると会社自身が書いている。メモリや基板は限られた仕入れ先からしか手に入らない。出典:10-Q 第2四半期「Item 1A. Risk Factors」/確認日2026-10-08/効くと:部品が足りないと出荷が遅れたり、製造コストが上がったりし得る
ゲーミングの売上は7.79億ドルで前年同期より約31%減った。会社は、ゲーム機などに組み込む専用の半導体(セミカスタム)の売上が減ったためと説明している。出典:8-K 決算発表資料(2026-08-04提出)/確認日2026-10-08/効くと:区分によって売上の向きが違うことを示す
ウエハー・基板・部品の購入やクラウドの利用契約などの、取り消せない支払いの約束は約303億ドル(第1四半期末は約257億ドル)。ほかに、提携先のデータセンターの賃借への保証が最大41億ドルある。6月27日のあとにも、最大50億ドルの投資の約束と、総額95億ドルの長期のデータセンターの賃借を結んだ。出典:10-Q 第2四半期・第1四半期/確認日2026-10-08/効くと:需要が変わっても、決まった支払いは残る
AI開発やネットサービスの大手2社に、それぞれ最大1億6,000万株を1株0.01ドルで買える権利(ワラント)を発行している。さらに、World Labsの買収(約82億ドル)は株式で支払う契約。出典:10-Q 第2四半期・8-K(2026-09-28提出)/確認日2026-10-08/効くと:条件を満たせば発行済みの株の数が増え、1株あたりの数字が変わり得る

※ 材料の数は左右5件ずつでそろえています。上の内容は開示の要約で、どちらが重いかの判断や将来の予測はしていません。フリーキャッシュフロー(営業活動で入ったお金から設備への投資を引いた、会社独自の計算の数字)は非GAAPの指標です。

以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

7️⃣ これから何を見れば分かるか

次の決算発表(2026年第3四半期)は、当サイトの決算予定データ(earnings-calendar.json)では2026年11月3日(予定・時刻は未定)です。予定は変わることがあるため、会社のIRサイトでも確かめてください。この記事で挙げた材料は、次のところで確かめられます。

いずれもSEC EDGAR(米国の証券取引委員会の開示システム)と会社のIRサイトで、無料で確かめられます。

8️⃣ まとめ

結論は出しません。2026年5月28日公開の記事の時点と比べると、売上高は102.53億ドルから115.36億ドルへ、データセンター区分の売上は57.75億ドルから67.18億ドルへ、非GAAPの1株あたり利益は1.37ドルから1.66ドルへと、数字が変わりました。その一方で、会社自身は輸出管理、メモリの品不足、外部の工場への依存などをリスクとして挙げています。次の決算と開示で見るべき指標はこの3つです。①会社が公表した第3四半期の見通しと実際の数字 ②データセンター区分の売上の割合 ③AI開発やネットサービスの大手2社への出荷と、中国向けの輸出の許可について会社がどう書くか。どう見るかは、読者ご自身の判断にゆだねます。

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