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⚠️ 本記事は公開情報(有価証券報告書・適時開示等の一次情報)に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示や将来の業績・株価の予測は行っていません。投資には元本割れリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

🏦 みずほフィナンシャルグループ(8411)を数字で見る|銀行持株会社を有価証券報告書で確認

公開日:2026年10月7日 / 読了時間:約15分 / カテゴリ:数字で見る企業(第9回・日本株)

「数字で見る、話題の企業」シリーズ第9回は、銀行・信託銀行・証券会社などを傘下に持つ銀行持株会社、株式会社みずほフィナンシャルグループ(証券コード8411、以下「みずほFG」)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。会社が金融庁の開示システム(EDINET)に提出した有価証券報告書(第24期・2025年4月〜2026年3月)を中心に、①事業の中身 ②お金の流れの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。

📌 30秒でわかるこの記事
  • みずほFGは、自らは銀行の業務をせず、グループ会社の経営を管理する銀行持株会社です。第24期(2025年4月〜2026年3月)の親会社株主に帰属する当期純利益は1兆2,486億円(前期比約+41.0%)、経常利益は1兆5,731億円でした(日本の会計基準〈日本基準〉の連結の数字)
  • 会社は利益の増加について、国内外の金利以外のビジネス(手数料など)の好調に加え、円安や円金利の上昇の取り込みなどを挙げています。一方で、国債などの債券を大量に持っていることから、金利の上昇で評価損や売却損が出る可能性も、会社自身がリスクとして挙げています
  • 「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
💡 なぜみずほFGか(選定根拠):本シリーズは日本株を中心にする方針(直近3本のうち海外株が1本以上あれば日本株)で、直近3本(Applied Materials・MS&AD・中外製薬)に海外株が含まれるため、今回は日本株の番です。当サイトが機械的に集計する候補データ(edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-06時点で20銘柄)のうち、みずほFGは2026年9月25日・9月28日・9月30日(いずれも値上がりランキング)と10月1日(値下がりランキング)の4日に登場しています。ランキングに最後に登場した日から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)と、有価証券報告書の本文が取得できていることを満たす候補の中から、時価総額の大きい順に選びました(時価総額の金額は本文に書きません)。本レーンでの既刊記事・この会社が主役の解説記事の既刊はなく(ls guide-*.html と guides.html を社名・証券コードで確認)、直近14日のニュース記事(guide-news-*.html・NEWS_LEDGER.md)では、銀行株の値動きを挙げた一文で社名が出るだけで、主役として扱った記事はありません。ランキングに登場した理由(なぜ値上がり・値下がりしたか)は、一次情報で確かめられないため書きません。
数字の出どころと確認日(2026-10-07):決算の数字はすべて有価証券報告書 第24期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月19日提出)から引いています。直近の四半期(2026年4〜6月期)の決算短信は、決算短信の掲載先であるTDnet(東京証券取引所の適時開示サイト)で当サイトが確かめた時点(2026-10-07)では2026年8月31日より前の開示が見られず、取得できなかったため、この記事では使っていません(二次情報で補うこともしていません)。2026年8月31日以降のTDnetの開示は取得でき、自己株式の取得と消却の開示(2026年9月1日・9月24日)はそちらから引いています。億円の数字は、有報の文中の表(億円)に合わせ、当サイトが百万円から計算したものには「約」を付けています。なお、みずほFGは米国の証券取引所にも上場しており、米国では米国の会計基準による資料も出していますが、この記事の数字はすべて日本の有価証券報告書(日本基準)のものです。

1️⃣ みずほFGはどんな会社か

みずほFGは、銀行持株会社です。有報によると、事業の目的は銀行・証券専門会社など「銀行法により子会社とすることができる会社の経営管理」などで、グループは当社、連結子会社263社と持分法適用関連会社(株を一定割合持ち、経営に影響を与えている会社)25社などで構成され、銀行業務・信託業務・証券業務・その他の金融サービスを行っています(出典:有価証券報告書 第24期「事業の内容」、2026-10-07確認)。連結の従業員数は52,427人(2026年3月31日現在)です。

💡 用語メモ:銀行持株会社は、銀行などの子会社の株を持ち、グループ全体の経営を管理する会社です。みずほFG自身の収入については、会社は有報で、持株会社である当社は「その収入の大部分を傘下の銀行子会社等から受領する配当金に依存しております」と書いています。連結はグループ全体を1つの会社とみなした数字、単体はみずほFG1社だけの数字です。この記事では、ことわりがなければ連結の数字を使います。日本基準は日本の会計のルールで、みずほFGの有価証券報告書はこのルールで作られています。

会社は顧客の種類ごとに5つの「カンパニー」を置き、これを報告セグメント(事業の区分)としています。カンパニーごとの業務粗利益+ETF関係損益等(銀行の「売上総利益」にあたる数字に、会社が定めた一部の運用損益を足したもの)は次のとおりです(出典:同有報「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」のセグメント情報の表)。

みずほFG 第24期(2025年4月〜2026年3月)のカンパニー別の業務粗利益+ETF関係損益等 カンパニー別の業務粗利益+ETF関係損益等(第24期・単位:億円・構成比は連結の合計に対する割合) リテール・事業法人カンパニー(個人・中小企業・中堅企業) 9,846(約28.0%) グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニー(海外の企業など) 8,569(約24.4%) コーポレート&インベストメントバンキングカンパニー(国内の大企業など) 7,392(約21.0%) グローバルマーケッツカンパニー(市場での取引・資金の運用と調達) 6,648(約18.9%) その他 1,964(約5.6%) アセットマネジメントカンパニー(資産運用) 735(約2.1%) 濃い青=顧客の種類ごとの3カンパニー/中くらいの青=市場・資産運用のカンパニー/薄い青=その他
▲ 有価証券報告書 第24期「経営者による分析」の報告セグメントごとの業務粗利益+ETF関係損益等(億円、2026-10-07確認)をもとに作成。構成比は連結の業務粗利益+ETF関係損益等3兆5,156億円に対する割合で、当サイトが計算したもの(6つの合計は表示単位の端数のため3兆5,154億円になる)。※概念を示すイメージ図です。

カンパニーが受け持つ顧客は、有報によると、リテール・事業法人カンパニーが個人・中小企業・中堅企業、コーポレート&インベストメントバンキングカンパニーが国内の大企業法人・金融法人・公共法人、グローバルコーポレート&インベストメントバンキングカンパニーが海外の日系企業と非日系企業などです。グローバルマーケッツカンパニーはお客さまに市場の商品を提供する業務と、資金の調達や運用(ALM・投資業務)を担当しています(出典:同有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)。主な子会社は、銀行のみずほ銀行、信託銀行のみずほ信託銀行、証券のみずほ証券です(出典:同有報「事業の内容」「沿革」)。

💡 用語メモ:業務粗利益は、銀行の本業のもうけの大きさを表す数字で、主に資金利益(貸出や債券などから受け取る利息と、預金などに払う利息の差)、役務取引等利益(振込・送金や融資の手数料など、サービスの手数料による利益)、特定取引利益(お客さまとの取引などのために行う、短い期間の売買による利益)などからなります。ALM(資産・負債の総合管理)は、預金で集めたお金と、貸出や債券での運用の、金利や期間のずれを管理することです。ETFは証券取引所で売買される投資信託のことです。

連結全体の連結粗利益は3兆4,772億円で、内訳は資金利益が1兆3,770億円(約39.6%)、役務取引等利益が1兆804億円(約31.1%)、特定取引利益が8,949億円(約25.7%)、信託報酬(信託業務で受け取る手数料)が670億円、その他業務利益が578億円でした(構成比は当サイト計算。出典:同有報「経営者による分析」の損益状況の表)。

2️⃣ どのつながりの中にいるか

次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、みずほFGのグループが「お金の流れ」のどこに立っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。

お金の流れの工程。預金者から銀行へ預金が集まり、銀行から借り手へ貸出が流れ、銀行は国債などの有価証券でも運用する。証券・信託の機能は、資本市場で企業と投資家をつなぐ。全体は中央銀行の金融政策と金融当局の規制の枠組みの中にある お金の流れの中での位置(お金が流れる方向) 預金者 (個人・企業・公共など) お金を預ける 銀行の仕事 (預金を集めて貸す・決済) みずほFGのグループ =ここに立つ 借り手 (企業・個人の住宅ローン など)お金を借りて使う 有価証券での運用 (国債・株式など) 金利や株価で価値が動く 証券・信託・資産運用 (発行の手伝い・売買の仲介 ・資産の運用と管理) みずほFGのグループ=ここ 資本市場 (株式・債券を発行する企業 と、それを買う投資家) 外側の枠組み:中央銀行の金融政策(政策金利)・国債の金利・金融当局の規制(自己資本比率など) 預金と貸出の金利、有価証券の価値、グループが持つべき資本の量は、この枠組みの影響を受ける ※矢印は「お金が流れる方向」を示す事実の関係です。 業績や株価が連動する方向を示すものではありません。
▲ お金の流れの中でのみずほFGのグループの位置(概念図)。会社の「事業の内容」「経営者による分析」「事業等のリスク」の開示をもとに作成(2026-10-07確認)。※概念を示すイメージ図です。

みずほFGのグループが「銀行の仕事」と「証券・信託・資産運用」の箱に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。2026年3月末の連結の預金は165兆9,370億円、貸出金は99兆7,531億円、有価証券は42兆6,325億円で、有価証券のうち国債(日本国債)は15兆3,444億円でした。カンパニーの業務粗利益には、証券や資産運用の業務も含まれています(出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」、2026-10-07確認)。

💡 用語メモ:預貸(よたい)は、預金を集めて貸出に回す、銀行の基本の仕事のことです。貸出で受け取る金利と預金に払う金利の差が、資金利益のもとになります。有報の国内の資金運用・調達の表では、国内の貸出金の利回りは前期の1.26%から1.54%に、国内の預金の利回り(銀行が払う側)は0.14%から0.28%に、どちらも上がりました(出典:同有報「経営者による分析」の国内・海外別資金運用/調達の状況)。有価証券は国債・社債・株式などで、銀行は預金の一部をこれらで運用しています。

工程の前後とのつながりも、数字や文章で開示されています。

このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報のリスクで挙げています。たとえば国債などの債券を大量に持っていることについて「金利上昇に伴う価格の下落により、評価損や売却損が発生する可能性があります。」としています。格付が引き下げられた場合には、資金調達のコストの上昇や、市場での取引で追加の担保を出す必要が生じうると書き、デリバティブ(金融派生商品)の契約にもとづく追加の担保の額を、1段階の格下げで約75億円、2段階で約290億円と試算しています(2026年3月末時点。出典:有価証券報告書「事業等のリスク」、2026-10-07確認)。

産業のつながりがあることと、株価が連動することは別です。同じ工程にいる会社でも、業績も株価も会社ごとに大きく異なります。ここでお伝えしているのは産業構造の事実であって、値動きの予想ではありません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。

3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事

各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。有価証券報告書の「沿革」などに無い事実(前身の銀行の統合など)は、Wikipedia(二次情報)から年表に限って使い、行政処分は金融庁の公表資料(一次情報)から引いています。

年月出来事出典
2000年9月第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行の3行が、共同持株会社「みずほホールディングス」を設立Wikipedia「みずほフィナンシャルグループ」沿革(2026-10-07確認)
2002年4月3行を合併・分割し、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行が発足。営業初日にATMや口座振替でシステム障害が起きるWikipedia「みずほフィナンシャルグループ」沿革(2026-10-07確認)
2003年1月〜3月みずほホールディングスの出資で当社を設立。3月に同社とみずほ信託銀行を直接の子会社とし、当社の株式を東京証券取引所などに上場有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-07確認)
2006年7月傘下の銀行に入っていた公的資金(経営の安定のために国が銀行に入れたお金)を完済Wikipedia「みずほフィナンシャルグループ」沿革(2026-10-07確認)
2006年11月米国預託証券(ADR:米国の市場で日本の株を売買できるようにした証券)をニューヨーク証券取引所に上場有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-07確認)
2011年5月同年3月のみずほ銀行のシステム障害について、金融庁がみずほ銀行とみずほFGに業務改善命令(業務の改善計画を出して実行するよう求める、行政処分の一種)を出す金融庁「みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について」(平成23年5月31日)(2026-10-07確認)
2013年7月みずほコーポレート銀行がみずほ銀行を吸収合併し、商号をみずほ銀行に変更有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-07確認)
2013年12月提携ローンをめぐる反社会的勢力との取引の問題で、金融庁がみずほ銀行(提携ローンの新規の与信取引の一時停止を含む)とみずほFGに行政処分を出す金融庁「みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について」(平成25年12月26日)(2026-10-07確認)
2014年6月委員会設置会社(現在の指名委員会等設置会社。社外取締役が中心の委員会が、取締役の候補や報酬などを決める仕組み)へ移行有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-07確認)
2016年10月グループの資産運用の会社などを統合し、アセットマネジメントOneが発足有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-07確認)
2021年9月・11月同年2月以降のみずほ銀行のシステム障害について、金融庁がみずほ銀行とみずほFGに業務改善命令を出す(11月の命令では、経営管理〈ガバナンス〉の態勢の整備も求めた)金融庁 行政処分(令和3年9月22日)・同(令和3年11月26日)(2026-10-07確認)
2023年12月米国の子会社を通じて、米国のM&A(企業の合併・買収)助言会社を完全子会社にする有価証券報告書 第24期「沿革」(2026-10-07確認)
2026年4月みずほ銀行が、グループのリサーチ・コンサルティング・ITの会社(みずほリサーチ&テクノロジーズ)を合併し、事業を統合有価証券報告書 第24期「沿革」「事業の内容」(2026-10-07確認)
2026年6月有価証券報告書 第24期(2025年4月〜2026年3月)を提出EDINET 有価証券報告書(2026-06-19提出、2026-10-07確認)
2026年9月24日2026年5月15日と7月30日の取締役会の決議にもとづく自己株式の取得(上限2,000億円)の終了と、取得した2,435万2,700株の消却(予定日2026年10月23日)を開示適時開示「自己株式の取得状況および取得終了ならびに自己株式の消却に関するお知らせ」(2026-09-24開示、2026-10-07確認)

※TDnet(適時開示)のPDFは保管期間(約1か月〜1か月半)を過ぎるとリンクが切れます。その場合は会社のIRサイトの適時開示一覧でご確認ください。

4️⃣ 直近の決算の数字(有価証券報告書 第24期)

有価証券報告書 第24期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月19日提出)の連結の数字です(日本基準)。みずほFGは3月決算で、その後の四半期の数字(2026年4〜6月期の決算短信)は、上の注意書きのとおり当サイトでは取得できていません。確認日は2026-10-07です。

💡 用語メモ:銀行の決算には、メーカーのような「売上高」がありません。経常収益は、利息・手数料・売買の収益などを合わせた、銀行の収入の合計です。経常利益は、そこから費用を差し引いたふだんの活動による利益です。連結業務純益は、業務粗利益から経費を引いた、本業のもうけを表す銀行特有の数字です。与信関係費用は、貸したお金が返ってこないおそれに備えて積む引当金や、回収できなくなった貸出の処理にかかる費用です。
指標(連結)第24期(2025/4〜2026/3)第23期(前期・2024/4〜2025/3)増減
経常収益約9兆854億円約9兆303億円約+0.6%
連結粗利益3兆4,772億円2兆9,204億円+5,568億円
営業経費2兆1,034億円1兆8,407億円+2,627億円
連結業務純益+ETF関係損益等1兆4,611億円1兆1,442億円+3,168億円
与信関係費用1,330億円(費用)516億円(費用)+814億円
株式等関係損益(持っている株式の売却などによる損益)3,251億円(利益)1,412億円(利益)+1,839億円
経常利益1兆5,731億円1兆1,681億円+4,050億円
親会社株主に帰属する当期純利益1兆2,486億円8,854億円+3,631億円(約+41.0%)
1株当たり当期純利益(基本的EPS)502.92円350.20円—
東証基準ROE(会社の定義)11.4%—+2.9ポイント
連結普通株式等Tier1比率(規制上の比率)13.16%13.23%△0.07ポイント

出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」の損益状況・自己資本比率の表と「主要な経営指標等の推移」(2026-06-19提出)。億円は有報の表の記載。経常収益の億円と増減率は、有報の数字(百万円)から当サイトが計算したもの。確認日:2026-10-07。

💡 用語メモ:EPS=1株当たりの利益です。基本的/希薄化後=実際に発行されている株数で割ったものが基本的、将来増えうる株も含めて割ったものが希薄化後で、第24期はどちらも502.92円でした。ROE(自己資本利益率)=株主のお金に対して1年でどれだけ利益を出したかの割合です。会社が目標に使う「東証基準ROE」は、会社の注記では、その他有価証券評価差額金(持っている有価証券の値上がり・値下がり分)を含めて計算したものです。2つの「自己資本比率」に注意:有報の「主要な経営指標等の推移」の自己資本比率(貸借対照表の純資産から新株予約権と非支配株主持分を除いた額を、総資産で割った割合)は3.74%です。これとは別に、銀行には国際的なルール(バーゼルⅢ)にもとづき金融庁が定める規制上の自己資本比率があり、これは資産をリスクの大きさで重み付けした「リスク・アセット」に対する資本の割合です。そのうち最も質の高い資本で計算するのが普通株式等Tier1(ティア・ワン)比率で、第24期末は13.16%でした。2つは計算のしかたが違うため、数字の大きさを比べることはできません。

会社の説明では、連結粗利益は「国内外の非金利ビジネスが好調に推移したことに加え、円安効果や円金利上昇影響の取り込み等といった市場要因等により」増えました。営業経費は、為替・インフレなどの環境要因と、成長領域や経営基盤の強化に向けた資源の投入などで増えています。与信関係費用は「国内外の一部個社で費用を計上したことに加え、不透明な中東情勢等を踏まえフォワード・ルッキングな引当を実施したこと等により」増えました(フォワード・ルッキングな引当=これから起こりうる悪化を見込んで、前もって引当金を積むこと)。株式等関係損益は「政策保有株式売却益の増加等により」増えています(出典:同有報「経営者による分析」)。

💡 用語メモ:政策保有株式は、取引先との関係の維持などを目的に持ち合っている株式のことです。みずほFGは有報のリスクの項で、保有の意義が認められる場合を除き、上場株式を政策保有しないことを基本方針とし、売却を計画的に進めていると書いています。
みずほFGの経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益の推移。第20期から第24期 経常利益と当期純利益の推移(連結・日本基準・単位:億円・億円未満切り捨て) 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 5,598 5,304 第20期 2021年度 7,896 5,555 第21期 2022年度 9,140 6,789 第22期 2023年度 11,681 8,854 第23期 2024年度 15,731 12,486 第24期 2025年度 みずほFGは3月決算。第20期=2021年4月〜2022年3月、第24期=2025年4月〜2026年3月。
▲ 有価証券報告書 第24期「主要な経営指標等の推移」の数値(円)を億円に換算して作成(億円未満切り捨て、2026-10-07確認)。2本の棒は同じ縦の目盛り。※概念を示すイメージ図です。

5期の数字では、経常利益は約5,598億円(第20期)から約1兆5,731億円(第24期)へ、親会社株主に帰属する当期純利益は約5,304億円から約1兆2,486億円へと、毎期増えています。同じ5期の経常収益は、約3兆9,630億円(第20期)から約9兆854億円(第24期)でした(出典:同有報「主要な経営指標等の推移」)。この記事で読んだ範囲の有報には、第23期より前の年ごとの増減の理由の説明はないため、理由は書きません。

配当と自己株式について、1株当たり配当額は第23期140円・第24期145円(うち中間配当72.5円)でした(提出会社の数字)。会社は有報で、1,000億円を上限とする自己株式の取得と消却を決議したと書いています。その後のTDnetの開示によると、2026年5月15日と7月30日の取締役会の決議にもとづく取得(上限2,000億円・3,500万株)は、2026年9月18日までに累計2,435万2,700株・約2,000億円で終わり、取得した株式はすべて2026年10月23日に消却する予定です(出典:同有報「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」、適時開示(2026-09-24)、2026-10-07確認)。

💡 会社が公表している目標と業績予想について:会社は有報で、2025年度に中期財務目標を前倒しで達成したことを踏まえ、2028年度に向けた新たな目標として東証基準ROEで12%超を安定的に実現すること、連結業務純益(ETF関係損益等を含む)で1.8〜2.0兆円を掲げています(出典:同有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)。2027年3月期の業績の見通しなど、決算短信に載る数字は、当サイトが確かめた時点でTDnetの保管期間を過ぎていて取得できなかったため、この記事に書いていません。会社のIRサイトでご確認ください。なお、ここで扱う数字はすべて会社の開示の紹介で、当サイトによる業績予測ではありません。

5️⃣ 会社自身が挙げているリスク

以下は有価証券報告書(第24期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社は最初に「トップリスク」(会社が特に重要と選んだリスク)を挙げ、そのあとに経営環境・財務・業務の面から多くの項目を並べています。ここではそのうち5つを紹介します。原文はEDINET掲載の有価証券報告書でご確認ください。

出典:有価証券報告書 第24期「事業等のリスク」(2026-06-19提出、2026-10-07確認)。原文にはこのほか、日本経済・米国経済の減速、各国の財政への不安(ソブリンリスク)、国家間の対立、気候変動、マネー・ローンダリング対策、人材不足、AIなどのテクノロジーへの対応、大規模な自然災害、為替相場の変動、持株会社が傘下の銀行から受け取る配当への依存などが挙げられています。

6️⃣ 上がる材料/下がる材料

ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。

📈 上がる可能性がある材料
第24期の親会社株主に帰属する当期純利益は1兆2,486億円(前期比+3,631億円)、経常利益は1兆5,731億円(同+4,050億円)だった。出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」/確認日2026-10-07/効くと:この水準が続くかどうかを、次の決算で比べる基準になる
資金利益は1兆3,770億円(前期比+3,318億円)。会社は「有価証券利息配当金や貸出金利息の増加等により」と説明している。国内の貸出金の利回りは1.26%から1.54%に上がった。出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」/確認日2026-10-07/効くと:預金と貸出の金利の差が、資金利益の大きさを左右する材料になる
役務取引等利益は1兆804億円(前期比+1,736億円)。会社は「預金・債券・貸出業務関連手数料の増加等により」と説明している。出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」/確認日2026-10-07/効くと:金利以外の手数料による利益が、粗利益に占める大きさを見る材料になる
連結業務純益+ETF関係損益等は1兆4,611億円で、会社が「11月に開示した通期業績見通し」(第24期の途中の2025年11月)として示した1兆3,500億円に対し、108%の達成率だったと会社は書いている。2028年度の目標として、東証基準ROE12%超と連結業務純益1.8〜2.0兆円を公表している(当サイトの予測ではない)。出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-07/効くと:会社の目標に対する実績の進み方を、毎期の決算で確かめられる
1株当たり配当額は第24期145円(前期140円)。2026年5月と7月の決議による自己株式の取得(上限2,000億円)は9月18日までに約2,000億円で終わり、取得した2,435万2,700株を10月23日に消却する予定と開示した。出典:有価証券報告書 第24期「主要な経営指標等の推移」・適時開示(TDnet、2026-09-24)/確認日2026-10-07/効くと:発行済みの株数が減ると、1株当たりの利益の計算の分母が小さくなる
📉 下がる可能性がある材料
与信関係費用は1,330億円(前期516億円)に増えた。会社は「国内外の一部個社で費用を計上したことに加え、不透明な中東情勢等を踏まえフォワード・ルッキングな引当を実施したこと等により」と説明している。出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」/確認日2026-10-07/効くと:取引先の業績や景気の変化が、費用として利益に表れることがある
国債は15兆3,444億円で、前期末から6兆5,545億円増えた。会社は、債券を大量に持っているため「金利上昇に伴う価格の下落により、評価損や売却損が発生する可能性があります。」と書いている。出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」「事業等のリスク」/確認日2026-10-07/効くと:金利の上昇は、利息の収入だけでなく、持っている債券の価値にも響きうる
株式の保有額は3兆9,945億円(2026年3月末)。会社は、保有株式の株価が下がった場合の評価損・売却損と、自己資本比率の低下の可能性をリスクとして挙げている。第24期の株式等関係損益は3,251億円の利益で、会社は前期からの増加の理由に「政策保有株式売却益の増加等」を挙げている。出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」「事業等のリスク」/確認日2026-10-07/効くと:株式市場の値動きが、損益と規制上の自己資本の両方に響きうる
営業経費は2兆1,034億円(前期比+2,627億円)。会社は、為替・インフレなどの環境要因と、成長領域やガバナンスなど経営基盤の強化に向けた資源の投入などを理由に挙げている。特定取引利益は8,949億円(同△1,525億円)だった。出典:有価証券報告書 第24期「経営者による分析」/確認日2026-10-07/効くと:経費の伸び方が、粗利益の伸びのうち利益に残る部分を左右する
会社はトップリスクに「システム障害」を挙げ、対処すべき課題に、大規模なシステム障害を抑えるための再発防止の取り組みの継続を書いている。みずほ銀行とみずほFGは、2011年と2021年にシステム障害をめぐって金融庁から業務改善命令を受けている。出典:有価証券報告書 第24期「事業等のリスク」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」・金融庁の公表資料(2011-05-31、2021-09-22、2021-11-26)/確認日2026-10-07/効くと:障害が起きると、損害賠償・行政処分・評判の低下などで業績に響きうると会社は書いている

以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

※ 材料の数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来の予測は行っていません。

7️⃣ これから何を見れば分かるか

次の決算発表日は、当サイトの決算予定データ(earnings-calendar.json)に載っておらず、会社の公式な日程も確認できていないため、ここには書きません。会社のIRサイトの決算発表予定でご確認ください。この記事で挙げた材料がその後どうなったかは、次の開示で確かめられます。

有価証券報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説にまとめています。

8️⃣ まとめ

結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①資金利益と、国内の貸出・預金の利回り(金利の変化が本業にどう表れているか)、②与信関係費用と、その会社の説明、③その他有価証券評価差額金と普通株式等Tier1比率(持っている債券・株式の値動きが資本にどう響いているか)。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。

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