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⚠️ 本記事は公開情報(SEC提出資料等の一次情報)に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示や将来の業績・株価の予測は行っていません。投資には元本割れリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

💾 Broadcom(AVGO)を数字で見る|AI半導体売上167億ドル(+221%)の第3四半期決算

公開日:2026年9月5日 / 読了時間:約14分 / カテゴリ:数字で見る企業(第2回・海外株)

「数字で見る、話題の企業」シリーズ第2回は、米国のBroadcom Inc.(NASDAQ: AVGO)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を自分で見積もれる状態」を作ることであり、上がるか下がるかの結論は書きません。会社自身が米SEC(証券取引委員会)に提出した一次情報——臨時報告書(Form 8-K)に添付の決算発表資料と年次報告書(Form 10-K)——から、①事業の中身 ②歴史 ③直近決算の数字 ④会社自身が認めているリスク ⑤上がる材料・下がる材料を対で並べ、最後に⑥次に何を見ればよいかを整理します。

📌 30秒でわかるこの記事
  • 2026年度第3四半期(2026年5-8月期・8月2日締め)決算で売上高$295.91億(前年同期比+86%)、AI半導体売上は$167億(同+221%)
  • 会社自身が開示するリスク要因(Form 10-K)はAI需要の循環性・顧客集中・貿易規制・有利子負債・サイバーセキュリティの5点を紹介
  • 「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
💡 なぜBroadcomか(選定根拠):本シリーズは日本株と海外株を交互に扱う方針で、前回(2026年9月1日公開・Apple)が海外株だったため、今週は本来日本株の番でした。しかし当サイトの日本株候補データ(edinet-yuho.jsoncandidates、直近14日でランキング2回以上登場)は最終出現日がいずれも2026年9月4日で、COMPANY_GUIDE.mdが定める「ランキング入りの直近日から中3営業日あける」を満たす銘柄が1社もなかったため(最短でも2026年9月9日まで持ち越し)、今回は日本株を見送り海外株側で選定しました(詳細は台帳に記録)。海外株側は、当サイトの決算カレンダー(earnings-calendar.json)で決算発表日が2営業日前〜14日前の米国企業を確認したところ、Broadcom(2026年9月2日発表)とNVIDIA(8月26日発表)が該当しました。NVIDIAは8月27日公開の当サイト決算速報記事で直近扱われたばかりのため見送り、Walmart(8月20日発表)は16日前で対象期間外だったため、残ったBroadcomを選定しました。本レーンでのBroadcom既刊はなく(本文中で言及するNVIDIA・TSMC等の既刊記事とは別会社)、直近14日の当サイト記事にBroadcom単独主役の記事もありません(周辺的な言及のみ)。

1️⃣ Broadcomはどんな会社か——セグメント別の売上構成

Broadcomは半導体および半導体関連ソリューションと、インフラソフトウェアソリューションを設計・開発・供給するグローバル企業です(出典:Form 10-K「Item 1. Business - Overview」、2025年12月18日提出、2026-09-05確認)。同社は自らを「AT&T/ベル研究所、ルーセント、ヒューレット・パッカードに起源を持つ60年超の歴史」を持つ企業と説明し、LSIコーポレーション・Broadcom Corporation・ブロケード・コミュニケーションズ・CA, Inc.・シマンテックのエンタープライズセキュリティ事業・VMwareなど、数次の買収を通じて事業を拡大してきたと開示しています。現在の事業は半導体ソリューション(AIデータセンター向けカスタムAIアクセラレータ〈顧客ごとの用途に合わせて設計されるAI処理向けの半導体〉・ネットワーキング製品・無線機器向け半導体等)とインフラソフトウェア(VMware Cloud Foundation等の仮想化基盤・メインフレームソフトウェア・サイバーセキュリティ製品等)の2セグメントで構成されます。

2025会計年度(2024年11月4日〜2025年11月2日)の売上高$638.87億の内訳は次のとおりです(出典:Form 10-K「Item 7. MD&A」、2026-09-05確認)。

Broadcom 2025会計年度(2024年11月-2025年11月)のセグメント別売上高構成比 セグメント別 売上構成比(2025会計年度・合計638.87億ドル) 合計 $638.87億 半導体ソリューション $368.58億(57.7%・同+22%) インフラソフトウェア $270.29億(42.3%・同+26%)
▲ Form 10-K「Item 7. MD&A」のセグメント別売上高(対前年度)をもとに作成(2026-09-05確認)。半導体ソリューションがやや大きいが、インフラソフトウェア(VMware統合後)も4割超を占める。※概念を示すイメージ図です。

2️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事

各行に出典を付した事実の年表です。原因の断定や物語化は避け、確認できる出来事のみを並べています。現在の「Broadcom Inc.」は、旧ヒューレット・パッカードの半導体部門を起源とするAvago Technologiesが、2016年に旧Broadcom Corporationを買収して社名を引き継いだ会社です。

出来事出典
1961年ヒューレット・パッカードの半導体部門「HP Associates」として発足Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
1999年アジレント・テクノロジーズのスピンオフに伴い、HPから分離Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2005年KKRとシルバーレイク・パートナーズがアジレントの半導体製品グループを26億ドルで買収し、Avago Technologiesを設立Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2009年8月AvagoがNASDAQに新規上場(ティッカーAVGO)Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2013年12月LSIコーポレーションの買収に合意(66億ドル)Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2015年5月旧Broadcom Corporationの買収を発表(370億ドル、現金170億ドル・株式200億ドル)Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2016年1月旧Broadcom Corporation買収完了、社名を「Broadcom Limited」に変更Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2016年ブロケード・コミュニケーションズ・システムズの買収を提案(現金55億ドル)Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2017年11月2日法人の所在地をシンガポールからデラウェア州へ移転、親会社名を「Broadcom Inc.」に変更Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2018年7月〜11月CA Technologiesの買収に合意(189億ドル)、同年11月5日に完了Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2019年8月9日シマンテックのエンタープライズセキュリティ事業を現金107億ドルで買収Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2022年5月26日VMwareの買収を発表(610億ドル、承継する負債80億ドルを含む)Wikipedia「Broadcom Inc.」(2026-09-05確認)
2023年11月22日VMware買収完了。VMware株主には現金307.88億ドルと、公正価値533.98億ドル相当のBroadcom株式(5.44億株)を対価として交付Form 10-K「Acquisition of VMware, Inc.」注記(2025-12-18提出、2026-09-05確認)
2020年3月〜2025年3月VMwareの旧経営陣に対する証券訴訟(backlog開示に関する集団訴訟)がカリフォルニア州北部地区連邦地裁で係属し、2025年3月に地裁が和解を承認Form 10-K「Commitments and Contingencies」注記(2025-12-18提出、2026-09-05確認)
2026年9月2日2026年度第3四半期(5-8月期、8月2日締め)決算を発表。売上高は前年同期比+86%の$295.91億、うちAI半導体売上は$167億(同+221%)Form 8-K・Exhibit 99.1(2026-09-02提出、2026-09-05確認)
💡 補足:Broadcomの会計年度は10月最終日曜日で終わる52週または53週の期間です(例:2026会計年度第3四半期は暦年2026年5月4日から8月2日)。本記事の「〇年度」表記は同社の会計基準に基づくため、暦年(カレンダーイヤー)とややずれる点にご注意ください(出典:Form 10-K)。

3️⃣ 直近決算の数字(2026年度第3四半期・Form 8-K)

2026年9月2日発表・同日SEC提出のForm 8-K・Exhibit 99.1(2026会計年度第3四半期、期間は2026年5月4日から8月2日)の要点です。数値はすべて同資料に基づき、確認日は2026-09-05です。

指標2026年度Q3(5-8月期)2025年度Q3(前年同期)増減率
売上高$295.91億$159.52億+86%
GAAP営業利益$159.55億$58.87億+171%
Non-GAAP営業利益$200.95億$104.55億+92%
GAAP純利益$130.88億$41.40億+216%
GAAP希薄化後EPS$2.68$0.85+215%
💡 GAAPとNon-GAAPとは:GAAPは米国の会計基準に基づく数値。Non-GAAPは会社が独自に、株式報酬費用や買収関連の無形資産償却費等を除外して算定する参考指標です。会社発表資料では両方が併記されています。なお表中の「希薄化後EPS」とは、1株当たり利益(Earnings Per Share)を、ストックオプション等が将来株式に変わった場合も織り込んだ株式数で割って算出した数値です。

セグメント別売上高は、半導体ソリューション$208.39億(構成比70%・前年同期比+127%)、インフラソフトウェア$87.52億(構成比30%・同+29%)でした(出典:Form 8-K・Exhibit 99.1「Net revenue by segment」)。うちAI関連の半導体売上(カスタムAIアクセラレータ・AIネットワーキング)は$167億(前年同期比+221%、前四半期比+54%)と会社は開示しています。

Broadcom 2026会計年度 四半期ごとの売上高とAI半導体売上の推移(Q1〜Q3実績・Q4は会社見通し) 四半期売上高とAI半導体売上の推移(2026会計年度、単位:億ドル) Q1 売上高 $193.1億(+29%)  うちAI $84億(+106%) Q2 売上高 $221.9億(+48%)  うちAI $108億(+143%) Q3 売上高 $295.9億(+86%)  うちAI $167億(+221%) Q4 会社見通し $348億(+93%)  うちAI $217億(+236%) ※ 増減率はすべて前年同期比。Q4(2026年8月3日〜11月1日)は会社が公表した見通しで、実績ではありません。 濃い色=実績、薄い色=会社見通し。
▲ 各四半期のForm 8-K・Exhibit 99.1(2026年3月4日・6月3日・9月2日発表分)をもとに作成(2026-09-05確認)。AI半導体売上の伸び率が総売上高の伸び率を一貫して上回っている。※概念を示すイメージ図です。

貸借対照表(2026年8月2日時点)では、現金及び現金同等物$239.75億(2025年11月2日時点$161.78億から増加)、有利子負債(短期+長期)合計$594.19億(同時点$651.36億から減少)となっています(出典:Form 8-K・Exhibit 99.1「Condensed Consolidated Balance Sheets」)。四半期配当は1株$0.65で、2026年9月30日に支払い予定です(出典:同資料「Quarterly Dividends」)。

4️⃣ 会社自身が挙げているリスク(Form 10-K「Risk Factors」より)

以下はForm 10-K(2025年11月2日期・2025年12月18日提出)の「Item 1A. Risk Factors」で会社自身が開示しているリスク要因の要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も重視する情報です。原文はSEC EDGAR掲載のForm 10-K原文でご確認いただけます。

出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」(2025-12-18提出、2026-09-05確認)。上記はリスク要因の一部を要約したもので、原文にはこの他にも多数の項目が記載されています。

5️⃣ 上がる材料/下がる材料

ここがこの記事の主役です。会社の開示・公的統計で確認できる事実だけを左右に対で並べます。重み付けはしません。「以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で」という位置づけです。

📈 上がる可能性がある材料
会社発表の第4四半期見通し:売上高約$348億(前年同期比+93%)、Non-GAAP営業利益率は売上高の約66%程度を見込むとしている。出典:Form 8-K・Exhibit 99.1(2026-09-02発表)/確認日2026-09-05/効くと:見通し達成なら4四半期連続で増収率が加速したことになる
AI半導体売上が2026会計年度を通じて加速:Q1 $84億(+106%)→Q2 $108億(+143%)→Q3 $167億(+221%、実績)。会社はQ4見通しを$217億(+236%)としている。出典:各四半期Form 8-K・Exhibit 99.1/確認日2026-09-05/効くと:AI向け需要が続く限り全社成長のけん引役になり得る
有利子負債の圧縮:2025年11月2日時点$671.2億(10-K基準の元本総額)→2026年8月2日時点$594.19億(短期・長期合計)に減少。※この2つの数値は出典が異なり(前者はForm 10-K「Item 1A. Risk Factors」に記載された負債総額、後者はForm 8-K・Exhibit 99.1の貸借対照表上の短期・長期合計)、集計の範囲が同一とは限らないため、差分をそのまま減少額として読むことはできません。同一資料どうしを突き合わせた対比は本文3️⃣に記載しています。出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」+Form 8-K・Exhibit 99.1「貸借対照表」/確認日2026-09-05/効くと:財務健全性の改善は信用格付けや資金調達コストに影響し得る
2026年3月4日、新たに100億ドル規模の自社株買いプログラムを承認したと発表。出典:Form 8-K・Exhibit 99.1(2026年度第1四半期決算発表分、2026-03-04)/確認日2026-09-05/効くと:株主還元の規模拡大は需給要因になり得る
インフラソフトウェア事業が拡大:Q3売上$87.52億(前年同期比+29%)。会社はVMware Cloud Foundation(VCF)製品への需要増とサブスクリプションライセンスモデルへの移行が寄与したと説明している。出典:Form 8-K・Exhibit 99.1/Form 10-K「MD&A」/確認日2026-09-05/効くと:半導体以外の収益源が拡大すれば業績の変動性を緩和し得る
📉 下がる可能性がある材料
半導体業界の「著しい上昇局面」が持続する保証はないと会社自身が明記。AI顧客が投資計画を縮小・延期・キャンセルした場合、業績・株価に重大な悪影響が及び得るとしている。出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」(AI需要の循環性)/確認日2026-09-05/効くと:AI投資サイクルが反転すれば急拡大した売上の反動が生じ得る
2025会計年度、販売代理店経由の売上が純売上高の48%、上位5社のエンドカスタマー合計で約40%を占めたと開示。出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」(顧客集中リスク)/確認日2026-09-05/効くと:主要顧客の発注見直しが業績変動に直結し得る
米国の輸出管理規則(Export Administration Regulations)や関税政策、米中間の緊張激化の影響を受け得ると開示。出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」(貿易規制・地政学リスク)/確認日2026-09-05/効くと:規制強化はコスト増や販売先変更を迫り得る
2025年11月2日時点で有利子負債総額$671.2億。信用格付け低下時や借入条件悪化時の財務の柔軟性低下リスクを明記。出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」(Risks Related to Our Indebtedness)/確認日2026-09-05/効くと:金利環境の悪化は資金調達コストに影響し得る
ITシステムへのサイバー攻撃・不正アクセス等が事業に重大な悪影響を及ぼし得ると明記。「対策を講じても完全な防御は提供できない」としている。出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」(サイバーセキュリティリスク)/確認日2026-09-05/効くと:重大インシデント発生時は事業・評判双方に影響し得る

※ 各材料の件数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来予測は行っていません。

6️⃣ これから何を見れば分かるか

次のBroadcom決算(2026年度第4四半期・通期)は、過去の実績パターン(2023年12月7日・2024年12月12日・2025年12月11日にいずれもSEC・Form 8-Kを提出)から2026年12月上旬〜中旬ごろになると見込まれます(あくまで過去の発表時期のパターンであり、2026-09-05時点で会社が正式発表した日程ではない点にご注意ください)。この記事で挙げた材料がその後どう推移したかは、次の開示で次のように確認できます。

いずれもSEC EDGARのBroadcom提出書類一覧(10-K)および同(8-K)から無料で確認できます。

7️⃣ まとめ

結論は出しません。この記事で確認した公開情報を踏まえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①AI半導体売上が2026年度第4四半期の会社見通し($217億・前年同期比+236%)を達成できるか、②有利子負債(2025年11月時点$671.2億・10-K基準の元本総額)の圧縮傾向が続くか、③米国の輸出管理規制・対中関税を巡る動向がコスト構造や販売先に表れ始めるか。どう評価するかは、読者ご自身の投資判断に委ねられます。

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