🤖 NVIDIA(NVDA)を数字で見る|続報:Q2 FY2027決算は売上962億ドル(+106%)
「数字で見る、話題の企業」シリーズ第4回は、2026年5月に既刊記事(NVIDIA(NVDA)2026年5月決算解説)で取り上げたNVIDIA Corporation(NASDAQ: NVDA)の続報です。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を自分で見積もれる状態」を作ることであり、上がるか下がるかの結論は書きません。前回記事から4か月弱でどのような事実が積み上がったかを、会社自身が米SEC(証券取引委員会)に提出した一次情報——年次報告書(Form 10-K)と臨時報告書(Form 8-K)添付の決算発表資料——から、⓪前回のその後 ①事業の中身 ②歴史 ③直近決算の数字 ④会社自身が認めているリスク ⑤上がる材料・下がる材料を対で並べ、最後に⑥次に何を見ればよいかを整理します。
- 2026年5月公開の前回記事(Q1 FY2027決算・売上$816.15億)以降、Q2 FY2027決算(2026年5-7月期・8月26日発表)で売上$962.21億(前年同期比+106%)、データセンター売上$890.23億(同+117%)を計上。会社は次期Q3 FY2027の売上見通しを$1,080.00億(同+89%)としている
- 会社自身が開示するリスク要因(Form 10-K)は需給ミスマッチ・顧客集中・貿易規制・訴訟リスク・競争環境の5点を紹介
- 「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
earnings-calendar.json)で決算発表日が2営業日前〜14日前(2026年9月5日〜9月17日)の米国企業を確認したところ該当なし(直近はBroadcomの9月2日発表で17日前のため対象期間外)だったため、次の基準である「直近15〜60日のニュースレーンで主役として扱われた海外企業」で候補を探しました。該当したのはAlphabet(7月23日)・Amazon(8月1日)・Applied Materials(8月14日)・Moderna(8月26日)・NVIDIA(8月24日プレビュー・8月27日決算確報)の5社(SK Hynix・Samsung等は米国上場でなくSEC 10-K対象外のため対象外)。このうち候補の中で時価総額が最大だったNVIDIAを選定しました。直近14日(9月5日〜9月19日)の当サイト記事にNVIDIA単独主役の記事はなく(直近のNVIDIA関連記事は8月24日・27日でいずれも14日超過)ニュースレーンとの重複はありません。本レーンでの90日以内の既刊確認(過去3回=Apple・Broadcom・オンコリス)でもNVIDIAの記載はなく該当なしですが、本レーン発足前の個別deep-dive記事としてguide-nvidia-2026-05.html(2026年5月23日公開)が存在するため、オーナー方針(2026-08-31指示)に従い⓪節で続報として整理します。0️⃣ 前回の記事のその後
前回記事はNVIDIA(NVDA)2026年5月決算解説(2026年5月23日公開)で、2026年5月20日発表のQ1 FY2027決算(2026年2-4月期)を扱いました。以下は前回時点の数字と、今回時点(2026年8月26日発表・Q2 FY2027決算)の数字の対比です。事実・数字のみを並べ、前回の見立てへの評価は行いません。
| 指標 | 前回時点(Q1 FY2027・2026年5月20日発表) | 今回時点(Q2 FY2027・2026年8月26日発表) |
|---|---|---|
| 総売上高 | $816.15億(+85% YoY) | $962.21億(+106% YoY) |
| データセンター売上 | $752.46億(+92% YoY) | $890.23億(+117% YoY) |
| non-GAAP粗利率 | 75.0% | 75.0% |
| 会社による次期売上ガイダンス | Q2 FY2027:$910.0億±2%(中国データセンター売上除く) | Q3 FY2027:$1,080.0億±2%(同) |
出典:前回時点=Form 8-K(2026-05-20提出)、今回時点=Form 8-K・Exhibit 99.1(2026-08-26提出)。確認日:2026-09-19。
この間(2026年5月23日〜9月19日)に一次情報で確認できた出来事は次のとおりです。
- 2026年8月26日:Q2 FY2027の実績売上が、前回記事時点で会社が示していたガイダンス($910.0億)を上回る$962.21億となった(出典:Form 8-K・Exhibit 99.1)。
- 2026年8月26日:次世代の「Vera Rubin」プラットフォームがフル生産段階に入り、CoreWeave・Google Cloud・Microsoft Azure・Oracle Cloud Infrastructure・Nebiusの各社で稼働を開始したと発表(出典:同8-K)。前回記事の時点ではQ1決算のみでVera Rubinの量産言及はなかった。
- 2027会計年度上半期(2026年1月26日〜7月26日)累計:H200製品の中国向け出荷が米中双方の規制に阻まれ、過剰在庫・購入義務に伴う$4億の評価損を計上。直近四半期(Q2)の中国向けデータセンター売上は同セグメント売上の1%未満にとどまった(出典:Form 10-Q「H200関連」記載、2026-08-26提出、2026-09-19確認)。
- 2026年5月-7月期(Q2)中:自社株買いと配当により株主へ約$260億を還元し、四半期末時点の自社株買い枠の残存額は約$990億(出典:Form 8-K・Exhibit 99.1)。
- 2026年8月26日:会社は次期Q3 FY2027の売上ガイダンスを$1,080.0億±2%(前年同期実績$570.06億比で+89%)と発表(出典:Q3 FY2027ガイダンスは同8-K、比較対象のQ3 FY2026実績$570.06億は2025年11月19日提出のForm 8-K・Exhibit 99.1、2026-09-19確認)。
1️⃣ NVIDIAはどんな会社か——セグメント別の売上構成
NVIDIAは、加速コンピューティング(アクセラレーテッド・コンピューティング)プラットフォームおよびソフトウェアの設計・開発企業です(出典:Form 10-K「Item 1. Business」、2026年2月25日提出、2026-09-19確認)。会社が開示する2つの報告セグメントは「Compute & Networking(コンピュート&ネットワーキング)」(データセンター向け加速コンピューティング・ネットワーキング製品、AIソリューション・ソフトウェア、自動車向けプラットフォームを含む)と「Graphics(グラフィックス)」(ゲーミング・PC向けGeForce GPU、企業向けワークステーショングラフィックス向けQuadro/NVIDIA RTX GPU)です(出典:同10-K「Item 1. Business」)。
2026会計年度(2025年1月27日〜2026年1月25日)の売上高$2,159.38億の内訳は次のとおりです(出典:Form 10-K「Item 7. MD&A」、2026-09-19確認)。
会社のMD&Aでは、上記の正式な報告セグメントとは別に「市場プラットフォーム別(Data Center/Edge Computing)」という区分でも売上を開示しています。この区分でのQ2 FY2027のデータセンター向け売上は$890.23億(前年同期比+117%)で、Compute & Networkingセグメントとは対象範囲の定義が一部異なる点に注意が必要です(出典:Form 10-Q「Revenue by Market Platform」注記、脚注に区分変更の記載あり、2026-08-26提出、2026-09-19確認)。
2️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事
各行に出典を付した事実の年表です。原因の断定や物語化は避け、確認できる出来事のみを並べています。会社の一次情報(Form 10-K)に記載のない創業期・製品史の一部はWikipedia(英語版)を参照していますが、これは年表のみに用い、③④⑤の数字・リスクの記述には使用していません。
| 年月 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 1993年4月5日 | Jensen Huang・Chris Malachowsky・Curtis Priemの3名がカリフォルニア州で創業 | Wikipedia「Nvidia」(2026-09-19確認) |
| 1999年1月22日 | NASDAQに新規上場(ティッカーNVDA)、株式公開取引を開始 | Form 10-K「Item 5」(2026-02-25提出、2026-09-19確認) |
| 1999年後半 | 「GeForce 256」を発売。自社が「世界初のGPU」と称した製品 | Wikipedia「Nvidia」(2026-09-19確認) |
| 2006年12月 | 米司法省がAMD(当時ATI Technologiesを買収)とともにNVIDIAへ、グラフィックカード業界の独禁法違反に関する召喚状を送付したと報じられた | Wikipedia「Nvidia」(2026-09-19確認) |
| 2018年12月21日 | 証券集団訴訟「In re NVIDIA Corporation Securities Litigation」が米カリフォルニア北部地区連邦地裁に提訴される(チャネル在庫・暗号資産マイニング需要に関する開示を巡る訴え) | Form 10-K「Note 12」(2026-02-25提出、2026-09-19確認) |
| 2019年3月11日 | Mellanox Technologies買収を発表(総額69億ドル) | Wikipedia「Nvidia」(2026-09-19確認) |
| 2020年9月13日 | ソフトバンクグループからArmの買収を発表(総額400億ドル、ソフトバンクGはNVIDIA株の一部取得を含む) | Wikipedia「Nvidia」(2026-09-19確認) |
| 2022年2月上旬 | ソフトバンクグループとNVIDIAが、規制上の困難を理由にArm買収を断念すると発表 | Wikipedia「Nvidia」(2026-09-19確認) |
| 2024年5月〜6月 | 10対1の株式分割を発表し、6月に定款を変更して発行可能株式数を増加 | Form 10-K「Item 5」(2026-02-25提出、2026-09-19確認) |
| 2024年6月 | 米連邦取引委員会(FTC)・司法省(DOJ)がAI分野を巡りNVIDIA・Microsoft・OpenAIを対象とする独禁法調査を開始(DOJがNVIDIAの調査を担当)と報じられた | Wikipedia「Nvidia」(2026-09-19確認) |
| 2025年2月20日 | 証券集団訴訟が第9巡回区控訴裁判所の判断確定を経て、地裁へ差し戻される | Form 10-K「Note 12」(2026-02-25提出、2026-09-19確認) |
| 2025年8月11日 | 関連する株主代表訴訟(Horanic訴訟)で、原告の一部(City of Westland Police and Fire Retirement System)が訴えを取り下げることで合意 | Form 10-K「Note 12」(2026-02-25提出、2026-09-19確認) |
| 2025年8月26日 | 取締役会が追加600億ドルの自社株買い枠を承認 | Form 10-K「Item 5」(2026-02-25提出、2026-09-19確認) |
| 2025年12月 | Groq, Inc.からLPU(言語処理ユニット)技術の非独占ライセンスを取得し、一部従業員を採用。のれん144億ドル・開発済み技術無形資産25億ドルを計上 | Form 10-K「Note 2」(2026-02-25提出、2026-09-19確認) |
| 2026年8月26日 | Q2 FY2027決算を発表(売上$962.21億・前年同期比+106%)。「Vera Rubin」プラットフォームがフル生産段階に入ったと発表 | Form 8-K・Exhibit 99.1(2026-08-26提出、2026-09-19確認) |
3️⃣ 直近決算の数字(Q2 FY2027・Form 8-K)
2026年8月26日発表・同日SEC提出のForm 8-K・Exhibit 99.1(2027会計年度第2四半期、期間は2026年4月28日から7月26日)の要点です。数値はすべて同資料に基づき、確認日は2026-09-19です。
| 指標 | Q2 FY2027(5-7月期) | Q2 FY2026(前年同期) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | $962.21億 | $467.43億 | +106% |
| GAAP粗利率 | 75.0% | 72.4% | +2.6pt |
| GAAP営業利益 | $637.34億 | $284.40億 | +124% |
| GAAP純利益 | $596.88億 | $264.22億 | +126% |
| GAAP希薄化後EPS | $2.46 | $1.08 | +128% |
報告セグメント別の売上高は、Compute & Networking $882.99億(構成比92%・前年同期比+114%)、Graphics $79.22億(構成比8%・同+46%)でした(出典:Form 10-Q「Revenue and Reportable Segments」注記、2026-08-26提出、2026-09-19確認)。市場プラットフォーム別の区分では、データセンター向け売上が$890.23億(前年同期比+117%)で、うち中国向けのHopper製品出荷は同セグメント売上の1%未満と会社は開示しています(出典:同10-Q「Results of Operations」)。
貸借対照表・株主還元では、会社はQ2 FY2027中(2026年5-7月期)に自社株買い・配当により約$260億を株主に還元し、四半期末時点の自社株買い枠の残存額は約$990億と開示しています。次回の四半期配当は1株$0.25で、2026年10月1日(基準日2026年9月10日)に支払い予定です(出典:Form 8-K・Exhibit 99.1「Q2 Fiscal 2027 Summary」)。
4️⃣ 会社自身が挙げているリスク(Form 10-K「Risk Factors」より)
以下はForm 10-K(2026年1月25日期・2026年2月25日提出)の「Item 1A. Risk Factors」で会社自身が開示しているリスク要因の要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も重視する情報です。原文はSEC EDGAR掲載のForm 10-K原文でご確認いただけます。
- ①需給ミスマッチリスク:長い製造リードタイムと読みにくい供給・生産能力の見通しに、顧客需要の見積もり誤りが重なり、供給と需要のミスマッチが過去に生じ、今後も生じ得ると明記(出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」)。製造・供給関連のコミットメントは2026年1月25日時点で$952億に達しています(出典:同10-K「Note 12」)。
- ②顧客集中リスク:2026会計年度において、単一の直接顧客が売上の22%、別の直接顧客が売上の14%を占め、いずれも主にCompute & Networkingセグメントに帰属すると開示。主要顧客の発注見直しがあれば業績が大きく振れるとしています。
- ③貿易規制・輸出管理リスク:製品輸出に対する規制や政治的措置を含む複雑な法規制の対象であり、規制の変更が事業に悪影響を及ぼし得ると開示。中国向けデータセンター売上は現行の輸出管理規則により実質的に制限されています。
- ④訴訟・規制調査リスク:証券集団訴訟・複数の株主代表訴訟のほか、通常の事業活動に伴う訴訟や規制当局の照会・調査の対象になり得るとしており、結果次第では業績・財務状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があるとしています。
- ⑤競争リスク:業界・市場の進化するニーズを満たせなければ財務成績に悪影響が及び得るとし、競争の激化が市場シェア・財務成績に悪影響を及ぼし得ると明記しています。
出典:Form 10-K「Item 1A. Risk Factors」(2026-02-25提出、2026-09-19確認)。上記はリスク要因の一部を要約したもので、原文にはこの他にも多数の項目が記載されています。
5️⃣ 上がる材料/下がる材料
ここがこの記事の主役です。会社の開示・公的統計で確認できる事実だけを左右に対で並べます。重み付けはしません。「以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で」という位置づけです。
※ 各材料の件数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来予測は行っていません。
6️⃣ これから何を見れば分かるか
次のNVIDIA決算(Q3 FY2027、2026年8-10月期)は、過去の実績パターン(2023年11月21日・2024年11月20日・2025年11月19日にいずれもSEC・Form 8-Kを提出、いずれも11月第3週の水曜前後)から2026年11月中旬〜下旬ごろになると見込まれます(あくまで過去の発表時期のパターンであり、2026-09-19時点で会社が正式発表した日程ではない点にご注意ください)。この記事で挙げた材料がその後どう推移したかは、次の開示で次のように確認できます。
- 売上が会社見通し($1,080.0億)を達成するか→次回Form 8-K・Exhibit 99.1
- 中国向けデータセンター売上・H200関連の評価損の動向→同資料「Results of Operations」
- Vera Rubinプラットフォームの量産進捗と顧客の稼働状況→同資料「Data Center Highlights」
- 顧客集中度(上位顧客の売上比率)が変化しているか→次回10-Qまたは10-K「Concentration of Revenue」
- 証券集団訴訟・株主代表訴訟の進捗→次回10-K・10-Q「Commitments and Contingencies」
いずれもSEC EDGARのNVIDIA提出書類一覧(10-K)および同(8-K)から無料で確認できます。
7️⃣ まとめ
結論は出しません。この記事で確認した公開情報を踏まえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①Q3 FY2027の会社見通し($1,080.0億・前年同期比+89%)を実績が達成できるか、②中国向けデータセンター売上・H200関連の評価損が今後どう推移するか、③顧客集中度(上位顧客の売上比率)が変化しているか。どう評価するかは、読者ご自身の投資判断に委ねられます。
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