🔩 京セラ(6971)を数字で見る|セラミック部品から機器までの会社を有価証券報告書で確認
「数字で見る、話題の企業」シリーズ第11回は、ファインセラミック(工業用の高性能なセラミック)の部品から、電子部品、工具やプリンターなどの機器までを手がける京セラ株式会社(証券コード6971、以下「京セラ」)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。会社が金融庁の開示システム(EDINET)に提出した有価証券報告書(第72期・2025年4月〜2026年3月)を中心に、①事業の中身 ②産業のつながりの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。
- 京セラの売上高は、部品の2つのセグメント(コアコンポーネント・電子部品)で約49%、工具・プリンター・通信などの機器とサービスのセグメント(ソリューション)で約52%です(ほかに、その他の事業と調整の分があります)。第72期(2025年4月〜2026年3月)の売上高は約2兆702億円(前期比+2.8%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は約1,409億円(前期は約240億円)でした(どちらも国際会計基準〈IFRS〉の連結の数字)
- 会社は売上高が増えた主な理由に、半導体関連部品(半導体のチップを包む「パッケージ」など)の販売増を挙げています。一方で、会社が持つ通信会社KDDIの株式は総資産の約33%にあたり、その株価の変動を会社自身がリスクとして挙げています
- 「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-08時点で20銘柄)のうち、京セラは2026年9月30日(値下がりランキング)と10月5日(値上がりランキング)の2日に登場しています。ランキングに最後に登場した日から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)と、有価証券報告書の本文が取得できていることを満たす候補の中から、時価総額の大きい順に選びました(時価総額の金額は本文に書きません)。京セラより時価総額の大きい候補が1社ありましたが、当サイトの10月1日のニュース記事でその会社の株価の動きを取り上げていたため、ニュースと重ならないよう今回は見送りました。京セラについては、本レーンでの既刊記事・この会社が主役の解説記事の既刊はなく(ls guide-*.html と guides.html を社名・証券コードで確認)、直近14日のニュース記事(guide-news-*.html・NEWS_LEDGER.md)にも登場していません。ランキングに登場した理由(なぜ値上がり・値下がりしたか)は、一次情報で確かめられないため書きません。1️⃣ 京セラはどんな会社か
京セラは、1959年にファインセラミックスの専門メーカーとして京都で始まった会社です。有報の「事業の内容」で会社は、自社のグループについて「素材・部品からデバイス、機器、システム、サービスに至るグループ内の経営資源を活用し、半導体、情報通信、産業機械、自動車、環境・エネルギー関連等の市場において、多種多様な製品の開発・製造・販売及びサービスの提供をグローバルに展開しています。」と書いています(出典:有価証券報告書 第72期「事業の内容」、2026-10-09確認)。連結の従業員数は73,856人(2026年3月31日現在)です。
会社は事業を3つのセグメント(会社の呼び方では「レポーティングセグメント」)に分けています。有報の説明を短くまとめると、次のとおりです(出典:同有報「事業の内容」)。
- コアコンポーネント:半導体製造装置用の部品などのファインセラミック部品、車載カメラモジュール、電子部品やIC(集積回路)を保護するセラミック・有機パッケージなど
- 電子部品:コンデンサ、水晶部品、コネクタなどの電子部品やデバイス
- ソリューション:切削工具や空圧・電動工具(機械工具)、オフィス用のプリンター・複合機など(ドキュメントソリューション)、通信端末や通信・ICT(情報通信技術)のサービス(コミュニケーション)、スマートエネルギー関連など(その他)
第72期のセグメントと、その中の事業ごとの売上高は次のとおりです(出典:同有報「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」のレポーティングセグメント別売上高の表)。
セグメントの合計では、コアコンポーネントが約6,534億円(31.6%)、電子部品が約3,634億円(17.5%)、ソリューションが約1兆709億円(51.7%)でした(構成比は有報の表の値)。会社は経営方針の中で、部品の2つのセグメントを「中長期的な成長牽引役」、ソリューション事業を「継続的な安定利益を創出する事業」と位置づけています(出典:同有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)。
2️⃣ どのつながりの中にいるか
次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、京セラが「部品と機器の流れ」のどこに立っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。
京セラが「部品をつくる」箱に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。第72期のコアコンポーネントと電子部品の売上高は合わせて約1兆169億円で、売上高全体の約49%でした(構成比は有報の表の値〈31.6%と17.5%〉を足したもの)。そのうち半導体関連部品の売上高は約3,794億円(前期比+16.0%)で、会社はコアコンポーネントの増収の理由を「情報通信関連市場向けセラミックパッケージやデータセンター向け有機パッケージ等の半導体関連部品事業の販売増を主因に増加しました。」と説明しています。半導体関連部品の受注高(注文を受けた額)は約3,614億円で、前期より15.6%増えました(出典:有価証券報告書 第72期「経営者による分析」、2026-10-09確認)。
工程の前後とのつながりも、数字や文章で開示されています。
- 原材料とのつながり:会社はリスクの項で、生産に使う原材料は「常に価格変動にさらされている」と書き、一部の原材料を特定の仕入れ先に頼っていることも挙げています。第72期の売上原価のうち、原材料費は約5,332億円で、売上原価全体の36.5%でした(出典:同有報「事業等のリスク」「経営者による分析」)。
- 部品を組み込む会社とのつながり:会社は経営方針で、部品事業について「主に先端半導体やモビリティ市場でのシェア拡大と収益性向上」を目指すと書いています(モビリティ=自動車などの移動手段)。電子部品のセグメントでは、米国の子会社グループ(Kyocera AVX Components Corporation とその傘下)で車載や情報通信向けのコンデンサなどの販売が増えたと説明しています(出典:同有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「経営者による分析」)。
- 前後の工程にいる会社の種類:前には、セラミックの原料の粉・金属・樹脂などの素材メーカーがあります。後ろには、半導体製造装置メーカー、半導体の設計・製造をする会社、サーバーや通信機器・スマートフォンの組み立てをする会社、自動車や電装品のメーカーがいます。その先に、データセンターを運営する会社や通信事業者があります。機器とサービスの側では、工具を使う工場や建設の現場、プリンター・複合機を使う企業などがつながっています。
このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報のリスクで挙げています。たとえば経済の変動の項では、「当社の主要市場である半導体関連市場や情報通信関連市場では、AI関連投資が引き続き堅調に推移することが見込まれるものの、自動車関連市場は減速することが見込まれます。」と、市場によって見方が違うことを書いています(これは会社の見方の紹介で、当サイトの予測ではありません)。競合の項では、価格と納期が全事業分野で影響を及ぼす主な要因だとし、「製品価格の値下げ要求は概して恒常化している」と書いています。国際的な事業活動の項では、関税の引き上げや製品・原材料の輸出入の規制などの変更を挙げています(出典:有価証券報告書「事業等のリスク」、2026-10-09確認)。
3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事
各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。有価証券報告書の「沿革」などに無い事実(創業者の名前・2026年6月以降の出来事・一部の日付など)は、Wikipedia(二次情報)から年表に限って使っています。
| 年月 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 1959年4月 | 稲盛和夫らが、ファインセラミックスの専門メーカー「京都セラミック株式会社」を京都市中京区に設立 | 有価証券報告書 第72期「沿革」・Wikipedia「京セラ」(2026-10-09確認) |
| 1971年10月・1972年9月 | 大阪証券取引所の市場第二部(1971年10月)、東京証券取引所の市場第二部(1972年9月)に株式を上場(どちらも1974年2月に第一部に指定) | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認) |
| 1980年5月 | ニューヨーク証券取引所に株式を上場 | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認)・Wikipedia「京セラ」(2026-10-09確認) |
| 1982年10月 | 関連会社4社を吸収合併し、社名を京セラ株式会社に変更 | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認)・Wikipedia「京セラ」(2026-10-09確認) |
| 1984年6月 | 第二電電企画株式会社(現 KDDI株式会社)を設立 | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認) |
| 1990年1月 | 米国の電子部品メーカー AVX Corporation(現 Kyocera AVX Components Corporation)を株式交換で子会社にする | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認)・Wikipedia「京セラ」(2026-10-09確認) |
| 2000年4月 | 京セラミタ株式会社(現 京セラドキュメントソリューションズ株式会社)に出資し、連結子会社にする | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認) |
| 2018年6月 | ニューヨーク証券取引所の上場を廃止 | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認) |
| 2020年3月 | 米国の電子部品の子会社 AVX Corporation を完全子会社にする(同社はニューヨーク証券取引所の上場を廃止) | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認) |
| 2022年4月 | 東京証券取引所の市場区分の見直しで、市場第一部からプライム市場に移行 | 有価証券報告書 第72期「沿革」(2026-10-09確認) |
| 2023年3月期 | 連結の売上高が約2兆253億円と、2兆円を超える(Wikipediaは「初めて2兆円を超え」と記載) | 有価証券報告書 第72期「主要な経営指標等の推移」・Wikipedia「京セラ」(2026-10-09確認) |
| 2025年4月〜2026年3月 | 保有するKDDI株式について、同社が行った自己株式の公開買付けに応募し、約108百万株(約2,500億円)が買い付けられる。総額2,000億円の自己株式を市場で取得 | 有価証券報告書 第72期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-09確認) |
| 2025年10月 | メディカル事業を会社分割し、京セラメディカル株式会社に承継。同じ時期に、コネクタ事業の成長を図るため、国内のコネクタメーカーと資本業務提携を結び、その会社の株式33.0%を取得(同月31日、Wikipediaによる) | 有価証券報告書 第72期「沿革」「経営者による分析」・Wikipedia「京セラ」(2026-10-09確認) |
| 2026年1月 | シリコンダイオード・パワー半導体事業を他社へ譲渡。米国の工具の子会社 Kyocera Industrial Tools, Inc. の全株式を譲渡 | 有価証券報告書 第72期「沿革」「経営者による分析」(2026-10-09確認) |
| 2026年4月 | 取締役会で、総額2,500億円を上限とする自己株式の取得を決議(4月30日)。経営企画室を新設 | 有価証券報告書 第72期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-09確認) |
| 2026年6月 | 有価証券報告書 第72期を提出(6月19日)。6月25日の定時株主総会で監査等委員会設置会社へ移行(会社は2月2日の取締役会で、移行を総会に諮ることを決議していた) | EDINET 有価証券報告書・Wikipedia「京セラ」(2026-10-09確認) |
| 2026年9月 | 長崎県諫早市に、半導体製造装置用のセラミック部品と半導体パッケージを生産する長崎諫早工場を開設 | Wikipedia「京セラ」(2026-10-09確認) |
| 2026年10月6日 | 4月30日の決議にもとづく自己株式の取得の累計(9月30日まで)が49,227,800株・約1,776億円と開示 | 適時開示「自己株式の取得状況に関するお知らせ」(2026-10-06開示、2026-10-09確認) |
※TDnet(適時開示)のPDFは保管期間(約1か月〜1か月半)を過ぎるとリンクが切れます。その場合は会社のIRサイトの適時開示一覧でご確認ください。監査等委員会設置会社=取締役のうち監査を受け持つ人たちで委員会をつくり、取締役会の監督の役目を強める会社の形です。株式交換=ある会社が相手の会社の株主に自社の株を渡して、相手を子会社にする方法、会社分割=会社の事業の一部を切り分けて別の会社に引き継ぐ方法です。自己株式(の取得)=会社が自分の会社の株を市場などで買い戻すことです。公開買付け=買う株数・値段・期間を公告して、株主から株をまとめて買い取る方法です。政策保有株式=取引関係の維持などを目的に持つほかの会社の株、純資産比率=その株が純資産に占める割合です。利益剰余金=これまでの利益のうち会社に残してきた分、その他の資本の構成要素=保有株の時価の変動などをためておく、資本の中の区分です。
4️⃣ 直近の決算の数字(有価証券報告書 第72期)
有価証券報告書 第72期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月19日提出)の連結の数字です(IFRS)。京セラは3月決算で、その後の四半期の数字(2026年4〜6月期の決算短信)は、上の注意書きのとおり当サイトでは取得できていません。確認日は2026-10-09です。
| 指標(連結・IFRS) | 第72期(2025/4〜2026/3) | 第71期(前期・2024/4〜2025/3) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 約2兆702億円 | 約2兆144億円 | +2.8% |
| 売上総利益率 | 29.4% | 27.8% | +1.6ポイント |
| 営業利益 | 約1,181億円 | 約272億円 | +332.8% |
| 税引前利益 | 約1,689億円 | 約636億円 | +165.6% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 約1,409億円 | 約240億円 | +485.0% |
| 基本的1株当たり当期利益(基本的EPS) | 102.70円 | 17.11円 | — |
| 親会社所有者帰属持分利益率(ROE) | 4.3% | 0.7% | — |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 71.9% | 71.3% | +0.6ポイント |
| 受注高 | 約2兆982億円 | 約2兆297億円 | +3.4% |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 約2,262億円 | 約2,379億円 | — |
| 1株当たり配当額(京セラ単体) | 52円 | 50円 | +2円 |
出典:有価証券報告書 第72期「経営者による分析」の表と「主要な経営指標等の推移」(2026-06-19提出)。億円の数字は有報の百万円から当サイトが計算したもの(億円未満切り捨て)。増減の率とポイントは有報の記載。確認日:2026-10-09。
会社の説明では、利益について「前連結会計年度にコアコンポーネントセグメントで減損損失等を計上した一方、当連結会計年度の子会社譲渡益、増収効果及び構造改革の進展等により、営業利益及び税引前利益は大幅な増益となりました。」としています。前期には、半導体部品の有機材料の事業で有形固定資産などの減損損失を約401億円計上していました。第72期には、米国の工具の子会社の譲渡益(関連する費用を引いたあと)約167億円を計上しています。当期利益が大きく増えたことについては、KDDI株式の売却などで課税所得が増えたことに伴って税額控除が増え、法人所得税の費用が減った(実際の税率は前期の56.9%から14.2%)と説明しています(出典:同有報「経営者による分析」)。
また、有報の説明によると、保有する株式など(有報の言葉では「資本性証券」)の売却差額などの約2,022億円は、「その他の資本の構成要素」から利益剰余金へ振り替えられています。有報は、資本性証券の残高が減った主な理由としてKDDI株式の売却を挙げています。利益剰余金の増加の説明の中で、親会社の所有者に帰属する当期利益とは別の項目として書かれています(出典:同有報「経営者による分析」の資産、負債及び資本の説明)。
5期の数字では、売上高は約1兆8,389億円(第68期)から約2兆702億円(第72期)でした。親会社の所有者に帰属する当期利益は、第68期の約1,484億円から第71期の約240億円まで3期続けて減り、第72期は約1,409億円でした(出典:同有報「主要な経営指標等の推移」)。この記事で読んだ範囲の有報には、第71期より前の年ごとの増減の理由の説明はないため、理由は書きません。なお、発行済株式総数(京セラ単体)は、第69期末(2023年3月末)の377,618,580株から、第70期末(2024年3月末)には1,510,474,320株と4倍になっています。このため、1株当たりの数字を年をまたいで比べるときは注意が要ります。
お金の使い道について、会社は第72期の主な資金の需要として、設備投資(約1,490億円)、研究開発(約1,157億円)、コネクタメーカーとの資本業務提携のための株式の取得(約812億円)、配当金の支払い(約697億円)、自己株式の取得(2,000億円)を挙げ、これらを本業で得たお金に加えて、KDDI株式の売却資金(約2,492億円)と米国の工具の子会社の譲渡で得たお金(約763億円)などでまかなったと書いています。第72期末の現金及び現金同等物は約4,558億円、借入金の残高は約2,450億円です(出典:同有報「経営者による分析」)。
5️⃣ 会社自身が挙げているリスク
以下は有価証券報告書(第72期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社は最初に、経営への影響が特に大きい「コーポレートリスク」を挙げ、そのあとに事業活動・法規制・財務会計の面から多くの項目を並べています。ここではそのうち5つを紹介します。原文はEDINET掲載の有価証券報告書でご確認ください。
- ①保有する株式(KDDI株式):会社の主な投資はKDDI株式で、2026年3月31日現在の保有比率は同社の発行済株式の13.42%です。会社は、この株式への投資が総資産の約33%を占めるとし、「KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。」と書いています。
- ②国際的な事業活動:米国・欧州・アジアなど世界各国で事業や投資を行っているため、経済安全保障の政策、投資の規制、製品や原材料の輸出入の規制、関税の引き上げなどの、予期できない法律・規制の変更に直面する可能性を挙げています。
- ③日本と世界の経済の変動:原材料の価格の高騰や中東情勢などの地政学のリスクを主な理由に、景気の減速や為替相場の急な変動を含め、先行きが見通しにくい状況が続くおそれを挙げています。主要市場のうち、半導体関連・情報通信関連と自動車関連とで見方が違うことも書いています(会社の見方の紹介で、当サイトの予測ではありません)。
- ④為替レートの変動:国内外で事業をしているため、為替レートの変動の影響を常に受けると書き、急な変動が事業の成果、海外の資産の価値、生産のコストなどに影響しうるとしています。第72期の平均レートは、米ドルが1ドル151円(前期153円)、ユーロが1ユーロ175円(前期164円)でした。
- ⑤設備・のれんなどの減損:多くの有形固定資産、のれん(買収した会社に、その会社の純資産より多く払った分)、無形資産を持っており、価値が下がったと判断した場合には減損損失を計上し、財政状態と経営成績に影響しうるとしています。前期には、半導体部品の有機材料の事業で約401億円の減損損失を計上しています。
出典:有価証券報告書 第72期「事業等のリスク」「経営者による分析」(2026-06-19提出、2026-10-09確認)。原文にはこのほか、人権、情報セキュリティ、人材の確保、地震などの災害、競合の環境と製品価格の下落、原材料の価格と仕入れ先の供給、製造の遅れや不良、買収した会社から期待した成果が得られないこと、気候変動などが挙げられています。
6️⃣ 上がる材料/下がる材料
ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。
以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。
※ 材料の数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来の予測は行っていません。
7️⃣ これから何を見れば分かるか
次の決算発表日は、当サイトの決算予定データ(earnings-calendar.json)に載っておらず、会社の公式な日程も確認できていないため、ここには書きません。会社のIRサイトの決算発表予定でご確認ください。この記事で挙げた材料がその後どうなったかは、次の開示で確かめられます。
- 半導体関連部品の売上高と受注高:第72期は売上高 約3,794億円・受注高 約3,614億円。決算短信や会社の決算説明の資料で、セグメントの中の事業ごとの数字を確かめられます
- 電子部品の事業利益と利益率:第72期は約73億円・2.0%。会社が続けると書いている収益改善の施策が、数字にどう表れているか
- 政策保有株式(KDDI株式)の縮減:会社は第72期と次の期で合わせて約5,000億円のKDDI株式を売る計画を書き、次の期にも約54百万株(約1,248億円)が同社の公開買付けで買い付けられることになったとしています。純資産比率(2026年3月末 48.3%)の動きは、次の有価証券報告書や会社の「コーポレートガバナンスに関する報告書」で確かめられます
- 自己株式の取得と消却:上限2,500億円(取得期間は2027年3月24日まで)に対する進み方は、TDnetの毎月の「自己株式の取得状況に関するお知らせ」で確かめられます(9月30日までの累計 約1,776億円)
- 設備投資の実績:2027年3月期の予定2,250億円に対する実際の額と、その説明
有価証券報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説にまとめています。
8️⃣ まとめ
結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①半導体関連部品の売上高と受注高(会社が増収の主な理由に挙げた事業の動き)、②電子部品の事業利益率(第72期は2.0%)、③KDDI株式を中心とする政策保有株式の縮減と、その売却資金の使い道(自己株式の取得・設備投資)。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。
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