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⚠️ 本記事は公開情報(有価証券報告書などの一次情報)に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示や将来の業績・株価の予測は行っていません。投資には元本割れリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

⚙️ SCREENホールディングス(7735)を数字で見る|半導体の洗浄装置を軸にする会社を有価証券報告書で確認

公開日:2026年10月11日 / 読了時間:約15分 / カテゴリ:数字で見る企業(第13回・日本株)

「数字で見る、話題の企業」シリーズ第13回は、半導体の製造装置、とくにウエハを洗う「洗浄装置」を中心に、ディスプレーの製造装置、印刷の機械、プリント基板の製造装置までを手がける株式会社SCREENホールディングス(証券コード7735、有報の表記は「株式会社SCREENホールディングス」、以下「SCREEN」)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。会社が金融庁の開示システム(EDINET)に提出した有価証券報告書(第85期・2025年4月〜2026年3月)をもとに、①事業の中身 ②半導体の製造工程の中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。

📌 30秒でわかるこの記事
  • SCREENの第85期(2025年4月〜2026年3月)の売上高は約6,057億円(前期比3.1%減)、営業利益は約1,225億円(同9.7%減)でした(日本の会計基準・連結)。売上高の約80%を「半導体製造装置事業」が占めています
  • 顧客の所在地で見ると、売上高の約38%が中国、約22%が台湾向けで、1社への売上が全体の約15%を占めています。会社自身も、米中の関係の悪化による輸出入の規制、特定の顧客への売上の集中、半導体の市況の波をリスクとして挙げています
  • 「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
💡 なぜSCREENか(選定根拠):本シリーズは日本株を中心にする方針(直近3本のうち海外株が1本以上あれば日本株)で、直近3本(AMD・京セラ・フジクラ)に海外株が含まれるため、今回は日本株の番です。当サイトが機械的に集計する候補データ(edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-09時点)のうち、SCREENは2026年9月28日(値上がり)・9月29日(値上がり)・9月30日(出来高急増)・10月1日(値上がり)の4日ランキングに登場しています(どのランキングだったかは、当サイトの jp-rankings.json の変更履歴で確認)。ランキングに最後に登場した日から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)と、有価証券報告書の本文が取得できていることを満たす候補の中から、時価総額の大きい順に選びました(時価総額の金額や順位は本文に書きません)。SCREENより時価総額の大きい候補のうち、2社は当サイトの10月1日のニュース記事で株価の動きを取り上げていたため見送り、1社は前回(第12回)で取り上げ済み、1社は決算期が6月で、最新の通期の有価証券報告書が当サイトのデータで取得できていなかったため見送りました。SCREENについては、本レーンでの既刊記事・この会社が主役の解説記事の既刊はなく(ls guide-*.html と guides.html を社名・証券コードで確認)、当サイトのニュース記事(guide-news-*.html)にも全期間で登場していません。ランキングに登場した理由(なぜ値上がりや出来高の急増があったか)は、一次情報で確かめられないため書きません。
数字の出どころと確認日(2026-10-11):決算の数字はすべて有価証券報告書 第85期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月25日提出)から引いています。SCREENは3月決算で、この有報が、確認日の時点でいちばん新しい通期の有報です。直近の四半期(2026年4〜6月期)の決算短信は、決算短信の掲載先であるTDnet(東京証券取引所の適時開示サイト)で当サイトが確かめた時点(2026-10-11)では2026年9月2日より前の開示が見られず、取得できなかったため、この記事では使っていません(二次情報で補うこともしていません)。同じ理由で、会社が公表している2027年3月期の業績予想の数字(その後の修正を含む)も、この記事には書いていません。2026年9月2日から10月9日までのTDnetには、SCREENの開示は見当たりませんでした。有報の数字は百万円単位で、億円に直した数字は当サイトが計算したもの(億円未満四捨五入)なので「約」を付けています。会社自身は有報の一部の表で億円未満を切り捨てた数字を使っているため(例:第84期の売上高を「6,252億円」と記載)、この記事の数字と1億円ずれることがあります。

1️⃣ SCREENはどんな会社か

SCREENは、1943年に大日本スクリーン製造株式会社として京都市で設立された会社で、2014年に持株会社の体制へ移り、今の社名に変わりました。有報の「事業の内容」によると、グループは半導体製造装置、印刷関連機器、ディスプレー製造装置、成膜装置、プリント基板関連機器の製造・販売を主な事業とし、それらに関連する研究・開発やサービスも行っています。持株会社の下に、製品ごとの事業会社を4社置いています(出典:有価証券報告書 第85期「沿革」「事業の内容」、2026-10-11確認)。連結の従業員数は6,884人(2026年3月31日現在)です。

💡 用語メモ:半導体は、電気を通したり止めたりできる性質を使って、計算や記憶をする部品(チップ)のことです。ウエハは、半導体をつくる土台になる、シリコンなどでできた薄い円い板です。1枚のウエハの上にたくさんのチップをまとめてつくります。洗浄は、ウエハの表面についた小さなゴミや汚れ、薬液の残りを取り除く工程です。成膜は、ウエハやガラスの板の表面に、ごく薄い膜をつける工程です。連結はグループ全体を1つの会社とみなした数字、単体は会社本体1社だけの数字です。この記事では、ことわりがなければ連結の数字を使います。SCREENの決算は日本の会計基準(日本基準)で作られています(国際会計基準〈IFRS:世界の多くの国で使われる会計のルール〉とは、利益の項目の名前などが違います)。セグメントは、会社が業績を管理・開示するときの事業の区分のことです。

有報によると、セグメント(報告セグメント)は次の4つで、ほかに「その他」の事業があります(出典:同有報「事業の内容」「セグメント情報」)。

第85期のセグメントごとの売上高(外部の顧客への売上高)は次のとおりです(出典:同有報「セグメント情報」)。

SCREENホールディングス 第85期(2025年4月〜2026年3月)のセグメント別の売上高 セグメント別の売上高(第85期・外部の顧客への売上高・単位:億円) 半導体製造装置事業(SPE:洗浄装置など) 約4,853(80.1%) グラフィックアーツ機器事業(GA:印刷関連機器・インクなど) 約573(9.5%) ディスプレー製造装置および成膜装置事業(FT) 約405(6.7%) プリント基板関連機器事業(PE) 約145(2.4%) その他(先端パッケージ・ライフサイエンス・水素などの新しい事業など) 約81(1.3%) 濃い青=半導体製造装置/中くらいの青=印刷とディスプレー/薄い青=プリント基板・その他
▲ 有価証券報告書 第85期「セグメント情報」の外部顧客への売上高(百万円、2026-10-11確認)を億円に直して作成(億円未満四捨五入)。カッコ内の構成比は、連結の売上高 約6,057億円に対する割合を当サイトが計算したもの。※概念を示すイメージ図です。

半導体製造装置事業(SPE)の外部の顧客への売上高は約4,853億円で、全体の約80%でした。セグメントの利益(SCREENでは営業利益の段階の数字)で見ると、SPEは約1,227億円で、連結の営業利益 約1,225億円とほぼ同じ額です。4つのセグメントの利益を合計すると連結の営業利益を上回り、そこから「その他」の事業の損失(約24億円)と、どの事業にも配分していない会社の損益など(調整額 約103億円のマイナス)が差し引かれて連結の営業利益になります。SPE以外の3つのセグメントの利益(GA 約36億円・FT 約86億円・PE 約4億円)と、この差し引かれる分がほぼ同じ大きさのため、結果としてSPEの利益と連結の営業利益が近い額になっています(出典:同有報「セグメント情報」)。

売上高を顧客の所在地で分けると、中国が約2,325億円(全体の38.4%)、台湾が約1,360億円(22.4%)、日本が約856億円(14.1%)、米国が約496億円(8.2%)、韓国が約391億円(6.5%)、欧州が約261億円(4.3%)、その他が約368億円(6.1%)で、日本以外の顧客向けが全体の約86%でした(構成比は有報の記載。出典:同有報「関連情報」「収益認識関係」)。また、1社への売上高が約885億円で、連結の売上高の14.6%を占めています(有報には相手先の社名が書かれていますが、この記事では社名を書きません。SPEの顧客です)。

2️⃣ 半導体の製造工程の中のどこにいるか

次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、SCREENの装置が、半導体をつくる工程のどこで使われているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。SCREENは「半導体をつくる会社」ではなく、半導体をつくる会社が工場で使う装置をつくる会社です。

半導体の製造工程とSCREENの位置。前工程の塗布・洗浄と乾燥・熱処理、後工程の先端パッケージで、会社が装置の開発を挙げている。ほかに、ディスプレーの製造装置と成膜装置、印刷関連機器、プリント基板の装置がある。全体は半導体の設備投資の波、特定の顧客への集中、輸出入の規制や関税、為替の影響を受ける 半導体の製造工程の中での位置(色の濃い枠=SCREENの装置がある工程) ① 前工程(その1):ウエハの上に回路をつくる 素材 シリコンのウエハ 薬液・ガスなど 成膜 ウエハの表面に 薄い膜をつける 塗布 =ここ 薬液を均一に塗る (会社が挙げる領域) 露光・現像 回路の形を 写しとる ② 前工程(その2):①と②をくり返して、回路を積み重ねる エッチング いらない部分を 削りとる 洗浄・乾燥 =ここ ゴミや汚れを取る (SPE=売上の80.1%) 熱処理 =ここ 熱を加えて 性質を整える 検査など できばえを 確かめる ③ 後工程から先:チップに切り分けて包み、製品へ 先端パッケージ チップを包む工程 向けの装置も開発 装置を使う会社 半導体の受託製造の会社 メモリーのメーカー チップを使う会社 サーバーのメーカー 電子機器のメーカー 最後の使い道 データセンター スマートフォン・自動車 ④ 半導体以外の装置(ほかの事業) ディスプレー・成膜の装置 画面のメーカー向け FT=売上の6.7% 印刷関連機器・インク 印刷会社向け GA=売上の9.5% プリント基板の装置 基板のメーカー向け PE=売上の2.4% 外側の枠組み:半導体の設備投資の波・特定の顧客への集中・輸出入の規制や関税・為替 会社自身が、有価証券報告書の「事業等のリスク」でこれらを挙げている ※矢印は「工程とモノが流れる方向」を示す事実の関係です。 業績や株価が連動する方向を示すものではありません。
▲ 半導体の製造工程の中でのSCREENの位置(概念図)。工程の並びは一般的な流れを簡単にしたもの。色の濃い枠は、会社が有報の「研究開発活動」で挙げている領域(洗浄・乾燥・塗布・熱処理、半導体先端パッケージ)と、各セグメントの事業です。色の無い枠に会社の装置が無い、という意味ではありません。構成比は外部顧客への売上高から当サイトが計算(2026-10-11確認)。前後の箱は会社の種類の一般名で、特定の会社を指すものではありません。※概念を示すイメージ図です。
💡 用語メモ:前工程は、ウエハの上に回路をつくる工程、後工程は、できあがったウエハをチップに切り分けて、包んで(パッケージにして)製品の形にする工程です。先端パッケージは、複数のチップを組み合わせたり重ねたりして、1つの部品として包む新しい方法のことで、会社は有報で「チップレット化を含む先端パッケージング」と書いています(チップレット=機能ごとに分けた小さなチップを組み合わせる方法)。ファウンドリーは、ほかの会社が設計した半導体の製造を引き受ける会社(受託製造の会社)、DRAMは、データを一時的に記憶するメモリーの一種です。WFEは、会社が有報で「半導体前工程製造装置市場(WFE)」と書いている、前工程の装置の市場のことです。

SCREENが「洗浄」の箱に立っている根拠は、会社自身の開示にあります。会社は研究開発活動の説明で、自分たちを「当社グループがトップシェアを誇る洗浄領域」と書き(シェアの数字は有報にはありません)、中期経営計画のSPEの戦略の1つ目に「洗浄装置マーケットシェアの向上」を挙げています。研究開発は「洗浄、乾燥、塗布、熱処理をはじめとした各領域」で進めているとしています。第85期のSPEの売上高(ほかのセグメントへの売上を含む)は約4,860億円(前期比6.5%減)で、会社はその中身を「ポストセールスの売上やDRAM向けの装置売上が増加した一方で、ファウンドリー向けの装置売上が減少しました。」と説明しています(出典:有価証券報告書 第85期「研究開発活動」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「経営者による分析」、2026-10-11確認)。

工程の前後とのつながりも、文章や数字で開示されています。

このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報で挙げています。市場の動向の項では、半導体・ディスプレーの市場は急速な技術の進歩で大きく伸びる一方で、「需給バランスの悪化から市況が低迷するという好不況の波に晒されてきました。」と書いています。政治状況の項では、米中の関係の悪化がさらに進み、輸出入に関する規制の強化などで中国への製品の出荷が制約を受ける場合に、売上が減り利益などに悪い影響が出る可能性を挙げています(出典:有価証券報告書「事業等のリスク」、2026-10-11確認)。

産業のつながりがあることと、株価が連動することは別です。同じ工程にいる会社でも、業績も株価も会社ごとに大きく異なります。ここでお伝えしているのは産業構造の事実であって、値動きの予想ではありません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。

3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事

各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。有価証券報告書の「沿革」に無い事実(創業の年と前身の会社)は、Wikipedia(二次情報)から年表に限って使っています。

年月出来事出典
1868年前身の「石田旭山印刷所」が京都で創業(有報の「沿革」は1943年の会社設立から始まるため、創業の年と前身の会社はWikipediaによる。有報の「経営方針」には「SCREENグループ創業157年の歴史」という記載がある)Wikipedia「SCREENホールディングス」(2026-10-11確認)・有価証券報告書 第85期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-11確認)
1943年10月京都市に大日本スクリーン製造株式会社を設立(資本金130,000円)有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)・Wikipedia「SCREENホールディングス」(2026-10-11確認)
1946年3月カメラ、アーク灯、焼付機などの写真製版機械の生産を始め、写真製版設備のメーカーとして事業を始める有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
1962年5月大阪証券取引所市場第二部に上場(1967年10月に東京証券取引所市場第二部、1970年8月に東京・大阪の市場第一部)有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
1975年2月化工機工場を発足し、電子工業界向けの機械装置の製造を広げる有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
1985年8月京都市伏見区に洛西工場(現・洛西事業所)を新築し、半導体製造装置の増産の体制を整える有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
1998年10月滋賀県多賀町に、半導体製造装置の生産拠点として多賀事業所を開設有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
2001年3月彦根事業所に工場を新築し、300ミリのウエハに対応した洗浄装置の量産の体制を整える有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
2014年10月・11月持株会社の体制へ移り、社名を株式会社SCREENホールディングスに変更。半導体製造装置の事業、印刷関連機器とプリント基板関連機器の事業、ディスプレー(FPD)機器の事業などを、それぞれ事業会社に引き継ぐ有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しで、プライム市場(東証の3つの市場区分のうち、最も上の区分)へ移行有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
2023年1月・2024年1月彦根事業所に、半導体製造装置事業の工場を続けて新築有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
2023年10月1日普通株式1株を2株に分割有価証券報告書 第85期「主要な経営指標等の推移」の注記(2026-10-11確認)
2025年2月彦根事業所に、水素関連事業の生産スペースと半導体製造装置事業の事務所の機能などを備えた工場を新築有価証券報告書 第85期「沿革」(2026-10-11確認)
2025年9月ウエハー接合技術(ウエハどうしを貼り合わせる技術)に関する研究開発事業を、他社から譲り受ける有価証券報告書 第85期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「研究開発活動」(2026-10-11確認)
2025年12月米国(ニューヨーク州)に研究開発拠点「SCREEN Advanced Technology Center of America, LLC」を設立有価証券報告書 第85期「沿革」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-11確認)
2026年4月1日普通株式1株を2株に分割(1月30日の取締役会で決議。分割後の発行済株式総数は190,759,972株)有価証券報告書 第85期「重要な後発事象」(2026-10-11確認)
2026年6月25日有価証券報告書 第85期を提出EDINET 有価証券報告書(2026-10-11確認)

※持株会社=自分では製品をつくらず、グループの会社の株を持って全体を経営する会社です。株式分割=1株を複数の株に分けることで、株主の持ち分の割合は変わらず、1株当たりの数字(利益や純資産)が小さくなります。会社は2026年4月の分割の目的を「投資単位当たりの金額を引き下げることにより、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ること」と書いています(出典:同有報「重要な後発事象」)。重要な後発事象=決算期末のあとに起きた、次の期以降に大きく影響しうる出来事として、有報に書くことになっている事項です。

4️⃣ 直近の決算の数字(有価証券報告書 第85期)

有価証券報告書 第85期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月25日提出)の連結の数字です(日本基準)。SCREENは3月決算で、その後の四半期の数字(2026年4〜6月期の決算短信)は、上の注意書きのとおり当サイトでは取得できていません。確認日は2026-10-11です。

指標(連結・日本基準)第85期(2025/4〜2026/3)第84期(前期・2024/4〜2025/3)増減
売上高約6,057億円約6,253億円−3.1%
営業利益約1,225億円約1,357億円−9.7%
経常利益約1,243億円約1,383億円−10.1%
親会社株主に帰属する当期純利益約920億円約995億円−7.5%
1株当たり当期純利益(EPS・2回の株式分割後の株数で計算)486.63円511.77円—
自己資本利益率(ROE)20.3%25.1%—
自己資本比率67.4%62.7%—
営業活動によるキャッシュ・フロー約927億円約712億円—
現金及び現金同等物の期末残高約2,257億円約1,985億円—
1株当たり配当額(SCREEN単体・2026年4月の株式分割前の株数)293円308円−15円
研究開発費約378億円——
設備投資(無形固定資産を含む)約277億円——

出典:有価証券報告書 第85期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「セグメント情報」「研究開発活動」「設備投資等の概要」(2026-06-25提出)。億円の数字は有報の百万円から当サイトが計算したもの(億円未満四捨五入)。増減の率は有報の「経営者による分析」の記載と一致することを確かめた値。前期の営業利益はセグメント情報の表の値。確認日:2026-10-11。

💡 用語メモ:営業利益=本業のもうけ、経常利益=営業利益に、利息や為替の差など本業以外の損益を足し引きした利益、親会社株主に帰属する当期純利益=税金などを引いたあと、グループのうち親会社の株主の取り分になる最終的な利益です(日本基準の呼び方)。EPS=1株当たりの利益です。ROE(自己資本利益率)=株主のお金(自己資本)に対して、1年でどれだけ利益を出したかの割合です。自己資本比率=総資産のうち、返す必要のない株主のお金が占める割合です。キャッシュ・フロー=実際のお金の出入りのことで、営業活動によるキャッシュ・フローは本業で入ってきたお金の額です。研究開発費=新しい技術や製品を生み出すために使ったお金です。

1株当たりの数字の読み方の注意:SCREENは2023年10月1日と2026年4月1日の2回、普通株式1株を2株に分割しました。有報の「主要な経営指標等の推移」では、EPSと1株当たり純資産額は、第81期の期首に2回の分割をしたと仮定して計算されています。一方で、第85期の1株当たり配当額(293円)と発行済株式総数(2026年3月末 95,379千株)は、2026年4月の分割の前の数字で書かれています。293円の内訳は、中間配当123円と期末配当170円で、期末配当は有報の提出時点では2026年6月26日の定時株主総会で決める予定とされていました。前期の308円も、2026年4月の分割の前の株数の配当額です(出典:同有報「主要な経営指標等の推移」の注記)。このため、上の表のEPS(2回の分割後の株数で計算)と1株当たり配当額(2026年4月の分割前の株数)は、同じ物差しではありません。また、2026年4月1日以降の株価は分割後の株数に対応した値なので、分割前の配当額293円をそのまま今の株価と比べることはできません(比べるときは、分割の割合〈1株→2株〉で直す必要があります)。

自己株式について:自己株式は、会社が市場などから買い戻して自分で持っている自社の株のことです。第85期には自己株式を約124万株買い付けましたが、買い付けただけでは発行済株式総数は減りません。発行済株式総数が期首の101,589千株から期末の95,379千株に減ったのは、持っていた自己株式6,209千株を消却(その株を無くすこと)したためです(いずれも2026年4月の分割の前の株数。出典:同有報「連結株主資本等変動計算書関係」)。

セグメントごとの第85期の数字と、会社の説明は次のとおりです(出典:同有報「経営者による分析」「セグメント情報」。売上高はほかのセグメントへの売上を含む会社の記載、億円未満四捨五入)。

💡 用語メモ:ポストセールスは、装置を売ったあとの、保守のための部品や消耗品の販売、修理や改造のサービス、中古の装置の販売などのことです(有報の注記による)。リカーリングビジネスは、インクのように、一度装置を売ったあとも続けて売れる商品やサービスで稼ぐ事業のことです。固定費は、売上の多い少ないにかかわらずかかる費用(人件費や研究開発費など)のことです。
SCREENホールディングスの売上高と、親会社株主に帰属する当期純利益の推移。第81期から第85期 上:売上高(連結・単位:億円・億円未満四捨五入) 4,119 4,608 5,049 6,253 6,057 下:親会社株主に帰属する当期純利益(連結・単位:億円・億円未満四捨五入) 455 575 706 995 920 第81期 2022年3月期 第82期 2023年3月期 第83期 2024年3月期 第84期 2025年3月期 第85期 2026年3月期 上と下で縦の目盛りが違います(上は6,400億円、下は1,100億円を基準にした高さ)。
▲ 有価証券報告書 第85期「主要な経営指標等の推移」の連結の数値(百万円)を億円に直して作成(億円未満四捨五入、2026-10-11確認)。SCREENは3月決算。第81期=2021年4月〜2022年3月、第85期=2025年4月〜2026年3月。※概念を示すイメージ図です。

5期の数字では、売上高は約4,119億円(第81期)から約6,253億円(第84期)まで続けて増え、第85期は約6,057億円でした。親会社株主に帰属する当期純利益は約455億円(第81期)から約995億円(第84期)まで増え、第85期は約920億円でした。会社は第85期の売上の減少を主にSPEの売上の減少によるものとし、営業利益の減少を「成長に向けた研究開発費や人件費などの固定費の増加や売上の減少など」によるものと説明しています。経常利益の段階では、受取利息が増えた一方で、損害賠償金の発生や為替差損(為替の動きによる損)の増加などで、本業以外の損益が前期より約8億円悪くなりました。最終利益の段階では、投資有価証券の売却益が増えたことなどで、特別損益(その期だけの臨時の損益)が前期より約17億円よくなりました(出典:同有報「経営者による分析」)。

お金の面では、第85期末の総資産は約7,224億円、純資産は約4,867億円でした。会社は、負債が減った主な理由に契約負債(主に、装置の代金の前受金)や未払いの法人税などの減少を挙げています。契約負債の残高は、前期末の約1,004億円から約831億円になりました。投資活動によるキャッシュ・フローは研究開発の設備などの取得で約297億円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払いや自己株式の取得などで約402億円の支出でした。会社は、この期に必要な資金は自己資金でまかない、将来の資金の安定のために総額600億円のコミットメントライン(あらかじめ決めた額まで、いつでも借りられる約束)を複数の金融機関と結んでいると書いています(出典:同有報「経営者による分析」「収益認識関係」)。

💡 受注残について:受注残は、注文を受けたもののまだ売上になっていない分の金額のことで、装置のメーカーでは先の売上の手がかりとして見られることがあります。ただしSCREENは有報で、受注実績を「短期での変動が大きく、中長期の市場動向や当社グループの事業の状況を表すための指標として適切ではないため記載しておりません。」と書いており、この記事では受注や受注残の数字を扱っていません(出典:同有報「生産、受注及び販売の実績」)。
💡 会社が公表している計画と目標について:会社は中期経営計画「Value Up Further 2026」(2025年3月期〜2027年3月期)で、3年間の目標として、売上高の累計1.8兆円以上、営業利益率(売上高に対する営業利益の割合)の通算19%以上、ROIC(投下資本利益率:事業に投じたお金に対してどれだけ利益を出したかの割合)の最終年度15%以上、連結配当性向(利益のうち配当に回す割合)30%以上を掲げています。会社が書いている実績は、2025年3月期が売上高6,252億円・営業利益率21.7%・ROIC 24.7%・連結配当性向30.1%、2026年3月期が売上高6,057億円・営業利益率20.2%・ROIC 20.0%・連結配当性向30.1%です。SPEだけの3年間の目標は、売上高の累計1兆5,000億円以上と営業利益率23〜25%としています。会社はこれらの数値目標について「その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。」と書いています(出典:同有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)。2027年3月期の業績の予想など、決算短信に載る数字は、当サイトが確かめた時点でTDnetの保管期間を過ぎていて取得できなかったため、この記事に書いていません。会社のIRサイトでご確認ください。なお、ここで扱う数字はすべて会社の開示の紹介で、当サイトによる業績予測ではありません。

5️⃣ 会社自身が挙げているリスク

以下は有価証券報告書(第85期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社は外部の要因、業界の動き、公正な取引、内部統制、事業の継続、品質、人材、環境の8つの分類で項目を挙げており、ここではそのうち5つを紹介します。原文はEDINET掲載の有価証券報告書でご確認ください。

出典:有価証券報告書 第85期「事業等のリスク」(2026-06-25提出、2026-10-11確認)。原文にはこのほか、技術・製品の開発の遅れ、サプライチェーン(部品の調達から製造・販売までのつながり)、法令の順守、内部統制、資金の調達、情報セキュリティ、製品の品質と安全、人材の確保、環境への対応が挙げられています。為替予約=将来の決まった日に、決まったレートで通貨を交換する約束をして、為替の動きによる影響を小さくする取引のことです。

6️⃣ 上がる材料/下がる材料

ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。

📈 上がる可能性がある材料
会社はSPEの事業環境について、2025年の半導体前工程製造装置市場(WFE)はAIの活用の急速な広がりによるデータセンター向けの高性能な半導体の需要で堅調に伸びたとし、「2026年もAI向け半導体への設備投資は継続し、大手ファウンドリーやメモリーメーカーの先端向け投資を中心に、WFEは更に大きな成長が見込まれます。」と書いている(会社の見方の紹介で、当サイトの予測ではない)。出典:有価証券報告書 第85期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-11/効くと:売上の約80%を占めるSPEの動きが、全体の業績を左右する材料になる
SPEの売上のうち「ポストセールス他」(保守の部品・消耗品・修理・改造・中古の装置など)は約991億円で、前期の約860億円から増えた。会社はSPEについて、ポストセールスの売上の増加などで採算性は改善していると説明している。出典:有価証券報告書 第85期「収益認識関係」「経営者による分析」/確認日2026-10-11/効くと:新しい装置の売上が減った期に、売ったあとの売上がどれだけ続くかを確かめる材料になる
FTの売上高は約448億円(前期比24.9%増)、営業利益は約86億円(同181.8%増)。会社は理由にOLED向けの装置の売上の増加と採算性の改善を挙げ、背景として中国の家電製品の買い替え補助金の政策などによるディスプレーの需要の増加を書いている(需要の背景として会社が挙げているのは、中国の補助金の政策です)。2026年4月には、先端パッケージの事業の機能をFTへ移した。出典:有価証券報告書 第85期「経営者による分析」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-11/効くと:売上の約7%の部門だが、半導体以外の収益の柱がどう動くかを確かめる材料になる
自己資本比率は67.4%(前期62.7%)、現金及び現金同等物は約2,257億円(前期 約1,985億円)、営業活動によるキャッシュ・フローは約927億円(前期 約712億円)。会社は格付会社(会社がお金を返す力を記号で評価する会社)の長期発行体格付A+(見通し:安定的)を維持していると書き、連結配当性向30%以上を株主還元の方針としている。最終利益には、投資有価証券(ほかの会社の株式など、長く持つ目的の有価証券)の売却益の増加など、その期だけの臨時の利益も含まれる。出典:有価証券報告書 第85期「主要な経営指標等の推移」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「経営者による分析」/確認日2026-10-11/効くと:研究開発や設備への投資と株主還元を、どのような資金の手当てで進めるかを確かめる材料になる
会社は1年間の設備投資の計画の総額を430億円(うちSPE 約150億円)とし、滋賀県野洲市での生産用地の取得(投資予定額 約88億円・2029年6月完了の予定)や、米国の研究開発拠点の設備(約120億円・2028年3月完了の予定)を挙げている。第85期の研究開発費は約378億円で、SPEの戦略に「洗浄装置マーケットシェアの向上」「生産キャパシティの拡大」を挙げている(会社の計画の紹介で、当サイトの予測ではない)。出典:有価証券報告書 第85期「設備の新設、除却等の計画」「研究開発活動」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-11/効くと:生産の能力や開発の体制を広げた分が、その後の売上にどう表れるかを確かめる材料になる
📉 下がる可能性がある材料
第85期の売上高は約6,057億円(前期比3.1%減)、営業利益は約1,225億円(同9.7%減)。会社は、SPEで「ファウンドリー向けの装置売上が減少しました。」と書き、SPEの「新規装置」の売上は約3,863億円(前期 約4,336億円)だった。営業利益の減少の理由には、研究開発費や人件費などの固定費の増加と売上の減少を挙げている。出典:有価証券報告書 第85期「経営者による分析」「収益認識関係」/確認日2026-10-11/効くと:固定費が増えている中で売上が減ると、利益の減り方が売上の減り方より大きくなりうる
顧客の所在地で見ると、中国向けが売上高の38.4%(約2,325億円・前期42.4%)。会社はリスクの項で、米中の関係の悪化がさらに進み、輸出入に関する規制の強化などで中国への出荷が制約を受ける場合に、売上が減る可能性があると書いている。GAでは、売上は増えたものの、固定費の増加や米国の関税の影響などで減益になったと説明している。出典:有価証券報告書 第85期「関連情報」「事業等のリスク」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-11/効くと:規制や関税の変化が、特定の地域への販売と利益に響きうる
1社への売上高が約885億円で、連結の売上高の14.6%(SPEの顧客)。台湾向けは売上高の22.4%。会社はリスクの項で、売上が特定の顧客に集中する傾向があり、その顧客の設備投資の動きや受注の動きによって、売上や利益に悪い影響が出る可能性があると書いている。出典:有価証券報告書 第85期「関連情報」「事業等のリスク」/確認日2026-10-11/効くと:少数の大口の顧客の投資計画の変化が、全体の売上に大きく響く
会社は半導体・ディスプレーの市場について、市況が低迷する好不況の波にさらされてきたとし、市況が予想と離れた場合の悪影響を挙げている。受注実績は開示しておらず、装置の代金の前受金を主とする契約負債は約1,004億円から約831億円に減った。出典:有価証券報告書 第85期「事業等のリスク」「生産、受注及び販売の実績」「収益認識関係」/確認日2026-10-11/効くと:市況の変化が起きたとき、受注の数字が無いぶん、外から先の売上を確かめる手がかりが限られる
売上高の約86%は日本以外の顧客向け(有報の地域の情報から当サイトが計算)で、会社は外貨建ての取引もあり、急激な為替の変動で利益などに悪い影響が出る可能性を挙げている。第85期は為替差損の増加や損害賠償金の発生(前期には計上の無かった費用)などで、本業以外の損益が前期より約8億円悪くなった。国内の生産拠点が京都・滋賀の地区に集中していることもリスクに挙げている。出典:有価証券報告書 第85期「関連情報」「事業等のリスク」「経営者による分析」/確認日2026-10-11/効くと:同じ売れ行きでも、為替や臨時の費用、災害によって、円での利益が変わりうる

以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

※ 材料の数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来の予測は行っていません。

7️⃣ これから何を見れば分かるか

次の決算発表日は、当サイトの決算予定データ(earnings-calendar.json)に載っておらず、会社の公式な日程も確認できていないため、ここには書きません。会社のIRサイトの決算発表予定でご確認ください。この記事で挙げた材料がその後どうなったかは、次の開示で確かめられます。

有価証券報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説にまとめています。

8️⃣ まとめ

結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①SPEの売上高と営業利益(売上の約80%を占める部門の動き)と、その中の新規装置とポストセールスの分かれ方、②顧客の所在地と顧客の集中(中国38.4%・台湾22.4%・1社で14.6%)が、輸出入の規制や顧客の投資計画とあわせてどう変わるか、③中期経営計画の最終年度(2027年3月期)の目標に対する実績。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。

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