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⚠️ 本記事はエントリー(買う・売るタイミング)の決め方についての考え方や、公開されている研究の紹介を目的とした「情報提供」であり、特定の手法・銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

🏦 FOMCの発表前は株が上がりやすい? 見つかった傾向はその後どうなった? 研究でわかっていること【エントリー方法の研究 #09】

公開:2026年10月3日 / 読了時間:約 9 分 / カテゴリ:🚪 エントリー方法の研究

シリーズ第8回(#08)で扱った「キャリートレード」は、金利の差という、ずっと変わらない条件に注目する方法でした。この記事で扱う「FOMC(米国の金融政策を決める会合)前の値動き」は反対に、1年に8回だけ訪れる、決まった日付・時刻をきっかけに入る方法です。FOMCという会合そのものの基礎知識は、別記事「FOMCとは?」で説明しているので、この記事では、「発表の前に株が上がりやすい」という傾向が研究でどこまで見つかり、その後どうなったのかに絞って整理します。

📌 この記事の結論(30秒まとめ)

1️⃣ どんな方法か

FOMC(連邦公開市場委員会:米国の中央銀行にあたる組織が金融政策を決める会合)は、1年に8回、あらかじめ決まった日に開かれます。「FOMC前の値動き」に注目する方法は、会合の結果が発表される前の決まった時間帯に、あらかじめ買っておく、という入り方です。これまでの回で見た「値動きの向き」や「金利の差」とは違い、この方法が注目するのは、あらかじめわかっている「発表の日時」そのものです。

仮の例(考え方を説明するための仮の例です): FOMCの結果は、日本時間の深夜に発表されることが多くあります。「発表そのものの内容を知る前に、発表の24時間前までに買っておき、発表の直前に手放す」という入り方を考えてみます。これは、発表の内容(利上げか、利下げか、据え置きか)を予想して入るのではなく、「発表が近づくこと」自体をきっかけにする方法です。

FOMC発表前24時間の株価の動きが、2015年より前と、それ以降で変わった様子を示す図 FOMC発表前24時間の値動き(イメージ図・実際の値動きではありません) 1994年9月〜2011年3月(当時の報告) 発表 24時間で平均0.49%上昇 ※年間の超過リターンの80%以上に相当 2015年以降(2019年12月まで確認) 発表 ほとんど差が見られず
図:ルッカ氏とメンチ氏が最初に見つけた「発表前24時間の上昇」が、クロフ氏らの研究で期間を延ばして確かめ直すと、2015年以降はほとんど見られなくなった、という報告の考え方です。※概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。

2️⃣ 研究でわかっていること

発表前24時間に株が上がりやすい(ルッカ氏とメンチ氏、ニューヨーク連邦準備銀行の報告書・のちに2015年に学術誌へ掲載)

ルッカ氏とメンチ氏の研究は、1994年9月から2011年3月までの米国株(S&P500)を調べ、FOMCの発表がある日は、発表が無い日より平均で30倍以上大きいリターンが出ていたことに気づきました。さらに調べると、その大きなリターンの多くは、発表そのものの時間ではなく、発表前24時間にすでに生まれていたと報告しています。この24時間の上昇だけで、調べた17年間の米国株の超過リターン(プレミアム:ふつうの金利より多く受け取れる分)の80%以上を占めていた、という報告です。

研究はこの上昇を「プレFOMCドリフト(FOMC前の値動き)」と呼び、FOMCの決定が利上げ方向であっても利下げ方向であっても、発表前24時間に株が上がりやすい傾向そのものは変わらなかったと報告しています。つまり、発表の内容を当てる方法ではなく、発表が近づくこと自体に反応する値動きだった、ということです。研究はさらに、海外の主要な株価指数でも似た傾向が見られたことを報告しています。一方で、米国の国債や、ドルの為替の値段、ほかの経済指標の発表前には、同じような傾向は見られなかったとも報告されています。研究は、金利が変わるリスクなど、いくつかのリスクで説明できないかを調べましたが、どの説明も、この上昇の大きさをうまく説明できなかったと結論づけています。

3️⃣ 反論・限界

期間を延ばすと、傾向はほとんど消えていた(クロフ氏・ウォルフ氏・ギルバート氏、2021年)

クロフ氏・ウォルフ氏・ギルバート氏の研究は、ルッカ氏とメンチ氏が調べた期間を、2019年12月まで延ばして確かめ直しました。すると、FOMC発表前24時間の上昇は、議長の記者会見があるFOMCでも、無いFOMCでも、2015年以降はほとんど見られなくなっていた、と報告されています。研究はこの変化の理由として、金融政策の先行きに対する不確かさが、その時期に減ったことを、ひとつの説明として挙げています。

今回調べた範囲では、クロフ氏らの研究のほかに、ルッカ氏とメンチ氏の最初の報告そのものを統計的に否定する反論は見当たりませんでした。ただし、この「見つかった傾向が、あとで消えた」という結果自体が、もっとも重要な限界です。2011年までのデータで見つかった傾向を、2012年以降にそのまま使えるとは、この2本の研究からは言えません。

取引コスト・実際に売買できるかという注意

ルッカ氏とメンチ氏の研究が使ったのは、S&P500という指数そのものの値動きです。指数そのものを直接売買することはできないため、実際にこの入り方を試すには、指数に連動する商品(先物やETFなど)を使う必要があり、その分の取引コストやスプレッド(売値と買値の差)が、報告された上昇の大きさからさらに差し引かれます。また、FOMCの発表時刻は日本時間の深夜であることが多く、24時間という時間の取り方も、研究が使った取引時間と、個人が実際に売買できる時間帯が異なる可能性があります。

4️⃣ 株・FX・コモディティでは?

紹介した2つの研究が、どの市場を対象にしているかを表に整理します。

市場研究はあるか内容
株価指数あり(研究の中心)ルッカ氏とメンチ氏の研究は米国株(S&P500)が中心で、海外の主要な株価指数でも似た傾向が見られたと報告されています。クロフ氏らの研究は、同じ米国株で、2015年以降この傾向がほとんど見られなくなったことを確かめ直しました。
為替(FX)あり(効果は見つからなかった)ルッカ氏とメンチ氏の研究は、ドルの為替の値段についても同じ調べ方を試しましたが、株価指数のような上昇は見られなかったと報告しています。
コモディティ(金・原油など)この記事で確認した研究の範囲ではわからない金・原油などコモディティ(商品)についての言及は、今回確認した2つの研究の中では見当たりませんでした。コモディティでFOMC前に同じ傾向があるかは、この記事からはわかりません。

まとめると、「FOMC前の上昇」として報告されたのは、米国株とおもな海外の株価指数で、為替(ドル)では同じ調べ方をしても見られなかった、という結果です。コモディティについては、今回調べた2つの研究では確認できませんでした。

当サイトとの関係: 当サイトの監視18銘柄には、日経平均先物やS&P500先物のような株価指数も含まれています。しかし当サイトのシグナルは、RSI(相対力指数:買われすぎ・売られすぎを0から100の数字で表す指標)・MACD(移動平均線を使って、流れの変わり目をとらえる指標)・移動平均・ボリンジャーバンド(値動きの広がりを統計的な幅で示す線)・高値安値のブレイクといった値動きの型を見るもので、FOMCの発表日時そのものを判定材料にしていません。この記事で紹介した研究は、発表前の決まった時間帯に注目する別の考え方であり、当サイトのシグナルの成績を裏づけるものではありません。また、研究が調べたのは1994年から2019年までの米国株の期間で、当サイトのシグナルが記録している期間・市場とは、期間も範囲も違います。当サイトの経済指標カレンダーでは、FOMCの開催予定を確認できますが、この記事の研究結果にもとづく売買のタイミングを示すものではありません。

5️⃣ よくある誤解

誤解1:「FOMCの前は、いつも株が上がる」と思われがち

ルッカ氏とメンチ氏の研究が報告したのは、1994年から2011年までの「平均」の傾向です。平均でプラスだったとしても、個々のFOMCごとに毎回上がったわけではありません。さらに、クロフ氏らの研究によると、この平均の傾向自体が2015年以降はほとんど見られなくなっています。

誤解2:「上がるか下がるかは、発表の内容(利上げか利下げか)で決まる」と思われがち

ルッカ氏とメンチ氏の研究が報告した発表前24時間の上昇は、その後の決定が利上げ方向であっても利下げ方向であっても見られたとされています。つまり、発表の内容を事前に当てる話ではなく、発表が近づくこと自体に反応していた値動きだった、という報告です。

誤解3:「昔の研究で見つかった傾向は、今でも同じように使える」と思われがち

このシリーズでは、ほかの回でも研究で見つかった傾向が、あとの時期に弱まったり消えたりした例を取り上げています。FOMC前の値動きは、最初に大きく報告されたあと、クロフ氏らの研究がわずか数年で「ほとんど消えた」と確かめ直した、特にはっきりした例です。

この記事は、公開されている学術研究・報告書を当サイトが要約したものです。研究の数字は、それぞれの研究が使った期間・市場・条件のもとでの結果であり、将来も同じになるとは限りません。特定の手法・銘柄の売買を勧めるものではありません。

6️⃣ まとめ

次回は、月末・月初など、日付そのものをきっかけにする入り方の研究を見ていきます。

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📚 出典・参考文献

⚠️ 当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録もしていません。本記事はエントリー(買う・売るタイミング)の決め方についての考え方と、公開されている学術研究の紹介を情報提供として整理したものであり、特定銘柄・特定手法の売買推奨や投資助言ではありません。研究の内容は当サイトによる要約です。正確な内容は各原文をご確認ください。記載の数値・方法による利益を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。