🧪 AIシグナル研究日誌 #17
「壁あり×ショート」は勝率が高めで「壁あり×ロング」は中立——blocked=True の方向性を分解した(過去データの集計・将来を保証しません)
当サイトのシグナルには「S/R ランウェイが壁でふさがれている(blocked=True)」という状態フラグがあります。第5回の研究(2026年6月)でこのフラグが全体平均より勝率が高いことを発見しました。それから約10日——データが 41件 → 78件 とほぼ倍になったいま、もう一度掘り下げると「ロングとショートでまるで違う顔」が見えてきました。
① blocked=True シグナル全体(N=78)の勝率は 47.4%(37/78)——全体平均 40.1%(354/883)より高いが、方向別に割ると大きく違う
② blocked=True × ロングは 40.9%(18/44)——損益分岐 43.0% に届かない「中立」
③ blocked=True × ショートは 55.9%(19/34)——95%CI 下限 39.5% で統計的確定打はなし、ただし方向性の違いは明確
④ 探索的サブ解析: MAデッドクロス × ショート × 壁あり は 90.9%(10/11)——N=11 は小さすぎる、参考記録のみ
⑤ 🟡 判定: 通過A方向(CI 不足・N=34 で確定打なし)。前向きトラッカーに blocked=True×Short を新設、N≥30 でCI下限を確認する
⑥ ⚠️ すべて過去データの集計。将来の成績を保証するものではなく、特定の銘柄の売買推奨でもありません
🔍 なぜまた blocked=True を掘るのか
第5回の研究(2026年6月13日)では、「S/R ランウェイが壁でふさがれたシグナル(blocked=True)は全体より勝率が高い」という可能性を発見し、「通過A」と判定しました。当時のデータは N=41 で勝率 53.7% でした。
その後、第6回・第7回でトレンド環境やグループとの交絡を解析しましたが、「ロング vs ショート」の方向別の分解はまだ行われていませんでした。今回、データが N=78 に増えた段階で方向別に切り直したところ、全体の勝率が 53.7% → 47.4% に希薄化した理由が見えてきました。
🧱 「壁あり」の直感的な意味
blocked=True とは、当サイトのシグナルエンジンが「S/R ランウェイ(サポート・レジスタンス通路)の前に壁(別のサポート/レジスタンス)がある」と判定した状態です。わかりやすく言うと:
- ロングでblocked=True: 買いエントリーの上に「天井(レジスタンス)の壁」がある → 価格が上昇しようとする通路を阻むかもしれない
- ショートでblocked=True: 売りエントリーの下に「床(サポート)の壁」がある → 価格が下落しようとする通路を阻むかもしれない
この非対称な直感から、「blocked=True のメリットはロングよりショートに多く乗っているのでは?」という仮説が生まれました。
📋 仮説と事前宣言
主仮説: blocked=True シグナルはロングとショートで異なる勝率を示す。具体的には、ショートの勝率がロングより明確に高い(15pp 以上の差)。
事前宣言した合否基準:
- ✅ 通過A: blocked=True×Short の勝率が blocked=True×Long より 10pp 以上高い
- ✅ 確定A: blocked=True×Short の Wilson CI 下限 ≥ 43%(損益分岐超え)かつ N ≥ 50
- ❌ 棄却: ロングとショートの差が 5pp 未満
📊 検証結果——方向別クロス表
決済済みシグナル 883件(総数 1141件)から blocked フラグを持つものを抽出し、方向別に集計しました。
| 条件 | k / n | 勝率 | 95% CI(Wilson) | 期待値 E(R) | 所見 |
|---|---|---|---|---|---|
| blocked=True 全体 | 37 / 78 | 47.4% | [36.7〜58.4%] | +0.11 R | 全体平均よりは高い |
| blocked=True × ロング | 18 / 44 | 40.9% | [27.7〜55.6%] | −0.05 R | 損益分岐未達・中立 |
| blocked=True × ショート | 19 / 34 | 55.9% | [39.5〜71.1%] | +0.30 R | CI下限39.5%・N不足 |
| blocked=False 全体 | 189 / 479 | 39.5% | [35.2〜43.9%] | −0.08 R | 損益分岐未達 |
| blocked=False × ロング | 145 / 365 | 39.7% | [34.8〜44.8%] | −0.07 R | 壁なしロングと同等 |
| blocked=False × ショート | 44 / 114 | 38.6% | [30.2〜47.8%] | −0.10 R | ショートでも壁なしは低め |
方向の違いが鮮明です。blocked=True の中でロングは 40.9%(壁なしロング 39.7% とほぼ同水準)、ショートは 55.9%(壁なしショート 38.6% より 17.3pp 高い)。つまり「壁ありのメリット」はほぼショート側に集中していることが示唆されます。
ロングとショートの差は 55.9% − 40.9% = 15.0pp(事前宣言の「10pp以上」を満たす)。しかし CI 下限 39.5% が損益分岐 43.0% に届いておらず、N=34 はまだ少ない。FDR 多重検定も通過していない。「方向性の差は観察されたが、確定的なエッジとは言えない」段階です。
📈 可視化: 4パターンの勝率
💡 なぜ方向で割れるのか(考察)
「壁ありのとき、ショートが優位でロングが中立」という非対称には、直感的な説明が考えられます。
ショートで有利な理由(仮説)
ショートエントリー時に「目の前(下側)にサポートの壁がある」ということは、「価格が壁まで下げる余地がある」という確認にもなります。売り方にとって、壁は「目標価格の床」として機能しやすいです。また、壁付近では売り圧力が集まる傾向があり、ショートの追い風になりやすいと考えられます。
ロングで中立な理由(仮説)
ロングエントリー時に「上にレジスタンスの壁がある」場合、価格が壁を突き破る必要があります。壁では売り方が待ち構えており、上昇の勢いを吸収しやすいです。これが「壁ありロングの勝率が壁なしロングとほぼ同水準(40.9% vs 39.7%)」という結果に表れているとも読めます。つまり壁はロングに特別な不利を与えているわけでもなく、プラスにもなっていない——「ニュートラル」です。
🔭 探索的発見——MAデッドクロス×ショート×壁あり
blocked=True×ショート(N=34)の内訳をシグナル種別で見ると、目を引く組み合わせがありました。
| シグナル | 方向 | k / n | 勝率 | 95% CI | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ma_dead(MAデッドクロス) | ショート | 10 / 11 | 90.9% | [62.3〜98.4%] | ⚠️ N=11 小サンプル |
| macd_dead(MACDデッドクロス) | ショート | 7 / 19 | 36.8% | [19.1〜59.0%] | 大半が blocked=True×Short |
MAデッドクロス×ショート×blocked=True は 10/11 = 90.9% という驚異的な数字ですが、N=11 は小さすぎます。95% CI は [62.3〜98.4%] と幅が広く、信頼性はまだありません。
なお、ma_golden(MAゴールデンクロス)×ロング×blocked=True は 9/13=69.2% と興味深い水準ですが、これも N=13 で探索的レベルです。第8回の研究で「ma_golden 全体は 23.3%(棄却確認)」という結果があるなか、blocked=True の条件が加わると逆転するのか——こちらも前向きデータ待ちです。
⚠️ この検証の限界(必読)
- N 不足: 主分析の blocked=True×Short は N=34 と少なく、Wilson CI 下限 39.5% が損益分岐 43% を下回る。「55.9% という数字」より「CI 下限は損益分岐以下」という事実を優先して読む
- FDR 多重検定: 今回の仮説はスイープ(67本同時検定)で q=0.331(FDR未通過)。統計的に「有意」とは言えない
- 交絡の可能性: blocked=True×Short の組成(シグナル種別・グループ・トレンド)が特定の組み合わせに偏っている可能性がある。今後の解析課題
- 過去データのみ: 全てシグナル発火後に決済された in-sample データ。将来の相場環境でエッジが持続するかは不明
- 投資助言ではない: 本研究はシステムの自己点検を目的としており、読者への売買推奨ではない
📡 前向きトラッカー定点観測
今回の発見を受けて、blocked=True × Short を新規前向きトラッカーに追加します(宣言基準: 前向き N ≥ 30 かつ 平均R の CI 下限 > 0)。
過去データで観察された勝率 55.9% が、新規シグナルで再現されるかを客観的に追跡します。
📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 指数×ロング(全足ライブ) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.57 CI[+0.24~+0.90](29/43・勝率67%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.25 CI[-0.66~+0.16](9/28・勝率32%) | 🟡蓄積中 |
| 売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.22 CI[-0.70~+0.26](7/21・勝率33%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×dir=short | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.33 CI[-0.29~+0.96](8/14・勝率57%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.22 CI[-0.98~+0.54](3/9・勝率33%) | 🟡蓄積中 |
| trend=下降×dir=short | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.42 CI[-1.17~+0.33](2/8・勝率25%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.00 CI[-0.92~+0.92](3/7・勝率43%) | 🟡蓄積中 |
| group=other_fx×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.22 CI[-1.19~+0.74](2/6・勝率33%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.40 CI[-0.72~+1.52](3/5・勝率60%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](3/3・勝率100%) | 🟡蓄積中 |
| other_fxクロス(日足・回避) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -1.00 CI[-1.00~-1.00](0/1・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| group=btc×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](1/1・勝率100%) | 🟡蓄積中 |
| group=btc×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](1/1・勝率100%) | 🟡蓄積中 |
| 指数×ロング(日足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| メタル×ロング(日足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| BTC×ロング(日足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| 指数×逆張り買い(日足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| ショート全般(日足・回避) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| 下降トレンド発火(日足・回避) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| tf=4h×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
なお、指数×ロング(全足ライブ)の前向き平均R は +0.57 CI[+0.24〜+0.90](29/43)と、CI 両端がプラスに揃ってきており、in-sample の発見(#13で確認)が out-of-sample でも健在であることを示唆しています。
🔮 次回の研究候補
- blocked=True×Short × グループ × トレンド の三次元解析(blocked=True×Short の中でどのグループが主体か)
- bb_lower_touch × jpy_fx ロング(#14の続き、N=45→次のマイルストーン N=60 に向けて蓄積中)
- 指数ロング前向きトラッカーの昇格判定(現在 29/43・前向きN≥80 が次の条件)
⚠️ 本記事は情報提供・学習目的で作成されており、投資助言・売買推奨ではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録を受けていません。掲載の数値はシグナルログの過去集計であり、将来の投資成果を保証するものではありません。すべての投資判断は読者ご自身の責任と判断で行ってください。過去の成績は将来の成果を示唆・保証するものではありません。