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🧪 AIシグナル研究日誌 #17
「壁あり×ショート」は勝率が高めで「壁あり×ロング」は中立——blocked=True の方向性を分解した(過去データの集計・将来を保証しません)

カテゴリ:🧪 AIシグナル研究日誌  |  公開:2026年6月22日  |  読了:約9分

当サイトのシグナルには「S/R ランウェイが壁でふさがれている(blocked=True)」という状態フラグがあります。第5回の研究(2026年6月)でこのフラグが全体平均より勝率が高いことを発見しました。それから約10日——データが 41件 → 78件 とほぼ倍になったいま、もう一度掘り下げると「ロングとショートでまるで違う顔」が見えてきました。

⏱️ 30秒でわかる今回のまとめ

① blocked=True シグナル全体(N=78)の勝率は 47.4%(37/78)——全体平均 40.1%(354/883)より高いが、方向別に割ると大きく違う
② blocked=True × ロング40.9%(18/44)——損益分岐 43.0% に届かない「中立」
③ blocked=True × ショート55.9%(19/34)——95%CI 下限 39.5% で統計的確定打はなし、ただし方向性の違いは明確
④ 探索的サブ解析: MAデッドクロス × ショート × 壁あり は 90.9%(10/11)——N=11 は小さすぎる、参考記録のみ
⑤ 🟡 判定: 通過A方向(CI 不足・N=34 で確定打なし)。前向きトラッカーに blocked=True×Short を新設、N≥30 でCI下限を確認する
⑥ ⚠️ すべて過去データの集計。将来の成績を保証するものではなく、特定の銘柄の売買推奨でもありません

🔍 なぜまた blocked=True を掘るのか

第5回の研究(2026年6月13日)では、「S/R ランウェイが壁でふさがれたシグナル(blocked=True)は全体より勝率が高い」という可能性を発見し、「通過A」と判定しました。当時のデータは N=41 で勝率 53.7% でした。

その後、第6回・第7回でトレンド環境やグループとの交絡を解析しましたが、「ロング vs ショート」の方向別の分解はまだ行われていませんでした。今回、データが N=78 に増えた段階で方向別に切り直したところ、全体の勝率が 53.7% → 47.4% に希薄化した理由が見えてきました。

N が倍になると「見かけのエッジ」が薄まることは珍しくありません。今回の希薄化が「向こう側に何かある」サインかもしれないので、方向別に掘り下げます。

🧱 「壁あり」の直感的な意味

blocked=True とは、当サイトのシグナルエンジンが「S/R ランウェイ(サポート・レジスタンス通路)の前に壁(別のサポート/レジスタンス)がある」と判定した状態です。わかりやすく言うと:

blocked=True の直感的なイメージ(概念図・実価格ではない) ロング×blocked=True 🧱 レジスタンス壁(天井) ↑ ロングエントリー 壁が行く手を阻む ショート×blocked=True 🧱 サポート壁(床) ↓ ショートエントリー 壁まで下げる余地あり
図1:概念図(実際の価格チャートではありません)。ロングは「壁を突き抜ける必要がある」、ショートは「壁に向かって下げていける」という方向の違い。

この非対称な直感から、「blocked=True のメリットはロングよりショートに多く乗っているのでは?」という仮説が生まれました。

📋 仮説と事前宣言

主仮説: blocked=True シグナルはロングとショートで異なる勝率を示す。具体的には、ショートの勝率がロングより明確に高い(15pp 以上の差)。

事前宣言した合否基準:

📊 検証結果——方向別クロス表

決済済みシグナル 883件(総数 1141件)から blocked フラグを持つものを抽出し、方向別に集計しました。

条件 k / n 勝率 95% CI(Wilson) 期待値 E(R) 所見
blocked=True 全体 37 / 78 47.4% [36.7〜58.4%] +0.11 R 全体平均よりは高い
blocked=True × ロング 18 / 44 40.9% [27.7〜55.6%] −0.05 R 損益分岐未達・中立
blocked=True × ショート 19 / 34 55.9% [39.5〜71.1%] +0.30 R CI下限39.5%・N不足
blocked=False 全体 189 / 479 39.5% [35.2〜43.9%] −0.08 R 損益分岐未達
blocked=False × ロング 145 / 365 39.7% [34.8〜44.8%] −0.07 R 壁なしロングと同等
blocked=False × ショート 44 / 114 38.6% [30.2〜47.8%] −0.10 R ショートでも壁なしは低め

方向の違いが鮮明です。blocked=True の中でロングは 40.9%(壁なしロング 39.7% とほぼ同水準)ショートは 55.9%(壁なしショート 38.6% より 17.3pp 高い)。つまり「壁ありのメリット」はほぼショート側に集中していることが示唆されます。

主仮説の仮判定: 🟡 通過A方向(確定打なし・継続観察)
ロングとショートの差は 55.9% − 40.9% = 15.0pp(事前宣言の「10pp以上」を満たす)。しかし CI 下限 39.5% が損益分岐 43.0% に届いておらず、N=34 はまだ少ない。FDR 多重検定も通過していない。「方向性の差は観察されたが、確定的なエッジとは言えない」段階です。

📈 可視化: 4パターンの勝率

blocked × 方向別 勝率比較(決済済 883件) 70% 60% 50% 43% ←損益分岐 30% 40.9% 18/44 55.9% 19/34 39.7% 145/365 38.6% 44/114 壁あり×L 壁あり×S 壁なし×L 壁なし×S ── blocked=True(壁あり)── ── blocked=False(壁なし)── 緑=プラス方向 / 灰=中立 / 赤=やや苦手 L=ロング S=ショート ※概念図・過去データ集計
図2:blocked=True(壁あり)と blocked=False(壁なし)をロング/ショート別に比較。「壁あり×ショート」だけが損益分岐43%を超えており、他の3パターンは損益分岐未達または僅差。ただし壁あり×ショートのN=34はまだ少なく、CI 下限39.5%(赤い破線の損益分岐43%に届かず)です。

💡 なぜ方向で割れるのか(考察)

「壁ありのとき、ショートが優位でロングが中立」という非対称には、直感的な説明が考えられます。

ショートで有利な理由(仮説)

ショートエントリー時に「目の前(下側)にサポートの壁がある」ということは、「価格が壁まで下げる余地がある」という確認にもなります。売り方にとって、壁は「目標価格の床」として機能しやすいです。また、壁付近では売り圧力が集まる傾向があり、ショートの追い風になりやすいと考えられます。

ロングで中立な理由(仮説)

ロングエントリー時に「上にレジスタンスの壁がある」場合、価格が壁を突き破る必要があります。壁では売り方が待ち構えており、上昇の勢いを吸収しやすいです。これが「壁ありロングの勝率が壁なしロングとほぼ同水準(40.9% vs 39.7%)」という結果に表れているとも読めます。つまり壁はロングに特別な不利を与えているわけでもなく、プラスにもなっていない——「ニュートラル」です。

これらはデータから導いた事後的な考察(ポスト・ホック仮説)であり、因果関係の証明ではありません。前向きデータで検証されるまでは作業仮説として扱います。

🔭 探索的発見——MAデッドクロス×ショート×壁あり

blocked=True×ショート(N=34)の内訳をシグナル種別で見ると、目を引く組み合わせがありました。

シグナル 方向 k / n 勝率 95% CI 備考
ma_dead(MAデッドクロス) ショート 10 / 11 90.9% [62.3〜98.4%] ⚠️ N=11 小サンプル
macd_dead(MACDデッドクロス) ショート 7 / 19 36.8% [19.1〜59.0%] 大半が blocked=True×Short

MAデッドクロス×ショート×blocked=True は 10/11 = 90.9% という驚異的な数字ですが、N=11 は小さすぎます。95% CI は [62.3〜98.4%] と幅が広く、信頼性はまだありません。

「MAデッドクロスが出て(下押し圧力)、かつレジスタンスが上に壁として立ちはだかっている状態でショート」という2つの確認が重なる組み合わせとして、直感的な納得感はあります。ただし N=11 での 90.9% は「過去たまたま11回勝った」の可能性が十分あり、今後のデータ次第で大きく揺れます。これは探索的な記録にとどめ、N≥30 になるまで格上げしません。

なお、ma_golden(MAゴールデンクロス)×ロング×blocked=True は 9/13=69.2% と興味深い水準ですが、これも N=13 で探索的レベルです。第8回の研究で「ma_golden 全体は 23.3%(棄却確認)」という結果があるなか、blocked=True の条件が加わると逆転するのか——こちらも前向きデータ待ちです。

⚠️ この検証の限界(必読)

📡 前向きトラッカー定点観測

今回の発見を受けて、blocked=True × Short を新規前向きトラッカーに追加します(宣言基準: 前向き N ≥ 30 かつ 平均R の CI 下限 > 0)。

過去データで観察された勝率 55.9% が、新規シグナルで再現されるかを客観的に追跡します。

📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)

基準日 2026-06-22/昇格=前向きN≥80・平均R(期待値)の95%CIが0を跨がない

仮説種別宣言基準前向き現在値(平均R)状態
指数×ロング(全足ライブ)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.57 CI[+0.24~+0.90](29/43・勝率67%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.25 CI[-0.66~+0.16](9/28・勝率32%)🟡蓄積中
売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R -0.22 CI[-0.70~+0.26](7/21・勝率33%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×dir=shortedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.33 CI[-0.29~+0.96](8/14・勝率57%)🟡蓄積中
group=metalgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.22 CI[-0.98~+0.54](3/9・勝率33%)🟡蓄積中
trend=下降×dir=shortgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.42 CI[-1.17~+0.33](2/8・勝率25%)🟡蓄積中
group=metal×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.00 CI[-0.92~+0.92](3/7・勝率43%)🟡蓄積中
group=other_fx×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.22 CI[-1.19~+0.74](2/6・勝率33%)🟡蓄積中
group=metal×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.40 CI[-0.72~+1.52](3/5・勝率60%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](3/3・勝率100%)🟡蓄積中
other_fxクロス(日足・回避)gate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -1.00 CI[-1.00~-1.00](0/1・勝率0%)🟡蓄積中
group=btc×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](1/1・勝率100%)🟡蓄積中
group=btc×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](1/1・勝率100%)🟡蓄積中
指数×ロング(日足)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%)🟡蓄積中
メタル×ロング(日足)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%)🟡蓄積中
BTC×ロング(日足)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%)🟡蓄積中
指数×逆張り買い(日足)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%)🟡蓄積中
ショート全般(日足・回避)gate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%)🟡蓄積中
下降トレンド発火(日足・回避)gate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%)🟡蓄積中
tf=4h×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%)🟡蓄積中

なお、指数×ロング(全足ライブ)の前向き平均R は +0.57 CI[+0.24〜+0.90](29/43)と、CI 両端がプラスに揃ってきており、in-sample の発見(#13で確認)が out-of-sample でも健在であることを示唆しています。

🔮 次回の研究候補

⚠️ 本記事は情報提供・学習目的で作成されており、投資助言・売買推奨ではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録を受けていません。掲載の数値はシグナルログの過去集計であり、将来の投資成果を保証するものではありません。すべての投資判断は読者ご自身の責任と判断で行ってください。過去の成績は将来の成果を示唆・保証するものではありません。