🧪 AIシグナル研究日誌 #13
20年で最強だった「金属の押し目買い」が、いまは最悪?——レジーム反転の罠を金と銀の例題で
今回は、ちょっと背筋が寒くなる発見の話です。当サイトのシグナルを過去データで点検していて、「20年間でいちばん勝てたはずの手法が、直近ではいちばん負けている」という、まるで正反対の結果に出くわしました。しかも、それは多くの個人投資家が大好きな「金(ゴールド)・銀(シルバー)の押し目買い」です。なぜ同じ手法が真逆になるのか。むずかしい統計は使わず、3つの例題で噛み砕きます。
① 同じ「金属(金銀)の押し目買い」が、20年の長期データでは勝てる側だったのに、直近のライブ記録では勝率 19.3%(17/88)と、損益分岐の 43% を大きく下回って沈んだ=これが「レジーム(地合い)反転」
② 犯人は下降相場の“落ちるナイフ”だけではない:金属ロングは下降トレンドで 16.2%(12/74)と特に弱いが、20年データでは同じ下降でもプラスだった=平均回帰(下げたら戻る)という性質そのものが最近“効かなくなった”
③ 同じ「金属」でも金と銀は別人:直近、金(GC=F)ロングが 23.2%(13/56)に対し、銀(SI=F)ロングは 12.5%(4/32)と一段と弱い
④ 一方で、指数(株価指数)ロングは 54.1%(86/159)と、地合いが変わっても過去データ上は崩れにくかった頑健なプラス=相対的に頼りやすかったのはこちら
⑤ 結論=レジームで正反対になるエッジは鵜呑みにしない。頑健な指数ロングに寄せ、壊れた金属ロングは「一律禁止」にせず“正常化したか”を毎日監視する(20年の最良エッジを殺さないため)
⑥ ⚠️ すべて過去データの集計であり、将来を保証しません。特定銘柄の売買を推奨するものでもありません
🔄 同じ手法、正反対の結果——何が起きた?
当サイトのシグナルは「金や銀が下げたところを買う(押し目買い・逆張り)」を含みます。これを2つの“ものさし”で点検しました。20年ぶんの長期データと、ここ最近のライブ記録です。結果はこうでした。
| 金属(金銀)の押し目買い | 勝率 | 1回あたりの平均損益(R) | 評価 |
|---|---|---|---|
| 20年の長期データ(1,557回) | 52.9% | +0.30R(勝てる側) | ✅ 最良級のエッジ |
| 直近のライブ記録(88回) | 19.3%(17/88) | −0.55R(大負け) | 💀 最悪 |
「R」は1回の負けを −1 とした“ものさし”です(勝てば +1.33、伸びれば +2)。+0.30R なら過去の集計上は回すほど積み上がりやすく、−0.55R なら逆に目減りしやすい傾向(あくまで過去データ上の話で、将来を約束するものではありません)。同じルールなのに、長期と直近でプラスとマイナスが真逆になっています。これが「レジーム(相場の地合い)が変わると、効くはずのエッジも変わる」という現象です。
📘 例題1:同じ釣り場、20年と今月
答えを出す前に確認すべきは、たった1つ。「仕掛け(条件)は同じか?」です。竿も餌も潮の読み方も20年と同じなのに釣れない——なら、釣り場そのものの状態(=レジーム)が変わった可能性を疑います。逆に、今月だけ嵐続きだったなら、ただの不漁かもしれません。
これは金属ロングと同じ構図です。押し目買いのルール(仕掛け)は20年も今も同じ。なのに釣果(勝率)が 52.9% → 19.3% へ激変した。つまり「金相場の状態が変わった疑い」が濃いわけです。
🧭 犯人はトレンドだけじゃない(だから厄介)
「直近の金属が弱いのは、ただ“下げ相場で逆張りした=落ちるナイフを掴んだ”からでは?」——もっともな疑いです。たしかに直近の金属ロングは、下降トレンドでの勝率が 16.2%(12/74)とさらに低い。下げ相場での押し目買いは鬼門、というのは過去の研究(#2)とも一致します。
ところが、ここが今回いちばん厄介な点です。20年データでは、同じ「下降トレンドでの金属の押し目買い」でもプラスでした(下げても結局は戻ってくる=平均回帰が効いていた)。つまり、今回の不調はトレンドのせいだけでは説明できません。「下げたら戻る」という金属そのもののクセが、最近だけ効かなくなっている——これが本当の犯人です。
📗 例題2:金と銀、同じ「金属」だけど別人
| 金(GC=F)の押し目買い | 銀(SI=F)の押し目買い | |
|---|---|---|
| 直近の勝率 | 23.2%(13/56) | 12.5%(4/32) |
| 損益分岐43%との距離 | 下回るが、銀ほどではない | 大きく下回る(一段と弱い) |
| 最新30件の傾向(参考) | 持ち直しつつある | まだ弱い |
📊 頑健なエッジはどれ?——指数ロングは崩れない
「じゃあ何を信じればいいの?」という疑問に、今回の点検はひとつ答えをくれました。株価指数(日経・S&P500・ナスダックなど)のロングは、地合いが変わっても崩れなかったのです。直近ライブの勝率は 54.1%(86/159)。20年データでもプラスで、しかも下げ相場での指数ロングですら 72.2%(13/18)と、金属とは対照的に踏ん張っていました。
これは過去の研究(#1以降)で繰り返し出てきたテーマと一致します。派手に当たる型は移ろいやすく、地味でも崩れない型こそ頼れる。今回でいえば、その「崩れない型」は指数ロングでした。
📕 例題3:直近だけ見て「禁止」にしたら?
答えはノーです。なぜなら、その金属ロングは20年でいちばん稼いだエッジ(+0.30R)でもあるから。直近の不調“だけ”を見て永久禁止にすると、相場が正常化したときに最良の武器を二度と使えなくなります。これは「今月不漁だった名所を、埋め立ててしまう」ようなもったいなさです。
かといって、壊れている今を無視してフルサイズで買い続けるのも危険。正しいのは「禁止」でも「全力」でもなく、その間の「監視」です。
🛠️ 今回の打ち手(監視という選択)
この発見をうけて、今週やったことは2つです。どちらも「シグナルの鳴り方」や「メール配信」は一切変えていません(表示・記録のうえでの調整と、観測のしくみだけ)。
- 頑健な指数ロングを少しだけ“格上げ”:両方のものさし(20年・直近)と前向きの記録で崩れなかった指数ロングに、信頼度スコアでわずかな加点をしました(あくまで表示・記録のうえでの扱いで、発火やメール配信は不変)。
- 金属の“信号機”を新設:金属ロングが正常化したかを、直近の成績から毎朝自動で 🔴機能不全 / 🟡移行期 / 🟢正常化 と判定する監視を作りました。判定の基準は先に宣言してあり(後から都合よく動かさない)、🟢に戻ったと確認できるまでは“様子見”の材料にします。金属を一律禁止にはしません(例題3のとおり、最良エッジを殺さないため)。
数字は当サイトのシグナルを過去データで集計した研究の記録です。配信ロジックやロット指示に自動で反映するものではなく、「考え方を例題で可視化した教材」として読んでください。最新のシグナル成績はシグナル成績ダッシュボードで毎日公開しています。
📡 今回の発見(前向きに観察を続けるもの)
| テーマ | 直近ライブ | これからの見方 |
|---|---|---|
| 金属ロング | 19.3%(17/88)🔴 | “正常化したか”を毎朝監視。🟢まではサイズ控えめ |
| うち 金 GC=F | 23.2%(13/56) | 持ち直しの兆し。継続観察 |
| うち 銀 SI=F | 12.5%(4/32) | 一段と弱い。回復を待つ |
| 指数ロング | 54.1%(86/159)✅ | 頑健。引き続き信頼度を寄せる |
⚠️ この検証の限界(必読)
- 過去のデータ集計である:将来も同じ数字が続く保証はありません。19.3%・54.1% などは、ある期間のライブ記録のスナップショットです。
- 直近サンプルは少なめ:金属ロング88回、銀にいたっては32回。少ない数字は大きくブレます(だから単発の数字でなく“向き”と監視を重視します)。
- 「正常化したか」の判定はラグがある:直近の実績を見る以上、見極めは後追いになります。予測ではありません。
- 勝率は損益分岐43%が基準(当サイトの利益確定2.0ATR・損切り1.5ATRの設定)。この設定が変われば基準も変わります。
- 特定銘柄の売買・特定のロットを推奨するものではありません。金・銀・指数はあくまで分析対象の“型”の例です。
⚠️ 免責事項:本記事は情報提供・教育を目的としており、特定の金融商品(金・銀・株価指数を含む)の売買や、特定の資金管理手法(ロットの大きさ等)を推奨するものではありません。当サイト(MarketWatch AI)は金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録を行っていません。本記事の情報は投資助言に当たらず、投資判断および売買はご自身の判断と責任のもとで行ってください。記事中の勝率・期待値(R)はすべて当サイトの特定システムにおける過去データの集計結果であり、将来の相場結果や運用成績を示唆または保証するものではありません。