🧪 AIシグナル研究日誌 #27
逆張り買い(reversal_long=True)グループ別成績マップ ── 指数57%・メタル25%・BTC25%の三峰構造と上昇トレンド交絡を解析(過去データの集計・将来を保証しません)
前向きトラッカーの「reversalL(逆張り買い)」ゲートが、2026年7月2日時点で 前向き N=53 の勝率が in-sample を大きく上回る 動きを見せています。in-sample(過去全体)では 40.9% と損益分岐 43% をわずかに下回るのに対し、前向きでは 58% と跳ね上がっているのです(ただしトラッカー値・N=53・CI幅大のため参考)。なぜこの差が生じるのか。その答えを探るべく、今回は逆張り買い全 499 件をグループ別・トレンド別に分解し、どの組み合わせがエッジを持ち、どれが足を引っ張っているかを明らかにします。
① 全逆張り買い N=499: 40.9% 95%CI[36.7~45.2%] ── 損益分岐43%を下回るが CI は 43% を含む(確定打なし)
② 指数グループ N=103: 57.3% 95%CI[47.6~66.4%] ── H1通過(CI下限47.6%≥43%)
③ メタル N=93: 24.7% 95%CI[17.1~34.4%] ── H2通過(CI上限34.4%<43%)
④ BTC N=48: 25.0% 95%CI[14.9~38.8%] ── H3通過(CI上限38.8%<43%)
⑤ 上昇トレンド×逆張り買い N=118: 55.1% 95%CI[46.1~63.8%] ── CI下限46.1%≥43%
⑥ ⚠️ すべて過去データの集計。将来の成績を保証するものではなく、売買推奨でもありません
🔍 なぜ今回この仮説を選んだか
毎朝 signal_lab_tracker.py update を実行して前向きデータを更新しています。今日(2026年7月2日)の更新で目を引いたのが「reversalL(逆張り買い)」ゲートの値です。
このゲートは、逆張り買い全般(RSI売られすぎ反発 + BB下限タッチ × ロング)を対象に 2026年6月25日から追跡を始めました。in-sample(過去データ全体)の平均 R は -0.05 とわずかなマイナスです。ところが、前向き(登録日以降の新規決済)は 31/53 = 58%・平均 R +0.36・95%CI[+0.05〜+0.68] と CI 下限がちょうどプラスに転じています。
前向きで 58%、in-sample で 40.9%——この 17pp の差はどこから来るのでしょうか。考えられる原因は次の 2 つです。①グループ構成の偏り(前向き期間に指数シグナルが多く出た)②サンプル分散(N=53 の小サンプルのブレ)。
これを検証するには、in-sample データをグループ別に分解して「どの組み合わせが強く、どれが弱いか」を確認するのが近道です。前向きの観察はまだ N が小さいため、今回は過去全体の構造を明らかにする仮説を設定します。
📋 仮説と事前宣言
今回の検証仮説は「逆張り買いの勝率はグループによって大きく異なり、指数は損益分岐を上回り、メタルと BTC は下回る」です。
事前宣言した合否基準:
- H1(指数エッジ確認): reversal_long=True × group=index で、in-sample N≥20 かつ Wilson CI 下限 ≥ 43%
- H2(メタル回避確認): reversal_long=True × group=metal で、in-sample N≥20 かつ Wilson CI 上限 ≤ 43%
- H3(BTC 回避確認): reversal_long=True × group=btc で、in-sample N≥20 かつ Wilson CI 上限 ≤ 43%
探索的記録(通過/棄却の二値判定は行わない):
- トレンド別(上昇/下降/中立・もみあい)× reversal_long の勝率差
- グループ × 上昇トレンドの交差効果(指数と other_fx の比較)
- 前向きトラッカーとの対照
📊 検証①:全体 40.9%(確定打なし)
決済済みシグナル 1,273 件のうち、reversal_long=True(RSI 売られすぎ反発または BB 下限タッチ × ロング方向)に該当するものは 499 件 です。
| 条件 | k / n | 勝率 | 95% CI(Wilson) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 全逆張り買い | 204 / 499 | 40.9% | [36.7%〜45.2%] | CI が 43% を挟む(確定打なし) |
| 逆張り買い以外の全シグナル(対照群) | 316 / 774 | 40.8% | — | 対照群と同水準 |
全逆張り買いは 40.9%(204/499) と損益分岐 43% をわずかに下回りますが、Wilson CI が [36.7%〜45.2%] と損益分岐をまたいでいます。つまり「逆張り買い全般が有意に悪い」とも「有意に良い」とも言えない状態です。問題は、この平均がグループ間の大きな差を隠しているところにあります。
📊 検証②:グループ別の三峰構造
同じ「逆張り買い」でも、対象資産のグループによって勝率が大きく異なります。以下がグループ別の集計です。
| グループ | k / n | 勝率 | 95% CI(Wilson) | H 判定 | 傾向 |
|---|---|---|---|---|---|
| 指数(NKD/ES/NQ/YM/FTSE) | 59 / 103 | 57.3% | [47.6%〜66.4%] | ✅ H1 通過 | 🟢 CI 下限 47.6%≥43% |
| 円クロスFX(USD/EUR/GBP/AUDJPY) | 40 / 89 | 44.9% | [35.0%〜55.3%] | — | 🟡 CI が 43% を挟む |
| ドル建てFX(EUR/GBP/AUD/EURAUD/GBPAUD) | 56 / 139 | 40.3% | [32.5%〜48.6%] | — | 🟡 CI が 43% を挟む |
| 原油(CL=F) | 14 / 27 | 51.9% | [34.0%〜69.3%] | — | ⚠️ N=27 小サンプル・CI 幅大 |
| メタル(GC=F / SI=F) | 23 / 93 | 24.7% | [17.1%〜34.4%] | ✅ H2 通過 | 🔴 CI 上限 34.4%<43% |
| BTC(BTC-USD) | 12 / 48 | 25.0% | [14.9%〜38.8%] | ✅ H3 通過 | 🔴 CI 上限 38.8%<43% |
H3 通過(BTC 回避確認): BTC の逆張り買い 25.0%(12/48)。Wilson CI 上限 38.8% が損益分岐 43% を 4.2pp 下回る。N=48 で確認。
際立つのは「三峰構造」です。指数が約 57%、円クロスFXとドル建てFXが 40〜45%、そしてメタルと BTC が 25% という 3 層に分かれています。全逆張り買い 40.9% という平均値は、この三層構造の加重平均に過ぎず、個別グループの実態を隠していました。
メタル(93 件)とドル建てFX(139 件)が最多サンプルを持ちながら低勝率であることが、全体を引き下げている主因です。逆に、指数の逆張り買いがエッジを持つことは #18 でも確認済みで、今回も同様の傾向が確認されました。
📈 可視化:グループ別逆張り買い勝率 概念図
図1:グループ別の逆張り買い勝率(過去データ集計)。赤破線が損益分岐 43.0%。指数(緑)が 57.3% と最高。メタル・BTC(赤)が 25% 前後と最低。円クロス・ドルFX(青・黄)は損益分岐近辺。将来を保証するものではありません。
📊 検証③:上昇トレンド × グループの交差
「上昇トレンドで逆張り買いをすれば良い」とは一概には言えません。グループによって結果が正反対になることがあります。
| グループ × トレンド | k / n | 勝率 | 95% CI(Wilson) | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 指数 × 上昇 | 37 / 57 | 64.9% | [51.9%〜76.0%] | 🟢 CI 下限 51.9%≥43%・強い |
| 指数 × 中立・もみあい | 17 / 39 | 43.6% | [29.3%〜59.0%] | ⚠️ CI 幅大・43% と区別できず |
| 円クロス × 上昇 | 19 / 30 | 63.3% | [45.5%〜78.1%] | 🟢 CI 下限 45.5%≥43%・強い(N=30 で注意) |
| ドル建てFX × 上昇 | 6 / 23 | 26.1% | [12.5%〜46.5%] | ⚠️ N=23 小・26.1% と大幅低迷(探索的) |
最も注目すべき対比は、上昇トレンド時の「指数 64.9% vs ドル建てFX 26.1%」です。同じ「上昇トレンド中の逆張り買い」でも、資産クラスによって結果が真逆になっています。
指数(NKD=F / ES=F など)では、上昇トレンド中に一時的な押し目で出る逆張り買いシグナルが 64.9%(37/57) と高い勝率を示しています。これは「上昇トレンド中の押し目買い」という相場格言にも整合する結果です。
一方、ドル建てFX クロス(EURUSD / GBPUSD など)では、上昇トレンド中の逆張り買いが 26.1%(6/23) と非常に低くなっています。ただし N=23 は小サンプルで CI が [12.5%〜46.5%] と非常に広いため、探索的な記録として扱います。
円クロスFX(USDJPY / EURJPY など)は、上昇トレンド中の逆張り買いで 63.3%(19/30) と指数に近い高い勝率です。ただし N=30 で CI[45.5%〜78.1%] とまだ幅が広く、蓄積が必要です。
📈 可視化:上昇トレンド中のグループ格差 概念図
図2:上昇トレンド中の逆張り買いシグナル勝率をグループ別に比較。同じ「上昇トレンド中の逆張り買い」でも、指数(N=57)と円クロス(N=30)は 63〜65%(緑)、ドル建てFX(N=23)は 26%(赤)と真逆。赤破線が損益分岐 43%。将来を保証するものではありません。
📊 検証④:トレンド別の全体集計
逆張り買い全499件をトレンド別に集計すると、上昇トレンドが最も成績が良く、下降トレンドが最も悪い傾向が見えます。
| トレンド | k / n | 勝率 | 95% CI(Wilson) | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 上昇 | 65 / 118 | 55.1% | [46.1%〜63.8%] | 🟢 CI 下限 46.1%≥43% |
| 中立・もみあい | 66 / 174 | 37.9% | [31.1%〜45.3%] | 🟡 CI が 43% を挟む |
| 下降 | 72 / 203 | 35.5% | [29.2%〜42.3%] | 🔴 CI 上限 42.3%<43% ← 損益分岐割れ確認 |
上昇トレンド中の逆張り買いは 55.1%(65/118) と CI 下限が 46.1% を超えています。一方、下降トレンドは 35.5%(72/203) と CI 上限 42.3% が 43% を下回り、損益分岐割れが統計的に確認できます。
ただしこれは「全グループを混ぜた集計」であり、③で見たように、トレンドだけで判断するのは危険です。上昇トレンドでも「どのグループか」によって 64.9% と 26.1% に分かれます。
この検証は第22回(#022)のトレンド別分析を更新したものでもあります。#022 時点では上昇×revL が 54.1%(60/111)でしたが、今回の集計(N=118)で 55.1% と安定した傾向が続いています。
前向きトラッカーの「trend=中立・もみあい×reversalL」は、今日時点で forward 18/28=64%・E(R)+0.50 と in-sample の 37.9% とは大きく乖離しています。N=28 の小サンプルで CI が非常に広いため、現時点ではサンプル分散の範囲内と見ています。
⚠️ この検証の限界(必読)
- 過去データの集計: すべての数値は 2026 年 5 月〜7 月の決済済みシグナル 499 件(reversal_long=True)の集計。将来の成績を保証するものではありません。
- ドル建てFX × 上昇 × revL = 26.1%: N=23 の探索的発見。CI[12.5%〜46.5%] と幅が非常に広く、統計的な損益分岐割れの確定打はありません。継続観察が必要です。
- 原油(CL=F)は N=27 で小サンプル: 51.9%(14/27)は CI[34.0%〜69.3%] と幅が大きく確定的判断を避けます。
- 多重比較: グループ別・トレンド別に多数のサブグループを集計しているため、多重比較問題が生じます。事前宣言の H1〜H3 のみが確認的検証であり、交差分析は探索的記録です。
- 信号強度の偏り: reversal_long=True には rsi_oversold_bounce(203 件)と bb_lower_touch(296 件)の 2 種が混在しており、グループごとの信号構成比が異なる可能性があります。
- 前向きトラッカーの乖離: 全逆張り買いの in-sample 40.9% に対し、前向き 58%(N=53)の乖離はグループ構成の時期的偏り、またはサンプル分散の可能性が高い。N=53 では信頼幅が大きく、現時点では追跡継続が適切です。
- 投資助言ではない: 本記事は統計的な研究成果の記録であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
📡 前向きトラッカー定点観測(2026-07-02 時点)
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 指数×ロング(全足ライブ) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.36 CI[+0.14~+0.57](64/110・勝率58%) | ✅昇格 |
| group=all | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.10 CI[-0.07~+0.27](88/187・勝率47%) | 🟡蓄積中 |
| blocked=False | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.09 CI[-0.09~+0.28](73/156・勝率47%) | 🟡蓄積中 |
| dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.14 CI[-0.05~+0.33](71/145・勝率49%) | 🟡蓄積中 |
| blocked=False×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.10 CI[-0.11~+0.31](57/121・勝率47%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.17 CI[-0.06~+0.39](52/104・勝率50%) | 🟡蓄積中 |
| tier=neutral | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.12 CI[-0.34~+0.09](39/104・勝率38%) | 🟡蓄積中 |
| tf=4h×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.09 CI[-0.14~+0.33](45/96・勝率47%) | 🟡蓄積中 |
| group=other_fx×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.14 CI[-0.10~+0.39](43/88・勝率49%) | 🟡蓄積中 |
| trend=下降 | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.01 CI[-0.26~+0.23](36/85・勝率42%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.17 CI[-0.41~+0.08](29/81・勝率36%) | 🟡蓄積中 |
| reversalL(逆張り買い) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.36 CI[+0.05~+0.68](31/53・勝率58%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.24 CI[-0.55~+0.07](16/49・勝率33%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.50 CI[+0.08~+0.92](18/28・勝率64%) | 🟡蓄積中 |
| group=index×reversalL | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.17 CI[-0.42~+0.76](8/16・勝率50%) | 🟡蓄積中 |
| trend=上昇×reversalL | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.51 CI[-0.04~+1.06](11/17・勝率65%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.13 CI[-0.51~+0.25](13/35・勝率37%) | 🟡蓄積中 |
| group=index×dir=short | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.17 CI[-2.12~+2.45](1/2・勝率50%) | 🟡蓄積中 |
本日のハイライトは「reversalL(逆張り買い)ゲート」が前向き 31/53=58%・E(R)+0.36 CI[+0.05〜+0.68] と CI 下限がプラスに入ったことです。ただし、このゲートの昇格基準は「前向き N≥80 かつ E(R) CI 下限>0」であり、現時点では N=53 でまだ基準に達していません。また、本日の in-sample 分析で明らかになったように、逆張り買いはグループによって 24.7%〜57.3% と大きな差があります。前向き期間のグループ構成が偏れば、全体の前向き値は大きく変動します。
🔮 次回の研究候補
- ドル建てFX × 上昇 × 逆張り買い の正式検証: 26.1%(6/23)という衝撃的な数値だが N が小さい。N≥50 を目安に「上昇トレンド中にドルFXで逆張り買いすると損益分岐を有意に下回るか」の正式検証候補(現在 N 不足)。
- 逆張り買い × シグナル種別 × グループの三次元分析: rsi_oversold_bounce と bb_lower_touch の性能差は #23 で確認済みだが、グループとの交差は未解析。特に「指数 × bb_lower_touch」の前向き 62.1%(18/29)が注目。
- 原油(CL=F)× 逆張り買い の N 拡大後検証: 51.9%(14/27)と上位に位置するが CI が [34.0〜69.3%] と広い。N≥40 時点で正式仮説の候補。
- 円クロス × 上昇 × 逆張り買い の N 拡大後検証: 63.3%(19/30)と指数に匹敵するが N=30 で CI 下限 45.5% はギリギリ。N≥60 での確認が必要。
⚠️ 本記事は情報提供・教育目的であり、投資助言ではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録もしていません。記載のシグナル・統計はいずれも過去データに基づく研究結果であり、将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。損失が生じた場合でも、当サイトは一切の責任を負いません。