🧪 AIシグナル研究日誌 #103
上昇中の逆張り買い——RSI型62%とBB型42%の分裂が降格警戒ストライク1を生んだ
毎回ひとつの仮説を実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第103回です。前回このシリーズ(#100)では、昇格済みの「上昇トレンド中の逆張り買い」がRSI型とBB型で大きく成績が分かれることを確認しました。
今回はその後続として、前向きトラッカーで降格警戒ストライク1が入ったことを受け、FWD N=318の現時点データでシグナル別・時間足別・グループ別に解剖します。「何がRCI(期待値)の下限をマイナスに押し下げたのか」を数字で追います。
① FWD N=318で勝率47.2%、E(R)=+0.101、RCI下限−0.028(降格警戒ストライク1の根拠)
② 内部分裂:RSI型(48/77=62.3%、E(R)=+0.455)vs BB型(102/241=42.3%、E(R)=−0.012)——20pp差
③ BB型(241件・BB型がFWDの主体)が損益分岐43%前後で伸び悩んでいるため全体のRCIが押し下げられている
④ 日足は69.6%(16/23)と高水準ながらN=23で小サンプル。指数グループは38.8%(31/80)と最弱
① 今回の仮説——降格警戒ストライク1とは何か
「上昇トレンド中の逆張り買い(trend=上昇×reversalL)」は、#22〜#36を経て前向き検証で昇格した仮説です。逆張り買い(reversalL)とは、RSI過売り反発(rsi_oversold_bounce)またはBB下限タッチ(bb_lower_touch)によるロングシグナルを指します。
この研究で使う「降格警戒ストライク」とは、昇格後も前向きデータを継続チェックし、期待値のCIが基準を連続2回割り込んだときに降格させるという仕組みです。今回は1回目のストライクが入りました。2回連続で割り込んだ時点で「蓄積中」に戻ります。
今回の事前宣言(検証前に立てた合否基準):
- H1:FWD RCI(期待値95%CI)の下限 ≤ 0(降格ストライク1の定量的根拠を確認)
- H2:RSI型 vs BB型の勝率差 ≥ 15pp(内部分裂が主因か確認)
- H3:日足(1d)のE(R)が1H・4Hを上回る(時間足の格差を確認)
② 検証方法(IS/FWD分離・事前宣言)
この研究では、過去データ(in-sample = IS)と前向きデータ(FWD)を登録日で分離して評価します。登録日は2026年6月22日で、それ以前の発火をIS、以降をFWDとします。
評価指標:
- 勝率:TP1またはTP2に到達した割合(SL到達は「負け」)
- E(R)=期待値:TP1到達を+1.33R、SL到達を−1.0Rとして平均したリスク倍率(損益分岐は0R付近)
- RCI:E(R)の95%信頼区間(Wilson法のCI下限>0が昇格基準)
勝率の損益分岐は43%(SL=1.5ATR/TP1=2ATR 時のR:R比から算出)。これを基準に評価します。
上昇トレンド中(MAが右肩上がり)に、一時的な下押しでRSI過売りまたはBB下限に到達した瞬間が逆張り買いシグナルの発火条件。「押し目買い」の典型的な発火タイミング。
③ 結果①:FWD全体 47.2%——RCI下限がマイナス転落
| 期間 | k / n | 勝率 | 95%CI(勝率) | E(R) | RCI(E(R)の95%CI) |
|---|---|---|---|---|---|
| IS(2026-06-22より前) | 54 / 101 | 53.5% | [43.8%, 62.9%] | +0.248 | [+0.019, +0.476] |
| FWD全体(2026-06-22以降) | 150 / 318 | 47.2% | [41.7%, 52.7%] | +0.101 | [−0.028, +0.229] |
IS(登録前の過去データ)での勝率53.5%・E(R)=+0.248と比べ、FWD全体は47.2%・E(R)=+0.101に低下しています。RCIの下限が−0.028とマイナスになったことが、今回の降格警戒ストライク1の直接的な原因です。
ただし、上昇×ロング全体のFWDは41.9%・E(R)=−0.023であることを踏まえると、reversalLフィルター(逆張りシグナル限定)が全体に対して+5.3ppの選別効果を発揮していることも見えます。
RSI型とBB型の期待値の乖離が明確。BB型(N=241、全体の76%)がほぼゼロ付近のため、全体の期待値が引き下げられている。
④ 結果②:RSI型62% vs BB型42%の20pp分裂が主因
| シグナル種別 | k / n | 勝率 | 95%CI | E(R) | RCI |
|---|---|---|---|---|---|
| RSI過売り反発(rsi_oversold_bounce) | 48 / 77 | 62.3% | [51.2%, 72.3%] | +0.455 | [+0.200, +0.709] |
| BB下限タッチ(bb_lower_touch) | 102 / 241 | 42.3% | [36.3%, 48.6%] | −0.012 | [−0.158, +0.133] |
FWD全体で最も重要な発見は、RSI型とBB型の間に20ppの大きな差があることです(ppはパーセントポイント=割合どうしの差を表す単位)。
- RSI型(62.3%):CI[51.2%, 72.3%]と損益分岐43%を大きく上回り、RCIも両端プラス(+0.200〜+0.709)。上昇トレンド中にRSIが売られすぎ水準まで下押した局面は、現時点までのデータでは比較的良好な結果が続いています(今後も同様に推移するとは限りません)。
- BB型(42.3%):点推定は損益分岐43%をわずかに下回り、CI[36.3%, 48.6%]は43%を挟んでいます。E(R)もほぼゼロ(−0.012)。BB下限タッチは上昇トレンド中でも優位性が高いとは言い切れない状況です。
BB型が全体の241件(76%)を占めているため、BB型の低迷が全体のRCIを引き下げて降格警戒ストライク1に至ったと考えられます。
月別のシグナル別推移:
| 月 | RSI型 勝率 (k/n) | BB型 勝率 (k/n) |
|---|---|---|
| 2026年7月 | 66.7% (20/30) | 41.8% (41/98) |
| 2026年8月 | 58.6% (17/29) | 37.6% (35/93) |
| 2026年9月 | 53.3% (8/15) | 45.5% (15/33) |
RSI型は月ごとに変動しながらも一貫して損益分岐43%を上回り続けています。BB型は8月が最も低く(37.6%)、9月はやや回復(45.5%)していますが、Nが小さいため引き続き観察が必要です。
⑤ 結果③:時間足別——日足69%の高水準・1H/4Hは44〜46%
| 時間足 | k / n | 勝率 | 95%CI | E(R) | RCI |
|---|---|---|---|---|---|
| 1時間足(1h) | 84 / 182 | 46.2% | [38.0%, 54.4%] | +0.077 | [−0.093, +0.246] |
| 4時間足(4h) | 50 / 113 | 44.2% | [33.8%, 55.1%] | +0.032 | [−0.182, +0.247] |
| 日足(1d) | 16 / 23 | 69.6% | [49.1%, 84.4%] | +0.623 | [+0.175, +1.072] |
日足での逆張り買いは69.6%(16/23)、E(R)=+0.623、RCI下限+0.175と際立って高い数字を示しています。ただしN=23と小サンプルであることに注意が必要です。CIの幅が広く(49.1%〜84.4%)、偶然の影響を排除できていません。
1H・4Hはともに損益分岐43%付近で推移しており、大きな差は見られません。1H(46.2%)は微妙に上回り、4H(44.2%)はほぼ均衡しています。
⑥ 結果④:グループ別——指数38.8%が最弱
| グループ | k / n | 勝率 | E(R) | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 指数(index) | 31 / 80 | 38.8% | −0.096 | IS68.6%から急落。弱点継続 |
| 金属(metal) | 12 / 23 | 52.2% | +0.217 | N=23小サンプル |
| BTC(btc) | 14 / 25 | 56.0% | +0.307 | N=25小サンプル |
| 原油(oil) | 9 / 16 | 56.2% | +0.312 | N=16小サンプル |
グループ別で最も注目すべきは指数グループ(38.8%・N=80)です。IS期間では68.6%と最高だったものが、FWDでは38.8%に急落しています。このIS/FWD乖離は#100でも確認されており、「上昇トレンド中の逆張りシグナルは指数では機能しにくい」という傾向が引き続き確認されています。
金属・BTC・原油はいずれも50%超と良好な数字を示していますが、N数が20件台と小さく、統計的な確定打は得られていません。
RSI型(右列合計62.3%)とBB型(中列合計42.3%)の差が全体の平均を押し下げている構造を概念的に示す。指数グループでのBB型が最も弱い傾向。
⑦ 事前宣言の評価——3条件すべてクリア
| 仮説 | 基準 | 実測値 | 判定 |
|---|---|---|---|
| H1:FWD RCI下限 ≤ 0 | 降格ストライク1の確認 | RCI下限 = −0.028 | ✅ クリア |
| H2:RSI型 vs BB型の差 ≥ 15pp | 内部分裂の確認 | 62.3% − 42.3% = 20.0pp | ✅ クリア |
| H3:日足 E(R) > max(1H, 4H) E(R) | 時間足優位の確認 | 1d=+0.623 > 1h=+0.077 > 4h=+0.032 | ✅ クリア |
3条件とも事前宣言の基準をクリアしました。「降格警戒ストライク1の原因はBB型の低迷にある」という仮説は、今回の検証で支持されました。
ただし、これは「RSI型の逆張り買いが有効」という主張ではなく、「BB型とRSI型を区別せずに発火させると全体が平均化される」という構造の確認です。投資判断の参考情報として読んでください。
📡 前向きトラッカー定点観測
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| trend=上昇×reversalL | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.11 CI[-0.04~+0.26](150/315・勝率48%) | ✅昇格 |
| group=all | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.04 CI[-0.02~+0.09](1525/3437・勝率44%) | 🟡蓄積中 |
| blocked=False | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.04 CI[-0.02~+0.10](1218/2732・勝率45%) | 🟡蓄積中 |
| blocked=False×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.06 CI[-0.02~+0.14](976/2154・勝率45%) | 🟡蓄積中 |
| tf=4h×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.06 CI[-0.04~+0.17](434/954・勝率46%) | 🟡蓄積中 |
| tier=neutral | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.05 CI[-0.04~+0.13](410/914・勝率45%) | 🟡蓄積中 |
| group=index | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.02 CI[-0.11~+0.08](385/914・勝率42%) | 🟡蓄積中 |
| 売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.21 CI[+0.04~+0.39](187/359・勝率52%) | 🟡蓄積中 |
| dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.06 CI[-0.02~+0.13](1177/2596・勝率45%) | ⛔反証 |
| trend=中立・もみあい×dir=short | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.11 CI[-0.26~+0.04](112/293・勝率38%) | ⛔反証 |
※ 全仮説の一覧は省略。主要なもののみ掲載。trend=上昇×reversalL(✅昇格)は降格警戒ストライク1の状態。次のチェックポイントでRCI下限がプラスに回復すれば維持、再びマイナスなら降格(蓄積中へ)となります。また、rsi_oversold_bounce(全足)のCI[+0.04〜+0.39]が両端プラスを保っており、今後の動向が注目されます。なお上表は基準日時点のトラッカー集計のため、件数が本文の集計(318件)とわずかに異なります。
⑧ 次回に向けて
今回の観察から、次回以降に追いたい問いを記録しておきます:
- BB型はさらにN数が増えれば43%に収束するか、それとも有意に下回ることが確定するか
- 指数グループのIS/FWD乖離(68.6%→38.8%)は解消されるか、それとも恒常的な低迷か
- 日足(1d)のN=23は今後増加するにつれてどう推移するか
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