"通貨が強い方向"に入ると勝ちやすい? 79回で確かめたら逆だった話【研究日誌 #127】
- 「ドルが強い場面でドルを買うほうが勝ちやすい」という考えを前向きに確かめました。
- 結果は逆でした。同じ向きに入ると勝率22.8%(100回やって約23回しか勝てない)でした。
- 全体の前向き期間平均(36.7%)を大幅に下回り、損益のぶれの幅(-0.69から-0.25)がどちらに転んでもマイナスになりました。
- 「逆向きに入ったとき」は勝率43.4%で、全体に近い水準でした。
- この仮説は正式に「⛔反証確定」となりました(前向き79回)。
1. 今日確かめた問い
「今、ドルが一番強い。だからドルを買う方向で入ろう」——こういう考えは、投資の本や動画でよく見かけます。FX(外国為替)の世界では、複数の通貨の強さを数字で比べる「通貨の強弱マトリクス(マトリクス=表のこと)」が広く使われています。
この研究サイトでは、AIが毎日シグナル(売買のタイミングの候補)を計算するとき、その場面での通貨の強弱も一緒に記録しています。9月28日からは「シグナルの向きと通貨の強弱が同じかどうか」も記録し始め、前向き(その後の本番の成績)を数えてきました。
今日(10月18日)、その前向きが79回(決済確定分)に到達し、結果がはっきりしました。
たとえばドル円を「買う」シグナルが出たとき、同じ時刻の計算で「ドルは円よりも強い」という結果が出ていれば、「シグナルの向きと通貨の強弱が同じ」となります。逆に「ドルは円より弱い」という結果が出ていれば「向きが逆」です。
2. どのようにして調べたか
- 使ったデータ:このサイトのAIが発火した過去のシグナルの記録
- 対象:通貨の強弱の記録がある為替(FX)のシグナルのうち、結果が確定したもの
- 「勝ち」の定義:利益確定の目標に到達した場合
- 「負け」の定義:損切りの水準に到達した場合
- 事前登録日:2026年9月28日(この日にゴール基準を宣言してから数えた)
- 前向きの対象:9月29日以降に出たシグナル
「結果を見てから仮説を作ると、勝てるパターンだけ選びやすくなる」という問題があります。この研究は結果を見る前にゴールの基準を宣言し、その後の成績だけを「前向き」として数えています。事前登録より前のデータは「参考」として別に示します。
3. 事前登録の前の成績(参考)
9月28日以前、通貨の強さと同じ向きのシグナルは788回ありました。
| 期間 | 回数 | 勝率 | 偶然のぶれの幅(信頼区間) | 1回あたり平均損益(損切り幅比) |
|---|---|---|---|---|
| 事前登録前の期間 〜2026年9月28日 |
788回 | 40.4% | 37.0%〜43.8% | -0.058 |
事前登録前の全体の目安(43%前後)よりやや低めでしたが、信頼区間が重なっているため「確かな差」とは言えませんでした。「もしかしたら良くないかも」という程度の段階で事前登録しました。
4. 前向きの成績(主な結果)
9月29日以降、79回のシグナルが確定しました(利益確定18回、損切り61回)。
| 期間 | 回数 | 勝率 | 偶然のぶれの幅(信頼区間) | 1回あたり平均損益(損切り幅比) | 損益のぶれの幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 前向きの期間 2026年9月29日〜 |
79回 | 22.8% | 14.9%〜33.2% | -0.47 | -0.69〜-0.25 |
損益のぶれの幅は-0.69から-0.25でした。どちらに転んでもマイナス(0を含まない)なので、偶然だけでは説明しにくいマイナスと言えます(あくまでこの期間の記録での話です)。これが「反証確定」の判断の根拠です。
ここでいう平均損益は、損切りになったときの損を1として表した数字です。たとえば「-0.47」は「1回損切りしたときの損と比べて、平均で0.47倍の損をした」という意味です。プラスなら利益、マイナスなら損です。
5. 向きごとの比較
「同じ向き」「逆向き」「全体」の3つを比べると、はっきりした差が見えました。
| 場面 | 回数 | 勝率 | 偶然のぶれの幅(信頼区間) | 1回あたり平均損益(損切り幅比) |
|---|---|---|---|---|
| 通貨の強さと同じ向き | 79回 | 22.8% | 14.9%〜33.2% | -0.47 |
| 通貨の強さと逆向き | 76回 | 43.4% | 32.9%〜54.6% | +0.01 |
| 全体(前向き期間の比較基準) | 411回 | 36.7% | 32.2%〜41.5% | -0.14 |
「同じ向き」の22.8%は、全体の36.7%よりも13.9ポイント低い数字です。「逆向き」の43.4%は全体に近い水準で、こちらの損益のぶれの幅(-0.25〜+0.28)は0を含んでいるため「逆向きが有利」とはまだ言えません。
今回わかったのは「同じ向きが不利だった」ということです。「逆向きが有利かどうか」は別の問いとして、これからの前向き計測(2026年10月19日以降を登録済み)で確かめていきます。
6. 図で見ると
図1:「通貨の強さと同じ向き」のシグナルが発火する場面のイメージ。上昇トレンド中に通貨マトリクスで「ドルが強い」と確認し、ドルを買う方向でシグナルが出た例。しかし前向き79回の集計では、このような場面では損切りになるケースが多く、勝率は22.8%にとどまりました。
図2:3つの場面の勝率比較。「同じ向き」22.8%、「逆向き」43.4%、「全体」36.7%。青の破線は全体の勝率ラインです。
7. 結果を読むときの注意
- 対象は為替(FX)のシグナルのみです。通貨の強弱マトリクスの記録がある為替のシグナルだけが対象で、金・株価指数・ビットコインなどの銘柄は含まれていません。
- 全体の勝率が36.7%と低めの期間でした。9月29日以降のこの約3週間は、全体的にシグナルが難しい相場だったことがわかります。その中でも「同じ向き」は22.8%とさらに低い結果でした。
- 「逆向きが有利」とは言えません。逆向きの43.4%はぶれの幅(32.9%〜54.6%)に全体の基準線(36.7%)が含まれており、差が偶然かどうかまだわかりません。別の仮説として登録し(2026年10月19日以降を計測中)、引き続き調べます。
- 「通貨の強弱が同じ向き」の定義は、AIが発火時に自動で記録した数字をそのまま使っています。計算方法が変わると結果が変わる可能性があります。
8. まとめ
「ドルが強い場面でドルを買う」という直感的な考えを、79回の前向き検証で確かめました。
結果は「同じ向きに入ると22.8%しか勝てなかった」という、予想と反対のものでした。損益のぶれの幅(-0.69から-0.25)もどちらに転んでもマイナスで、偶然だけでは説明しにくい結果と判断しました。
なぜこうなるのでしょうか。一つの考えとして、「通貨が強い方向はすでに多くの人が同じ向きに入っていて、相場が動き過ぎている(買われすぎ・売られすぎ)可能性がある」という点が挙げられます。ただし、これは推測であり、確認はできていません。
今回の結論はシンプルです。「通貨の強さと同じ向きにトレードすると勝ちやすい」という根拠は、今回の前向き79回の検証では支持されませんでした(⛔反証確定)。
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※ 全仮説は シグナル研究のページ で確認できます。