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⚠️ 本記事は公開情報(有価証券報告書・適時開示等の一次情報)に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示や将来の業績・株価の予測は行っていません。投資には元本割れリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

💬 LINEヤフー(4689)を数字で見る|広告・買い物・決済の3つの事業を有価証券報告書で確認

公開日:2026年10月13日 / 読了時間:約15分 / カテゴリ:数字で見る企業(第15回・日本株)

「数字で見る、話題の企業」シリーズ第15回は、メッセージアプリ「LINE」、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」、スマートフォン決済「PayPay」などを運営するLINEヤフー株式会社(証券コード4689、以下「LINEヤフー」)を取り上げます。このシリーズの狙いは「この会社の将来性を、自分で見積もれる状態」を作ることで、上がるか下がるかの結論は書きません。会社が金融庁の開示システム(EDINET)に提出した有価証券報告書(第31期・2025年4月〜2026年3月)を中心に、①事業の中身 ②産業のつながりの中での位置 ③歴史 ④直近の決算の数字 ⑤会社自身が挙げるリスク ⑥上がる材料・下がる材料を対で並べ、⑦次に何を見ればよいかを整理します。

📌 30秒でわかるこの記事
  • LINEヤフーの売上は、ネットの買い物などの「コマース事業」が約42%、広告を中心とする「メディア事業」が約36%、PayPayなどの決済・金融の「戦略事業」が約22%です(外部の顧客への売上収益を当サイトが割合にしたもの)。第31期(2025年4月〜2026年3月)の売上収益は約2兆363億円(前期比+6.2%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は約1,936億円(前期は約1,534億円)でした(どちらも国際会計基準〈IFRS〉の連結の数字)
  • 伸びたのは戦略事業(売上収益 前期比+30.6%)と、LINEの企業向けアカウントの広告(同+15.3%)でした。一方で、検索広告の売上収益は前期より約10%減りました。営業利益の増益(+8.3%)について、会社は子会社化に伴う再測定益(それまで一部だけ持っていた会社を子会社にしたとき、もともと持っていた株を時価で計算し直して出る利益。お金の出入りは伴いません)の計上を主な要因に挙げています
  • 会社は2023年に公表した不正アクセスによる情報漏えいで国の行政指導などを受け、再発防止策の主要な対応を2026年3月末までに終えたと書いています。「上がる材料」「下がる材料」を各5件ずつ、出典付きで対に並べます。買い時かどうかの結論は書きません
💡 なぜLINEヤフーか(選定根拠):本シリーズは日本株を中心にする方針(直近3本のうち海外株が1本以上あれば日本株)で、直近3本(フジクラ・SCREENホールディングス・Walmart)に海外株が含まれるため、今回は日本株の番です。当サイトが機械的に集計する候補データ(edinet-yuho.json の candidates[]=直近14日の日本株ランキング〈値上がり・値下がり・出来高急増〉に2回以上登場した銘柄、ランキング基準日2026-10-09時点で20銘柄)のうち、LINEヤフーは2026年9月30日と10月5日の2日、どちらも値下がりランキングに登場しています(登場日とランキングの種類は、当サイトのランキングデータ jp-rankings.json の更新履歴で確認)。ランキングに最後に登場した日から中3営業日以上あいていること(「熱が残っているうちは書かない」ルール。同データの cooled: true)と、有価証券報告書の本文が取得できていることを満たす候補の中から、時価総額の大きい順に選びました(時価総額の金額は本文に書きません)。LINEヤフーより時価総額の大きい候補が3社ありましたが、2社は当サイトの10月1日のニュース記事で株価の動きを取り上げていたため、ニュースと重ならないよう見送りました。残る1社は、最新の通期の有価証券報告書が当サイトのデータにまだ入っていないため見送りました。LINEヤフーについては、本レーンでの既刊記事・この会社が主役の解説記事の既刊はなく(ls guide-*.html と guides.html を社名・証券コードで確認)、当サイトのニュース記事(guide-news-*.html・NEWS_LEDGER.md)にも全期間で登場していません。ランキングに登場した理由(なぜ値下がりしたか)は、一次情報で確かめられないため書きません。
数字の出どころと確認日(2026-10-13):決算の数字はすべて有価証券報告書 第31期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月18日提出)から引いています(同じ書類のPDF:EDINET公式のダウンロード)。LINEヤフーは3月決算で、この有報が、確認日の時点でいちばん新しい通期の有報です。直近の四半期(2026年4〜6月期)の決算短信は、決算短信の掲載先であるTDnet(東京証券取引所の適時開示サイト)で当サイトが確かめた時点(2026-10-13)では2026年9月4日より前の開示が見られず、取得できなかったため、この記事では使っていません(二次情報で補うこともしていません)。同じ理由で、会社が公表している2027年3月期の業績予想の数字も、この記事には書いていません。2026年9月4日以降のTDnetで見つかったLINEヤフーの開示は1件(9月16日)で、歴史年表で触れています。有報の数字は百万円単位で、億円に直した数字は当サイトが計算したもの(億円未満切り捨て)なので「約」を付けています。会社の説明文も億円未満を切り捨てた数字を使っています(例:売上収益「2兆363億円」)。

1️⃣ LINEヤフーはどんな会社か

LINEヤフーは、有報の「事業の内容」で自社の始まりを「当社は、1996年1月にインターネット上の情報検索サービスの提供を日本で行うことを目的として設立されました。」と書いています(出典:有価証券報告書 第31期「事業の内容」、2026-10-13確認)。社名はヤフー株式会社、Zホールディングス株式会社を経て、2023年10月のグループ内の再編で今のLINEヤフー株式会社になりました。経営方針では、自社のグループについて「オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供する」と説明しています(出典:同有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)。連結の従業員数は29,863人(2026年3月31日現在)です。

💡 用語メモ:IFRS(国際財務報告基準)は、世界の多くの国で使われている会計のルールで、LINEヤフーは連結の決算をこのルールで作っています。連結はグループ全体を1つの会社とみなした数字、単体はLINEヤフー1社だけの数字です。この記事では、ことわりがなければ連結の数字を使います。セグメントは、会社が業績を管理・開示するときの事業の区分のことです。売上収益は、IFRSで売上高にあたる言葉です。eコマース(EC)は、インターネットを通じた商品やサービスの売り買いのことです。

会社は事業を3つの報告セグメントに分けています。有報の説明を短くまとめると、次のとおりです(出典:同有報「事業の内容」「セグメント情報」)。

💡 用語メモ:検索広告は、検索した言葉に合わせて検索結果の画面に出す広告です。ディスプレイ広告は、ニュースなどのページの広告の枠に、画像や動画で出す広告です。アカウント広告は、企業やお店がLINEの公式アカウントを開いて、友だちになった利用者にお知らせを送るしくみなどの売上です。Fintech(フィンテック)は、金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた言葉で、スマートフォンでの決済などのサービスを指します。

第31期の、セグメントの中のサービスごとの売上収益(外部の顧客への売上収益)は次のとおりです(出典:同有報の連結財務諸表注記「売上収益の分解」)。

LINEヤフー 第31期(2025年4月〜2026年3月)のサービス別の売上収益 サービス別の売上収益(第31期・単位:億円・構成比は当サイトの計算) コマース:ZOZO、アスクル(ファッション通販・オフィス用品の通販など) 約6,250(30.7%) 戦略:Fintech(PayPay・クレジットカード・銀行など) 約4,422(21.7%) メディア:ディスプレイ広告 約2,542(12.5%) コマース:LINEヤフー(ショッピング・オークション・旅行予約など) 約2,298(11.3%) メディア:検索広告 約1,790(8.8%) メディア:その他(スタンプ・マンガ・有料会員など) 約1,503(7.4%) メディア:アカウント広告(LINE公式アカウントなど) 約1,457(7.2%) その他(クラウド関連サービスなど・報告セグメント外) 約98(0.5%) 濃い青=メディア事業/中くらいの青=コマース事業/薄い青=戦略事業/灰色=その他
▲ 有価証券報告書 第31期 連結財務諸表注記「売上収益の分解」(百万円、2026-10-13確認)を億円に直して作成(億円未満切り捨て)。カッコ内の構成比は、連結の売上収益 約2兆363億円に対する割合を当サイトが計算したもの。※概念を示すイメージ図です。

セグメントの合計(外部の顧客への売上収益)では、コマース事業が約8,548億円(42.0%)、メディア事業が約7,293億円(35.8%)、戦略事業が約4,422億円(21.7%)でした(構成比は当サイトの計算)。会社の「経営者による分析」の説明は、セグメントの間の取引を含めた売上収益で書かれていて、メディア事業7,351億円(前期比0.4%増)、コマース事業8,576億円(同1.1%増)、戦略事業4,457億円(同30.6%増)です。なお会社は、第31期の途中で一部のサービスをセグメントの間で移し、前期の数字もそれに合わせて直しています(出典:同有報「経営者による分析」「セグメント情報」)。

💡 用語メモ:セグメント利益は、セグメントごとの利益として有報の表に載っている数字です。第31期は、メディア事業が約2,108億円(前期 約2,189億円)、コマース事業が約873億円(同 約1,041億円)、戦略事業が約684億円(同 約333億円)でした。会社の注記によると、コマース事業の利益には子会社化に伴う再測定益 約443億円とシステム障害の対応費用 約54億円が、戦略事業の利益には再測定益 約170億円が含まれています(出典:同有報「セグメント情報」)。調整後EBITDAは、会社が重視する独自の利益の物差しで、会社は「減価償却費及び償却費に加え、減損損失や企業結合に伴う再測定損益などの非経常かつ非現金の取引損益を除外することにより、経常的な収益性を把握できる指標として採用しました。」と書き、IFRSで決められた数字ではないことも記しています(出典:同有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)。減価償却費及び償却費=設備やソフトウェアなどを買ったお金を、使う年数に分けて毎年の費用にしたものです。減損損失=設備や買収した会社の価値などから、将来それに見合うお金が生まれないと判断したときに、帳簿上の値段を引き下げて計上する損失です。会社は同じ箇所で、1株当たりの利益にも独自の「調整後EPS」を使うと書いています。

2️⃣ どのつながりの中にいるか

次にどれが来る・上がる・下がるという話ではなく、LINEヤフーが「使う人」と「お金を払う会社」のあいだのどこに立っているかを地図にして示します。答え(次はどれか)は渡しません。地図だけを渡します。

ネットのサービスのつながり。使う人はLINEヤフーのアプリやサイトでメッセージ・検索・買い物・決済をし、広告を出す企業や出店する店、決済を受け付ける店がLINEヤフーにお金を払う。下にはデータセンターや通信網、外部の検索技術やAIのモデル、配送・物流、カードの決済網や銀行のしくみが支える工程としてある。全体は個人情報の保護や規制、経済安全保障の枠組みの中にある 使う人と事業者のあいだでの位置(濃い枠=LINEヤフーの3つの事業) 使う人 メッセージ・ニュース 検索 ネットの買い物 スマホ決済・カード 銀行口座 メディア事業(広告) 検索・ニュース・LINEの広告 コマース事業(買い物の場) ショッピング・オークション・予約 戦略事業(決済・金融) PayPay・カード・銀行 お金を払う事業者 広告を出す企業・広告の代理店 ネットに店を出す小売・メーカー ホテル・旅館・飲食店 PayPayを受け付ける店(加盟店) LINE公式アカウントを開く企業 下から支える工程 データセンター サーバー・通信網 外部の検索技術 AIのモデルの提供元 配送・物流の会社 倉庫・物流センター カードの決済網 銀行どうしの送金網 外側の枠組み:個人情報の保護・国内外の規制・経済安全保障・サイバー攻撃への備え 会社自身が、有価証券報告書の「事業等のリスク」でこれらを挙げている ※矢印は「サービスとお金がやりとりされる関係」を示す事実の関係です。 業績や株価が連動する方向を示すものではありません。
▲ 使う人と事業者のあいだでのLINEヤフーの位置(概念図)。会社の「事業の内容」「経営方針」「事業等のリスク」「重要な契約等」「設備投資等の概要」の開示をもとに作成(2026-10-13確認)。周りの箱は会社の種類の一般名で、特定の会社を指すものではありません。※概念を示すイメージ図です。

LINEヤフーが「使う人」と「お金を払う事業者」のあいだに立っている根拠は、会社自身の開示にあります。第31期の外部の顧客への売上収益のうち、広告を中心とするメディア事業は約35.8%、ネットの買い物の場を中心とするコマース事業は約42.0%、決済・金融の戦略事業は約21.7%でした(当サイトの計算)。会社によると、eコマースの取扱高(会社が定めたグループのサービスで売り買いされた金額の合計)は約4兆6,729億円(前期比7.1%増)、PayPayの連結の取扱高(決済などで扱った金額)は19.4兆円(同23.4%増)でした。会社は戦略事業の説明で、PayPayを「国内のコード決済(スマートフォンでQRコードなどを読み取って支払う方法)におけるシェア約3分の2を占める」サービスと書いています(出典:有価証券報告書 第31期「経営者による分析」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、2026-10-13確認)。

工程の前後とのつながりも、開示に書かれています。

このつながりが変わる・弱まる条件も、会社自身が有報のリスクで挙げています。事業戦略のリスクでは、生成AIの広がりで利用者の行動が急速に変わっていることを挙げ、新しい利用者との接点や収益の形づくりが計画どおりに進まない場合、「将来的な売上・利益目標の達成が困難になる可能性があります。」と書いています。規制のリスクでは、国内でも「当社事業を取り巻く規制は強化される傾向です。」と書いています(出典:有価証券報告書「事業等のリスク」、2026-10-13確認)。

産業のつながりがあることと、株価が連動することは別です。同じ工程にいる会社でも、業績も株価も会社ごとに大きく異なります。ここでお伝えしているのは産業構造の事実であって、値動きの予想ではありません。投資の判断は、かならずご自身の責任で行ってください。

3️⃣ 歴史年表——事実で確認できる出来事

各行に、クリックして確かめられる出典を付けた事実の年表です。原因を決めつけたり物語にしたりはせず、確認できる出来事だけを並べています。この年表は、有価証券報告書の「沿革」などと、TDnetの適時開示だけで作っています(Wikipediaなどの二次情報は使っていません)。

年月出来事出典
1996年1月インターネット上の情報検索サービスの提供を目的に、東京都中央区でヤフー株式会社を設立有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
1996年4月日本語での情報検索サービス「Yahoo! JAPAN」を開始有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
1997年11月店頭登録銘柄(当時の、証券取引所の外で売り買いされる株の登録の仕組み)として株式を公開有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
1999年9月「Yahoo!オークション」「Yahoo!ショッピング」を開始有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
2003年10月東京証券取引所の市場第一部に上場有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
2010年7月「Yahoo! JAPAN」の検索サービスに、グーグルの検索エンジンと検索連動型広告の配信システムを採用することなどを決定有価証券報告書 第31期「沿革」「重要な契約等」(2026-10-13確認)
2018年10月キャッシュレス決済サービス「PayPay」の提供を開始有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
2019年10月・11月ヤフー株式会社をZホールディングス株式会社に商号変更し、持株会社の体制に移行(10月)。ZOZOの株式を取得して子会社にする(11月)有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
2021年2月・3月主要株主である筆頭株主が、Aホールディングス株式会社に変わる(2月)。LINE株式会社との経営統合が完了し、同社を子会社にする(3月)有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
2022年4月東京証券取引所の市場区分の見直しで、プライム市場に移行有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
2022年10月PayPay株式会社を子会社にする有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
2023年10月Zホールディングス、LINE、ヤフーを中心としたグループ内の再編で「LINEヤフー株式会社」が発足。「LINE」と「Yahoo! JAPAN」のアカウントの連携を開始有価証券報告書 第31期「沿革」(2026-10-13確認)
2023年11月〜2024年度不正アクセスによる情報漏えいを公表(2023年11月)。この件で2023年度に総務省から行政指導、個人情報保護委員会から勧告などを受け、2024年度に総務省から追加の行政指導を受ける有価証券報告書 第31期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-13確認)
2025年5月〜9月公開買付けなどで自己株式を取得(5月に決議)。BEENOS株式会社(5月)、台湾のLINE Bank Taiwan Limited(6月)、タイのフードデリバリーの事業などを傘下に持つシンガポールのLINE MAN CORPORATION PTE. LTD.(9月)を子会社にする有価証券報告書 第31期「事業の内容」「自己株式の取得等の状況」(2026-10-13確認)
2025年10月連結子会社のアスクル株式会社で、ランサムウェア攻撃によるシステム障害が発生し、一部の事業活動に影響が出る有価証券報告書 第31期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」(2026-10-13確認)
2026年3月PayPay株式会社の普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)が、米国のナスダック・グローバルセレクトマーケットに上場。不正アクセスの件の再発防止策として策定した主要な対応を、3月末までに完了したと会社が記載有価証券報告書 第31期「沿革」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-10-13確認)
2026年6月有価証券報告書 第31期を提出(6月18日)EDINET 有価証券報告書 第31期(2026-10-13確認)
2026年7月・9月投資ファンドが組成した組合(リミテッド・パートナーシップ)に間接的に共同出資する予定と、その組合が上場する別の会社の株式などに公開買付けを行う予定を公表(7月29日)。9月16日に、その公開買付けの条件の一部変更と、実施に必要な手続き上の承認などの取得が完了したことを開示(開始の時期は未定と記載)適時開示(2026年9月16日の経過開示。公開買付けの開始予定の一部変更についてのお知らせ)(2026-09-16開示、2026-10-13確認。7月29日の公表は、この開示の中の記載で確認)

※TDnet(適時開示)のPDFは保管期間(約1か月〜1か月半)を過ぎるとリンクが切れます。その場合は会社のIRサイトの適時開示一覧でご確認ください。持株会社=自分では事業をせず、グループの会社の株を持って全体を経営する会社です。公開買付け=買う株数・値段・期間を公告して、株主から株をまとめて買い取る方法です。自己株式(の取得)=会社が自分の会社の株を買い戻すことです。ランサムウェア=コンピューターのデータを使えなくして、元に戻すことと引き換えにお金を要求する不正なプログラムです。米国預託株式(ADS)=米国以外の会社の株を、米国の市場で売り買いできる形にしたものです。行政指導=役所が会社などに、法律にもとづく強制ではない形で、改善を求めることです。勧告=ここでは、個人情報保護委員会が、個人情報の扱いの改善などを求めることです。

4️⃣ 直近の決算の数字(有価証券報告書 第31期)

有価証券報告書 第31期(2025年4月1日〜2026年3月31日、2026年6月18日提出)の連結の数字です(IFRS)。LINEヤフーは3月決算で、その後の四半期の数字(2026年4〜6月期の決算短信)は、上の注意書きのとおり当サイトでは取得できていません。確認日は2026-10-13です。

指標(連結・IFRS)第31期(2025/4〜2026/3)第30期(前期・2024/4〜2025/3)増減
売上収益約2兆363億円約1兆9,174億円+6.2%
調整後EBITDA(会社の独自の物差し)4,966億円—+5.5%
営業利益約3,413億円約3,150億円+8.3%
うち 企業結合に伴う再測定益約614億円——
税引前利益約2,942億円約2,748億円+7.0%
法人所得税約111億円約724億円—
当期利益約2,830億円約2,024億円+39.9%
うち 親会社の所有者に帰属約1,936億円約1,534億円+26.2%
うち 非支配持分に帰属約893億円約489億円+82.7%
基本的1株当たり当期利益(基本的EPS)27.97円21.00円—
親会社所有者帰属持分利益率(ROE)6.5%5.1%—
親会社所有者帰属持分比率26.8%32.7%—
営業活動によるキャッシュ・フロー約6,628億円約5,195億円—
1株当たり配当額(LINEヤフー単体の数字・円)7.30円7.00円+0.30円

出典:有価証券報告書 第31期「主要な経営指標等の推移」「経営者による分析」「連結損益計算書」(2026-06-18提出)。億円の数字は有報の百万円から当サイトが計算したもの(億円未満切り捨て)。売上収益・調整後EBITDA・営業利益の増減の率は有報の「経営者による分析」の記載。そのほかの増減の率は当サイトが有報の数字から計算したもの。調整後EBITDAは会社の記載の数字で、前期の金額は会社の記載の増減率だけを載せています。確認日:2026-10-13。

💡 用語メモ:EBITDA=利息・税金・減価償却費などを差し引く前の利益のことで、会社ごとに定義が少しずつ違います(LINEヤフーの「調整後EBITDA」の定義は1️⃣の用語メモのとおり)。企業結合に伴う再測定益=それまで一部だけ株を持っていた会社を子会社にしたときに、もともと持っていた分を、子会社にした日の時価で計算し直して出る利益です。お金の出入りは伴いません。非支配持分=子会社の株のうち、LINEヤフー以外の株主が持っている分のことで、子会社の利益のうちその分は非支配持分に帰属する利益として分けて示されます。EPS=1株当たりの利益です。基本的/希薄化後=実際に発行されている株数で割ったものが基本的、将来増えうる株も含めて割ったものが希薄化後です(この記事では基本的の数字だけを載せています)。ROE(自己資本利益率)=株主のお金(IFRSでは「親会社の所有者に帰属する持分」)に対して、1年でどれだけ利益を出したかの割合です。親会社所有者帰属持分比率=総資産のうち、株主のお金が占める割合です。キャッシュ・フロー=実際のお金の出入りのことで、営業活動によるキャッシュ・フローは本業で入ってきたお金の額です。

会社は営業利益の増益について「これは2026年3月期第2四半期においてLINE MAN CORPORATION PTE. LTD.を連結子会社化したことに伴い、企業結合に伴う再測定益を計上したことが主な要因です。」と説明しています。連結損益計算書では、再測定益 約614億円と、アスクルのシステム障害の対応費用 約54億円が営業利益に含まれています。法人所得税は約724億円から約111億円に減りました。有報の注記は、子会社のPayPay株式会社の繰延税金資産(将来の税金を減らせる分を資産として計上したもの)の回収可能性を見直し、繰延税金資産が約575億円増えたと書いています。実際の税の負担率(税引前利益に対する法人所得税の割合)は前期の26.37%から3.79%になり、法定実効税率(法律で決まっている税率をもとにした率・31.46%)との差の内訳では、繰延税金資産の回収可能性の評価による影響がマイナス26.10ポイントと最も大きくなっています(出典:同有報「経営者による分析」「連結損益計算書」連結財務諸表注記「法人所得税」)。

セグメントごとに見ると、会社の説明は次のとおりです(出典:同有報「経営者による分析」)。

LINEヤフーの売上収益と、親会社の所有者に帰属する当期利益の推移。第27期から第31期 上:売上収益(IFRS・単位:億円・億円未満切り捨て) 15,674 16,723 18,146 19,174 20,363 下:親会社の所有者に帰属する当期利益(IFRS・単位:億円・億円未満切り捨て) 773 1,788 1,131 1,534 1,936 第27期 2022年3月期 第28期 2023年3月期 第29期 2024年3月期 第30期 2025年3月期 第31期 2026年3月期 上と下で縦の目盛りが違います(上は2兆1,000億円、下は2,000億円を基準にした高さ)。
▲ 有価証券報告書 第31期「主要な経営指標等の推移」の数値(円)を億円に換算して作成(億円未満切り捨て、2026-10-13確認)。LINEヤフーは3月決算。第27期=2021年4月〜2022年3月、第31期=2025年4月〜2026年3月。※概念を示すイメージ図です。

5期の数字では、売上収益は約1兆5,674億円(第27期)から約2兆363億円(第31期)まで毎期増えました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、約773億円(第27期)、約1,788億円(第28期)、約1,131億円(第29期)、約1,534億円(第30期)、約1,936億円(第31期)と、年によって増えたり減ったりしています(出典:同有報「主要な経営指標等の推移」)。この記事で読んだ範囲の有報には、第30期より前の年ごとの増減の理由の説明はないため、理由は書きません。

株主への還元について、会社は第31期に、公開買付けで218,064,491株(約1,162億円)、市場での買付けで63,400,000株(約322億円)の自己株式を取得し、そのうち276,664,491株を消却しました。この消却で、発行済株式総数(LINEヤフー単体)は前期末の7,154,182,647株から6,884,244,856株になりました(新株予約権の行使などによる増加を含む)。配当については、「2025年度からの5年間で累計総還元性向70%以上を目指す還元方針」を掲げていると書いています(出典:同有報「自己株式の取得等の状況」「発行済株式総数、資本金等の推移」「配当政策」)。

💡 用語メモ:消却=会社が買い戻した自分の株を消してなくすことです。自己株式を取得しただけでは「発行済株式総数」は減らず、消却したときに減ります。総還元性向=利益のうち、配当と自己株式の取得で株主に返した割合です。新株予約権=決められた値段で会社の株を受け取れる権利で、役員や社員の報酬などに使われます。
💡 会社が公表している計画と、親会社との関係について:会社は有報で、2026年度から2028年度までの3年間(金融業を除く)で、営業キャッシュ・フローなどを元にした約1兆1,600億円を、設備投資に30%程度、株主還元に40%程度、M&A(企業の買収・合併)などの成長投資に30%程度以上(会社の表記は「30%程度~」)を配分する方針を書いています(出典:同有報「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」)。2027年3月期の業績の予想など、決算短信に載る数字は、当サイトが確かめた時点でTDnetの保管期間を過ぎていて取得できなかったため、この記事に書いていません。会社のIRサイトでご確認ください。
また、LINEヤフーの議決権の62.4%は、Aホールディングス株式会社が持っています(2026年3月31日現在)。有報の「沿革」は、Aホールディングスを、ソフトバンク株式会社とNAVER Corporationが半数ずつ出資する会社と書き、「関係会社の状況」はソフトバンクグループ株式会社などを親会社として載せています。LINEヤフーはAホールディングスと資本提携契約を結んでいて、Aホールディングスは社内取締役を2名以上4名以下指名する権利と、定款(会社の基本のルール)の変更などについての事前承諾の権利を持つと記載しています。これについて会社は、独立社外取締役(会社から独立した立場の社外の取締役)が取締役の過半数を占めることなどから、企業統治(経営を監督するしくみ)への影響は限定的だと考えていると書いています(出典:同有報「沿革」「関係会社の状況」「大株主の状況」「重要な契約等」)。ここで扱う数字や方針はすべて会社の開示の紹介で、当サイトによる業績予測ではありません。

5️⃣ 会社自身が挙げているリスク

以下は有価証券報告書(第31期)の「事業等のリスク」から、会社自身が挙げているものの要旨です。書き手の推測ではなく会社の自己申告である点が、このシリーズで最も大事にしている情報です。会社はリスクを多くの種類に分けたうえで、特に重要度が高いものを「グループトップリスク」として4つ挙げています。ここではその4つを紹介します。原文はEDINET掲載の有価証券報告書でご確認ください。

出典:有価証券報告書 第31期「事業等のリスク」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(2026-06-18提出、2026-10-13確認)。原文のリスクの分類には、このほか、市場・信用・流動性・投資、システムの運用、品質、法令・契約、マネー・ローンダリング(犯罪で得たお金の出どころを隠すこと)の対策、データやAIのガバナンス(管理の体制)、委託先の管理、評判などが並んでいます。なお会社は、リスクを不利益をもたらす「脅威」と、収益の機会になりうる「機会」の両面を含むものと定義しています。多要素認証=パスワードに加えて、スマートフォンへの確認など別の手段も使って本人を確かめるしくみです。

6️⃣ 上がる材料/下がる材料

ここがこの記事の主役です。会社の開示で確認できる事実だけを左右に対で並べます。どちらが重いかという重み付けはしません。

📈 上がる可能性がある材料
第31期の売上収益は約2兆363億円(前期比+6.2%)、調整後EBITDAは4,966億円(同+5.5%)で、会社はどちらも過去最高と書いている。会社は、BEENOSとLINE MANを子会社にした分も増収の理由に挙げている。出典:有価証券報告書 第31期「経営者による分析」/確認日2026-10-13/効くと:この水準が続くかどうかを、次の決算で比べる基準になる
戦略事業の売上収益は4,457億円(前期比+30.6%)。PayPayの連結の取扱高は19.4兆円(同+23.4%)、PayPay銀行の貸出金の残高は1兆2,386億円(同+33.6%)。戦略事業の調整後EBITDAは939億円(同+85.0%)で、会社は前期のLINE Payの国内サービスの撤退費用の反動も理由に挙げている。出典:有価証券報告書 第31期「経営者による分析」/確認日2026-10-13/効くと:決済と金融の取扱高や貸出の伸びが、戦略事業の売上を左右する材料になる
アカウント広告の売上収益は約1,457億円(前期比+15.3%)。会社は「LINE公式アカウント」の有償のアカウント数の増加や従量課金(使った分に応じた料金)の拡大を背景に挙げ、企業と利用者の接点をつなぐ「Connect One」構想や、予約・注文・決済などをつなぐ「LINEミニアプリ」を進めると書いている(当サイトの予測ではない)。出典:有価証券報告書 第31期「経営者による分析」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」・連結財務諸表注記「売上収益の分解」/確認日2026-10-13/効くと:メディア事業の中で、検索広告以外の広告の伸びを確かめる材料になる
第31期に公開買付けと市場での買付けで合わせて約1,485億円の自己株式を取得し、276,664,491株を消却。発行済株式総数は約71.5億株から約68.8億株になった。配当は1株7.30円(前期7.00円)。会社は2025年度からの5年間で累計の総還元性向70%以上を目指す方針と、2026〜2028年度の配分で株主還元を40%程度とする方針を書いている。出典:有価証券報告書 第31期「自己株式の取得等の状況」「発行済株式総数、資本金等の推移」「配当政策」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-13/効くと:株数が減ると、1株当たりの利益の計算の分母が小さくなる
営業利益は約3,413億円(前期比+8.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は約1,936億円(同+26.2%)、基本的EPSは27.97円(前期21.00円)。ただし会社は、営業利益の増益の主な要因に企業結合に伴う再測定益(約614億円)を挙げている。法人所得税は約724億円から約111億円に減り、有報の注記はPayPayの繰延税金資産の回収可能性の見直しで繰延税金資産が約575億円増えたと書いている。出典:有価証券報告書 第31期「経営者による分析」「連結損益計算書」連結財務諸表注記「法人所得税」/確認日2026-10-13/効くと:利益の中身ごとに、次の期にも同じ形で出るかを確かめる材料になる
📉 下がる可能性がある材料
検索広告の売上収益は約1,790億円で、前期の約1,998億円から約10.4%減った(当サイトの計算)。会社は「検索広告:LINEヤフー面、パートナーサイト面ともに売上収益は前年同期比で減少しました。」と書き、Yahoo! JAPANの1日あたりの利用ブラウザ数も前期より減ったとしている。出典:有価証券報告書 第31期「経営者による分析」・連結財務諸表注記「売上収益の分解」/確認日2026-10-13/効くと:メディア事業の売上のうち約4分の1を占める検索広告の動きが、事業全体の売上に響く
営業利益に含まれる再測定益 約614億円について、会社は、調整後EBITDAや調整後EPSを計算するときに除く「非経常かつ非現金の取引損益」の例として、企業結合に伴う再測定損益を挙げている。実際の税の負担率は26.37%から3.79%になり、法定実効税率との差の内訳では、繰延税金資産の回収可能性の評価による影響がマイナス26.10ポイントと最も大きい。出典:有価証券報告書 第31期「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「連結損益計算書」連結財務諸表注記「法人所得税」/確認日2026-10-13/効くと:同じ項目が次の期に出なければ、営業利益や当期利益の前期比の見え方が変わる
コマース事業の調整後EBITDAは1,299億円(前期比−12.8%)。会社は、アスクルのシステム障害の影響、販売促進費や広告宣伝費などの増加、前期の第1四半期に、子会社だった会社への支配を失ったことに伴って計上した利益の反動を理由に挙げている。システム障害の対応費用 約54億円は営業利益の段階で計上された。出典:有価証券報告書 第31期「経営者による分析」連結財務諸表注記「システム障害対応費用」/確認日2026-10-13/効くと:売上の約4割を占めるセグメントの利益の出方が、全体の利益を左右する材料になる
会社は情報セキュリティのリスクで、情報漏えいやサービスの停止が「当社グループの信用失墜につながる可能性があります。」と書いている。2023年の不正アクセスの件で行政指導と勧告を受けたほか、第31期にはアスクルのランサムウェア攻撃、2026年2月にはBEENOSの連結子会社での不正アクセスの事案があった。出典:有価証券報告書 第31期「事業等のリスク」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」/確認日2026-10-13/効くと:事案が起きると、対応の費用や利用者の信頼の面で業績に響きうる
メディア事業の調整後EBITDAは2,806億円(前期比−2.2%)で、会社は販促費や生成AI関連の費用などの増加を理由に挙げている。会社はリスクの項で、大規模言語モデルの利用拡大に伴いAIのコストが増える可能性と、管理が進まなければ「利益率の悪化や将来の投資余力の低下を招くリスクがあります。」と書いている(会社の見方の紹介で、当サイトの予測ではない)。出典:有価証券報告書 第31期「経営者による分析」「事業等のリスク」/確認日2026-10-13/効くと:AIへの投資の費用と、それによる収益の増え方の差が、利益に表れる

以上が、いま公開情報から拾える材料です。どう見るかはご自身で。投資の判断はご自身の責任で行ってください。

※ 材料の数は左右5件ずつで揃えています。上記は開示情報の要約であり、どちらが重要かの判断や将来の予測は行っていません。

7️⃣ これから何を見れば分かるか

次の決算発表日は、当サイトの決算予定データ(earnings-calendar.json)に載っておらず、会社の公式な日程も確認できていないため、ここには書きません。会社のIRサイトの決算発表予定でご確認ください。この記事で挙げた材料がその後どうなったかは、次の開示で確かめられます。

有価証券報告書はEDINET(金融庁の開示システム)、適時開示はTDnetで、どちらも無料で見られます。決算短信と有価証券報告書の違いはこちらの解説にまとめています。

8️⃣ まとめ

結論は出しません。この記事で確かめた公開情報をふまえ、次の決算・開示で見るべき指標はこの3つです。①広告の中身(売上が減った検索広告と、伸びたアカウント広告の差)、②戦略事業の伸びと利益(PayPayの取扱高と、戦略事業の調整後EBITDA)、③利益の中身(再測定益や税金の減少のような項目を除いた、調整後EBITDAと営業利益の動き)。どう評価するかは、読者ご自身の判断に委ねられます。

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⚠️ 当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録もしていません。本記事は金融庁の開示システム(EDINET)に提出された有価証券報告書と、東京証券取引所の適時開示(TDnet)などの一次情報に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買推奨や投資助言ではありません。目標株価の提示、将来の業績・株価の予測、株価水準に関する評価的な断定は行っていません。会社の方針・目標・計画・見方として引用した内容は、あくまで「会社がそのように公表している」という事実の紹介です。文中に出てくる他社の名前は、会社の開示に書かれた事実を説明するためのもので、その会社の株式をおすすめするものではありません。投資には元本割れのリスクが伴います。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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