🧪 AIシグナル研究日誌 #19
もみあい×ショートのエッジ解剖——26件の新データが暴いた「low_break×金属 0/10」の実態(過去データの集計・将来を保証しません)
第12回の研究(2026年6月17日)で「もみあい相場中のショートシグナルは、損益分岐43%をCI下限53.4%で上回るエッジがある」と発見しました。それから約1週間——データが N=49 → N=75 に増えたいま、同じ目でもう一度集計し直しました。そして気づきました。全体の勝率は 50.7% に下がり、追加された26件は5勝21敗=19.2%と急落していた。いったい何が変わったのか?シグナル種別とアセットグループを軸に、エッジの「解体新書」を作ります。
① もみあい×ショート 全体(N=75)の現在勝率は 50.7%(38/75)——95%CI 下限 39.6% が損益分岐 43.0% を下回り、エッジの「確定打」が消えた
② シグナル別: macd_dead は 57.1%(20/35)と比較的健在、low_break は 35.7%(10/28)と損益分岐割れ
③ 下振れの主因: low_break × 金属(GC=F / SI=F)は 0.0%(0/10)——10戦全敗
④ 判定: 🟡 継続観察——もみあい×S の一括フィルターとしての「確定打」は消えた。macd_dead に絞ると57.1%で数字的に安定しており、今後の蓄積に注目
⑤ ⚠️ すべて過去データの集計。将来の成績を保証するものではなく、売買推奨でもありません
🔍 なぜ今回この仮説か
前回(第12回・2026年6月17日)の発見: もみあい(中立)相場中のショートシグナルは、勝率 67.3%(33/49)・Wilson CI 下限 53.4%・期待値 +0.18R——損益分岐 43% を CI 下限で超えていました。FDR 多重検定でも q=0.005 と全候補中トップで通過した、当時の最有力エッジです。
しかし2026年6月24日時点で同じフィルターを集計し直すと、38/75=50.7%(CI 下限 39.6%)——CI 下限が43%を下回り、エッジの「確定打」が消えていました。追加された26件の集計を計算すると、5/26=19.2%という衝撃的な数字が出てきます。
なお、前向きトラッカー(signal_lab_tracker.py / 2026-06-24 更新)でも「もみあい×S」の登録日以降の実績は 10/31=32%・平均 R=-0.247(参考値・日付フィルタは verify.py 対象外)と、in-sample の 67.3% から大きく乖離しています。
📋 仮説と事前宣言
主仮説: もみあい×ショートの勝率は、シグナル種別によって大きく異なる。特に macd_dead(MACDデッドクロス)と low_break(直近安値ブレイク)は明確に違う性質を持つ。
事前宣言した合否基準(今回の解剖分析):
- ✅ 通過A: macd_dead×もみあいS の勝率が全体(50.7%)より 5pp 以上高く、CI 下限 43% 超を維持する
- ✅ 通過B: low_break×もみあいS の勝率が全体を明確に下回り、損益分岐に届かない
- ✅ 通過C: low_break×metal(金属)が特に低い(損益分岐割れを確認)
- ❌ 棄却: macd_dead と low_break の差が 5pp 未満、構造の違いが見られない
📊 検証結果——シグナル×グループのクロス集計
決済済みシグナル 993件からもみあい×ショートを抽出し、シグナル種別・グループ別に集計しました。
シグナル種別の比較
| 条件 | k / n | 勝率 | 95% CI(Wilson) | 期待値 E(R) | 所見 |
|---|---|---|---|---|---|
| もみあい×S 全体 | 38 / 75 | 50.7% | [39.6〜61.7%] | +0.18 R | CI下限43%割れ・確定打なし |
| もみあい×S×macd_dead | 20 / 35 | 57.1% | [40.9〜72.0%] | +0.33 R | CI下限43%超・比較的安定 |
| もみあい×S×low_break | 10 / 28 | 35.7% | [20.7〜54.2%] | −0.17 R | 損益分岐割れ・期待値マイナス |
| もみあい×L(対照群) | 95 / 265 | 35.8% | [30.3〜41.8%] | −0.16 R | 損益分岐未達(#15と一致) |
macd_dead と low_break の差は 21.4pp(57.1% vs 35.7%)と大きく、事前宣言「5pp以上の差」を大幅に超えました。同じ「もみあい×S」でも、シグナル種別で勝敗の顔が全く異なります。
グループ別の比較(もみあい×S、N≥10のみ)
| グループ | k / n | 勝率 | 95% CI | 期待値 E(R) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| other_fx(ドル建てFX) | 17 / 31 | 54.8% | [37.8〜70.8%] | +0.28 R | 比較的安定 |
| jpy_fx(円クロス) | 5 / 13 | 38.5% | [17.7〜64.5%] | −0.10 R | 損益分岐割れ・N小 |
| metal(金・銀) | 6 / 17 | 35.3% | [17.3〜58.7%] | −0.18 R | 損益分岐割れ・low_break偏重 |
| BTC | 6 / 7 | 85.7% | [48.7〜97.4%] | — | ⚠️ N=7 小サンプル・探索的のみ |
other_fx(EURUSD/GBPUSD/AUDUSD 等)の 54.8%(17/31)は、#16「ドル建てFX×ショート優位性」の継続でもあります。一方、metal(GC=F / SI=F)の 35.3%(6/17)は低調です。
low_break × グループの詳細(N≥5のみ)
| 条件 | k / n | 勝率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| low_break × metal(金属) | 0 / 10 | 0.0% | ⚠️ 10戦全敗——主犯格 |
| low_break × jpy_fx | 0 / 3 | 0.0% | N=3 小サンプル |
| low_break × other_fx | 3 / 7 | 42.9% | 損益分岐近傍・N=7 小 |
もみあい×S×low_break×metal は 0/10=0.0%——N=10 全てが敗戦です。28件ある low_break の中でも、金属はひときわ目立つ下振れです。
3つの宣言基準を全て満たしました。ただし macd_dead×もみあいS の CI 下限は 40.9%(43%未達)。エッジが「構造的」かどうかを前向きトラッカーで引き続き確認します。
📈 可視化: シグナル別勝率比較
🔬 解剖: low_break×金属はなぜ 0/10 になるのか
low_break×metal(金属)は 0/10=0.0%——10戦全敗です。これは統計的にどういう意味でしょうか。
n=10 での Wilson CI は [0.0%〜27.8%]。最悪でも 27.8% という上限は、損益分岐43%を大きく下回ります。「10戦たまたま負けた」だけではなく、構造的な苦手意識がある可能性が高いと考えられます。
なぜ金属×low_break がもみあい相場でうまくいかないのか(仮説)
「low_break(直近安値ブレイク)」シグナルは、価格が直近の安値水準を下抜いたとき、さらなる下落を期待してショートに入るシグナルです。ところがもみあい相場(中立・レンジ)での金属(ゴールド・シルバー)では、この「ブレイク」が頻繁にダマシになりやすい特性があります。
- 金属の特性: GC=F(金)や SI=F(銀)はドル指数・リスクオフ・地政学等の外部ショックに反応する。もみあい相場であっても急反発が起きやすい
- 機関投資家のフロー: 金は大口の実需(ヘッジ・中央銀行)がある。安値ブレイク後に現物買いが流入しやすく、逆に価格が戻る構造がある
- ボラティリティの大きさ: ATR が大きい金属では、わずかな安値更新(low_break)後も SL(エントリー±ATR×1.5)に価格が触れやすい
一方、macd_dead(MACDデッドクロス)は単発の価格ブレイクではなく、モメンタムの失速(MA の短期が長期を下抜く)を捉えます。もみあい相場で momentum が衰弱しているときには「トレンドが出にくい=ショートの優位性が維持される」という論理が成り立ちやすいです。
もみあい×S の一括フィルターより、「macd_dead×もみあい×S」に絞るほうが過去データ上は安定しています。逆に「low_break×もみあい×metal」の組み合わせは過去10件全敗であり、信頼度評価に反映させることが検討に値します(ただし N=10 で確定的ではなく、エンジン・発火条件の変更は別途人間が判断)。
📐 概念図: もみあい中の安値ブレイクが「戻りやすい」理由
⚠️ この検証の限界(必読)
- 追加 26件の急落の原因が不明: 5/26=19.2% というデータは深刻ですが、この26件がどの期間に集中しているか、相場環境が変わったのかどうかは日付フィルタが verify.py 非対応次元のため確定的に追跡できていない
- small N 問題: low_break×metal の N=10 は「10 戦全敗」ですが Wilson CI 上限が 27.8% と、サンプルが増えれば数字が変わりうる。現時点では「探索的に問題あり」の記録
- macd_dead×もみあいS の CI 下限: 57.1%(20/35)は高いが Wilson CI 下限 40.9% はまだ損益分岐 43.0% に届いていない。「確定エッジ」宣言には N≥80 が必要
- 交絡の可能性: グループ別・シグナル別の差は、市場環境(VIX 水準・トレンドの強さ・発火時間帯)による交絡を排除できていない
- 全て過去データ: 将来の相場で同じパターンが続く保証はない
- 投資助言ではない: 本研究はシステムの自己点検を目的とし、読者への売買推奨や特定銘柄の推薦を一切行いません
📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 指数×ロング(全足ライブ) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.49 CI[+0.22~+0.76](44/69・勝率64%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.03 CI[-0.36~+0.30](20/48・勝率42%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×dir=short | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.25 CI[-0.64~+0.14](10/31・勝率32%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.60 CI[-0.92~-0.27](5/29・勝率17%) | 🟡蓄積中 |
| 売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.22 CI[-0.65~+0.20](9/27・勝率33%) | 🟡蓄積中 |
| trend=下降×dir=short | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.07 CI[-0.52~+0.39](10/25・勝率40%) | 🟡蓄積中 |
| group=other_fx×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.07 CI[-0.41~+0.55](11/24・勝率46%) | 🟡蓄積中 |
| tf=4h×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.07 CI[-0.58~+0.45](8/20・勝率40%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.56 CI[-0.09~+1.21](8/12・勝率67%) | 🟡蓄積中 |
| tier=neutral | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.42 CI[-1.01~+0.18](3/12・勝率25%) | 🟡蓄積中 |
| group=index | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.61 CI[-1.12~-0.10](2/12・勝率17%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.30 CI[-1.00~+0.40](3/10・勝率30%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.00 CI[-0.92~+0.92](3/7・勝率43%) | 🟡蓄積中 |
| blocked=False×dir=short | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.67 CI[-1.32~-0.01](1/7・勝率14%) | 🟡蓄積中 |
| group=btc×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.56 CI[-0.41~+1.52](4/6・勝率67%) | 🟡蓄積中 |
| group=index×reversalL | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.22 CI[-1.19~+0.74](2/6・勝率33%) | 🟡蓄積中 |
| signal=low_break | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -1.00 CI[-1.00~-1.00](0/4・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| 指数×ロング(日足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.22 CI[-1.75~+1.30](1/3・勝率33%) | 🟡蓄積中 |
| other_fxクロス(日足・回避) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -1.00 CI[-1.00~-1.00](0/2・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| group=btc×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.17 CI[-2.12~+2.45](1/2・勝率50%) | 🟡蓄積中 |
| trend=上昇×reversalL | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.17 CI[-2.12~+2.45](1/2・勝率50%) | 🟡蓄積中 |
| ショート全般(日足・回避) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -1.00 CI[-1.00~-1.00](0/1・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| 下降トレンド発火(日足・回避) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -1.00 CI[-1.00~-1.00](0/1・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| メタル×ロング(日足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| BTC×ロング(日足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
| 指数×逆張り買い(日足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%) | 🟡蓄積中 |
注目点: 指数×ロング(全足ライブ)の前向き平均R は +0.49(44/69=64%・CI[+0.22〜+0.76])と CI 両端がプラスに揃いつつあり、in-sample(#13)の発見が持続しています。一方、もみあい×S(edge)は 10/31=32%・R=-0.247 と期待値マイナスで推移しており、今回の in-sample 解剖と符合します。
🔮 次回の研究候補
- macd_dead×もみあいS の正式検証: 今回の探索的発見(57.1%・N=35)を前向きトラッカー登録候補として検討。N≥60 で CI 下限 43% 維持が条件
- bb_lower_touch × jpy_fx ロング(#14の続き): N=45→宣言目標 N=60 に向けて蓄積中
- 指数×ロング前向きトラッカーの昇格判定: 44/69 → N=80 へあと 11件が目安
- low_break 全件の勝率(前向きトラッカー gate): 0/4=0%(N=4 はまだ少ない。N≥20 まで蓄積)
⚠️ 本記事は情報提供・学習目的で作成されており、投資助言・売買推奨ではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録を受けていません。掲載の数値はシグナルログの過去集計であり、将来の投資成果を保証するものではありません。すべての投資判断は読者ご自身の責任と判断で行ってください。過去の成績は将来の成果を示唆・保証するものではありません。