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🧪 AIシグナル研究日誌 #23
RSI売られすぎとBB下限タッチはなぜ正反対になるか——467件の資産クラス別比較

カテゴリ:🧪 AIシグナル研究日誌  |  公開:2026年6月28日  |  読了:約10分

毎回ひとつの仮説だけを実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第23回です。前回(#22)では逆張り買い(reversal_long)とトレンド方向の依存性を解析し、上昇中は54.1%・下降中は33.7%という系統的な非対称を確認しました。

今回は「逆張り買いシグナルの種類によって性能は変わるか」という問いに答えます。当サイトのシグナルエンジンが発火する逆張りロングには大きく2種類があります——RSI売られすぎ(rsi_oversold_bounce)とボリンジャーバンド下限タッチ(bb_lower_touch)です。1160件のクローズドデータで比較すると、全体では5.4ppの差にとどまりましたが、円建てFX(jpy_fx)グループだけで38.8ppという大きな差が出ていることがわかりました(後ろ向き集計のため、次回前向き検証で確認します)。

⏱️ 30秒でわかる今回のまとめ

① 全体比較:RSI 36.5%(70/192件) vs BB 41.8%(115/275件)——差5.4pp、事前宣言H1・H2ともに未達
② jpy_fx(円建てFX)で大きな差:RSI 19.4%(6/31件) vs BB 58.2%(32/55件)——差38.8pp
③ 指数では逆転:RSI 60.0%(24/40件) vs BB 53.3%(32/60件)——RSIがBBを上回る
④ シロ判定:主仮説H1(CI上限43.5%>43%・0.5pp未達)・H2(差5.4pp<10pp)いずれも未達——ただし資産クラス×シグナル種別の交叉効果は次回正式検証候補

① 今回の仮説と事前宣言基準

研究の起点となったのは、前向きトラッカーの「売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce)」が前向きN=59・勝率30%・期待値R=-0.29という低迷ぶりでした。一方で#14の研究ではbb_lower_touch×jpy_fx×ロングが60.0%(N=45)と好成績を出していました。この対比が「シグナル種別そのものに性能差があるのでは」という仮説の出発点です。

💡 2種類の逆張り買いシグナルの違い

rsi_oversold_bounce(RSI売られすぎ):RSIが30以下に低下した後に反転した際に発火。モメンタム(価格変化率)の過熱冷却を測る。

bb_lower_touch(BB下限タッチ):価格がボリンジャーバンド(-2σ)に達した際に発火。最近の価格変動の幅(ボラティリティ)に対する相対的な安値を測る。

両者はどちらも「買われすぎ・売られすぎ」を捉えようとするが、基準が根本的に異なる。RSIは「価格変化の速度」、BBは「変動幅に対する現在位置」を見る。
仮説事前合否基準
H1: rsi_oversold_bounceの全体勝率は損益分岐43%を安定的に下回るN≥100 かつ CI上限 < 43%→ 棄却確認として通過A
H2: bb_lower_touchの勝率はrsi_oversold_bounceより10pp以上高いbb勝率 - rsi勝率 ≥ 10pp

② 検証方法(1160件反実仮想集計)

signals-log.jsonに記録された全シグナルのうち、TP1またはSL到達で結果が確定済みのもの1160件を対象としました。primary_signalフィールドが「rsi_oversold_bounce」または「bb_lower_touch」に一致するものだけを抽出し、グループ別・トレンド別に集計します。

項目内容
データ期間signals-log.json内、2025年後半〜2026年6月27日
対象件数rsi_oversold_bounce: 192件、bb_lower_touch: 275件(合計467件)
勝ち定義TP1またはTP2到達(SL到達は負け)
損益分岐43%(TP1:SL=1.33の期待値ゼロ点)
期待値E(R)2.33 × 勝率 − 1(TP1=2×ATR・SL=1.5×ATR比より)
ブレ幅Wilson法95%信頼区間を全数値に明記
両シグナルはともにロング(買い)専用です。ショート件数はどちらもゼロ。ロング方向の逆張り性能のみを比較します。

③ 結果①:全体比較——5.4ppの差でH2未達

シグナル種別k/n勝率95%CIE(R)
rsi_oversold_bounce70 / 19236.5%[30.0%〜43.5%]−0.15R
bb_lower_touch115 / 27541.8%[36.1%〜47.7%]−0.03R
差(bb − rsi)+5.4pp+0.12R
H1未達:rsi_oversold_bounceの全体勝率CI上限 = 43.5%。43%を0.5ppだけ超えており、「安定的に下回る」とは言えず。
H2未達:差5.4ppは宣言した10ppに届かず。

全体ではBBがRSIを5.4pp上回るものの、ともに損益分岐43%付近で迷走しています。この「似たような成績」だけを見ると、シグナル種別の差は小さいように思えます。しかし次のグループ別分析で、まったく異なる姿が浮かび上がります。

43% 70% 50% 30% 10% 36.5% RSI 41.8% BB 全体比較(損益分岐43%点線)
全体ではBBがRSIより5.4pp高いが、ともに損益分岐43%付近。この差はH2宣言基準(10pp以上)に届かない。

④ 結果②:グループ別——jpy_fxの38.8pp分岐

グループ(資産クラス)別に見ると、全体数字の背後に隠れていた劇的な分岐が見えてきます。

グループRSI k/nRSI 勝率BB k/nBB 勝率差(BB−RSI)
jpy_fx(円建てFX)6 / 3119.4%32 / 5558.2%+38.8pp
index(株価指数)24 / 4060.0%32 / 6053.3%−6.7pp(RSI優位)
other_fx(ドル建てFX)19 / 5038.0%31 / 7939.2%+1.2pp(ほぼ同等)
metal(貴金属)6 / 3815.8%11 / 4623.9%+8.1pp(共に低迷)
注目すべき差:jpy_fxでRSI=19.4% vs BB=58.2%(38.8pp差)
95%CI: RSI [9.2%〜36.3%] / BB [45.0%〜70.3%]。CI同士が分離しており、両者は異なる挙動をしている可能性が高い。jpy_fxにおいてRSIは期待値−0.55R、BBは+0.36R。差は+0.91Rに達する。
注目:指数ではRSIがBBを上回る(逆転)
指数(index)グループではRSI 60.0%(24/40件)がBB 53.3%(32/60件)を6.7pp上回っています。N=40のため確定的ではありませんが、資産クラスによってRSIとBBの有効性が逆転するという仮説が示唆されます。
43% 80% 60% 40% 20% 0% 19.4% 58.2% jpy_fx 60.0% 53.3% index 38.0% 39.2% other_fx 15.8% 23.9% metal RSI売られすぎ BB下限タッチ グループ別 勝率比較(43%破線)
jpy_fx(円建てFX)でRSIとBBの差が38.8ppと突出。指数では逆にRSIがBBを6.7pp上回る逆転現象が見られる。金属は両者ともに低迷(15〜24%)。

⑤ 結果③:トレンド別の比較

トレンド方向(上昇・下降・中立もみあい)別に見ると、両シグナルで共通したパターンが確認できます。

トレンドRSI k/nRSI 勝率BB k/nBB 勝率
上昇中13 / 2552.0%47 / 8654.7%
下降中32 / 9434.0%30 / 9033.3%
中立もみあい24 / 7133.8%38 / 9739.2%

トレンド別では、RSIとBBでほぼ同じパターンが見られます。上昇中は両者とも52〜55%と損益分岐をわずかに超え、下降中・もみあいでは共に損益分岐以下です。これは#22で発見した「逆張りロングはトレンド方向に依存する」という知見と一致しています。

つまり、トレンド方向についてはRSI・BBで大きな差はなく、グループ(資産クラス)こそが両者を分ける主要因である可能性が高いです。

時間足RSI k/nRSI 勝率BB k/nBB 勝率
1h足44 / 12136.4%70 / 15744.6%
4h足26 / 6838.2%40 / 11136.0%

時間足別ではBBが1h足で44.6%(RSI 36.4%)と差をつけますが、4h足ではほぼ同等(RSI 38.2% vs BB 36.0%)です。

⑥ 交絡の点検と解釈——なぜjpy_fxだけ違うのか

交絡点検

解釈仮説:なぜjpy_fxでRSIが失敗し、BBが成功するのか

仮説A:RSIは円相場のキャリートレード・モメンタムを「売られすぎ」と誤認しやすい
円建てFXペア(USDJPY・EURJPY等)はキャリートレード(高金利通貨買い・低金利円売り)の影響で方向性トレンドが長続きしやすい。RSIが30以下になっても、円安トレンドが継続中なら「下げ止まり」ではなく「下げ途中」である可能性がある。この場合、RSIの逆張りシグナルは早まりすぎた買いを示唆する。
仮説B:BBは同じ円相場で「ボラティリティ膨張時の下限」を捉えている
BB下限(−2σ)は直近の価格変動幅(ATR)を加味した相対的な安値を測る。急落によってボラティリティが上がると、BB下限は価格より下に「逃げる」性質がある。つまり、BB下限タッチは本当に「最近の価格レンジに対して大きく外れた水準」を示している可能性が高く、そのまま反転しやすい。

指数でRSIが有効な理由

株価指数はキャリートレードのような一方向トレンドよりも、経済サイクル・企業業績への反応で動くことが多い傾向があります。RSI 30以下への低下は「売りが出尽くした可能性がある水準」を示す場合があり、bb_lower_touchと比べてむしろ有効な可能性があります(指数×RSI 60.0%、N=40)。ただし、N=40という小サンプルのため確定的ではありません。

⑦ 今回の決定事項と次回候補

今回の結論

次回正式検証候補(事前登録)

候補現在値宣言基準(次回)
signal=rsi_oversold_bounce × group=jpy_fx6/31 = 19.4%(CI[9.2%〜36.3%])N≥60かつCI上限<43%
signal=bb_lower_touch × group=jpy_fx32/55 = 58.2%(CI[45.0%〜70.3%])N≥80かつCI下限>43%を維持
前向きトラッカー「売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce)」は前向きN=59・勝率30%・期待値R=-0.29。前向きCI上限が-0.01Rとわずかに0を下回っており、さらにデータが積み上がれば「⛔反証(gate確定)」の方向に向かっている可能性があります。ただしN=59は昇格基準N=80に届いておらず、現時点では蓄積中の判定が継続します。

⑧ 📡 前向きトラッカー定点観測

毎回のデータ蓄積で変化した点を記録します(基準日 2026-06-28)。

📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)

基準日 2026-06-28/昇格=前向きN≥80・平均R(期待値)の95%CIが0を跨がない

仮説種別宣言基準前向き現在値(平均R)状態
指数×ロング(全足ライブ)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.31 CI[+0.08~+0.55](54/96・勝率56%)✅昇格
group=allgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.09 CI[-0.35~+0.17](30/77・勝率39%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.07 CI[-0.20~+0.34](34/74・勝率46%)🟡蓄積中
tier=neutralgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.26 CI[-0.51~+0.00](22/69・勝率32%)🟡蓄積中
tf=4h×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.15 CI[-0.42~+0.12](24/66・勝率36%)🟡蓄積中
group=metalgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.34 CI[-0.61~-0.07](17/60・勝率28%)🟡蓄積中
売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R -0.29 CI[-0.56~-0.01](18/59・勝率30%)🟡蓄積中
group=metal×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.42 CI[-0.77~-0.06](8/32・勝率25%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.48 CI[+0.01~+0.96](14/22・勝率64%)🟡蓄積中
trend=上昇×reversalLedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.40 CI[-0.35~+1.15](6/10・勝率60%)🟡蓄積中
今回の前向きトラッカー注目点

指数×ロング(全足ライブ):N=96(前回90から6件増)、56%、R+0.31 CI[+0.08~+0.55]で✅昇格を継続。シリーズ初昇格(#21)からのライブ継続確認
RSI売られすぎ(rsi_oversold_bounce):前向きN=59・30%・R CI[-0.56~-0.01]、CI上限が0をわずかに下回り始めている(N≥80で⛔反証の可能性)
group=metal:前向きN=60・28%・R CI[-0.61~-0.07]、CI上限がマイナス。N=80到達でゲート確定か

※ 本記事はMarketWatch AIの自動シグナルシステムが過去に発射したシグナルの統計を「もしも計算(反実仮想集計)」したものです。過去の成績は将来の成果を保証するものではありません。本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買推奨ではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言業・投資顧問業の登録もしていません。投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。※ 本分析は弁護士助言の代替ではありません。