🧪 AIシグナル研究日誌 #23
RSI売られすぎとBB下限タッチはなぜ正反対になるか——467件の資産クラス別比較
毎回ひとつの仮説だけを実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第23回です。前回(#22)では逆張り買い(reversal_long)とトレンド方向の依存性を解析し、上昇中は54.1%・下降中は33.7%という系統的な非対称を確認しました。
今回は「逆張り買いシグナルの種類によって性能は変わるか」という問いに答えます。当サイトのシグナルエンジンが発火する逆張りロングには大きく2種類があります——RSI売られすぎ(rsi_oversold_bounce)とボリンジャーバンド下限タッチ(bb_lower_touch)です。1160件のクローズドデータで比較すると、全体では5.4ppの差にとどまりましたが、円建てFX(jpy_fx)グループだけで38.8ppという大きな差が出ていることがわかりました(後ろ向き集計のため、次回前向き検証で確認します)。
① 全体比較:RSI 36.5%(70/192件) vs BB 41.8%(115/275件)——差5.4pp、事前宣言H1・H2ともに未達
② jpy_fx(円建てFX)で大きな差:RSI 19.4%(6/31件) vs BB 58.2%(32/55件)——差38.8pp
③ 指数では逆転:RSI 60.0%(24/40件) vs BB 53.3%(32/60件)——RSIがBBを上回る
④ シロ判定:主仮説H1(CI上限43.5%>43%・0.5pp未達)・H2(差5.4pp<10pp)いずれも未達——ただし資産クラス×シグナル種別の交叉効果は次回正式検証候補
① 今回の仮説と事前宣言基準
研究の起点となったのは、前向きトラッカーの「売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce)」が前向きN=59・勝率30%・期待値R=-0.29という低迷ぶりでした。一方で#14の研究ではbb_lower_touch×jpy_fx×ロングが60.0%(N=45)と好成績を出していました。この対比が「シグナル種別そのものに性能差があるのでは」という仮説の出発点です。
rsi_oversold_bounce(RSI売られすぎ):RSIが30以下に低下した後に反転した際に発火。モメンタム(価格変化率)の過熱冷却を測る。
bb_lower_touch(BB下限タッチ):価格がボリンジャーバンド(-2σ)に達した際に発火。最近の価格変動の幅(ボラティリティ)に対する相対的な安値を測る。
両者はどちらも「買われすぎ・売られすぎ」を捉えようとするが、基準が根本的に異なる。RSIは「価格変化の速度」、BBは「変動幅に対する現在位置」を見る。
| 仮説 | 事前合否基準 |
|---|---|
| H1: rsi_oversold_bounceの全体勝率は損益分岐43%を安定的に下回る | N≥100 かつ CI上限 < 43%→ 棄却確認として通過A |
| H2: bb_lower_touchの勝率はrsi_oversold_bounceより10pp以上高い | bb勝率 - rsi勝率 ≥ 10pp |
② 検証方法(1160件反実仮想集計)
signals-log.jsonに記録された全シグナルのうち、TP1またはSL到達で結果が確定済みのもの1160件を対象としました。primary_signalフィールドが「rsi_oversold_bounce」または「bb_lower_touch」に一致するものだけを抽出し、グループ別・トレンド別に集計します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| データ期間 | signals-log.json内、2025年後半〜2026年6月27日 |
| 対象件数 | rsi_oversold_bounce: 192件、bb_lower_touch: 275件(合計467件) |
| 勝ち定義 | TP1またはTP2到達(SL到達は負け) |
| 損益分岐 | 43%(TP1:SL=1.33の期待値ゼロ点) |
| 期待値E(R) | 2.33 × 勝率 − 1(TP1=2×ATR・SL=1.5×ATR比より) |
| ブレ幅 | Wilson法95%信頼区間を全数値に明記 |
③ 結果①:全体比較——5.4ppの差でH2未達
| シグナル種別 | k/n | 勝率 | 95%CI | E(R) |
|---|---|---|---|---|
| rsi_oversold_bounce | 70 / 192 | 36.5% | [30.0%〜43.5%] | −0.15R |
| bb_lower_touch | 115 / 275 | 41.8% | [36.1%〜47.7%] | −0.03R |
| 差(bb − rsi) | — | +5.4pp | — | +0.12R |
H2未達:差5.4ppは宣言した10ppに届かず。
全体ではBBがRSIを5.4pp上回るものの、ともに損益分岐43%付近で迷走しています。この「似たような成績」だけを見ると、シグナル種別の差は小さいように思えます。しかし次のグループ別分析で、まったく異なる姿が浮かび上がります。
④ 結果②:グループ別——jpy_fxの38.8pp分岐
グループ(資産クラス)別に見ると、全体数字の背後に隠れていた劇的な分岐が見えてきます。
| グループ | RSI k/n | RSI 勝率 | BB k/n | BB 勝率 | 差(BB−RSI) |
|---|---|---|---|---|---|
| jpy_fx(円建てFX) | 6 / 31 | 19.4% | 32 / 55 | 58.2% | +38.8pp |
| index(株価指数) | 24 / 40 | 60.0% | 32 / 60 | 53.3% | −6.7pp(RSI優位) |
| other_fx(ドル建てFX) | 19 / 50 | 38.0% | 31 / 79 | 39.2% | +1.2pp(ほぼ同等) |
| metal(貴金属) | 6 / 38 | 15.8% | 11 / 46 | 23.9% | +8.1pp(共に低迷) |
95%CI: RSI [9.2%〜36.3%] / BB [45.0%〜70.3%]。CI同士が分離しており、両者は異なる挙動をしている可能性が高い。jpy_fxにおいてRSIは期待値−0.55R、BBは+0.36R。差は+0.91Rに達する。
指数(index)グループではRSI 60.0%(24/40件)がBB 53.3%(32/60件)を6.7pp上回っています。N=40のため確定的ではありませんが、資産クラスによってRSIとBBの有効性が逆転するという仮説が示唆されます。
⑤ 結果③:トレンド別の比較
トレンド方向(上昇・下降・中立もみあい)別に見ると、両シグナルで共通したパターンが確認できます。
| トレンド | RSI k/n | RSI 勝率 | BB k/n | BB 勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 上昇中 | 13 / 25 | 52.0% | 47 / 86 | 54.7% |
| 下降中 | 32 / 94 | 34.0% | 30 / 90 | 33.3% |
| 中立もみあい | 24 / 71 | 33.8% | 38 / 97 | 39.2% |
トレンド別では、RSIとBBでほぼ同じパターンが見られます。上昇中は両者とも52〜55%と損益分岐をわずかに超え、下降中・もみあいでは共に損益分岐以下です。これは#22で発見した「逆張りロングはトレンド方向に依存する」という知見と一致しています。
つまり、トレンド方向についてはRSI・BBで大きな差はなく、グループ(資産クラス)こそが両者を分ける主要因である可能性が高いです。
| 時間足 | RSI k/n | RSI 勝率 | BB k/n | BB 勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1h足 | 44 / 121 | 36.4% | 70 / 157 | 44.6% |
| 4h足 | 26 / 68 | 38.2% | 40 / 111 | 36.0% |
時間足別ではBBが1h足で44.6%(RSI 36.4%)と差をつけますが、4h足ではほぼ同等(RSI 38.2% vs BB 36.0%)です。
⑥ 交絡の点検と解釈——なぜjpy_fxだけ違うのか
交絡点検
- サンプルサイズ懸念:jpy_fx×RSIはN=31(うち6勝)と小サンプル。CI[9.2%〜36.3%]は上限も36%台にとどまり、統計的には確定打まではもう一段のデータ蓄積が必要
- 時期バイアス:FXシグナルが特定の時期(円高・円安相場)に偏っている可能性はあるが、signals-log全体の期間は共通
- btc/oilはN不足で除外:btcはrsi N=17・bb N=25でいずれも小サンプルのため今回の比較から外す
解釈仮説:なぜjpy_fxでRSIが失敗し、BBが成功するのか
円建てFXペア(USDJPY・EURJPY等)はキャリートレード(高金利通貨買い・低金利円売り)の影響で方向性トレンドが長続きしやすい。RSIが30以下になっても、円安トレンドが継続中なら「下げ止まり」ではなく「下げ途中」である可能性がある。この場合、RSIの逆張りシグナルは早まりすぎた買いを示唆する。
BB下限(−2σ)は直近の価格変動幅(ATR)を加味した相対的な安値を測る。急落によってボラティリティが上がると、BB下限は価格より下に「逃げる」性質がある。つまり、BB下限タッチは本当に「最近の価格レンジに対して大きく外れた水準」を示している可能性が高く、そのまま反転しやすい。
指数でRSIが有効な理由
株価指数はキャリートレードのような一方向トレンドよりも、経済サイクル・企業業績への反応で動くことが多い傾向があります。RSI 30以下への低下は「売りが出尽くした可能性がある水準」を示す場合があり、bb_lower_touchと比べてむしろ有効な可能性があります(指数×RSI 60.0%、N=40)。ただし、N=40という小サンプルのため確定的ではありません。
⑦ 今回の決定事項と次回候補
今回の結論
- H1(rsi CI上限<43%):未達(43.5%、0.5ppで逃した)
- H2(差≥10pp):未達(5.4pp)
- 記事判定:🟡 事前宣言未達(探索的発見あり)
次回正式検証候補(事前登録)
| 候補 | 現在値 | 宣言基準(次回) |
|---|---|---|
| signal=rsi_oversold_bounce × group=jpy_fx | 6/31 = 19.4%(CI[9.2%〜36.3%]) | N≥60かつCI上限<43% |
| signal=bb_lower_touch × group=jpy_fx | 32/55 = 58.2%(CI[45.0%〜70.3%]) | N≥80かつCI下限>43%を維持 |
⑧ 📡 前向きトラッカー定点観測
毎回のデータ蓄積で変化した点を記録します(基準日 2026-06-28)。
📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 指数×ロング(全足ライブ) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.31 CI[+0.08~+0.55](54/96・勝率56%) | ✅昇格 |
| group=all | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.09 CI[-0.35~+0.17](30/77・勝率39%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.07 CI[-0.20~+0.34](34/74・勝率46%) | 🟡蓄積中 |
| tier=neutral | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.26 CI[-0.51~+0.00](22/69・勝率32%) | 🟡蓄積中 |
| tf=4h×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.15 CI[-0.42~+0.12](24/66・勝率36%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.34 CI[-0.61~-0.07](17/60・勝率28%) | 🟡蓄積中 |
| 売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.29 CI[-0.56~-0.01](18/59・勝率30%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.42 CI[-0.77~-0.06](8/32・勝率25%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.48 CI[+0.01~+0.96](14/22・勝率64%) | 🟡蓄積中 |
| trend=上昇×reversalL | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.40 CI[-0.35~+1.15](6/10・勝率60%) | 🟡蓄積中 |
・指数×ロング(全足ライブ):N=96(前回90から6件増)、56%、R+0.31 CI[+0.08~+0.55]で✅昇格を継続。シリーズ初昇格(#21)からのライブ継続確認
・RSI売られすぎ(rsi_oversold_bounce):前向きN=59・30%・R CI[-0.56~-0.01]、CI上限が0をわずかに下回り始めている(N≥80で⛔反証の可能性)
・group=metal:前向きN=60・28%・R CI[-0.61~-0.07]、CI上限がマイナス。N=80到達でゲート確定か
※ 本記事はMarketWatch AIの自動シグナルシステムが過去に発射したシグナルの統計を「もしも計算(反実仮想集計)」したものです。過去の成績は将来の成果を保証するものではありません。本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買推奨ではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言業・投資顧問業の登録もしていません。投資判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。※ 本分析は弁護士助言の代替ではありません。