🧪 直近20本の最高値を上抜け(高値ブレイク)で買ったとき、損切りと利確の置き方で結果は変わる? 日足の約3700回で調べた
AIシグナル研究日誌 #117
毎回ひとつの仮説を実データで確かめ、勝っても負けても全公開する研究日誌の第117回です。前回(#116)では「RSI(売られすぎ・買われすぎを表す指標)が30を下回ったあとの反発買いシグナル」の前向き403回の最新成績を報告しました。
今回は「出口の相性ラボ」シリーズの日足・第2回として、日足で直近20本の最高値を上抜けたときの買いシグナル(高値ブレイク)を取り上げます。損切りの方法と利確の方法の組み合わせによって、1回あたりの平均損益がどう変わるかを、探索期間(データ日:2026-09-27、集計対象〜2026-09-25)の約3700回で調べました。
① 探索期間(〜2026-09-25)に全18銘柄で高値ブレイクの買いシグナルが3688回でました(日足)
② 基準の方式(ATR(値動きの平均的な幅)損切りとATR2倍利確)の1回あたり平均損益は+0.06(損切り幅を1としたときの損益)
③ 節目損切り(直近の安値を追いかける損切り)と複数の利確方法の組み合わせで、基準より差がみられる4つの組があった。差の幅(信頼区間)はすべてプラス方向(最も差の小さい組は+0.03〜+0.33)
④ しかし4つともボンフェローニ補正(組み合わせが多いときの統計の補正)を通過せず、旗はたちませんでした
⑤ ATR損切りと節目利確の組み合わせは基準より−0.11(差の幅:−0.18〜−0.03)で、こちらは差の幅がまるごとマイナス方向でした
⑥ 今回の結果は偶然の可能性があり、前向き(2026-09-25以降の新しいシグナル)で積み上げてから結論にします
① 「高値ブレイクの買い」とはどんなシグナルか
「高値ブレイクの買い」とは、チャートの値段が直近20本の最高値(高値)を上に抜けたとき、「このまま上がり続けるかもしれない」という考えから買いを入れる、順張りのシグナルです。
直近20本の高値は「しばらく超えられなかった水準」であり、抵抗線(レジスタンス)と呼ばれます。その水準を価格が上抜けると、「売り圧力を突き破った」という見方から、さらに上昇が続きやすいと言われています。
このサイトのシグナルシステムでは、日足で直近20本の高値を終値が上抜けた翌日の始値でシグナルを発火させています。
※ 考え方を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。青い点線が直近20本の最高値の水準(抵抗線)。オレンジのローソク足がその水準を上抜けた足(高値ブレイクの買いシグナル)。赤の点線がいまの方式の損切り(ATRの1.5倍)、緑の点線が利確(ATRの2倍)。
② 今回の確かめ方
「出口の相性ラボ」では、同じ入口で損切りと利確の方法を変えたとき、1回あたりの平均損益(損切り幅を1としたときの損益の大きさ)がどう変わるかを調べます。今回は「日足・高値ブレイク買い」の入口で、探索期間(〜2026-09-25)のデータを使いました。
損切りの方法は大きく2種類です。
- ATR損切り:入った値段からATR(値動きの平均的な幅)の1.5倍下に置く固定の損切り
- 節目損切り:直近の安値(節目)を追いかけて動く損切り。価格が上がるにつれて損切り水準も引き上がる
利確の方法は複数あります。今回の比較で出てくる主なものは次のとおりです。
- ATR2倍利確(基準):入った値段からATRの2倍上で利確
- 利確なし:損切りだけ置き、利確は置かない
- 損切り幅3倍利確:損切り幅の3倍の水準で利確
- 損切り幅の半分で利確:損切り幅の0.5倍の水準で利確
- 損切り幅2倍利確:損切り幅の2倍の水準で利確
- 節目利確:直近の高値を利確目標にする
③ 全18銘柄の結果
基準の方式(ATR損切りとATR2倍利確)と、主な組み合わせの結果を下の表にまとめました。「基準との差」は同じ入口で比べた差です。探索期間(〜2026-09-25)のデータです。
主な組み合わせ(全18銘柄・探索期間)
| 損切りの方法 | 利確の方法 | 1回あたり平均損益 | 基準との差 | 差の幅(95%) | 件数 | 旗 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ATRの1.5倍(基準) | ATRの2倍(基準) | +0.06 | 基準 | — | 3686回 | — |
| 節目損切り | 利確なし | +0.40 | +0.34 | +0.03〜+0.66 | 3631回 | なし |
| 節目損切り | 損切り幅3倍で利確 | +0.29 | +0.23 | +0.05〜+0.41 | 3631回 | なし |
| 節目損切り | 損切り幅の半分で利確 | +0.25 | +0.19 | +0.04〜+0.33 | 3636回 | なし |
| 節目損切り | 損切り幅2倍で利確 | +0.24 | +0.18 | +0.03〜+0.33 | 3637回 | なし |
| ATRの1.5倍 | 節目利確 | −0.05 | −0.11 | −0.18〜−0.03 | 3384回 | なし |
節目損切りと4つの利確方法の組み合わせは、基準との差の幅(信頼区間95%)がすべてプラス方向になりました。なかでも「利確なし」(節目損切りだけ)は差が+0.34と最も大きな差がありました。
一方、ATR損切りと節目利確の組み合わせは差が−0.11(差の幅:−0.18〜−0.03)で、幅がまるごとマイナス方向でした。節目を利確目標にするのは、ATR損切りと組み合わせると基準より不利な結果でした。
④ 差の幅がプラス方向でも旗がたたない理由(ボンフェローニ補正)
表を見ると「差の幅がすべてプラス方向の4つの組み合わせ」があります。それなのになぜ旗がたたないのでしょうか。
1回の比較では「偶然で差が出る確率」は5%(20回に1回)とします。でも70を超える組み合わせを同時に比べると、どれか1つが「偶然で差あり」になる確率はずっと高くなります。100回サイコロを振れば6の目が出るように、たくさん調べれば「偶然で良く見える」組みが自然に出てくるのです。
「ボンフェローニ補正」は、この問題に対応する統計の手順です。比べる組み合わせの数が多いほど、判断の基準(p値の閾値)を厳しくします。今回の探索期間で調べた組み合わせは全部で70を超えており、その数の分だけ基準が厳しくなります。
今回の4つのプラス組(節目損切りと利確なし・3倍・半分・2倍の4つの組み合わせ)は差の幅がプラス方向でしたが、この補正を通過しませんでした。つまり「70を超える数の比較をしたときに、偶然で出た可能性がある」という水準です。
旗の基準は「ボンフェローニ補正通過・差が0.15以上・早い時期と遅い時期で向きが一致」の3つを同時に満たすことです。今回はどの組み合わせも旗の基準を満たしませんでした。
⑤ 資産クラス別の違い(基準方式)
基準方式(ATR損切りとATR2倍利確)で、資産クラス別に分けた結果です。高値ブレイクの買いシグナルの特徴が資産クラスによって違うことがわかります。
| 資産クラス | 1回あたり平均損益(基準方式) | 件数 |
|---|---|---|
| 株価指数(日経平均・S&P500など) | +0.07 | 1468回 |
| FX(為替9通貨ペア) | −0.05 | 1275回 |
| コモディティ(金・銀・原油) | +0.17 | 741回 |
| 暗号資産(ビットコイン) | +0.30 | 202回 |
コモディティ(金・銀・原油)と暗号資産では基準方式でもプラスが大きく、株価指数も小さなプラスでした。一方、FX(為替)ではマイナスでした。資産クラス別の組み合わせの比較でも、信頼区間は0をまたぐか、または暗号資産はデータ件数が少なく十分な精度がなかったため、参考値としてとどめます。
高値ブレイクという順張りのシグナルは、トレンドが継続しやすいコモディティや暗号資産では比較的動きやすく、為替は方向感がつきにくい局面が多かった可能性があります。ただしこれも探索期間のデータです。偶然の可能性があり、前向きで確かめる必要があります。
⑥ まとめ
今回は「日足・高値ブレイク買い」で損切りと利確の組み合わせを比べた結果を報告しました。
- 全18銘柄・探索期間(〜2026-09-25)の3688回のシグナルを集計しました
- 基準方式(ATR損切りとATR2倍利確)の1回あたり平均損益は+0.06でした
- 節目損切りと4つの利確方法の組み合わせは、差の幅がプラス方向でした。ただし、ボンフェローニ補正を通過しておらず、旗はたちませんでした
- ATR損切りと節目利確の組み合わせは基準より−0.11で、差の幅がまるごとマイナス方向でした
- どの組み合わせも「偶然の可能性が残る」水準です。前向きデータ(2026-09-25以降)が積み上がるにつれて判断がより確かになります
⑦ 📡 前向きトラッカー定点観測
| 仮説 | 種別 | 前向き回数 | 勝率 | 平均損益 | ぶれ幅(95%) | 合格チェック通過 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| RSI売られすぎ反発 売られすぎ逆張り買い(全足) |
勝ちやすいか | 401回 | 49.9% | 損切り幅の+0.164倍 | +0.001倍〜+0.326倍 | 1回目通過済み(2回で確定) | 🟡 確かめ中 |
前向きトラッカーは入口の仮説を追跡しています。出口の組み合わせ(今回の損切りと利確の比較)については、前向きの仕組みが別途動いています。
関連記事・ページ
本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録もしていません。株式・為替・コモディティ等の投資にはリスクが伴い、元本を割り込む可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。過去の成績は将来の成果を保証するものではありません。本記事内の成績データは当サイト独自のシミュレーション集計であり、実際の取引成績とは異なります。