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⚠️ 本記事はエントリー(買う・売るタイミング)の決め方についての考え方や、公開されている研究の紹介を目的とした「情報提供」であり、特定の手法・銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

🏃 ほかの銘柄と比べて強いものを買う「相対的な強さ」は、研究で効くとわかっている?【エントリー方法の研究 #05】

公開:2026年9月29日 / 読了時間:約 10 分 / カテゴリ:🚪 エントリー方法の研究

シリーズ第1回(#01)で扱ったトレンドフォローは、「その銘柄自身の、過去の値動き」と比べて売買を決める方法でした。この記事で扱う相対的な強さ(モメンタムとも呼ばれます)は、比べる相手が違います。同じ市場の中にある、ほかのたくさんの銘柄と比べて、値上がりが目立つ銘柄を買い、値下がりが目立つ銘柄を売る方法です。投資の研究の世界ではよく知られた考え方です。この記事では、この方法の元になった研究と、その後の反論、対象になった市場を出典つきで整理します。

📌 この記事の結論(30秒まとめ)

1️⃣ どんな方法か

#01のトレンドフォローが「その銘柄自身の、過去と比べて今どうか」を見るのに対し、相対的な強さは「同じ市場の中の、ほかの銘柄と比べてどうか」を見る方法です。たとえば米国の個別株を対象にするなら、過去3か月から12か月の値上がり率で全銘柄を順位づけし、上位の銘柄をまとめて買い、下位の銘柄をまとめて売る、という組み方になります。

仮の例(考え方を説明するための仮の例です): 100銘柄を集め、過去半年の値上がり率で並べ替えたとします。相対的な強さの考え方では、値上がり率が上位の銘柄をまとめて買い、下位の銘柄をまとめて売ります。真ん中あたりの銘柄には手を出しません。

銘柄を過去の値上がり率の順に並べ、上位を買い・下位を売る考え方の概念図 銘柄を過去の値上がり率で並べ替える(イメージ図・実際の値動きではありません) 左から右へ、過去の値上がり率が高い順に並べています 銘柄A 銘柄B 銘柄C 銘柄D 銘柄E 銘柄F 上位2つ=買い 真ん中=見送り 下位2つ=売り
図:過去の値上がり率でほかの銘柄と比べて順位をつけ、上位を買い、下位を売る考え方の概念図。銘柄名は仮のものです。※概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。

2️⃣ 研究でわかっていること

米国の個別株で確かめた研究(ジェガディーシュ氏とティットマン氏の研究、1993年)

ジェガディーシュ氏とティットマン氏の研究は、過去の値動きが強かった銘柄を買い、弱かった銘柄を売る方法が、3か月から12か月の保有期間で、偶然とは言いにくいプラスの成績を上げたことを報告しました。このもうけは、市場全体の値動きに対するリスクの取り方の違いや、共通の要因への反応の遅れでは説明できなかった、としています。ただし、最初の1年で出たプラスの一部は、その後の2年間で薄れていったことも同じ研究で報告されています。値上がりしていた銘柄と値下がりしていた銘柄で、それぞれの決算発表の前後の値動きにも、似たような傾向が見られました。

8つの市場・資産で確かめた研究(アスネス氏・モスコウィッツ氏・ペダーセン氏の研究、2013年)

アスネス氏らの研究は、個別株だけでなく、国の株価指数の先物、長期国債、為替、コモディティ(商品)の先物をあわせた8つの市場・資産で、値動きの傾向をあらためて確かめました。その結果、これらの市場・資産をまたいで、強いものを買う方法に共通した傾向が見られたことを報告しています。さらに、この傾向は、割安なものを買う方法(バリュー投資)とは反対向きに動く傾向があることも報告されており、両方を組み合わせると値動きのぶれが打ち消し合う可能性があると論じられています(研究が調べた期間・市場での結果です)。

3️⃣ 反論・限界

売買のコストを差し引くと(レスモンド氏・シル氏・周氏の研究、2004年)

レスモンド氏らの研究は、相対的な強さの方法で選ばれる銘柄が、そもそも売買のコストが高い銘柄にかたよっていることを示しました。値動きが強い銘柄ほど頻繁に入れ替えて売買する必要があるうえに、その売買のコスト自体も高くなりやすい、というのです。研究者たちは、この売買のコストを差し引くと、それまで報告されてきたもうけの大きさは「見かけ上のもの」であり、実際に利益の出る機会はほとんど無かった可能性がある、と結論づけています。

気をつけたい点: この研究が対象にしているのは、1990年代までの米国の個別株です。現在は当時より売買のコストが下がっている市場が多いため、同じ大きさの影響が今も残っているかどうかは、この研究だけからはわかりません。また、ジェガディーシュ氏とティットマン氏の研究が報告したとおり、最初の1年のプラスの一部は、その後の2年間で薄れていく傾向もあります。

当サイトとの関係: 当サイトのシグナルは、それぞれの銘柄を単独で判定するしくみで、ほかの銘柄と比べて順位づけをする機能は持っていません。この記事で紹介した研究は、多数の銘柄を集めて順位づけをする方法についてのものであり、当サイトのシグナルの裏づけとして読むことはできません。研究が調べた期間・市場と、当サイトの期間・市場も違います。

4️⃣ 株・FX・コモディティでは?

紹介した研究が、どの市場を対象にしているかを表に整理します。

市場研究はあるか内容
株価指数・個別株ありジェガディーシュ氏・ティットマン氏の研究は米国の個別株が対象です。アスネス氏らの研究も、個別株を8つの市場・資産の1つとして調べています。
為替(FX)ありアスネス氏らの研究が対象にした8つの市場・資産の中に為替が含まれています。ただし、為替だけを取り出した結果の大きさは、今回の要旨からは確認できませんでした。
コモディティ(先物)ありアスネス氏らの研究の対象に、コモディティ(商品)の先物も含まれています。個別の商品ごとの結果までは、今回は確認できませんでした。

まとめると、相対的な強さという考え方そのものは、株・為替・コモディティを含む複数の市場・資産で、共通した傾向として報告されています。ただし、もうけの大きさや、売買のコストを差し引いたあとの成績は市場によって違う可能性があり、アスネス氏らの研究の要旨からは、市場ごとの詳しい数字までは確認できませんでした。

5️⃣ よくある誤解

誤解1:順位が高い銘柄は、そのまま持ち続けて良いと思われがち

ジェガディーシュ氏とティットマン氏の研究では、最初の1年に出たプラスの一部が、その後の2年間で薄れていったことも報告されています。順位づけをしたときの強さが、いつまでも続くわけではありません。

誤解2:#01のトレンドフォローと同じものだと思われがち

どちらも「値動きの強さに乗る」という考え方は共通していますが、比べる相手が違います。#01は銘柄自身の過去と比べ、この記事の方法はほかの銘柄と比べます。#01で紹介したとおり、トレンドフォローの研究には、もみ合いの相場では損が続きやすいという指摘がありました。この記事の方法にも、別の弱点(売買のコストが高くなりやすいこと)が指摘されています。

誤解3:学術研究で確かめられているのだから、コストを引いても十分もうかると思われがち

レスモンド氏らの研究が示すとおり、値動きが強い銘柄は、売買のコスト自体も高くなりやすい銘柄です。コストを差し引く前の数字だけを見て判断すると、実際の成績を過大に見積もることになりかねません。

この記事は、公開されている学術研究を当サイトが要約したものです。研究の数字は、それぞれの研究が使った期間・市場・条件のもとでの結果であり、将来も同じになるとは限りません。特定の手法・銘柄の売買を勧めるものではありません。

6️⃣ まとめ

次回は、この方法とは反対に、強く動いたものが急に反転しやすい「モメンタムの急な反転」という研究を見ていきます。

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📚 出典・参考文献

⚠️ 当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録もしていません。本記事はエントリー(買う・売るタイミング)の決め方についての考え方と、公開されている学術研究の紹介を情報提供として整理したものであり、特定銘柄・特定手法の売買推奨や投資助言ではありません。研究の内容は当サイトによる要約です。正確な内容は各原文をご確認ください。記載の数値・方法による利益を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。