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🧪 AIシグナル研究日誌 #15
4H足ロングは系統的に弱い——時間足で勝率はどう変わるか

カテゴリ:🧪 AIシグナル研究日誌  |  公開:2026年6月20日  |  読了:約10分

毎回ひとつの仮説を実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第15回です。前回(#14)では bb_lower_touch(ボリンジャー下限タッチ)×jpy_fx ロングが 60.0%(27/45)と有望な数字を示しました。

今回は視点を変えて「そもそも時間足(1H足 vs 4H足)によって勝率は変わるのか」を全銘柄・全シグナルタイプで横断的に検証します。きっかけは、本日のスイープ解析で 4H足ロングが FDR 統計検定を通過する形で赤字(期待値マイナス)を示したことです。

⏱️ 30秒でわかる今回のまとめ

① 4H足ロング(96/273)は勝率35.2%、95%CI上限41.0%で損益分岐43%を下回る → 棄却確定
② 1H足ロング(148/367)は40.3%で損益分岐付近——確定打不足(限界領域)
③ 4H足ショート(54/108)は50.0%でプラス傾向——ロングとは逆
④ 4H vs 1H 差の最大要因は jpy_fx(円クロス):4H=29.8%(14/47)vs 1H=48.7%(37/76)——18.9pp差

① 今回の仮説——時間足は勝率に影響するか

AIシグナルシステムは 1H足(1時間足)と 4H足(4時間足)の両方でシグナルを発生させています。これまでの検証(#8、#9、#14など)では「銘柄グループ」「シグナル種別」「方向性」に注目してきましたが、時間足そのものの影響はまだ正面から検証していませんでした。

2026年6月20日のスイープ解析(67仮説グリッド全数検証)で、「tf=4h×dir=long(4H足ロング)」がBH-FDR多重検定補正後も有意な赤字(期待値マイナス)を示したことから、今回の仮説が採択されました。

💡 「損益分岐43%」とは
本システムのリスクリワードは SL=-1.0R、TP1=+1.33R、TP2=+2.0R です。最低限の収支ゼロ(損益分岐)には約43%の勝率が必要です。43%を下回る条件は「使うと長期的にマイナス」と考えられます。

事前に宣言した合否基準

検証を始める前に、「この結果なら棄却確定」という基準を宣言します(後から変えないルール)。

② 検証方法(「もしも計算」と事前宣言)

signals-log.json(決済済みシグナルのみ使用)を Python で集計します。使用ルール:

これは「過去の自システムデータ内での反実仮想集計」です。将来の相場への適用可能性を保証するものではありません。また、学術的な検定とは異なる参考値です。

③ 結果①——4H足ロングは損益分岐を下回る

まず最も基本的な「時間足×方向」の4分類で集計しました。

分類N(件数)勝ち/負け勝率95%CI平均R
1H×ロング 367 148 / 219 40.3% [35.4%, 45.4%] -0.06
4H×ロング 273 96 / 177 35.2% [29.7%, 41.0%] -0.18
1H×ショート 122 49 / 73 40.2% [31.9%, 49.0%] -0.06
4H×ショート 108 54 / 54 50.0% [40.7%, 59.3%] +0.17
4H足ロング(96/273):勝率 35.2%、95%CI 上限 41.0% < 43%
CI 上限が損益分岐 43% を下回るため、「4H足ロングは損益分岐に届かない」が統計的に確認されました(棄却確定)。

特に注目すべきは 4H足に顕著な方向非対称性がある点です。4H足ロング(35.2%)と 4H足ショート(50.0%)で 14.8%ポイントもの差があります。一方、1H足はロング(40.3%)とショート(40.2%)でほぼ同じです。

0% 65% 32% 損益分岐 43% 40.3% 1H×L 35.2% 4H×L 50.0% 4H×S 40.2% 1H×S

図1:時間足×方向別の勝率(概念図)。横軸=分類、縦軸=勝率。赤の破線は損益分岐43%。4H足ロング(赤バー)のみ43%を明確に下回る。実際の価格チャートではありません。

④ 結果②——金属比率の差では説明できない

「4H足ロングに金属(GC=F/SI=F)が多く偏っているから悪く見えるだけでは?」という疑問は重要です。金属ロングはこれまでの検証(#13、#3など)で一貫して低勝率(20%前後)を示してきました。

グループ構成の比較

グループ4H×ロング1H×ロング
他FX(EURUSD等)29.3%(80件)29.7%(109件)-0.4pp
指数(NKD=F等)25.6%(70件)24.8%(91件)+0.8pp
jpy_fx(円クロス)17.2%(47件)20.7%(76件)-3.5pp
金属(GC=F/SI=F)14.7%(40件)13.4%(49件)+1.3pp
BTC8.8%(24件)7.6%(28件)+1.2pp
原油4.4%(12件)3.8%(14件)+0.6pp

金属比率は4H足ロングで14.7%、1H足ロングで13.4%——差はわずか 1.3%ポイントです。事前宣言した「5pp未満なら金属偏りで説明できない」という基準を満たします。

交絡検定:クリア
金属の比率差はほぼ同一(1.3pp)。4H足ロングの低勝率は金属偏りでは説明できません。金属を除いても 4H×L(金属除外)は37.8%、1H×L(金属除外)は44.3%で差が継続します(6.5pp)。

⑤ 結果③——グループ別に見えてきた「jpy_fx の差」

各グループ×時間足の組み合わせを見ると、jpy_fx(円クロス:ドル円・ユーロ円・ポンド円・豪ドル円)での時間足差が際立っています

4H足ロング グループ別

グループN勝ち/N勝率95%CI
指数(NKD=F等)7036/7051.4%[40.0%, 62.8%]
他FX(EURUSD等)8027/8033.8%[24.3%, 44.6%]
jpy_fx(円クロス)4714/4729.8%[18.7%, 44.0%]
金属(GC=F/SI=F)408/4020.0%[10.5%, 34.8%]
BTC247/2429.2%[14.9%, 49.2%]
原油124/1233.3%[13.8%, 60.9%]

1H足ロング グループ別

グループN勝ち/N勝率95%CI
指数(NKD=F等)9149/9153.8%[43.7%, 63.7%]
jpy_fx(円クロス)7637/7648.7%[37.8%, 59.7%]
他FX(EURUSD等)10936/10933.0%[24.9%, 42.3%]
金属(GC=F/SI=F)497/4914.3%[7.1%, 26.7%]
BTC288/2828.6%[15.3%, 47.1%]
原油1411/1478.6%[52.4%, 92.4%]

最も大きな差は jpy_fx×ロング の時間足比較です:4H足が14/47=29.8%(CI=[18.7%,44.0%])、1H足が37/76=48.7%(CI=[37.8%,59.7%])——差は18.9%ポイントです。

0% 65% 43% 29.8% 4H × jpy_fx L 48.7% 1H × jpy_fx L

図2:jpy_fx(円クロス)×ロングの 4H足 vs 1H足 勝率比較。4H足は29.8%(14/47)で損益分岐43%を大幅に下回る。1H足は48.7%(37/76)で損益分岐付近。実際の価格チャートではありません。

なぜ jpy_fx で時間足差が大きいのか

この差の原因は本検証データからは断定できません。考えられる仮説として:

このメカニズムは 次回以降 の検証候補として記録します(探索的仮説)。

指数ロングは 4H(36/70=51.4%)と 1H(49/91=53.8%)で両時間足ともプラス傾向が続いています。指数ロングの「時間足を問わない頑健性」は前回 #13 の発見と整合しています。ただし 95%CI の下限は 43% 前後で、確定打にはまだ件数が必要です。

⑥ 結果④——4H足ショートはロングと正反対

4H足には「ロングは弱い」とは真逆の面があります。4H足ショート(54/108)は勝率 50.0%(CI=[40.7%,59.3%])で、4H足ロング(35.2%)との差は 14.8%ポイントと非常に大きいです。

4H足ショートのグループ別では:

これは1H足ショートの40.2%(49/122)と比べてもプラス方向に見えます。ただし1H足ショート自体は CI=[31.9%,49.0%] と損益分岐付近で、4H足ショートの50.0%も CI=[40.7%,59.3%] で統計的確定打には引き続き件数が必要です。

⑦ 事前基準の評価——4条件すべてクリア

事前宣言基準判定数値
主仮説:4H×L の CI 上限 < 43% ✅ クリア CI 上限 41.0% < 43%
金属比率差 < 5%ポイント ✅ クリア 差 1.3%ポイント
金属除外後も 4H < 1H ✅ クリア 37.8% vs 44.3%(6.5pp差継続)
jpy_fx での差 > 10%ポイント ✅ クリア 4H=29.8% vs 1H=48.7%(18.9pp差)
判定:通過A(棄却確認)
4H足ロング(96/273)の勝率 35.2%、95%CI 上限 41.0% は損益分岐 43% を下回る。金属比率差(1.3pp)による交絡も否定。4H足ロングシグナルは期待値マイナスであることが確認されました。

この発見の実用的な意味

4H足ロングシグナルが届いたとき、それだけを理由にエントリーすることは統計的には不利だということを示しています。ただし:

統計は「傾向」を示すものです。個別のトレードは銘柄・タイミング・マクロ環境など多くの要因に左右されます。この分析は参考情報であり、個別取引の推奨ではありません。

⑧ 📡 前向きトラッカー定点観測

過去データ(in-sample)の検証と並行して、「登録日以降の新規シグナル」を前向き(out-of-sample)で追跡しています。

📡 前向きトラッカー定点観測

基準日 2026-06-20/昇格=前向きN≥80・平均R(期待値)の95%CIが0を跨がない

仮説種別宣言基準前向き現在値(平均R)状態
指数×ロング(全足ライブ)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.57 CI[+0.24~+0.90](29/43・勝率67%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.25 CI[-0.66~+0.16](9/28・勝率32%)🟡蓄積中
売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足)edge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R -0.22 CI[-0.70~+0.26](7/21・勝率33%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×dir=shortedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.33 CI[-0.29~+0.96](8/14・勝率57%)🟡蓄積中
group=metalgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.22 CI[-0.98~+0.54](3/9・勝率33%)🟡蓄積中
trend=下降×dir=shortgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.42 CI[-1.17~+0.33](2/8・勝率25%)🟡蓄積中
group=metal×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.00 CI[-0.92~+0.92](3/7・勝率43%)🟡蓄積中
group=other_fx×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.22 CI[-1.19~+0.74](2/6・勝率33%)🟡蓄積中
group=metal×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.40 CI[-0.72~+1.52](3/5・勝率60%)🟡蓄積中
trend=中立・もみあい×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](3/3・勝率100%)🟡蓄積中
other_fxクロス(日足・回避)gate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -1.00 CI[-1.00~-1.00](0/1・勝率0%)🟡蓄積中
group=btc×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](1/1・勝率100%)🟡蓄積中
group=btc×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +1.33 CI[+1.33~+1.33](1/1・勝率100%)🟡蓄積中
tf=4h×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.00 CI[+0.00~+0.00](0/0・勝率0%)🟡蓄積中(本日新規登録)

本日注目のエントリー:

⑨ 次回に向けて

今回の検証で残った主な未解決問題:

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