🧪 AIシグナル研究日誌 #78
RSI売られすぎ逆張り買い FWD N=232——WCI下限46.2%で損益分岐突破・4H足 66.7%エッジ確立・1H足は無エッジ
毎回ひとつの仮説を実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第78回です。今回は rsi_oversold_bounce(RSI売られすぎ逆張り買い) の前向きデータ N=232 を時間足別・グループ別・トレンド別に解析します。
① FWD全体 122/232(52.6%)Wilson CI下限 46.2% ——損益分岐43%を初めて上回る
② FWD 4H足 42/63(66.7%)WCI[54.4%,77.1%]——CI全域が43%超え・明確なエッジ
③ FWD 1H足 70/157(44.6%)WCI[37.0%,52.4%]——CI下限37.0%で無エッジ
④ 4H足と1H足の勝率差 +22.1pp、時間足の選択がエッジの有無を決める
⑤ bb_lower_touch比較: 239/540(44.3%)に対しRSIは+8.3pp優位
1. 前提:rsi_oversold_bounceとは
rsi_oversold_bounce は RSI が30以下の売られすぎ圏に達した後に反発するタイミングを逆張りロングで捉えるシグナルです。直感的には「下がりすぎたから買い」という逆張り発想ですが、過去データ(IS期間)では勝率が39.1%(52/133)と損益分岐43%を大きく下回り、エッジがないことが確認されていました。
#023(RSI vs BB 比較)では rsi_oversold_bounce が bb_lower_touch より低い勝率であること、#024(jpy_fx×RSI 棄却)では円クロスFXでは特に19.4%と極めて低い勝率だったことが判明しています。当初から逆張りシグナルとして難しさが際立っていました。
しかし 前向きトラッカー(2026-06-16 登録開始) では、N=232 を積み上げた現在(2026-08-23 時点)、様相が変化しています。本記事ではこの変化の統計的意味を時間足別・グループ別・トレンド別に多角解析します。
2. 今回の仮説設定
今回は3つの事前仮説を検証します。
| 仮説 | 内容 | 判定基準 |
|---|---|---|
| H1 | FWD全体のWilson CI下限が損益分岐43%を超える | WCI下限 > 43% |
| H2 | FWD 4H足のWilson CI下限が損益分岐43%を超える | WCI下限 > 43% |
| H3 | FWD 1H足のWilson CI下限が43%以下(エッジなし) | WCI下限 ≤ 43% |
IS期間(登録前)の39.1%と前向き期間(登録後)の比較が中心です。仮説ではなく探索的発見として、グループ別・トレンド別の交絡も分析します。
3. FWD全体の結果——WCI下限が初の43%超え
| 期間 | k/n | 勝率 | Wilson CI | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| IS(登録前) | 52/133 | 39.1% | [31.2%, 47.6%] | ❌ 損益分岐割れ |
| FWD(登録後) | 122/232 | 52.6% | [46.2%, 58.9%] | ✅ CI下限43%超 |
IS期間 39.1%(CI上限47.6%が43%を含む)と比べ、前向き期間は CI 全体が43%より上にあります。ただし勝率 52.6% は損益分岐水準を7.6pp上回る程度であり、CI 幅が依然広いことに注意が必要です。
時間足別勝率の比較
4. 時間足別の構造差——4H vs 1H の非対称
今回の最大の発見は 時間足による大きな勝率格差 です。
| 時間足 | k/n | 勝率 | Wilson CI | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| FWD 4H | 42/63 | 66.7% | [54.4%, 77.1%] | ✅ CI全域が43%超え |
| FWD 1H | 70/157 | 44.6% | [37.0%, 52.4%] | ⚠️ CI下限37.0%で無エッジ |
4H足と1H足の勝率差は +22.1pp(66.7% vs 44.6%)と大きな構造的乖離があります。RSI売られすぎシグナルは発火する時間足に強く依存しており、現時点のデータは 発火した時間足がエッジの有無を左右している可能性 を示唆しています(トレンドとの交絡が未分離のため、確定的な条件とは言えません)。
1D足(参考)
FWD 1D足は k=10, n=12(83.3%)ですが、N=12 は小サンプルのため参考値に留めます。WCI[55.2%, 95.3%] は幅が非常に広く、統計的な確定には n≥30 以上の蓄積が必要です。
5. グループ別パターン——jpy_fx の優位性
| グループ | k/n | 勝率 | Wilson CI | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| jpy_fx(円クロス) | 31/47 | 66.0% | [51.7%, 77.8%] | CI下限51.7%≫43% |
| metal(金・銀) | 19/34 | 55.9% | [39.5%, 71.1%] | CI下限43%をわずかに下回る |
| index(指数) | 28/58 | 48.3% | [35.9%, 60.8%] | CI下限35.9% |
| other_fx(ドル建て) | 28/63 | 44.4% | [32.8%, 56.7%] | CI下限32.8% |
jpy_fx(USDJPY、EURJPY、GBPJPY、AUDJPY) が 31/47(66.0%)WCI[51.7%, 77.8%] と最も高い勝率を示しています。IS期間では 19.4%(#024で棄却確認)だった円クロスFXが、前向き期間では大きく改善しています。この逆転は金属グループのレジーム転換(#030/#039)と並ぶ重要な変化です。
一方で指数グループ(48.3%)とドル建てFX(44.4%)は CI 下限が43%を大きく下回り、グループによって大きな非対称があることが分かります。IS期間での「指数×RSI=60%が BB 逆転」という観察は、前向きでは維持されていません。
6. トレンド別の偏り
| 上位足トレンド | k/n | 勝率 | Wilson CI | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 上昇 | 42/63 | 66.7% | [54.4%, 77.1%] | CI全域43%超 |
| 中立・もみあい | 43/80 | 53.8% | [42.9%, 64.3%] | CI下限42.9%≒43%(要継続観察) |
| 下降 | 37/89 | 41.6% | [31.9%, 52.0%] | CI下限31.9%で損益分岐割れ |
トレンド別では「上昇トレンド中の RSI 売られすぎ逆張り」が 42/63(66.7%)と最も高い勝率を示しています。注目すべきは 4H足と上昇トレンドが完全に一致している 点です——4H: k=42, n=63(66.7%)と trend=上昇: k=42, n=63(66.7%)がまったく同じ数値であり、前向きデータでは「4H足=上昇トレンド」という強い構造的交絡が存在します。
下降トレンドでは 37/89(41.6%)と損益分岐を下回り、「下落中に RSI が売られすぎ水準に達する」局面でのロング逆張りが機能しないことを示唆しています。この結果は #022(逆張り×トレンド依存性解析)と一致する方向性です。
7. bb_lower_touch との比較
同じ逆張り系シグナル bb_lower_touch(BB下限タッチ)との比較は、RSI 逆張りの相対的なポジションを理解するために重要です。
| シグナル | FWD k/n | FWD 勝率 | Wilson CI | 差異 |
|---|---|---|---|---|
| rsi_oversold_bounce | 122/232 | 52.6% | [46.2%, 58.9%] | — |
| bb_lower_touch | 239/540 | 44.3% | [40.1%, 48.5%] | RSI が +8.3pp 優位 |
RSI 売られすぎシグナルは、BB 下限タッチと比べて +8.3pp の勝率優位性 があります。IS 期間では RSI が BB に劣っていたこと(#023 確認)と比較すると、前向き期間では立場が逆転しています。BB の 239/540(44.3%)は WCI[40.1%, 48.5%] とほぼ損益分岐水準です。ただし RSI の CI 下限 46.2% と BB の CI 上限 48.5% は一部重なっており、両者の信頼区間は完全には分離していません。点推定では差が見られるものの、統計的に優劣が確定したとまでは言えず、今後のデータ蓄積での再確認が必要です。
8. 前向きトラッカー更新
| 仮説ID | 登録日 | フィルター | FWD k/n | 勝率 | WCI | ステータス |
|---|---|---|---|---|---|---|
| rsi_oversold_edge | 2026-06-16 | signal=rsi_oversold_bounce | 122/232 | 52.6% | [46.2%, 58.9%] | 🟡 継続観察(WCI下限が43%を初めて超えた時点) |
今回の検証でWilson CI 下限が初めて損益分岐 43% を超えました。ただし昇格基準(「E(R) RCI 下限 > 0 を 2 回連続確認」)に対しては、期待値ベースの CI 下限はトラッカーの最新値(rci_lo≒−0.006)でまだゼロをまたいでいます。勝率 CI は43%を超えましたが、期待値 CI はまだゼロ近傍です。継続的な蓄積が必要です。
- 4H足の N が増えた際に、トレンド別の交絡(4H=上昇の重複)が解消するか
- jpy_fx 前向き成績の継続(N=47→N≥80 の蓄積を待つ)
- 下降トレンドでのエッジ欠如が続くか(41.6%、N=89 で確認中)
- 1D足(N=12)の成績が蓄積されると 4H と同様のパターンが出るか
9. まとめと今後の観察点
今回の検証結果をまとめます。
- H1 ✅:FWD全体 122/232(52.6%)WCI[46.2%, 58.9%]——CI下限46.2%が43%を初めて超えた
- H2 ✅:FWD 4H足 42/63(66.7%)WCI[54.4%, 77.1%]——明確なエッジ
- H3 ✅:FWD 1H足 70/157(44.6%)WCI[37.0%, 52.4%]——無エッジ
- 4H足と1H足の勝率差 +22.1pp という時間足依存の構造差を確認
- jpy_fx グループが 31/47(66.0%)と IS 期間の19.4%から大きく改善
- bb_lower_touch 比較: RSI +8.3pp 優位(IS では逆だった)
RSI売られすぎ逆張り買いは「全体では徐々にエッジが形成されつつあるが、4H足に限定すると明確、1H足には現時点でエッジなし」という構造が見えてきています。この知見の意味は、同じシグナルを使う際に時間足の選択が結果を大きく左右する可能性があることを示唆しています。ただし過去の実績は将来を保証せず、確定的な結論を出すためには更なるデータ蓄積が必要です。
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