🧪 AIシグナル研究日誌 #82
RSI売られすぎ逆張り買い FWD N=250:4H 64.3% vs 1H 44.6%の時間足二極化
毎回ひとつの仮説を実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第82回です。前回この仮説を扱った #74(2026年7月18日時点 FWD N=84)では4H足の有望傾向が浮上しつつありましたが、N不足で判定保留でした。今回は前向きN=250に達し、時間足二極化の全体像が見えてきました。
また今日は昨日(2026-08-27)に初めて昇格条件(クラスター補正RCI下限がプラス)を1回達成した翌日にあたります。2回連続での昇格条件を満たすかに注目が集まっていましたが、結果はRCI下限 −0.007 で折り返し。「昇格寸前で惜しくも一歩届かず」という記録の日となりました。
① IS(検証設計期間):39.1%(52/133)→ FWD(前向き):52.0%(130/250)——IS比較で+12.9ppの大幅改善
② 時間足の分裂:4H足 64.3%(45/70)vs 1H足 44.6%(75/168)——差は19.7pp
③ 4H足の E(R) は RCI 全域プラス [+0.236, +0.764]。1H足は RCI が 0 をまたぐ [−0.134, +0.217]
④ 昨日 RCI 下限+0.005(昇格条件 1/2)→ 今日 −0.007 で折り返し。status=tracking 継続
① 今回の仮説——時間足別に rsi_oversold_bounce は機能するか
rsi_oversold_bounce(RSI売られすぎ逆張り買い)は、RSIが30未満に低下した後の反発を狙うロングシグナルです。本シリーズで複数回取り上げてきた代表的なシグナル種別ですが、IS期間(2026-06-16 以前)の39.1%は損益分岐43%を下回っていました。
2026-06-16 の前向きトラッカー登録以降、前向き件数が250件に達しました。累計では52.0%と改善が見られますが、内訳を4H足・1H足に分けると大きな差が生じている可能性が浮上しています。
RSIが一定水準(概ね30)以下に低下した後、上昇に転じた瞬間に発火するシグナル。「売られすぎた後の反発」を狙う逆張り戦略。4H足・1H足それぞれで発火条件を評価します。
事前に宣言した検証仮説(3つ)
- H1(4H足の優位性確認):FWD 4H足の期待値 E(R) の95%信頼区間下限が 0 を超えるか
- H2(1H足の中立性確認):FWD 1H足の期待値 E(R) の95%信頼区間が 0 をまたぐか
- H3(時間足差の大きさ):4H足 vs 1H足の勝率差が 20pp 以上か(19.7pp で境界域)
② 検証方法(IS/FWD 分割・事前宣言)
前向きトラッカー登録日(2026-06-16)を境界として IS/FWD を分割します。
- IS(登録前):2026-06-16 より前に発火したシグナル
- FWD(前向き):2026-06-16 以降に新規発火したシグナル
- 対象:primary_signal=rsi_oversold_bounce・結果確定(tp1 または sl)
- 勝ち:tp1 到達(+1.333R)
- 負け:sl 到達(−1.0R)
- 信頼区間:ウィルソン法(小サンプルでも安定)
- E(R):期待リターン((勝率 × 1.333) + (負け率 × −1.0))、損益分岐 43%
③ 結果①:IS 39.1% → FWD 52.0% の改善
IS・FWD全体の比較から始めます。
| 期間 | N(件数) | k(勝ち) | 勝率 | 95%CI | E(R) |
|---|---|---|---|---|---|
| IS(登録前) | 133 | 52 | 39.1% | [31.2%, 47.6%] | −0.088 |
| FWD(前向き) | 250 | 130 | 52.0% | [45.8%, 58.1%] | +0.213 |
| 全期間合計 | 383 | 182 | 47.5% | [42.6%, 52.5%] | +0.109 |
IS期間の39.1%(損益分岐 43% 未満)から、前向き期間の52.0%へ大幅に改善しました。差は+12.9ppです。FWDのCI下限45.8%は損益分岐43%を上回っており、FWD全体では集計上プラスの期待値となっています。ただしこれは過去に発火したシグナルの集計結果であり、将来同じ結果になることを示すものではありません。
図1:RSI売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce)の概念チャート図解。RSIが過売り(30以下)に低下した後の反発タイミングで発火し、TP1到達(+1.333R)を狙う。※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)
④ 結果②:4H 64.3% vs 1H 44.6% の時間足二極化
FWD期間を4H足・1H足に分けて集計しました。両者の間に明確な差が現れています。
| 時間足 | N | k(勝ち) | 勝率 | 95%CI | E(R) | E(R)のRCI |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4H足 | 70 | 45 | 64.3% | [52.6%, 74.5%] | +0.500 | [+0.236, +0.764] |
| 1H足 | 168 | 75 | 44.6% | [37.3%, 52.2%] | +0.042 | [−0.134, +0.217] |
4H足(N=70)は勝率64.3%、期待値E(R)=+0.500 と高水準です。期待値のRCI(クラスター補正信頼区間)下限が +0.236 で、全域プラスとなっています(H1 ✅ クリア)。
一方、1H足(N=168)は勝率44.6%で損益分岐付近。期待値E(R)=+0.042 とわずかにプラスですが、RCIは[−0.134, +0.217] と 0 をまたいでおり、統計的には「プラスとも言えない・中立域」です(H2 ✅ クリア——中立性の確認)。
4H足の期待値 RCI 下限 +0.236 は、クラスター補正後も全域でプラスを維持。これはシステム全体の19銘柄相関を考慮しても、4H足×rsi_oversold_bounce の期待値が集計期間中はプラス圏にとどまったことを示します。あくまで過去データ上の観測であり、将来の成績を示すものではありません。
図2:IS・FWD全体・FWD4H足・FWD1H足の勝率比較。縦軸=勝率、破線=損益分岐43%。4H足(N=70)は64.3%でIS比25.2ppの大幅改善。1H足(N=168)は44.6%で損益分岐付近。実際の価格チャートではありません。
⑤ 結果③:グループ別——jpy_fx 66.7%が最上位
FWD期間を銘柄グループ別に集計しました。
| グループ | N | k(勝ち) | 勝率 | 95%CI | E(R) |
|---|---|---|---|---|---|
| jpy_fx(円クロス4通貨) | 48 | 32 | 66.7% | [52.5%, 78.3%] | +0.555 |
| metal(GC=F・SI=F) | 34 | 19 | 55.9% | [39.5%, 71.1%] | +0.304 |
| index(NKD=F・ES=F等) | 61 | 29 | 47.5% | [35.5%, 59.8%] | +0.109 |
| other_fx(EURUSD・GBPUSD等) | 72 | 32 | 44.4% | [33.5%, 55.9%] | +0.037 |
jpy_fx(ドル円・ユーロ円・ポンド円・豪ドル円)が最も高い66.7%を示しています。4H足との組み合わせでは、FWD jpy_fx × 4H足の17件中16件(94.1%)が勝利しており(小サンプル注意)、4H足の成果をjpy_fxが牽引している構造が見えます。
other_fx(EUR/USD・GBP/USD等)は44.4%と最低水準で、損益分岐付近にとどまっています。RSI逆張りシグナルの集計結果は円クロスペアで相対的に良好、他の通貨ペアでは伸び悩む傾向がうかがえます(メカニズムは次回以降の検証候補)。
⑥ 仮説評価——H1✅ H2✅ H3⚠️境界
| 仮説 | 内容 | 判定 | 数値 |
|---|---|---|---|
| H1 | FWD 4H E(R) のRCI下限 > 0 | ✅ クリア | RCI下限 +0.236(全域プラス) |
| H2 | FWD 1H E(R) のRCIは0をまたぐ | ✅ クリア | RCI [−0.134, +0.217](0をまたぐ) |
| H3 | 4H vs 1H 勝率差 ≥ 20pp | ⚠️ 境界域 | 差 19.7pp(基準20ppに0.3pp届かず) |
H1・H2 は想定どおりの結果で、時間足二極化の構造を確認しました。H3 は 19.7pp と基準20pp に対して0.3pp届かず、事前宣言どおり「クリアせず」として扱います(基準の事後的な緩和は行いません)。今後の累積でどちらに動くかを追い続けます。
⑦ 昇格ストライク記録と今日の折り返し
前向きトラッカーは「2日連続でクラスター補正RCI下限 > 0」を昇格条件としています。直近10日の推移を確認します。
| 日付 | FWD N | 平均E(R) | クラスター補正RCI下限 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| 2026-08-20 | 220 | +0.209 | −0.032 | − |
| 2026-08-21 | 226 | +0.218 | −0.019 | − |
| 2026-08-22 | 232 | +0.227 | −0.006 | − |
| 2026-08-25 | 239 | +0.240 | +0.010 | ✅ 通過 |
| 2026-08-26 | 241 | +0.230 | +0.002 | ✅ 通過 |
| 2026-08-27 | 245 | +0.229 | +0.005 | ✅ ストライク 1/2 |
| 2026-08-28(本日) | 250 | +0.213 | −0.007 | ❌ 折り返し |
昨日(2026-08-27)はRCI下限+0.005と初の昇格ストライクを記録しましたが、本日は−0.007と再びマイナスに転落。昇格条件「2連続」には届きませんでした。
本システムでは、クラスター補正RCI下限が 0 を超えた日を「昇格候補の1回通過」として記録します(promote_strikes=1)。この記録はリセットされず累積します。次にRCI下限がプラスを記録した翌日もプラスであれば、2連続として昇格判定が行われます。
本日の折り返しにより、次回の「2連続通過チャレンジ」に持ち越しとなります。
なお、RCI下限は−0.007と0付近を行き来している状態です。これは「明確に期待値プラスとは言いにくい・しかし明確にマイナスでもない」という境界域を意味します。クラスター補正により、全足合計のCIは保守的に算出されている面もあります(4H足サブセットではRCIが全域プラス)。いずれの解釈も現時点では確定しておらず、判断は今後のデータ蓄積を待ちます。
⑧ 📡 前向きトラッカー定点観測
| 仮説 | 状態 | FWD 現在値 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| rsi_oversold_bounce(全足) | 🔍 tracking | N=250, 平均R +0.213, RCI_lo=−0.007 | 昇格ストライク1/2記録。今日折り返し |
| trend=上昇×reversalL | ✅ 昇格済 | N=254, RCI_lo=−0.046 | 降格警戒1回目(RCI_lo がマイナス圏) |
| tf=4h×dir=long(全シグナル) | ⛔ 反証済 | — | #15 で棄却確定(35.2%、CI上限41%) |
本日の注目は rsi_oversold_bounce の折り返し。ただし「4H足に限定すれば有望」という構造は変わっておらず、全足合計でのRCIが0付近を行き来しているのは1H足の中立性が足を引っ張っているためと解釈できます。
⑨ 次回に向けて
今回の検証で残った主な未解決問題:
- 4H足×jpy_fx の頑健性確認——94.1%(16/17)は小サンプルゆえ、FWD件数の積み上げが最優先。N≥50 になった時点で再検証予定
- なぜ4H足が強いのか——4H足は市場の「メジャーな転換点」を捉えやすい仮説あり。1H足は短期のノイズに引っかかりやすいか?次回以降の仮説候補
- 他のシグナル種別での時間足効果の一般化——rsi_oversold_bounce 以外でも4H足優位が成立するか。#15(tf=4h全体では劣位)と一見矛盾するが、シグナル種別×時間足の組み合わせが鍵の可能性
- 昇格への再挑戦——RCI下限が0付近を行き来する状況が続いている。次の連続2日通過タイミングを注視
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