🧪 AIシグナル研究日誌 #85
RSI売られすぎ×上昇トレンド×ロング 前向きN=21追跡
——IS76.5%からFWD52.4%への軟化、1H足の落ち込みが主因(#68後継)
毎回ひとつの仮説を実データで検証し、結果を全公開する研究日誌の第85回です。今回は、#68(2026-08-13)で新設したトラッカー [w]「rsi=os × 上昇トレンド × ロング」の前向き追跡状況を報告します。
2026-08-11に登録されたこの仮説のIS期間成績は勝率76.5%(N=51)という非常に高い水準でした。前向き期間(FWD、2026-08-11以降)はN=21件が積み上がり、初回の詳細分析を行いました。
① 全期間(IS+FWD)成績:N=72、勝率69.4%(50/72)、E(R)=+0.931、RCI=[+0.556,+1.306]
② IS期間(登録前、N=51):勝率76.5%、E(R)=+1.176(全域プラス)
③ FWD期間(登録後、N=21):勝率52.4%、E(R)=+0.333、RCI=[-0.433,+1.099](確定打なし・蓄積継続)
④ FWD時間足差:1H足=41.2%(N=17)vs 4H足=100%(N=4、小サンプル)——1H主体の軟化が目立つ
⑤ 比較:上昇以外では中立45.7%・下降47.0%——過去データ上は上昇トレンドに絞ったほうが勝率が高い傾向
⑥ 方向非対称:同条件のショートは全期間37.1%(N=35)——ロング特有のエッジを示唆
IS期間=仮説を見つけた過去データの期間(in-sample/トラッカー登録前)。「良く見えて当然」の期間のため、成績は割り引いて読む必要があります。
FWD期間=トラッカー登録後に新しく発火したぶんだけを集めた前向きの期間。再現性はこちらで判断します。
E(R)=1回あたりの平均損益をリスク1単位(R)で表した期待値。プラスなら平均して利益方向、0なら損益トントンの目安です。
RCI=E(R)の95%信頼区間(同日発火をまとめるクラスター補正つき)。下限がプラスなら「期待値がプラスの可能性が高い」、ゼロを跨いでいれば「まだどちらとも言えない」と読みます。
ウィルソンCI=勝率の95%信頼区間。サンプル数が少ないほど幅が広くなります。
損益分岐43%=本日誌が採用するSL/TP設定から算出している、勝率の損益分岐点の目安ラインです。
FDR=多くの条件を一度に試すと偶然の「当たり」が混ざるため、それを補正して見かけの発見を減らす統計手法です。
① 今回の仮説と前向きトラッカーの設定
「RSI売られすぎ(rsi_band=os、RSI≤30)× 上昇トレンド(高位足トレンド=上昇)× ロング」は、#68で発見したパターンです。
IS期間での76.5%という勝率は、シリーズ全85本のなかでも最高水準の一つです。しかし、高いIS成績は過学習(フィッティング)の可能性もあります。前向き期間での再現性を確認するため、2026-08-11に事前宣言トラッカーとして登録しました。
フィルタ:rsi_band=os(RSI≤30)× trend=上昇(高位足が上昇方向)× direction=long(ロング方向)
昇格基準:前向きN≥80かつE(R)のRCI下限がプラスを2回連続で確認
現在値:FWD N=21(宣言基準の26%)——まだ蓄積段階
「RSI売られすぎ×上昇トレンド×ロング」とは
このシグナルは、高位足(4H足が1H足の上位足、日足が4H足の上位足)のトレンドが上昇を示している状況で、ライブの時間足でRSIが30以下まで落ち込んだ後に発火する逆張りロングシグナルです。
- 直感的な解釈:「大きな流れ(上昇)に乗りながら、短期的な売られすぎ(RSI30以下)を買い場として活用する」——いわゆる押し目買いの電子版です
- なぜ上昇トレンドが重要か:上昇トレンドでは、逆張り(買い)シグナルが「トレンドの方向と一致した押し目」として機能しやすかった、と考えられます
- 他トレンドとの差:下降・中立トレンドでの同じRSI売られすぎロングは45〜47%付近(損益分岐ライン付近)と大差ない成績でした
② チャート風図解:上昇トレンドでRSI30割れが発生する瞬間
以下の概念チャートは、「上昇トレンド下でRSIが30以下まで落ち込み(売られすぎ)、逆張りロングシグナルが発動するチャート上の瞬間」を示しています。今回の仮説で扱う発火条件が視覚的にわかります。
③ IS vs FWD 成績の概念図解
④ IS vs FWD の全体成績
signals-log.json から「rsi_band=os(RSI≤30)× trend=上昇 × direction=long」で閉鎖済みシグナルを集計した結果を示します。
| 期間 | N | 勝率 | Wilson CI | E(R) | RCI(95%) |
|---|---|---|---|---|---|
| IS(登録前) | 51 | 76.5% | [63.2%, 86.0%] | +1.176 | [+0.765, +1.588] |
| FWD(登録後) | 21 | 52.4% | [32.4%, 71.7%] | +0.333 | [-0.433, +1.099] |
| 全期間(IS+FWD) | 72 | 69.4% | [58.0%, 78.9%] | +0.931 | [+0.556, +1.306] |
IS期間(N=51)は76.5%・E(R)=+1.176という高い数値でした。しかし前向き期間(FWD)N=21では52.4%・E(R)=+0.333とやや軟化しています。
⑤ 時間足別:1H足と4H足の差
FWD期間(N=21)を時間足で分解すると、注目すべき差が見られます。
| 時間足 | FWD N | FWD 勝率 | FWD E(R) | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 1H足 | 17 | 41.2% | -0.059 | 損益分岐43%をやや下回る・主体(81%) |
| 4H足 | 4 | 100% | +2.000 | ⚠️ N=4・小サンプル(信頼性低い) |
1H足のFWD41.2%は損益分岐(43%)をわずかに下回っていますが、N=17・CI=[21.6%,64.0%]でCIが損益分岐ラインを大きく跨いでおり、確定的に「1H足がダメ」とは言えません。ただし、IS期間でも1H足が多数派であったにもかかわらず全体76.5%だったことを考えると、FWD41.2%は注目すべき軟化です。
⑥ シグナル別:RSI vs BB
「rsi_band=os(RSI≤30)」の条件下で発火するシグナルには主に2種類あります:RSI売られすぎ反発(rsi_oversold_bounce)とBB下限タッチ(bb_lower_touch)です。
| シグナル | IS N / 勝率 | FWD N / 勝率 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| rsi_oversold_bounce | 33 / 69.7% | 14 / 42.9% | FWDで軟化(損益分岐付近) |
| bb_lower_touch | 18 / 88.9% | 5 / 60.0% | FWDはN=5小・参考値のみ |
IS期間ではBB下限タッチが88.9%と特に高い成績でしたが、FWDはN=5と非常に少なく参考程度です。主体のrsi_oversold_bounceはFWDで42.9%(損益分岐付近)に下がっており、E(R)はほぼゼロ(±0)です。ただし、N=14ではRCI幅が±1R程度と非常に広く、確定打とはなっていません。
⑦ ベンチマーク:上昇 vs 中立 vs 下降
「rsi=os × ロング」の同一母集団で、高位足トレンド別の全期間成績を比較します。
| トレンド | N | 勝率 | CI | E(R) |
|---|---|---|---|---|
| 上昇(今回の対象) | 72 | 69.4% | [58.0%, 78.9%] | +0.931 |
| 中立・もみあい | 140 | 45.7% | [37.7%, 54.0%] | +0.100 |
| 下降 | 115 | 47.0% | [38.1%, 56.0%] | +0.143 |
ただし、全72件のうちIS期間が51件(71%)を占めており、IS期間の高い勝率が全体平均を引き上げています。FWD21件だけで見ると52.4%であり、ベンチの45〜47%との差は縮まっています。
⑧ 方向非対称:ロング vs ショート
同じ「rsi_band=os × 上昇トレンド」の条件で、ロングとショートを比較します。
| 方向 | N(全期間) | 勝率 | CI | E(R) |
|---|---|---|---|---|
| ロング(今回の対象) | 72 | 69.4% | [58.0%, 78.9%] | +0.931 |
| ショート | 35 | 37.1% | [23.2%, 53.7%] | -0.200 |
上昇トレンドでRSIが売られすぎ水準まで落ちた場合、ロング(押し目買い)は69.4%、ショートは37.1%という32ppの方向非対称があります。上昇トレンド下でRSIが過売り状態まで落ちても、ショートは大幅に劣後していました。トレンドに逆行する方向であることが背景にあると考えられます。
上昇トレンド下でRSIが30以下まで落ちること自体が「一時的な売られすぎ」を意味します。大きな流れ(上昇)に逆らってショートを仕掛けると、押し目終了からの反発で損切りになるケースが多くなったと考えられます。逆に、ロング(押し目買い)はこの反発を捉えやすい位置にあったと解釈できます。
⑨ 現時点の判定
以下の3点が今回の暫定的な検証結果です。
「rsi=os × 上昇 × ロング」は全期間(N=72)で69.4%、E(R)=+0.931・RCI全域プラス[+0.556,+1.306]。中立・下降トレンドとの22〜23ppの成績差は、ウィルソンCIが重ならない水準でした。過去データ上は、上昇トレンドへの絞り込みがフィルタとして機能していたと考えられます。ただしこの母集団の71%はIS期間(仮説を見つけた期間)のデータであり、前向き期間だけで同じ差が続くかはまだ確認できていません。
FWD勝率52.4%・E(R)=+0.333・RCI[-0.433,+1.099]——RCIがゼロを大きく跨いでおり、現時点では「確実にエッジがある」とも「エッジが消えた」とも言えません。特に1H足主体(81%)のFWDで41.2%という軟化は注目点です。昇格宣言基準(N≥80)到達まであと59件が必要です。
① FWD N=40通過時:CI幅が若干狭まり、傾向がより明確になる
② FWD N=80通過時:昇格宣言の判定(RCI下限プラスが2回連続か確認)
③ 1H足 vs 4H足:4H足がN=20程度に積み上がった時点で初回の比較が可能に
📡 前向きトラッカー定点観測
本日(2026-08-31)時点の主要トラッカー状況です。
| 仮説 | 登録日 | FWD k/N | 勝率 | E(R) | RCI(95%) | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| rsi=os×上昇×ロング【今回】 | 2026-08-11 | 11/21 | 52.4% | +0.333 | [-0.43,+1.10] | edge蓄積中 |
| 逆張り買い(reversalL) | 2026-06-25 | 346/707 | 49% | +0.142 | [+0.02,+0.26] | ⛔反証 |
| trend=下降×reversalL | 2026-06-25 | 116/215 | 54% | +0.259 | [+0.05,+0.47] | ⛔反証 |
| trend=下降(gate) | 2026-06-25 | 350/736 | 48% | +0.110 | [+0.02,+0.20] | ⛔反証 |
| tier=good | 2026-06-25 | 250/489 | 51% | +0.193 | [+0.05,+0.33] | ⛔反証 |
| group=btc×reversalL | 2026-06-19 | 29/53 | 55% | +0.277 | [-0.09,+0.64] | edge蓄積中 |
| もみあい×ショート | 2026-06-17 | 88/251 | 35% | -0.182 | [-0.35,-0.02] | ⛔反証 |
| 上昇×reversalL | - | - | - | - | - | 降格(#83) |
| 上昇配置×ロング | - | - | - | - | - | 降格(#84) |
本日のスイープ(signal_lab_sweep.py)ではFDR通過候補ゼロ(新規仮説なし)でした。トラッカー登録はゼロ件です。
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