🧪 AIシグナル研究日誌 #86
売られすぎ反発シグナル(rsi_oversold_bounce)の足種二極化
——4H足でCI下限52%超のエッジ確立、1H足は38%で無エッジ(FWD N=257)
毎回ひとつの仮説を実データで検証し、結果を全公開する研究日誌の第86回です。今回は、2026年6月16日にトラッカーへ登録した仮説 「売られすぎ反発シグナル(rsi_oversold_bounce)・全足」の前向き追跡(FWD)成績を詳しく分析します。
前回(#84・#85)で下降・上昇トレンドとの組み合わせを検証しましたが、今回は 足種(時間足)による二極化 を中心に報告します。4H足がCI下限52%超のエッジを確立した一方、1H足はCI下限38%で無エッジ。合計N=257件の前向き積み上げにより、#78(2026-08-24)で報告した足種差がその後も維持されているかを確認します。
① FWD全体(N=257):勝率52.5%(135/257)、ウィルソンCI[46.4%,58.6%]——CI下限が50%を下回るため全体では「まだ確定」とは言えない
② 4H足(N=72):勝率63.9%(46/72)、CI[52.4%,74.0%]——CI下限が52.4%と50%を超え、エッジ確立
③ 1H足(N=173):勝率45.7%(79/173)、CI[38.4%,53.1%]——CI下限38.4%でエッジなし
④ IS期間(N=133):勝率39.1%(52/133)、CI[31.2%,47.6%]——FWDが大幅に上回る珍しいパターン
⑤ 4H×jpy_fx限定(N=17):勝率94.1%(16/17)、CI[73.0%,99.0%]——N小のため参考値。過信に注意
⑥ 高位足トレンド=上昇(N=66):勝率66.7%(44/66)、CI[54.7%,76.8%]——トレンド整合が顕著に効く
⑦ 昇格トラッカー:promote_strikes=1(昇格基準=期待値ベースのCI下限プラスを2回連続。現在1回目であり、昇格を約束するものではありません)
IS期間=仮説を見つけた過去データの期間(in-sample/トラッカー登録前)。「良く見えて当然」のため割り引いて読む。
FWD期間=トラッカー登録後に新たに発火したぶんだけを集めた前向きの期間。再現性の判断に使う。
ウィルソンCI=勝率の95%信頼区間。CI下限が50%を超えると「プラス期待値の可能性が高い」と読める。
損益分岐43%=本日誌で採用するSL/TP設定(ATR×1.5/2.0)から算出した、勝率の損益分岐点の目安。
promote_strikes=昇格トラッカーの連続合格回数。本トラッカーの昇格基準は勝率ではなく期待値ベース(1トレードあたり平均Rのウィルソン CI 下限がゼロを上回ること)で、これを2回連続で確認すると「昇格」。
① 今回の仮説と設定
「rsi_oversold_bounce」とは、RSIが30以下の「売られすぎ」水準まで低下した後に発動する逆張りロングシグナルです。本シリーズでは2026年6月16日に「rsi_oversold_bounce・全足(1H/4H/1D合計)」を前向きトラッカーへ事前登録しました。
IS期間(登録前・N=133)の勝率は39.1%と低調でしたが、FWD期間(登録後・N=257)では52.5%に改善しています。今回のN=257は、足種別の分析に十分なサンプル数が揃ったため、詳細な時間足別分解を行います。
シグナル種別:rsi_oversold_bounce(RSI≤30での逆張りロング)
対象足種:全足(1H・4H・1D混合)
IS/FWD境界:2026-06-16(登録日)
昇格基準:平均R(期待値)の CI 下限>0 を2回連続で確認すると「昇格」(メール配信対象に昇格)
現在:promote_strikes=1(2026-08-28〜08-31は期待値CI下限がマイナスで不合格→2026-09-01にプラス転換・1回目確認)
② 足種別勝率チャート(CI付き)
以下のチャートは、FWD期間の足種別勝率(棒グラフ)と95%信頼区間(縦線)を示します。横点線(50%)をCI下限が超えているかどうかが、エッジ有無の判断基準です。
③ IS vs FWD 全体成績
IS期間とFWD期間の全体成績を比較します。ISは登録前・FWDは登録後の「前向き」データです。
| 期間 | 件数 (N) | 勝ち数 (k) | 勝率 | ウィルソンCI (95%) | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| IS(登録前) | 133 | 52 | 39.1% | [31.2%, 47.6%] | CI上限47.6%<50% → エッジなし |
| FWD(登録後) | 257 | 135 | 52.5% | [46.4%, 58.6%] | CI下限46.4%<50% → 蓄積継続中 |
一般的にIS成績がFWDより高い(過学習の劣化)ことが多いですが、このシグナルはIS=39.1%からFWD=52.5%へ逆に改善しています。IS期間に多かった下降相場での不利な環境が改善された可能性や、4H足での発火比率変化などが一因として考えられます。ただし、FWD全体のCI下限はまだ46.4%と50%を下回るため、全体としての「エッジ確立」には至っていません。
④ 時間足別:4H足と1H足の二極化
FWD期間のデータを時間足(1H・4H・1D)に分解すると、明確な二極化が観察されます。
| 時間足 | FWD N | k / n | 勝率 | ウィルソンCI (95%) | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1H足 | 173 | 79 / 173 | 45.7% | [38.4%, 53.1%] | ⚠ CI下限38.4% → エッジなし |
| 4H足 | 72 | 46 / 72 | 63.9% | [52.4%, 74.0%] | ✅ CI下限52.4% → エッジ確立 |
| 1D足 | 12 | 10 / 12 | 83.3% | [55.2%, 95.3%] | 🔍 CI下限55.2% → N=12 小サンプル |
4H足では、46/72件という成績で勝率63.9%。95%信頼区間のCI下限が52.4%と、50%を明確に上回っています。N=72は信頼性を議論できるサンプル数であり、このシグナルが「4H足では有意なエッジを持つ可能性がある」という傾向が#78に続いて維持されています。
1H足では、79/173件という成績で勝率45.7%。N=173とサンプル数は十分ですが、CI下限が38.4%と50%を大きく下回ります。損益分岐43%のラインにも近く、現時点では1H足でのrsi_oversold_bounceシグナルに継続的な優位性があるとは判断できません。
1D足は10/12件で勝率83.3%とCI下限55.2%を示していますが、N=12という小サンプルのため、信頼区間の幅がCI[55.2%,95.3%]と非常に広くなっています。参考値として押さえつつ、実際のトレード判断の根拠には使わないことを推奨します。
⑤ グループ別:jpy_fx銘柄の強さ
FWD期間をグループ(銘柄カテゴリ)別に分解します。下表はすべてのグループを掲載していますが、各グループ内の個別銘柄間のばらつきは反映されていません。
| グループ | FWD N | k / n | 勝率 | ウィルソンCI (95%) |
|---|---|---|---|---|
| jpy_fx | 48 | 32 / 48 | 66.7% | [52.5%, 78.3%] |
| metal | 35 | 19 / 35 | 54.3% | [38.2%, 69.5%] |
| btc | 13 | 7 / 13 | 53.8% | [29.1%, 76.8%] |
| oil | 22 | 11 / 22 | 50.0% | [30.7%, 69.3%] |
| index | 61 | 29 / 61 | 47.5% | [35.5%, 59.8%] |
| other_fx | 78 | 37 / 78 | 47.4% | [36.7%, 58.4%] |
jpy_fxグループ(USDJPY・EURJPY・GBPJPY・AUDJPY)が32/48件、66.7%とCI下限52.5%でエッジを示しています。一方、index・other_fxは47〜47.5%と損益分岐付近にとどまり、グループによって性格が大きく異なります。
⑥ 高位足トレンド別
高位足(上位の時間足)のトレンド方向と勝率の関係を分析します。
| 高位足トレンド | FWD N | k / n | 勝率 | ウィルソンCI (95%) |
|---|---|---|---|---|
| 上昇 | 66 | 44 / 66 | 66.7% | [54.7%, 76.8%] |
| 下降 | 100 | 41 / 100 | 41.0% | [31.9%, 50.8%] |
高位足トレンドが「上昇」の場合、44/66件で勝率66.7%・CI[54.7%,76.8%]。「下降」では41/100件で勝率41.0%・CI下限が31.9%にとどまります。「逆張り買いは大きな流れが上昇のときに効きやすい」という経験則が、前向きデータでも確認されました。
※ 本表は対比が明確な上昇/下降の2区分のみを掲載しており、「中立・もみあい」区分は含みません(上昇66+下降100=166件で合計N=257と一致しません)。
※ 4H足(N=72)と高位足トレンド=上昇(N=66)は独立集計ですが、サンプルが重複している部分があります(4H×上昇トレンドの組み合わせが両方に計上されています)。両条件を同時に要求した場合のNは66以下になります。
⑦ キーコンボ:4H×jpy_fx(参考値)
4H足とjpy_fxグループを組み合わせた限定コンボが、特に目を引く結果となりました。なお、下表は代表的なコンボのみを掲載しており、すべての組み合わせを網羅したものではありません。
| コンボ | FWD N | k / n | 勝率 | ウィルソンCI (95%) |
|---|---|---|---|---|
| 4H×jpy_fx | 17 | 16 / 17 | 94.1% | [73.0%, 99.0%] |
| 4H×metal | 9 | 6 / 9 | 66.7% | [35.4%, 87.9%] |
| 4H×index | 12 | 7 / 12 | 58.3% | [32.0%, 80.7%] |
| 4H×other_fx | 26 | 13 / 26 | 50.0% | [32.1%, 67.9%] |
N=17という極めて小さなサンプルで94.1%という高勝率が出ていますが、これは信頼区間の幅からも分かる通り(CI[73.0%,99.0%])、不確実性が非常に大きい結果です。「17件中1件しか負けていない」という事実は注目に値しますが、これを「4H足のjpy_fxは94%勝てる」と解釈するのは過剰です。N=50程度まで積み上がった時点で改めて評価します。
⚠ 本表は過去データの集計であり、特定コンボについて売買を推奨するものではありません。将来の成績を保証するものではなく、小サンプル(N=17)での高勝率は偶然の要素を多分に含みます。
⑧ FWD月次推移チャート
FWD期間(2026年6月〜8月)の月次勝率の推移を示します。
注目すべきは、6月の低調(40.3%)が7月以降に改善されていることです。FWD期間の最初の月は市場環境の変化で初期に低パフォーマンスになることがあります。7月〜8月での安定は前向きなデータですが、まだ3ヶ月分の観察であり、判断は継続が必要です。
⑨ 現時点の判定
4H足(N=72、63.9%、CI下限52.4%)は、#78に続き、本記事の集計時点でも「エッジ確立」の水準を維持しています。CI下限が50%を超えており、rsi_oversold_bounceが4H足において統計的に有意な優位性を持つ可能性を示しています。
一方、全体(N=257、52.5%、CI下限46.4%)および1H足(N=173、45.7%、CI下限38.4%)では、CI下限が50%を下回るため、全体としての「エッジ確立」には至っていません。過去データ上は優位性が確認できていない、という整理にとどまります。
追加観察:ISよりFWDが高い理由の仮説
- IS期間(〜2026-06-16)は全体的に下降・横ばい相場が多く、売られすぎ逆張りが機能しにくい環境だった可能性
- FWD期間(2026-06〜)は7月の回復相場など、逆張りが機能しやすい局面が増えた可能性
- ただしこれらは仮説であり、次の相場環境によって反転する可能性もある
今後の着目点
- 4H×jpy_fx(現在N=17、94.1%):N=30〜50まで積み上がった時点での検証が重要
- 高位足トレンド=上昇(N=66、66.7%):N=100超でのCI下限確認
- promote_strikes=2への到達:次回チェックポイントで期待値(平均R)のCI下限プラスを再確認すれば昇格判断
⑩ 📡 前向きトラッカー定点観測
下表は、このシリーズが管理している前向き昇格トラッカーの現在状態です。本日(2026-09-01)時点のデータです。
| 仮説ラベル | 登録日 | FWD N | FWD 勝率 | FWD CI 下限(勝率) | promote_strikes | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| rsi_oversold_bounce・全足 | 2026-06-16 | 257 | 52.5%(135/257) | 46.4% | 1 / 2 | 🟡 蓄積中(昇格まで1回) |
| rsi_oversold_bounce・4H足限定 | — | 72 | 63.9%(46/72) | 52.4% | — | ✅ 4H足はエッジ確立 |
※ 昇格判定は「FWD CI 下限(勝率)」ではなく、期待値(平均R)のウィルソン CI 下限で行います。勝率CI下限46.4%は昇格基準ではありません。
promote_strikes は「期待値(1トレードあたり平均R)のウィルソン CI 下限がゼロを上回るチェックポイントを連続で確認した回数」です。勝率ではなく期待値ベースの基準であることに注意してください。2回連続で確認されると「昇格」となり、本シリーズのアラート配信対象として継続観察されます。特定の売買を推奨するものではありません。 2026-08-28〜08-31は期待値CI下限がマイナスで不合格でしたが、2026-09-01にプラス転換し1回目の確認が完了しました。
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