🧪 AIシグナル研究日誌 #93
RSI 64% vs BB 43%——上昇トレンド逆張りロングで二極化が深まった理由
毎回ひとつの仮説を実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第93回です。
今回は「上昇トレンド×逆張りロング」(以下 trend=上昇×reversalL)の前向き検証の現状を解剖します。この仮説は2026年6月22日にトラッカーへ登録され、現在も前向き観察中です。前向きN=290まで積み上がったところで、シグナルを種別(RSIとBB)に分けると21.6ppもの二極化が生じていることが判明しました。
① 前向き全体(N=290)の勝率は47.9%、E(R)=+0.118 で昇格基準(CI下限>0が2回連続)を満たせず 降格警戒継続(strikes=1)
② RSI過売り反発は前向きで64.3% CI[52.6%,74.5%]——IS期間52%から大幅改善
③ ボリンジャー下限タッチは前向きで42.7% CI[36.4%,49.3%]——IS期間53.9%から悪化
④ IS期間はRSI52.0%・BB53.9%でほぼ同等だったにもかかわらず、前向きで21.6ppの二極化が発生
⑤ 指数グループ(ES/NQ/NKD等)は38.2% CI上限49.4%——グループ別最低
① 今回の仮説——昇格トラッカーの降格警戒
「上昇トレンド×逆張りロング」とは、上位足のトレンドが上昇方向のときに、RSI過売り反発(rsi_oversold_bounce)またはボリンジャー下限タッチ(bb_lower_touch)でロングエントリーするという組み合わせです。トレンド方向に押し目・逆張りで入る、いわば「流れに乗った押し目買い」の変形です。
この仮説は2026年6月22日にトラッカーへ昇格登録されました。しかし前向き観察を続けるうちに、期待リターンのCI下限がマイナスに転落する状態が続いており、現在は「降格警戒」フラグ(demote_strikes=1)が立っています。前向きN=290時点の現状を解剖するのが今回の目的です。
本トラッカーでは「昇格条件:前向きN≥80かつ平均R(期待リターン)の95%CI下限>0が2回連続」を採用しています。これを満たせなかった回数が demote_strikes で、2回連続で失敗すると降格となります。現在は1回目が失敗しており、警戒段階です。
本日のスイープ解析でFDR通過の新規候補はゼロでした。そのため、前向き検証が継続中でかつ降格警戒という「動きのある仮説」を本日のテーマとして選びました。
② 検証方法(IS/FWD期間分離)
signals-log.json から、決済済み(tp1/tp2/sl)のシグナルのみを対象とします。未決済・expired・no_plan は除外します。
- IS期間(In-Sample):fired_at < 2026-06-22(トラッカー登録前・N=101)
- FWD期間(前向き):fired_at ≥ 2026-06-22(トラッカー登録後・N=290)
- reversalL条件:方向=ロングかつ primary_signal が rsi_oversold_bounce または bb_lower_touch のいずれか
- trend条件:trend_alignment.higher_tf_trend =「上昇」
- 勝ち:tp1 または tp2 に到達したもの(+1.33R または +2.0R)
- 負け:sl に到達したもの(-1.0R)
- 信頼区間:ウィルソン法による95%CI
③ RSI vs BBの二極化——ISとFWDの比較
今回の最大の発見は、IS期間では両者がほぼ同等だったにもかかわらず、前向き期間で大きく乖離したことです。
図1:IS期間と前向き期間でのRSI vs BBの勝率変化。ISでは両者52〜53%で同等だったが、前向きでRSIが64.3%、BBが42.7%に分岐した。損益分岐ラインは43%(赤破線)。
IS期間(トラッカー登録前)では、RSI(52.0%・N=25)とBB(53.9%・N=76)はほぼ同等の成績でした。差はわずか1.9ppです。
ところが前向き期間(トラッカー登録後・N=290)では様相が一変しました。RSI(64.3%・N=70)とBB(42.7%・N=220)の間に21.6ppの大きな差が生まれています。BBは損益分岐(43%)とほぼ同水準に落ち込んでいます。
これは「RSIが前向きで性能向上した」か「BBが前向きで劣化した」か、またはその両方が起きたことを示唆します。IS期間は両者が同等だったため、偶然のばらつきだけで説明するのは難しいように見えます。ただしIS期間のRSIはN=25と限られるため、断定はできません。
| 期間 | シグナル | N | 勝ち | 勝率 | 95%CI | 平均R |
|---|---|---|---|---|---|---|
| IS(〜06-22) | 全体 | 101 | 54 | 53.5% | — | — |
| IS(〜06-22) | RSI | 25 | 13 | 52.0% | — | — |
| IS(〜06-22) | BB | 76 | 41 | 53.9% | — | — |
| 前向き(06-22〜) | RSI | 70 | 45 | 64.3% | [52.6%, 74.5%] | +0.500 |
| 前向き(06-22〜) | BB | 220 | 94 | 42.7% | [36.4%, 49.3%] | -0.003 |
| 前向き(06-22〜) | 全体 | 290 | 139 | 47.9% | [42.2%, 53.7%] | +0.118 |
④ RSI過売り反発:4H足は72.4%(N=29)
RSI過売り反発(rsi_oversold_bounce)は前向きで64.3%と高い勝率を示していますが、時間足で分解するとさらに興味深い構造が見えます。
- RSI×4H足:N=29、k=21、勝率72.4% CI[54.3%, 85.3%]
- RSI×1H足:N=31、k=15、勝率48.4% CI[32.0%, 65.2%]
4H足では72%台という高い勝率が出ています。これは以前の研究日誌(#74)で確認した「rsi_oversold_bounce 4H足の優位性(67.8%)」とも整合します。一方、1H足ではCI幅が広く(32〜65%)エッジは不明確です。
過去データ上では、CI下限54.3%が損益分岐43%を上回っていました。ただしN=29は小サンプルで、将来も同様の結果になるとは限りません。継続観察が必要です。
⑤ 指数グループ:38%崩落の背景
グループ別に見ると、指数(ES=F、NQ=F、NKD=Fなど)の前向き成績が際立って低調です。
図2:前向き期間(N=290)のグループ別勝率。指数グループが38.2%と最低、CI上限49.4%でも損益分岐付近。BTCと原油が57.1%で最高。
| グループ | N | 勝ち | 勝率 | 95%CI |
|---|---|---|---|---|
| 指数(ES/NQ/NKD等) | 76 | 29 | 38.2% | [28.1%, 49.4%] |
| 円クロス FX(JPY) | 85 | 42 | 49.4% | [39.0%, 59.8%] |
| その他 FX(USD/AUD) | 74 | 39 | 52.7% | [41.5%, 63.7%] |
| 金属(GC/SI) | 19 | 9 | 47.4% | [27.3%, 68.3%] |
| BTC | 21 | 12 | 57.1% | [36.5%, 75.5%] |
| 原油(CL) | 14 | 8 | 57.1% | [32.6%, 78.6%] |
指数グループの38.2%は、CI上限49.4%でも損益分岐43%を大きく超えられていません。この傾向は過去の研究(#47・#73)でも繰り返し確認されており、指数での逆張りロングには構造的な弱さがある可能性があります。
指数グループのシグナル大半はBBシグナル(bb_lower_touch)です。過去の研究日誌(#73)では、BB×指数が最も弱いサブセグメント(約32〜33%水準)として報告されています。本記事では再集計していない参考値ですが、これが指数グループ全体の平均を押し下げている可能性があります。
上昇トレンド中でも、指数でのbb_lower_touch逆張りロングは損益分岐を下回る成績が続いています(CI上限49%)。これは「上昇トレンドだからといってどんな逆張りも通用するわけではない」ことを示しています。
📡 前向きトラッカー定点観測
以下は「trend=上昇×reversalL」トラッカーの現在の状態です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ステータス | 📡 監視中(降格警戒) |
| 前向きN | 290 |
| 前向き勝率 | 47.9%(139/290) |
| 前向き CI | [42.2%, 53.7%] |
| 期待リターン E(R) | +0.118 |
| E(R) 95%CI下限 | -0.016(マイナス継続) |
| demote_strikes | 1(警戒:1回目の未達。次回も未達なら降格) |
| 昇格条件 | 前向きN≥80かつRCI下限>0が2回連続(未達) |
| demote発生時点 | 評価N=248(demote_strikes設定) |
| 直近RCI下限推移 | -0.053(N=253時点)→ -0.040(N=289)→ -0.016(N=290)(改善傾向あるが依然マイナス) |
図3:RCI下限(期待リターン95%CI下限)の推移(概念図)。N=248評価時点でdemote_strikes=1が付与。N=253時点でRCI下限=-0.053、N=289で-0.040、N=290で-0.016まで改善傾向。※N=248以降は実測値、N=100・N=200 は推移の向きを示すための概略値です。
RCI下限は2026年8月27日(N=253時点)からマイナスが続いており、N=289時点でも-0.040という状態です。N=290時点では-0.016まで改善傾向が見られますが、昇格基準(RCI下限>0)にはまだ届いていません。
demote_strikes=1 の状態で次の評価(前向きN≥280を超えた任意の評価タイミング)でも昇格基準未達だった場合、このトラッカーは降格となります。
⑦ 今回の評価と次のチェックポイント
今回判明したこと
- IS期間には存在しなかった二極化が前向き期間で発生している(RSI 64% vs BB 43%)
- RSIシグナルは上昇トレンド環境で高い勝率を示していました(前向き期間)——特にRSI×4H足(72.4%)が際立つ
- BBシグナルは期待リターンがほぼゼロ(E(R)=-0.003)で昇格基準を満たせていない
- 指数グループは繰り返し弱さが確認されており、構造的な問題がある可能性がある
次のチェックポイント
- 前向きN≥300 時点での E(R) RCI下限の符号(プラスに転換するか)
- RSI×4H足の継続観察(N=29はまだ小サンプル、N=40〜50で再評価)
- BB×指数の動向(構造的な崩落が続くか、回復するか)
事前宣言基準の対応
今回は新規仮説の採択・棄却ではなく、継続観察中の仮説の現状解剖です。記録:前向きN=290時点で E(R)=+0.118、RCI下限=-0.016。降格警戒継続(demote_strikes=1)。次評価でRCI下限がプラスに転じれば警戒解除、再度マイナスなら降格。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言・売買推奨ではありません。記載の数値・分析は過去の自システムデータ(signals-log.json)に基づく後付け・反実仮想集計であり、将来の運用成績を保証するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本が保証されるものではありません。投資判断はご自身の責任のもと行ってください。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録を受けていません。