🧪 AIシグナル研究日誌 #94
上昇トレンド×逆張り買い N=295——
RSI戦略63% vs BB戦略43%の20pp分化
⚡ 30秒でわかる(今日の発見)
今回の集計では、上昇トレンド中の逆張り買いはシグナル種別で数値が分かれていた。RSIが30以下に落ちてからの買い戻しは63%台だった一方、ボリンジャーバンド下限タッチ(BB)は損益分岐をわずかにまたぐ水準にとどまった。指数グループが全体の数値を押し下げる形になっている。いずれも過去の決済済みシグナルの集計であり、将来の成果を示すものではない。損益分岐43%・N=295・IS/FWD分離検証済み。
① 上昇トレンド×逆張り買いとは
このシステムが監視する18銘柄では、毎回のシグナル発火時に「上位足(日足)のトレンド方向」を記録しています。今回分析するのは、その上位足が上昇トレンドと判定された局面で、かつ逆張り買い(reversalL)が発火したケースです。
逆張り買いとは、価格が一時的に下落した局面で「買い」方向に判定されるシグナルです。具体的には次の2種類が含まれます。
- rsi_oversold_bounce:RSI(相対力指数)が30以下の「売られすぎ」水準に達したとき
- bb_lower_touch:ボリンジャーバンドの下限(±2σ)に価格が触れたとき
上昇トレンド中の押し目は「再上昇の起点になりやすい」という考え方があります。この記事では、その直感が実際のデータで支持されるかを確認します。
② これまでの経緯
この仮説(trend=上昇×reversalL)は2026年6月22日に前向きトラッカーに登録されました。登録前のデータ(IS)では101件中54件が勝ち=53.5%と、損益分岐43%を大きく上回っていました。
前回の詳細解析(#073)では、前向きN=205の時点で以下が判明していました。
- 指数グループ(S&P500先物・日経CMEなど)が33%台に崩落して全体を引き下げ
- JPYクロス(円クロス)は57%台を維持
- RSI系シグナルが比較的堅調、BB系がやや弱い傾向
今回はN=295まで拡大したデータで改めて確認します。
③ 今回の事前合否基準
📋 検証前に宣言した合否基準
| 仮説 | 基準 | 結果 |
|---|---|---|
| H1:rsi_oversold_bounce × 上昇のCI下限が43%超 | CI下限 > 43% | ✅ 51.8% > 43% |
| H2:bb_lower_touch × 上昇のCIが43%をまたぐ(エッジなし) | CIが43%をまたぐ | ✅ CI[37.0%,49.9%]がまたぐ |
| H3:指数グループのFWDが43%を下回る | 勝率中央値 < 43% | ✅ 38.5% < 43% |
3つの仮説すべてが確認されました。これは前回(#073)の傾向が引き続き維持されていることを示します。
④ IS vs FWD:53.5%から48.1%への推移
まず全体像を確認します。
| 期間 | N | 勝率 | 95%CI | 平均R |
|---|---|---|---|---|
| IS(登録前・〜2026-06-21) | 101 | 53.5% | [43.8%, 62.9%] | +0.247 |
| FWD(登録後・2026-06-22〜) | 295 | 48.1% | [42.5%, 53.8%] | +0.123 |
登録前(IS)の53.5%から、前向き検証(FWD)では48.1%に低下しています。差は約5.4ポイントです。
FWDの95%信頼区間は[42.5%, 53.8%]で、損益分岐の43%を下限がわずかに上回っています。ただし、クラスター補正(相関の高いシグナルを1件にまとめる処理)を加えると信頼区間下限はゼロ付近まで下がります(tracker表示:rci_lo = -0.03)。
IS期間は「データを見て仮説を立てた」後のデータのため、高めに出やすい傾向があります(過学習・後知恵バイアス)。前向きFWDで5pp程度下がるのは自然なことです。重要なのはFWDでも損益分岐を上回っているかどうかです。
⑤ シグナル分化:RSI 63% vs BB 43%
今回の集計で目立ったのは、2つのシグナル種別の間に20ポイント以上の差が見られた点です(いずれも過去データの集計値です)。
| シグナル | FWD N | FWD 勝率 | 95%CI | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| rsi_oversold_bounce(RSI売られすぎ) | 71 | 63.4% | [51.8%, 73.6%] | ✅ CI下限51.8%が43%を大きく超える |
| bb_lower_touch(BB下限タッチ) | 224 | 43.3% | [37.0%, 49.9%] | ⚠️ CIが43%をまたぐ(エッジ不明瞭) |
なぜこのような差が生まれるのでしょうか?RSI売られすぎはRSIが30を下回るという「より強い売られすぎ」の条件を要求するため、上昇トレンド中では「本当に一時的な押し目」を比較的拾いやすかった可能性があります。一方BB下限タッチは、上昇トレンド中でも発火しやすく(件数が3倍以上)、結果が分散していた可能性があります。いずれも確認された因果ではなく、解釈の一案にすぎません。
⑥ グループ別:指数38%が引き下げ主因
| グループ | FWD N | FWD 勝率 | 95%CI | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| 指数(S&P500、日経など) | 78 | 38.5% | [28.4%, 49.6%] | ❌ 損益分岐割れ |
| 円クロス(jpy_fx) | 85 | 49.4% | [39.0%, 59.8%] | 🟡 中立(CIが43%をまたぐ) |
| 他FX(EURUSD、GBPUSD等) | 74 | 52.7% | [41.5%, 63.7%] | 🟡 相対的に高いがCI下限はほぼ43% |
| メタル(金・銀) | 20 | 50.0% | [29.9%, 70.1%] | 小N・参考値のみ |
| BTC | 22 | 59.1% | [38.7%, 76.7%] | 小N・参考値のみ |
指数グループ(NKD=F、ES=F、NQ=F など)での上昇トレンド×逆張り買いがなぜ弱いかについては、複数の可能性が考えられます。
- トレンドの強さ:上昇局面の指数は勢いが強く、「一時的な押し目」がそのまま下落に転じるケースがある
- BB系の比重:指数グループのうち大半がBB下限タッチであり、BB系の弱さが影響している可能性
- クールダウン設定:指数銘柄のシグナルは品質が均一でない可能性も
other_fx(EURUSD、GBPUSD等)は52.7%と、グループ間では相対的に高い水準でした。ただし上表のとおりCI下限は損益分岐43%を下回っており、差が偶然の範囲にとどまる可能性も残ります。FXペアは株価指数よりもトレンドの持続性が安定しやすいという見方もありますが、本記事のデータだけでは検証できていません。
⑦ 前向きトラッカーの状態(降格警戒1回目)
前向きトラッカーは「昇格後の成績が悪化したら降格させる」仕組みを持っています。具体的には、期待値CI下限が0を下回る状態が2回連続で観測されると降格となります。
| チェック | FWD N | 期待値(avgR) | 95%CI(rci) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 前々回(2026-08-27 頃) | 253 | +0.116 | rci_lo = -0.053 | ⚠️ 降格警戒1回目 |
| 今回(2026-09-10) | 293 | +0.131 | rci_lo = -0.030 | ⚠️ 降格警戒継続中(1/2) |
rci_lo(期待値の信頼区間下限)が-0.03と、マイナス側にわずかに触れている状態です。2回連続でこの状態が確認されると降格となりますが、現時点では「降格警戒1回目」の状態が続いています(demote_strikes=1)。
「期待値CI下限 > 0」が昇格の基準です。FWD全体の期待値は+0.131Rとプラスですが、クラスター補正(相関シグナルを1件にまとめる処理)を加えると信頼区間が広がり、下限がわずかにマイナスになります。このため「昇格維持中だが降格警戒局面」という状況が続いています。シグナル種別(rsi_oversold_bounce)やグループ(other_fx)に絞った集計では相対的に高い数値が出ていますが、いずれも過去の集計結果であり、特定の条件での取引を勧めるものではありません。
⑧ 前向きトラッカー定点観測(2026-09-10)
このシリーズで追跡している全仮説の現在値です。このシステムでは仮説の合否を「事前に宣言した基準に従って」判定しています。
📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| trend=上昇×reversalL | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.13 CI[-0.03~+0.29](142/293・勝率48%) | ✅昇格 |
| group=all | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.03 CI[-0.03~+0.09](1383/3137・勝率44%) | 🟡蓄積中 |
| blocked=False | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.03 CI[-0.04~+0.09](1100/2497・勝率44%) | 🟡蓄積中 |
| blocked=False×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.04 CI[-0.04~+0.12](874/1960・勝率45%) | 🟡蓄積中 |
| tf=4h×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.07 CI[-0.05~+0.18](391/855・勝率46%) | 🟡蓄積中 |
| group=index | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.04 CI[-0.13~+0.06](350/847・勝率41%) | 🟡蓄積中 |
| tier=neutral | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.04 CI[-0.05~+0.13](371/830・勝率45%) | 🟡蓄積中 |
| group=other_fx×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.02 CI[-0.10~+0.14](309/706・勝率44%) | 🟡蓄積中 |
| 指数×ロング(全足ライブ) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.00 CI[-0.15~+0.15](295/690・勝率43%) | 🟡蓄積中 |
| ステート 上昇配置(>MA25&75)×ロング | edge | 前向きN≥30かつ平均RのCI下限>0🏁 | 平均R +0.08 CI[-0.06~+0.22](287/620・勝率46%) | 🟡蓄積中 |
| blocked=False×dir=short | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R -0.01 CI[-0.13~+0.11](238/561・勝率42%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.06 CI[-0.09~+0.22](181/398・勝率46%) | 🟡蓄積中 |
| 売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足) | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.17 CI[-0.01~+0.35](162/323・勝率50%) | 🟡蓄積中 |
| trend=中立・もみあい×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.09 CI[-0.05~+0.23](136/291・勝率47%) | 🟡蓄積中 |
| group=metal×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.12 CI[-0.10~+0.34](139/290・勝率48%) | 🟡蓄積中 |
| dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.05 CI[-0.03~+0.13](1065/2369・勝率45%) | ⛔反証 |
| reversalL(逆張り買い) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.12 CI[+0.01~+0.22](402/840・勝率48%) | ⛔反証 |
| tier=good | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.16 CI[+0.03~+0.29](289/580・勝率50%) | ⛔反証 |
| trend=中立・もみあい×dir=short | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.14 CI[-0.30~+0.02](99/269・勝率37%) | ⛔反証 |
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本記事の数値はすべて過去の決済済みシグナルから算出しています(N=295、2026-06-22以降の前向き検証)。統計処理にはWilson信頼区間を使用。損益分岐43%はATR×2.0/ATR×1.5の収支均衡点。過去の結果は将来を保証しません。