🧪 3991回試しても勝率43%——12本の仮説が引退した理由と、残った仮説の話
AIシグナル研究日誌 #121
毎回ひとつの仮説を実データで検証し、良い結果も悪い結果もすべて公開する研究日誌の第121回です。
今回は「引退」の話をします。2026年10月9日の前向き更新で、12本の仮説が「⏹見込みなし」になりました。引退とは、決められた条件を満たしたため記録を止めることです。これは失敗ではなく、「効かないとわかった」という検証の成果です。
また、引退した仮説がある一方で、まだ前向きで記録を続けている仮説もあります。その中でとくに注目している1本(RSI(相対力指数:買われすぎ・売られすぎを0から100で表す指標)が30を下回った後の逆張り買い)の現状もあわせて紹介します。
① 2026年10月9日の前向き更新で12本の仮説が「⏹見込みなし(引退)」になった。うち10本は「100回以上試しても効果が小さすぎた」、2本は「判定まで2年以上かかる見込みで打ち切り」
② 代表例:全シグナルをまとめて見た場合、前向きで3991回試して勝率43.2%・1回あたりの平均損益はほぼゼロ(損切り幅の0.009倍)
③ 4時間足で買うだけでも1146回で43.4%・平均損益損切り幅の0.015倍(どちらも損益分岐の43%を上回れず)
④ 一方、「RSI(相対力指数)が30を下回った後の逆張り買い」は412回で49.3%・平均損益損切り幅の0.150倍。ただし平均損益の偶然のぶれの幅は0をわずかにまたいでおり(下の端は損切り幅の-0.003倍)、まだ「プラスと確定」はしていない
① 「引退」とは何か
当サイトの検証では、条件を先に登録してから記録を始めます。これを「前向き検証」と呼びます。登録後に積み上げた記録だけが、後付けのない証拠になります。
「引退」とは、前向きで記録をやめることです。2つの条件のどちらかに当てはまったとき、仮説は引退します。
- 条件A(効果なし):前向きの記録が100回以上になり、偶然のぶれを考えた幅の上の端が損切り幅の0.10倍を下回った場合
- 条件B(打ち切り):このペースで記録を続けると、判定に2年以上かかる見込みになった場合
② 今日引退した12本の仮説(一覧)
以下が今回引退した12本です。「前向きN(回数)」は、登録後に積み上げた記録の回数です。
| 仮説の内容 | 引退の理由 | 前向きの回数 |
|---|---|---|
| 全シグナルをまとめて | 効果が小さすぎる | 3975回 |
| 目標の手前に壁なし(全方向) | 効果が小さすぎる | 3177回 |
| 目標の手前に壁なしの買い | 効果が小さすぎる | 2513回 |
| 4時間足の買い全般 | 効果が小さすぎる | 1150回 |
| 選別ランク「普通」(全方向) | 効果が小さすぎる | 1044回 |
| 株価指数(全方向) | 効果が小さすぎる | 1044回 |
| 関連ニュースなし(全方向) | 効果が小さすぎる | 579回 |
| 金・銀(全方向) | 効果が小さすぎる | 493回 |
| もみあい中の逆張り買い | 効果が小さすぎる | 382回 |
| 下降トレンド中の売り | 効果が小さすぎる | 316回 |
| 株価指数の逆張り買い(日足) | 判定まで2年以上かかる見込み | 6回 |
| ダブルボトムと高値ブレイクのコンボ | 判定まで2年以上かかる見込み | 1回 |
黄色の2行(日足・コンボ)は件数が少なすぎて、このペースでは結論が出るまでに2年以上かかると計算されました。
③「効かない」証拠:全体の基準線
引退した12本のうち、最も回数が多い「全シグナルをまとめて」の仮説を代表例として見てみましょう。これは、特定の条件を絞らず、すべてのシグナルをひとまとめにしたときの成績です。
前向きで3991回試した結果は、勝率43.2%・平均損益損切り幅の0.009倍(損切り損失を1としたときの利益・損失の比率)でした。損益分岐の勝率(とんとんになる勝率)は43%です。これは損切り(損切り幅の1倍)・第1目標(損切り幅の1.33倍)のときに、勝ちを43%取れれば損益がほぼゼロになる計算から出ています。
※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)
全シグナルをまとめた3991回の勝率43.2%は、損益分岐の43%とほぼ変わりません。平均損益+0.009も実質ゼロに近い数字です。偶然のぶれを考えた幅は[41.7%, 44.8%]で、幅の上の端(44.8%)から期待できる利益も損切り幅の0.10倍を下回りました。そのため、引退の条件A(効果が小さすぎる)に当てはまりました。
| 条件 | 回数 | 勝ち | 勝率 | 偶然のぶれを考えた幅(95%) | 平均損益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全シグナル基準線 | 3991回 | 1726回 | 43.2% | [41.7%, 44.8%] | 損切り幅の0.009倍 |
| 4時間足の買い全般 | 1146回 | 497回 | 43.4% | [40.5%, 46.3%] | 損切り幅の0.015倍 |
| RSI売られすぎ逆張り買い | 412回 | 203回 | 49.3% | [44.5%, 54.1%] | 損切り幅の0.150倍 |
損益分岐の勝率は43%です(損切り幅の1倍の損・損切り幅の1.33倍の利確のとき)。全体基準線も4時間足の買いも、この43%を大きく上回れませんでした。
④ 基準線との対比(棒グラフ)
3つの条件を勝率で並べて見てみましょう。43%の損益分岐線(赤い破線)を超えられるかどうかが、残る仮説と引退する仮説の分かれ目になります。
どちらも損益分岐の43%をほぼ上回れませんでした。偶然のぶれを考えた幅の上の端も損切り幅の0.10倍を下回り、「何千回試しても改善の見込みは薄い」と判断しました。
⑤ 仮説が残り続けるには何が必要か
引退の条件A(効果なし)は、2つの数字で判断します。前向きの回数が100回以上になること、かつ「偶然のぶれを考えた幅の上の端」が損切り幅の0.10倍を下回ることです。
ここで「RSI売られすぎ逆張り買い」の仮説がなぜ残っているかを確認します。この仮説は412回の前向き記録があり、勝率は49.3%・平均損益損切り幅の0.150倍です。偶然のぶれを考えた幅は[44.5%, 54.1%]で、幅の下の端(44.5%)でも損益分岐の43%を上回っています。つまり、まだ「効果がない」とは言えない状況です。ただし、1回あたりの平均損益で見たぶれの幅は[損切り幅の-0.003倍, +0.31倍]で、下の端がわずかに0を下回っています。勝率では損益分岐を上回っていても、平均損益では「偶然ではなくプラス」とはまだ言えません。
勝率の偶然のぶれを考えた幅が[44.5%, 54.1%]で、幅の全体が43%より上にあります(ただし平均損益のぶれの幅は0をわずかにまたいでいます)。平均損益損切り幅の0.150倍も、「効果なし」の引退基準(損切り幅の0.10倍以下)を上回っています。ただし、「昇格(確定)」にはまだ至っていません。前向きで2回連続合格が昇格の条件であり、現在1回目の集計中です。
引退した仮説の中には、1000回以上試した仮説も含まれています。「全体基準線(3975回)」「目標の手前に壁なし(3177回)」などは、非常に多くの記録を積み上げた末に引退しました。多く試せば試すほど、その結論は確かなものになります。
⑥ 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)
現在、前向きで追跡中の主な仮説の状況です。
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 円以外の通貨ペアの買い group=other_fx×dir=long | 負けやすいか gate | 前向き回数80回以上 平均RのCI上限が0未満 | 平均R -0.02 CI[-0.13〜+0.09] 377/899・勝率42% | 🟡蓄積中 |
| 株価指数の買い 指数×ロング(全足ライブ) | 勝ちやすいか edge | 前向き回数80回以上 平均RのCI下限が0超 | 平均R +0.03 CI[-0.11〜+0.17] 370/835・勝率44% | 🟡蓄積中 |
| 値段が2本の移動平均線より上の買い ステート 上昇配置(MA25と75より上)×ロング | 勝ちやすいか edge | 前向き回数30回以上🏁 平均RのCI下限が0超 | 平均R +0.02 CI[-0.10〜+0.14] 351/803・勝率44% | 🟡蓄積中 |
| 目標の手前に壁なしの売り blocked=False×dir=short | 勝ちやすいか | 前向き回数80回以上 | 平均R -0.00 CI[-0.11〜+0.11] 294/688・勝率43% | 🟡蓄積中 |
| 「RSI売られすぎからの反発」のシグナル 売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足) | 勝ちやすいか edge | 前向き回数80回以上 平均RのCI下限が0超 | 平均R +0.15 CI[-0.00〜+0.31] 203/410・勝率50% | 🟡蓄積中 |
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