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⚠️ 本記事はエントリー(買う・売るタイミング)の決め方についての考え方や、公開されている研究の紹介を目的とした「情報提供」であり、特定の手法・銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

🧱 為替の支持線・抵抗線は、注文が集まって本当に止まるのか? 研究でわかっていること【エントリー方法の研究 #20】

公開:2026年10月14日 / 読了時間:約 9 分 / カテゴリ:🚪 エントリー方法の研究

チャートの中で「何度も同じくらいの値段で止められた」ところを支持線・抵抗線と呼び、その値段に近づいたら反発を期待して入る、あるいはその値段を抜けたら勢いに乗って入る、という使い方が広く知られています。為替を取り扱う銀行や会社も、毎日のレポートでこうした値段を公表しています。この回では、公表された支持線・抵抗線に、実際に値動きを止める力があったのかを、為替のデータと米国株のデータで、それぞれ確かめた研究を取り上げます。

📌 この記事の結論(30秒まとめ)

1️⃣ どんな方法か

どんな方法? 値段のグラフの中で、過去に何度も止められた値段(高値・安値)に線を引き、「支持線」(下から支える値段)・「抵抗線」(上から押さえる値段)と呼びます。その値段に近づいたとき、反発を期待して入る(支持線なら買い、抵抗線なら売り)か、反対にその値段を抜けたとき、勢いがついたとみて入る、という2つの使い方があります。※以下は考え方を説明するための仮の例です。ある通貨が、過去に3回、同じくらいの値段で下げ止まっていたとします。その値段にもう一度近づいたとき、「また止まるかもしれない」とみて買う、という使い方が一般的に紹介されています。

支持線・抵抗線は、人によって「どの高値・安値を結ぶか」の引き方が変わりやすく、見る人ごとに違う線になりやすいという弱点があります。この回で紹介する研究は、専門の会社が実際に公表した線を使って確かめた方法(オスラー氏、2000年)と、線の引き方をあらかじめ数式で決め、コンピュータに見つけさせる方法(ザプラニス氏・ツィナスラニディス氏、2012年)の、2種類の確かめ方を取り上げます。

2️⃣ 研究でわかっていること

オスラー氏の研究(2000年、為替)

オスラー氏の研究(2000年発表、ニューヨーク連邦準備銀行の経済政策レビューに掲載)は、為替を取り扱う会社6社が1996年1月から1998年3月ごろにかけて毎日公表していた支持線・抵抗線のデータを使いました。これを、ドイツマルク・日本円・英ポンドの対米ドルの為替レート(ニューヨークの取引時間中、午前9時から午後4時まで、1分ごとに記録した値段)と比べています。

結果として、公表された支持線・抵抗線の近くで為替レートが止まって反発した割合は、平均で60.8%でした。これに対し、ランダムに選んだ値段での反発の割合は平均56.2%で、公表された線のほうが4.6ポイント高くなりました。この差は5日後も残っていましたが、会社と通貨の組み合わせ16通りのうち、偶然とは言いにくいと言えたのは9通りにとどまり、会社や通貨によって差がありました。論文の要旨でも、支持線・抵抗線の予測力は、調べた為替レートや会社によって違っていた、と報告されています。

オスラー氏の別の研究(2003年、仕組みの説明)

同じ著者の別の研究(2003年発表、学術誌に掲載)は、大手の為替の取扱い銀行が受け付けた、利益確定・損切りの注文のデータを調べました。その結果、利益確定の注文はキリのいい値段(支持線・抵抗線によく使われる値段)の近くに集まりやすく、損切りの注文はキリのいい値段を少し超えたところに集まりやすいと報告されています。この研究は、利益確定の注文の集まりが「値段が止まって反発する」ことの、損切りの注文の集まりが「値段が抜けたあと勢いが強まる」ことの、それぞれの手がかりになるかもしれないと説明しています。

米国株の研究(2012年)

ザプラニス氏とツィナスラニディス氏の研究(2012年発表)は、ナスダックとニューヨーク証券取引所の個別株の、配当・分割を調整した日々の終値(論文の要旨によると、発表時点までのおよそ20年分)を使いました。過去の値動きの山・谷から支持線・抵抗線を、あらかじめ決めた計算式で機械的に見つける方法を作り、その後の値動きを調べています。結果として、支持線は抵抗線より、値動きの変わり目を見分ける力があったと報告されました。ただし、この方法で売買した成績は、ただ持ち続ける方法(バイ・アンド・ホールド)を上回りませんでした。市場で知られた情報はすぐに値段に織り込まれ、簡単にはもうけられないという考え方(効率的市場仮説)と一致する結果だった、と報告されています。さらに、偶然とは言いにくいプラスの利益が見られたのは、調べた期間の前半に集中しており、あとの年に近づくほど、その利益は小さくなるか見られなくなっていた、とも報告されています。

支持線で何度か止められたあと、抜けると動きが速まるという考え方の概念図 支持線で止められ、抜けると加速する、という考え方(概念図) 支持線 ①反発 ②反発 ③抜けて加速 時間の経過(左から右)
図:支持線で何度か止められたあと、抜けると動きが速まるという考え方の概念図。※概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。
当サイトとの関係: 当サイトのシグナルは、RSI(相対力指数:買われすぎ・売られすぎを0から100の数字で表す指標)・MACD(移動平均を使った売買のタイミングを示す指標)・移動平均・ボリンジャーバンド(値動きの幅から「広がりすぎ・狭まりすぎ」を見る指標)といった数値条件や、直近20本の高値安値のブレイクで判定しており、人や会社が目で引く支持線・抵抗線のような節目を検出するしくみは使っていません。また、ここで紹介した研究の期間・市場(為替1996〜98年ごろ、米国株)と、当サイトのシグナルが対象とする期間・市場は異なります。この記事で紹介した研究結果は、当サイトのシグナルの有効性を裏づけるものではありません。

3️⃣ 反論・限界

支持線・抵抗線の近くで「止まりやすい」という結果と、「それを使えば儲かる」ことは別の話です。オスラー氏の研究でも、公表された線とランダムな値段の差は4.6ポイントで、それほど大きな差ではありませんでした。また、公表から5日後の比較でも、会社と通貨の組み合わせ16通りのうち、偶然とは言いにくいと言えたのは9通りにとどまり、残りの組み合わせではそこまでは言えませんでした。会社によって、公表する線の精度が違う可能性があります。

米国株の研究では、支持線・抵抗線を機械的に見つける方法でも、ただ持ち続ける方法を上回る利益は見つかりませんでした。さらに、見つかった利益も調べた期間の前半に集中しており、あとの年に近づくほど小さくなるか見られなくなっていました。「値段が止まりやすい」という統計的な結果が見つかっても、それがそのまま売買の利益につながるとは限らない、という点は、チャートの形を調べた回(#19)でも共通して見られた傾向です。

4️⃣ 株・FX・コモディティでは?

ここで紹介した研究が、どの市場のデータを使ったかを一覧にします。研究がない市場については、推測で埋めず「この記事からはわかりません」としています。

市場研究はあるか何がわかっているか
株価指数・個別株(米国)ありザプラニス氏・ツィナスラニディス氏(2012年):ナスダック・ニューヨーク証券取引所の個別株で検証(支持線は抵抗線より値動きの変わり目を見分ける力があったが、バイ・アンド・ホールドを上回る利益はなし)
為替(FX)ありオスラー氏(2000年):ドイツマルク・日本円・英ポンドの対米ドルで検証(公表された支持線・抵抗線の近くでの反発が平均60.8%、ランダムな値段では56.2%)
コモディティ(金・原油など)今回は見当たらずこの記事からはわかりません
暗号資産(ビットコインなど)今回は見当たらずこの記事からはわかりません

日本株・日本市場のデータを使った検証についても、今回の調査では見当たりませんでした。アメリカの個別株・為替で見つかった結果が、日本株やそのほかの市場でも同じように当てはまるかは、この記事からはわかりません。

5️⃣ よくある誤解

誤解1:支持線・抵抗線に近づけば必ず止まる

オスラー氏の研究が示したのは「反発する割合が、ランダムな値段より高かった」という平均の結果です。1回ごとに必ず止まるという意味ではありません。

誤解2:止まりやすいことと儲かることは同じ

米国株の研究が示したように、値動きの変わり目を見分ける力があっても、それを使った売買が、ただ持ち続ける方法を上回る利益につながるとは限りません。

誤解3:どの会社・どの引き方の線でも同じように効く

オスラー氏の研究では、会社や通貨によって予測力に差がありました。支持線・抵抗線は、誰が・どうやって引いたかによって、効き方が違う可能性があります。

この記事は、公開されている学術研究を当サイトが要約したものです。研究の数字は、それぞれの研究が使った期間・市場・条件のもとでの結果で、将来も同じになるとは限りません。多くの研究は取引コストや税金を十分にふくんでいないか、ふくみ方が研究ごとに違います。特定の方法を勧めるものではありません。
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6️⃣ まとめ

最後に、この記事の内容を整理します。

支持線・抵抗線は「多くの人が同じ値段を見ている」という意味で節目と考えられることがありますが、その節目でどれだけ止まりやすいか・それで利益が出るかは、市場や調べ方によって結果が分かれる、という点を知っておくことが手がかりになります。

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