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🧪 AIシグナル研究日誌 #7
他FX×blocked=True の高勝率は「下降偏り」という交絡だった——グループ×トレンド×blocked 三次元解析

カテゴリ:🧪 AIシグナル研究日誌  |  公開:2026年6月14日  |  読了:約9分

毎回ひとつの仮説だけを実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第7回です。前回(#6)では「blocked=True(TP1前に壁がある)シグナルは、トレンド相場でのみ高勝率を発揮し、もみあいでは逆効果になる」という構造を解明しました。また、検証の途中で他FX(EURUSD・GBPUSDなど)× blocked=True が66.7%(10/15)という高い数字が浮上していました。

今回はこの66.7%の正体に迫ります。これは本当に「他FXグループに固有のエッジ」なのか、それとも「たまたま下降トレンドのシグナルが多かっただけ」という見かけ上の数字(交絡)なのか——652件の実データを用いた三次元解析で調べます。

⏱️ 30秒でわかる今回のまとめ

① 前回再確認: blocked=True全体 53.7%(22/41)vs blocked=False 38.9%(111/285)
② グループ別では: 指数 75.0%(6/8) / 他FX 66.7%(10/15) / メタル 50.0%(4/8)と差がある
③ 他FX×blocked=Trueの66.7%を分解すると: 下降トレンド時 100.0%(8/8)CI下限67.6%、もみあい時 0.0%(0/4)——極端な二極化
④ 結論: 他FX×blocked=Trueの高勝率は下降トレンドへの偏り(15件中8件が下降)によるトレンド交絡。事前宣言3条件クリアで通過A

① 3視点会議——今回の仮説と事前宣言

研究日誌では毎回「3視点(テクニカル・ファンダメンタル・リスク管理)の会議」で仮説を1本に絞り込んでいます。今回の会議の要点は以下のとおりです。

💡 3視点会議メモ(2026-06-14)

テクニカル担当: 前回(#6)で他FX×blocked=True=66.7%が出た。グループによってblocked効果の大小があるなら、どのグループが主導しているかを明確化したい。指数も8件で6勝(75.0%)と高い。

ファンダメンタル担当: グループ差はファンダ感応度の違いと無関係でない可能性。ただし「なぜグループ差があるか」の因果は探索的——まず「差が実在するか」を確認するのが先。

リスク管理担当(採択): 「他FX×blocked=Trueが高い」と思って他FXに偏ったエントリーをするリスクがある。その前に「本当にグループ差があるか、それとも単にトレンド偏りの交絡か」を検証すべき。事前宣言の基準を設けて検証する。
📋 採択仮説 #007

「他FX(EURUSD・GBPUSD等)×blocked=True の66.7%という高勝率は、下降トレンドシグナルへの偏り(トレンド交絡)によって説明される。グループ固有のエッジではなく、トレンド環境が主因である」

事前宣言の合否基準(データ確認前に宣言):
① 他FX×blocked=True×下降 のWilson CI下限 ≥ 43% かつ N ≥ 5(下降環境での効果が実在する)
② 他FX×blocked=True×中立 の勝率 < 43%(もみあいでは効果が消失する——#6と整合)
③ 指数×blocked=True の勝率 > メタル×blocked=True(グループ間の差が存在する)
← 3条件すべてクリアで「通過A」

② 検証方法(「もしも計算」)

今回も反実仮想の「もしも検証」です。過去データに対して「もしこの条件(グループ・トレンド・blocked)で絞り込んでいたら、成績はどうだったか」を計算します。

項目内容
データ全体勝敗確定済み(tp1/tp2/slのいずれかに到達)の652件
うちsr_runway記録あり326件(blockedフィールドはこの中にのみ存在)
うちblocked=True41件(前回同様)
うちblocked=False285件(前回同様)
グループ定義メタル(GC/SI)、指数(NKD/ES/NQ/YM/FTSE)、円クロス(USD/EUR/GBP/AUD/JPY)、他FX(EUR/GBP/AUD/USD・非JPY)
トレンド判定signals-logの trend_alignment.higher_tf_trend(上昇/下降/中立・もみあい)
損益分岐43%(TP1 R:R=1.33でプラス期待値の下限)
ブレ幅Wilson法による95%信頼区間をすべての数字に併記
今回はblocked=True全体41件を複数のグループ×トレンドに分割するため、各セルのN(件数)が非常に小さくなります。特にN < 10の数字はブレ幅が大きく、今後のデータ蓄積で値が大きく変化する可能性があります。「傾向の確認」として読んでください。

③ 結果①:グループ別 blocked=True の比較

まず「グループによってblocked=Trueの成績に差があるか」を確認します。

blocked=True × グループ別(全体)

グループblocked=True件数勝率95%信頼区間損益分岐43%比較
指数(NKD/ES/NQ等)875.0%(6/8)[40.9%~92.9%]✅ 超過(CI下限40.9%)
他FX(EUR/GBP/AUD)1566.7%(10/15)[41.7%~84.8%]✅ 超過(CI下限41.7%)
メタル(金/銀)850.0%(4/8)[21.5%~78.5%]△ わずかに超過(CI下限21.5%)
円クロス(JPY系)520.0%(1/5)[3.6%~62.4%]❌ 43%大幅未達
BTC3N=3 小サンプル・対象外
原油2N=2 小サンプル・対象外
全体4153.7%(22/41)[38.7%~67.9%]🟡 超過・CI下限未達
グループ別 blocked=True 勝率(N=41件) 43% 100% 指数 (6/8 N=8) 75.0% 他FX (10/15 N=15) 66.7% メタル (4/8 N=8) 50.0% 円クロス (1/5 N=5) 20.0% ※ BTC(N=3)・原油(N=2)はN不足のため省略。縦点線=損益分岐43% 指数・他FXがblocked効果を主導。円クロスはN=5と小サンプルで参考値
図1:グループ別 blocked=True の勝率比較。指数(75.0%)と他FX(66.7%)が損益分岐43%を上回る一方、円クロス(20.0%)は大幅に下回っている。ただしN=5〜8と小サンプルで信頼区間のブレ幅が大きい。※ 概念を示すイメージ図です。

グループによって成績に大きな差があることが確認できます。事前宣言③「指数 > メタル」についても、75.0% vs 50.0%と差が出ており条件をクリアしています。

ここで「なぜグループ差があるのか」を考える前に、もう一段掘り下げます。前回(#6)の発見から、トレンド環境がblocked=Trueの効果を大きく左右することがわかっています。グループ内のトレンド構成(下降・中立・上昇の比率)が異なれば、グループ差の多くはトレンド差に帰着する可能性があります。

④ 結果②(核心):他FX×blocked=True を三次元で分解

他FXグループ15件を「トレンド環境」でさらに分割します。これが今回の分析の核心です。

他FX × blocked=True × トレンド環境(三次元分解)

トレンド環境件数勝率95%信頼区間判定
下降トレンド8100.0%(8/8)[67.6%~100.0%]CI下限67.6%≥43% かつ N=8≥5(事前宣言①通過)
上昇トレンド366.7%(2/3)[20.8%~93.9%]🟡 N=3 小サンプル・参考のみ
中立・もみあい40.0%(0/4)[0.0%~49.0%]0.0%<43%(事前宣言②通過)
合計1566.7%(10/15)[41.7%~84.8%]🟡 交絡で見かけ上高い(実態は下降偏り)
他FX×blocked=Trueをトレンド環境で分解(N=15件) 43% 下降 (8/8 N=8) 100.0% 上昇 (2/3 N=3) 66.7% 中立 (0/4 N=4) 0.0% 下降と中立で結果が180度反転。66.7%という合計値は下降8件の全勝が引き上げた見かけ値 ※ 縦点線=損益分岐43% / N=3以下は参考値として扱う
図2:他FX×blocked=Trueをトレンド環境で分解。下降トレンドで100.0%(8/8)だが、もみあいでは0.0%(0/4)と180度反転している。「66.7%」という合計値は下降偏りの交絡によって生まれた数字である。※ 概念を示すイメージ図です。
通過A:事前宣言3条件をすべてクリア
① 他FX×blocked=True×下降:100.0%(8/8)、CI下限67.6%≥43%、N=8≥5 ✅
② 他FX×blocked=True×中立:0.0%(0/4)、43%未達 ✅
③ 指数blocked=True(75.0%)> メタルblocked=True(50.0%)✅

⑤ 交絡の構造——なぜ66.7%が生まれるのか

「交絡」という言葉は少しわかりにくいですが、要するに「本当の原因(トレンド方向)が別にあるのに、見かけ上は他の要因(グループ)が原因に見える」という現象です。

66.7%という数字の内訳

内訳件数勝敗備考
下降トレンド8件(全体の53%)8勝0敗← ここが勝率を引き上げている
上昇トレンド3件(全体の20%)2勝1敗N=3 参考のみ
中立・もみあい4件(全体の27%)0勝4敗← ここが足を引っ張っている
合計15件10勝5敗(66.7%)下降8件が全勝している結果

他FX×blocked=Trueの15件のうち8件(53%)が下降トレンドであり、その8件がすべて勝利しています。これが66.7%という数字を作り出しています。

「他FXはblocked=Trueで高勝率」は錯覚だった可能性
正確には「他FX×blocked=True×下降トレンド」が高勝率なのであり、グループが「他FX」であること自体が主因ではないことが示唆されます。他FXのデータに下降トレンドが多かっただけ、という交絡が発生しています。

比較:他FX×blocked=False との対照

条件件数勝率95%信頼区間
他FX × blocked=True1566.7%(10/15)[41.7%~84.8%]
他FX × blocked=False6446.9%(30/64)[35.2%~58.9%]
+19.8pp

他FX内でblocked=Trueがblocked=Falseより約20ポイント高い差は確かに存在します。ただしこれも、blocked=True内の下降偏りが影響している可能性が高いです。

交絡の構造——なぜ66.7%が生まれるか(概念図) 他FX × blocked=True(N=15) 下降トレンド 8件 全勝(100.0%)↑ 引き上げ 中立もみあい 4件 全敗(0.0%)↓ 引き下げ 見かけの合計値 66.7% ↑ これが「他FXのエッジ」 に見えるが…… 実態は下降偏りの交絡 下降8件(全勝)+ 中立4件(全敗)+ 上昇3件(2/3)= 合計10/15 = 66.7% ※ トレンド交絡の概念図。縦の割合は件数比を模式的に示したもの
図3:他FX×blocked=Trueの合計66.7%が生まれる仕組みの概念図。下降8件(全勝)と中立4件(全敗)が混在した結果、見かけ上66.7%という数字が出ている。グループ固有のエッジではなく、トレンド構成の偏りが主因である可能性を示している。※ 数値・比率は模式的。

⑥ 今回の決定事項と考察

事前宣言の総合判定

条件事前宣言の基準実績値判定
① 他FX×blocked=T×下降CI下限≥43% かつ N≥5100.0%(8/8)CI下限67.6%, N=8✅ 通過
② 他FX×blocked=T×中立勝率 < 43%0.0%(0/4)✅ 通過
③ 指数 > メタル指数の方が高い75.0% vs 50.0%✅ 通過
通過A:「他FX×blocked=Trueの66.7%はトレンド交絡」——作業仮説として採用
他FXグループ固有のエッジとして数字を受け取るのではなく、「下降トレンド×blocked=True」という条件が主因であることを認識する。他FX×blocked=True×下降(8/8=100%)は過去データ上は目立つ数字だが、N=8の小サンプルにすぎず、将来の再現を示すものではないため過信は禁物。これは特定の売買を推奨するものではなく、あくまで過去統計の傾向観察である。

交絡点検(今回注意した交絡要因)

期待値Rの整理

条件勝率期待値(過去データ集計値、将来を示さない)
blocked=True全体53.7%(22/41)+0.25R
他FX×blocked=True66.7%(10/15)+0.56R
他FX×blocked=True×下降100.0%(8/8)+1.33R
他FX×blocked=True×中立0.0%(0/4)−1.00R
他FX×blocked=False46.9%(30/64)+0.09R
blocked=False全体38.9%(111/285)−0.09R
期待値Rは過去の実データから計算した参考値であり、将来の成績を保証するものではありません。特に他FX×blocked=True×下降の+1.33RはN=8の小サンプルに基づく数字です。TP1のR:Rを1.33として計算しています。

📡 前向きトラッカー定点観測

「事前に宣言した基準が、今後のデータで再現されるか」を追跡する前向きトラッカーです。

ID仮説・指標宣言基準現在値(2026-06-14)状態
a押し目買い4h(上位足上昇×逆張りL×4h)N≥30かつ勝率50%超N=0(upper_tf_trend未記録のため追跡開始待ち)⏳ 追跡中
bregime=RISK_ON の勝率N≥20かつ勝率55%超N=0(フィールド未記録)⏳ 追跡中
fもみあい中の逆張りL(#2基準: 34.3%)新規データで改善 or 悪化を確認41.9% N=284 CI[36.3%~47.7%](前回同値)⏳ 追跡中
g指数×逆張りL(rsi/bb×ロング)N≥80かつCI下限43%超51.5% N=66 CI[39.7%~63.2%](前回同値)⏳ 蓄積中
h他FX×逆張りL(rsi/bb×ロング)N≥80かつCI下限43%超55.0% N=60 CI[42.5%~66.9%](前回同値)⏳ 蓄積中
i他FX×blocked=True(#6新設)N≥30かつCI下限43%超66.7% N=15 CI[41.7%~84.8%](前回同値・今回交絡確認)⏳ 蓄積中
j中立×blocked=True(#6新設)N≥20での実績で20%が継続するか20.0% N=10 CI[5.7%~51.0%](前回同値)⏳ 蓄積中
k他FX×blocked=True×下降(#7新設)N≥15かつCI下限50%超を維持100.0% N=8 CI[67.6%~100.0%](N不足・過信禁止)⏳ 蓄積中

⑧ 次回に向けて

今回で「blocked=True × グループ × トレンド」の三次元解析が一段落しました。主な発見のまとめ:

次のバックログ候補として、これまで保留にしていた「S/R近接距離(d_sup_atr < 1.0)の効果」の再検証が挙がっています。sr_runwayには近傍距離を示すフィールドがあり、「支持線から近いほど反発が起きやすいか」という仮説を同じ反実仮想枠組みで検証できます。

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