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🧪 AIシグナル研究日誌 #53
両MAライン上でロングは逆効果——MA配置と逆張りシグナルの生息域(N=549)

カテゴリ:🧪 AIシグナル研究日誌  |  公開:2026年7月28日  |  読了:約10分
⏱️ 30秒でわかる今回のまとめ
  • 価格が MA25・MA75 の両方より上(above_both)でロングを取ると、勝率 37.5%(206/549)、95%CI [33.6%, 41.6%]、期待値 R=-0.125R(CI 全域マイナス [-0.219, -0.030])
  • 逆に両MA下(below_both)でロングを取ると、勝率 44.2%(354/800)、CI [40.8%, 47.7%]——MA位置が逆転すると結果も逆転
  • 「上昇トレンドだから両MA上は有利」は当システムでは成立しない——上昇×above_both×Long は 36.2%(94/260)、上昇×below_both×Long は 52.0%(105/202)と 15.8pp 逆転
  • above_both × Short は 45.6%(94/206)——ロングとショートで方向が逆転(当システムは逆張り系シグナルが主体のため、「買われすぎ状態でのロング」は機能しにくい)
  • 前向きトラッカー FWD N=70: 31勝/70件(R=+0.033 CI[-0.27, +0.33])——IS 37.5% より微改善だが統計的有意差なし、継続観察

1. 今回の仮説と事前宣言

検証テーマ: 価格がMA25・MA75の両方より上(above_both)の状態でロングシグナルが発火した場合、勝率は損益分岐43%を有意に下回るか。

前向きトラッカーに登録された「ステート 上昇配置(>MA25&75)×ロング」(登録 2026-07-20)は FWD N=70 に到達した。IS(全期間)の R=-0.12 という負の期待値と、FWD 44% という数字の背景を正式に検証する。

事前宣言
H1: above_both × Long の Wilson CI 上限 < 43%(損益分岐を有意に下回ることを確認)
H2: R の 95%CI が全域マイナス(1トレードあたりの期待値がマイナス側にあることを統計的に確認)
両条件が揃えば「通過A(棄却確認)」、揃わなければ「継続観察」と判定する。

2. なぜ「両MA上でロング」が問題になるのか

一般的なトレンドフォロー理論では「価格が両移動平均の上にある=上昇トレンド確認、ロング有利」とされる。しかし当システムのシグナルスイートは性質が異なる。

当システムの主要シグナルは 逆張り系——bb_lower_touch(ボリンジャー下限タッチ)・rsi_oversold_bounce(RSI売られすぎ反発)・support_bounce(サポート反発)——が勝率の核を担っている(指数×逆張りロングで59%超、#018/#022参照)。

これらの逆張りシグナルは価格が 下落した位置 で発火する。したがって both_above(両MA上)の状態では逆張りシグナルはほぼ発火せず(N=7のみ)、above_both での主発火シグナルはmacd_golden(MACDゴールデンクロス)・high_break(高値ブレイク)・bb_upper_break(BB上限突破)・ma_golden(MA ゴールデンクロス)となる。

言い換えると、above_both × Long とは「すでに上昇しきった局面で順張りロング」、below_both × Long とは「下落後に逆張りロング」という意味上の違いがある。

⚠️ above_both ゾーン ✅ below_both ゾーン 価格 MA75 MA25 L BB下限/RSI過売れ → TP ✅ L サポート反発 → TP ✅ L 高値ブレイク → SL ❌ L RSI過買い/MA G.C → SL ❌ TP成功(below_both) SL失敗(above_both) ※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)

【図1】MA配置と発火結果の概念チャート。価格が両MAの下(below_both・緑帯)でロングシグナルが発火すると逆張りの本来の生息域となりTP率が高い傾向。逆に両MAの上(above_both・赤帯)での発火は過熱状態のため失敗しやすい。オレンジ=MA25(速い)、青=MA75(遅い)、紫=価格ライン。

3. メイン検証:above_both × Long 全件結果

決定論的集計(signals-log.json 全 closed 2,182 件 / oracle: signal_lab_verify.py):

H1 ✅ CI上限 < 43% 達成
above_both × Long: N=549, 勝率=37.5%(206勝), 95%CI=[33.6%, 41.6%]
CI上限 41.6% < 43%(損益分岐)— 有意に下回ることを確認

H2 ✅ R CI 全域マイナス達成
期待値 R=-0.125R(95%CI [-0.219, -0.030])— 下限も上限もマイナス
MA位置 × 方向Nk(勝)勝率95%CI期待値R判定
above_both × Long 🔴54920637.5%[33.6%, 41.6%]-0.125R⚠️ CI全域マイナス
above_both × Short2069445.6%[39.0%, 52.5%]+0.065R
below_both × Long 🟢80035444.2%[40.8%, 47.7%]+0.031R
below_both × Short32212538.8%[33.7%, 44.2%]-0.094R
全 Long(ベースライン)1,59364940.7%[38.4%, 43.2%]-0.050R

注目点: above_both × Short は 45.6% と above_both × Long(37.5%)より 8.1pp 高い。方向が逆転している——両MA上の局面では、過去ログの集計上はショート側の数値がロング側を上回った。ただし above_both × Short の95%CIは損益分岐をまたいでおり、統計的な優位性は確認されていない。

MA位置 × 方向 勝率マップ Long(ロング) Short(ショート) above_both below_both 37.5% N=549 | R=-0.13R ❌ CI [33.6%, 41.6%] 45.6% N=206 | R=+0.07R CI [39.0%, 52.5%] 44.2% N=800 | R=+0.03R ✅ CI [40.8%, 47.7%] 38.8% N=322 | R=-0.09R CI [33.7%, 44.2%] 損益分岐 43%(TP1=2.0ATR / SL=1.5ATR)。※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)

【図2】MA位置(above_both / below_both)× 方向(Long / Short)の 4象限勝率マップ。ロングとショートで方向が完全逆転していることが分かる。above_both × Long(赤)が最も成績が悪く、below_both × Long(緑)が相対的に良い。

4. グループ別・トレンド別・シグナル別の内訳

4-1. グループ別(above_both × Long)

グループNk勝率95%CIコメント
index(指数)1536643.1%[35.6%, 51.1%]唯一 43% 前後(CI またぎ)
jpy_fx(円クロス)1475940.1%[32.6%, 48.2%]損益分岐割れ
other_fx(ドル建て FX)1444531.2%[24.2%, 39.2%]⚠️ CI全域 43% 未満
metal(貴金属)40922.5%[12.3%, 37.5%]最悪。金属ロング gate と整合
btc421126.2%[15.3%, 41.1%]CI上限 43% 未満
oil(原油)221672.7%[51.8%, 86.8%]小標本(N=22)外れ値

other_fx(EURUSD等ドル建てFX)の CI [24.2%,39.2%] は CI 全域 43% 未満。metal の 22.5% は金属ロング gate と整合する(#039 で全域マイナス確定済み)。唯一 index が 43.1% と損益分岐近傍。

一方、below_both × Long × index は 50.0%(95/190)—— index も MA 位置によって 7pp 変わる。

4-2. トレンド別(above_both × Long)

トレンドabove_both × Lbelow_both × L(対照)
上昇36.2%(94/260)CI[30.6%,42.2%]52.0%(105/202)CI[45.1%,58.8%]+15.8pp ⬆
下降34.9%(45/129)44.1%(141/320)+9.2pp ⬆
中立・もみあい41.0%(64/156)38.8%(107/276)-2.2pp(逆転)

上昇トレンドで最も大きな 15.8pp 逆転が生じる——「上昇トレンド確認 → 両MA上 → ロング有利」という常識が当システムでは成立しない。

中立・もみあいでは above_both(41.0%)≒ below_both(38.8%)でほぼ差なし——「両MA上」の悪影響はトレンドが明確な局面で出やすい。

トレンド別 above_both vs below_both(ロング勝率) 0% 20% 40% 60% 80% 43% 上昇トレンド 36.2% 52.0% 下降トレンド 34.9% 44.1% above_both × Long below_both × Long

【図3】トレンド別 above_both × Long(赤)vs below_both × Long(緑)の勝率比較。赤点線が損益分岐43%。上昇トレンドで差が最大(15.8pp)。いずれのトレンドでも above_both 側が below_both より低い傾向。

4-3. シグナル別(above_both × Long、N≥50 のみ)

シグナルNk勝率95%CIコメント
macd_golden1526341.4%[33.9%, 49.4%]43% 前後(CI またぎ)
high_break(高値ブレイク)1485235.1%[27.9%, 43.1%]R CI 全域マイナス
bb_upper_break(BB上限突破)1084642.6%[33.7%, 52.0%]CI またぎ(中立)
ma_golden(MA ゴールデンクロス)782633.3%[23.9%, 44.4%]低位
rsi_overbought(RSI 買われすぎ)531630.2%[19.5%, 43.5%]R CI 全域マイナス(最悪)

rsi_overbought × above_both × Long(N=53, 30.2%)は R CI 全域マイナスで最も成績が悪い。「RSI が買われすぎ状態かつ両MA上」——二重の過熱状態でのロングは特に機能しにくい。

high_break(高値ブレイク)も N=148 で R CI 全域マイナス。高値を更新した直後の追いかけ買いが当システムでは損益分岐を割る傾向。

比較的マシなのは macd_goldenbb_upper_break——ただし 43% 前後の CI をまたぎ、有意な優位性は確認されていない。

5. 解釈:逆張りシグナルの「生息域」

当システムの逆張りシグナル(bb_lower_touch、rsi_oversold_bounce)は構造的に価格が移動平均を下回った状態で発火する。above_both(両MA上)の状態では、これらのシグナルはほぼ発火しない(N=7のみ、全体の1.3%)。

逆張り系の「適域」: below_both
bb_lower_touch・rsi_oversold_bounce が本来の機能を発揮するのは、価格が MA25・MA75 よりの領域。above_both では、これらのシグナルが「過熱域の端」でしか発火できず、期待値が構造的にマイナスになりやすい。
above_both × Long で唯一比較的マシな指数グループ(43.1%、N=153)でも CI [35.6%,51.1%] は 43% をまたいでおり、統計的優位性は確認されていない。MA 配置フィルターは特に other_fx(31.2%)・metal(22.5%)・btc(26.2%)で強く機能する。

実務的な示唆: 当システムのシグナルを参考にする場合、above_both かどうか(エントリー価格 > MA25 かつ > MA75)を確認してロング判断の補助情報として使うことが考えられる。ただし本記事は情報提供であり、個別のトレード判断を推奨するものではない。

6. 前向きトラッカー定点観測

「ステート 上昇配置(>MA25&75)×ロング」(登録 2026-07-20、edge 仮説)の現在値:

FWD N=70: 31/70=44%, 平均R=+0.033, RCI=[-0.27, +0.33]
IS(全期間R)= -0.12 / 全 IS N ≈479: 37.5%
ホールドアウト閾値(N≥30)は達成。ただし FWD CI が 0 をまたぐため昇格基準(RCI 下限 >0)未達。
→ 🟡 蓄積継続(FWD 改善傾向はあるが統計的有意差なし)

📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)

基準日 2026-07-28/昇格=前向きN≥80(🏁ホールドアウト合格はN≥30)・平均R(期待値)の95%CIが0を跨がない・基準合格2回連続で確定(2026-07-19〜)/降格=昇格後の再判定で基準割れ2回連続→🟡へ(2026-07-18〜・再昇格可)

仮説種別宣言基準前向き現在値(平均R)状態
group=metal×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.17 CI[-0.49~+0.14](47/133・勝率35%)✅昇格
trend=上昇×reversalLedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R +0.18 CI[-0.00~+0.35](60/119・勝率50%)✅昇格
group=allgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.01 CI[-0.09~+0.08](464/1091・勝率42%)🟡蓄積中
blocked=Falsegate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.01 CI[-0.10~+0.11](371/860・勝率43%)🟡蓄積中
blocked=False×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.02 CI[-0.12~+0.17](290/662・勝率44%)🟡蓄積中
trend=下降gate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.08 CI[-0.06~+0.23](170/366・勝率46%)🟡蓄積中
tf=4h×dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.01 CI[-0.14~+0.17](148/341・勝率43%)🟡蓄積中
tier=neutralgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R -0.10 CI[-0.22~+0.02](127/328・勝率39%)🟡蓄積中
group=indexedge前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0平均R -0.11 CI[-0.24~+0.02](116/304・勝率38%)🟡蓄積中
ステート 上昇配置(>MA25&75)×ロングedge前向きN≥30かつ平均RのCI下限>0🏁平均R +0.03 CI[-0.27~+0.33](31/70・勝率44%)🟡蓄積中
dir=longgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.01 CI[-0.12~+0.14](347/804・勝率43%)⛔反証
reversalL(逆張り買い)gate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.21 CI[+0.02~+0.40](158/305・勝率52%)⛔反証
tier=goodgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.34 CI[+0.11~+0.58](110/191・勝率58%)⛔反証
trend=下降×reversalLgate前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0平均R +0.39 CI[+0.07~+0.70](69/116・勝率60%)⛔反証

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