- 「直近20本の安値を下抜けたら売る(日足)」という入り方で、損切りと利確の組み合わせを72通り試した。探索期間(2026年9月24日まで)の2369件が対象。
- いまの方式(ATR(平均的な値動きの幅)の1.5倍で損切り・ATRの2倍で利確)の平均は損切り幅の0.08倍の損。1回あたり損切り幅の0.08倍の損という計算。
- 72通りの中に「統計的に目立つ」組み合わせは0件。偶然とは言いにくいほど良い組み合わせは見つからなかった。
- やや良く見えた組み合わせ(ATR損切りとボリンジャーバンド(統計的なぶれ幅で引いた帯)下限利確)は基準より損切り幅の0.10倍高かったが、旗立ての基準(差が損切り幅の0.15倍以上)には届かなかった。
- 資産クラス別では、株価指数が最も苦しく(損切り幅の0.17倍の損、673件)、ビットコインのみプラス(損切り幅の0.10倍のプラス、105件・参考値)だった。
- 前向き(2026年9月25日以降)ではデータを積み重ねている最中。
1. 今回の研究について
直近20本のロウソク足の安値を下に抜けたとき、売りのシグナルが出ます。このとき、損切りの置き方と利益確定の場所をどう変えると成績が変わるかを調べました。
これは「出口の相性ラボ」シリーズの第3回です。前2回は買い側(ボリンジャーバンド下限タッチの買い・高値ブレイクの買い)を調べました。今回は初めての売り側です。
対象となるデータは、2026年9月24日までに記録した日足(1日の足)の取引2369件です。18銘柄(金・銀・原油・株価指数5本・FX9通貨ペア・ビットコイン)が対象です。
※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。オレンジ枠が入口のロウソク足。
2. 探索期間(2026年9月24日まで)の結果
全18銘柄の数字
探索期間に記録した入口は2372件、そのうち確定したのは2369件です。基準方式(ATR(平均的な値動きの幅)の1.5倍で損切り・ATRの2倍で利確)での平均は損切り幅の0.08倍の損でした。
合計で72通りの組み合わせを調べましたが、「統計的に目立つ」と判定された組み合わせは0件でした。
目立つかどうかの基準は、同じ手順を何度繰り返しても偶然で出た「目立つ」組み合わせが平均0.2マス程度になるよう設計されています(旗立て基準:差が損切り幅の0.15倍以上・前後半で同じ向き・ボンフェローニ補正)。目立つ組み合わせが1マス程度なら、まだ偶然の可能性があります。
良い組み合わせと悪い組み合わせの比較
いまの方式との差を使って比べます。同じ入口の中でしか比べられないので、この差を使います。
| 損切りの方法 | 利確の方法 | 平均損益 | 基準との差 | 差のぶれ幅 | 件数 | 「目立つ」旗 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ATRの1.5倍(いまの方式) | ATRの2倍(いまの方式) | −0.08 | 基準 | — | 2369件 | — |
| ATRの1.5倍 | ボリンジャーバンド下限(−2σ) | +0.02 | +0.10 | +0.02〜+0.17 | 920件 | なし |
| ATRの1.5倍 | 損切り幅の3倍 | −0.12 | −0.04 | −0.13〜+0.05 | 2364件 | なし |
「ボリンジャーバンド下限(売りの場合は−2σ)を利確ラインにする」組み合わせは損切り幅の0.02倍のプラスで、いまの方式より損切り幅の0.10倍高く見えます。しかし差のぶれ幅の中央(損切り幅の0.10倍)は旗立て基準の0.15倍に届かず、偶然の可能性があります。「目立つ」旗は立ちませんでした。
※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。値はデータから算出。
資産クラス別の結果(基準方式)
資産クラスによって成績の差があります。
| 資産クラス | 平均損益 | 件数 |
|---|---|---|
| 株価指数(日経・米国株(S&P500)・ナスダック・ダウ・英国株指数) | −0.17 | 673件 |
| FX(9通貨ペア) | −0.05 | 1056件 |
| コモディティ(金・銀・原油) | −0.06 | 535件 |
| ビットコイン(参考値・1銘柄) | +0.10 | 105件 |
| 全18銘柄(合計) | −0.08 | 2369件 |
株価指数が最も苦しく(損切り幅の0.17倍の損)、FXやコモディティも全クラスでマイナスでした。ビットコインのみ損切り幅の0.10倍のプラスでしたが、105件と件数が少ないため参考値にとどまります(資産クラス別の「目立つ」基準は件数200以上かつ差が損切り幅の0.25倍以上のため、ビットコインは対象外です)。
3. 前向き(2026年9月25日以降)の検証
「出口の相性ラボ」の前向き検証は2026年9月25日から始まっています。今回の入口(日足・安値ブレイクの売り)については、まだデータを積み重ねている最中です。
前向きとは、結果を見る前にあらかじめ「どのような組み合わせが良いか」を登録してから数えるやり方です。探索期間の数字は、過去のデータを後から見た結果なので、偶然の良し悪しが混ざっています。前向きのデータが積み上がれば、より信頼できる結論が出せます。
4. 前向きトラッカーの現在地(2026年10月11日)
すべての仮説の前向き結果を一覧しています。これらは「入口の種類」についての仮説で、今回調べた「出口の組み合わせ」とは別の検証です。
📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| 円以外の通貨ペアの買い group=other_fx×dir=long | 負けやすいか gate | 前向きN≥80 平均RのCI上限<0 | 平均R -0.02 CI[-0.13~+0.08] 378/904・勝率42% | 🟡蓄積中 |
| 株価指数の買い 指数×ロング(全足ライブ) | 勝ちやすいか edge | 前向きN≥80 平均RのCI下限>0 | 平均R +0.03 CI[-0.11~+0.17] 371/839・勝率44% | 🟡蓄積中 |
| 値段が2本の移動平均線より上の買い ステート 上昇配置(>MA25&75)×ロング | 勝ちやすいか edge | 前向きN≥30🏁 平均RのCI下限>0 | 平均R +0.02 CI[-0.11~+0.14] 351/806・勝率44% | 🟡蓄積中 |
| 「RSI売られすぎからの反発」のシグナル 売られすぎ逆張り買い(rsi_oversold_bounce・全足) | 勝ちやすいか edge | 前向きN≥80 平均RのCI下限>0 | 平均R +0.15 CI[-0.01~+0.31] 203/411・勝率49% | 🟡蓄積中 |
| 「直近20本の安値を下抜け」のシグナル signal=low_break | 負けやすいか gate | 前向きN≥80 平均RのCI上限<0 | 平均R -0.01 CI[-0.15~+0.14] 116/273・勝率42% | 🟡蓄積中 |
| 買い全般 dir=long | 負けやすいか gate | 前向きN≥80 平均RのCI上限<0 | 平均R +0.03 CI[-0.05~+0.10] 1325/3014・勝率44% | ⛔反証 |
| 下降トレンド中の逆張り買い trend=下降×reversalL | 負けやすいか gate | 前向きN≥80 平均RのCI上限<0 | 平均R +0.18 CI[+0.04~+0.33] 197/388・勝率51% | ⛔反証 |
(表は一部抜粋。全件は シグナル研究ページ で確認できます)
5. まとめ
今回の結論を正直に伝えます。
探索期間のデータ(2369件)では、損切りと利確の組み合わせを72通り変えても、統計的に目立つ組み合わせは0件でした。「ボリンジャーバンド下限を利確にする組み合わせ」がやや良く見えますが、差の大きさが旗立て基準に届かず、偶然の可能性を排除できません。
また、株価指数での安値ブレイクの売りは特にマイナスが大きく(損切り幅の0.17倍の損)、この入口での売りが難しい傾向が見て取れます。ビットコインは唯一プラスでしたが、件数が少ないので参考程度にとどまります。
「出口の組み合わせを変えれば必ず良くなる」という前提は、今回の探索期間のデータでは支持されませんでした。これはこれで大切な情報です。前向き(2026年9月25日以降)のデータが積み上がれば、また確かめます。
関連する解説
📊 発火条件の図解カタログ
安値ブレイク・高値ブレイク・RSI(値動きの勢いを表す指標)・MACD(勢いの変わり目を見る指標)など、シグナルの発火条件を図で説明しています。今回の「安値ブレイクの売り」の仕組みも確認できます。
🧪 研究日誌 #111(第1回 出口の相性)
ボリンジャーバンド下限タッチの買いで、損切りを変えると成績がどう変わるかを調べた最初の回です。
🧪 研究日誌 #117(第2回 出口の相性)
高値ブレイクの買いで、損切りと利確の組み合わせを調べた回です。
🧪 シグナル研究のトップページ
前向きトラッカーの全一覧と、過去の研究日誌をまとめて見られます。
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