AIシグナル研究日誌 #72|「下降トレンドは損益分岐割れ」gate が⛔反証確定
——前向き N=567 で CI下限プラス到達
「下降トレンド中に発火したシグナルは損益分岐43%を割る」という gate 仮説(2026-06-25設立)が、前向き N=567(cluster補正後)・E(R)=+0.123 RCI=[+0.01,+0.23] で ⛔反証確定。 IS期は N=377 で勝率 35.8%・E(R)=-0.284(損益分岐割れ)だったが、前向き期(FWD)は 273/571=47.8%・E(R)=-0.042 に転換。 主因は金属グループのレジーム転換(IS 22.8% → FWD 53.4%)で、逆張りシグナルの bb_lower_touch(FWD 54.7%)・RSI売られすぎ(FWD 59.2%)が牽引。 ただし high_break(FWD 34.0%)は依然として損益分岐を大きく割り込むため注意が必要。 これは #030・#032・#039・#060 に続く「金属レジーム転換」シリーズの一端。
1. 仮説と事前宣言基準
「下降トレンド(上位足が下降中)のシグナルは、損益分岐点 43% を下回り、期待値がマイナスとなる」——この gate 仮説は 2026年6月25日のスイープで採択された。
採択の根拠は IS期(過去集計)の成績:N=377・勝率 35.8%・E(R)=-0.284 であり、期待値の 95%CI が全域マイナスだった。 前向き追跡の宣言基準は「前向き N≥80 かつ平均R(期待値)の CI下限 > 0 が連続2回」で ⛔反証と判定する。
この研究では「損益分岐を割る組み合わせ」を gate と呼び、前向き追跡を開始する。 gate の設立は IS での損益分岐割れ確認がトリガー。前向き追跡で CI 下限がプラスに達したとき「⛔反証」として gate を解除する。 ⛔反証は「この絞り込みは不要だった」を意味し、エンジンやメール配信の変更は別途人間が判断する。
2. チャート図解:下降トレンドの発火シーン
下降トレンドとは、上位足(4H または日足)の移動平均が下向きで、価格が MA を下回っている状態。 このような局面でシグナルが発火した瞬間を概念図で示す。
※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。下降トレンドの赤背景帯の中で「シグナル発火バー(オレンジ枠)」が生じる状況を示す。IS期はこうした発火が損益分岐を割るパターンが多かった。
3. 検証結果——全体・IS/FWD転換
signals-log.json の決済済み(tp1/tp2/sl)全件を集計した。 「上位足トレンド = 下降」のシグナルについて、gate 設立日(2026-06-25)を境に IS と FWD に分けて比較する。
| 期間 | N | 勝率 | 95%CI(勝率) | E(R) | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| IS期(〜2026-06-24) | 377 | 35.8% | [31.1%, 40.8%] | -0.284 | ▼ 損益分岐割れ・gate設立 |
| FWD期(2026-06-25〜) | 571 | 47.8% | [43.7%, 51.9%] | -0.042 | ▲ 損益分岐回復 |
| 全期間 | 948 | 43.0% | [39.9%, 46.2%] | -0.138 | — |
tracker の cluster 補正(24時間以内に複数発火したシグナルを1件にまとめる処理)後:
FWD N=567・E(R)=+0.123・RCI=[+0.01, +0.23]、CI下限がプラスを達成。
「連続2回 CI下限 > 0」という⛔反証基準を満たし、本日 ⛔反証確定。
※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。黄色の破線が損益分岐43%。IS期(赤)は全体・金属ともに43%を大きく割り込む。FWD期(緑)は全体で損益分岐超え、金属は53%まで回復。
4. 内訳分析:何が転換を引き起こしたか
4-1. グループ別の成績
| グループ | IS 勝率 | FWD 勝率 | 転換幅 | FWD N |
|---|---|---|---|---|
| 金属(GC=F/SI=F) | 22.8% | 53.4% | +30.6pp | 103 |
| 指数(NKD=F 等) | 56.0% | 51.0% | -5.0pp | 96 |
| BTC | 40.5% | 44.7% | +4.3pp | 76 |
| 原油(CL=F) | 60.0% | 53.5% | -6.5pp | 43 |
金属グループの転換幅(+30.6pp)が最大の主因。IS期の金属は下降トレンド中 22.8%と不振だったが、FWD期には 53.4% まで改善した。 これは #030・#039・#060 で繰り返し確認してきた「金属レジーム転換」と同根の現象だ。
一方で改善は金属グループに偏っている。指数は IS 14/25=56.0% → FWD 49/96=51.0% と -5.0pp の低下、原油も IS 15/25=60.0% → FWD 23/43=53.5% と -6.5pp 下げている。BTC は IS 17/42=40.5% → FWD 34/76=44.7% で +4.3pp の小幅改善にとどまる。⚠️ 指数・原油の IS 期はいずれも N=25 の小標本なので、この低下自体も確度が高いとは言えない(母数が増えるまで判断を保留する)。全体像としては「全グループで改善」ではなく、金属の転換が全体の数字を押し上げていると読むのが実態に近い。
4-2. 時間足別
| 時間足 | 全期間 勝率 | FWD 勝率 | FWD E(R) | FWD N |
|---|---|---|---|---|
| 4H足 | 46.4% | 52.5% | +0.051 | 217 |
| 1H足 | 41.3% | 45.6% | -0.086 | 338 |
4H足が FWD 52.5%・E(R)=+0.051 でプラス圏に浮上。1H足は FWD 45.7%・E(R)=-0.086 と改善しているもののまだマイナス。 #015 の「4H足ロング弱さ」とは別に、下降トレンドという文脈では 4H が優勢という興味深い逆転が見られる。
※ 概念を示すイメージ図です(実際の値動きではありません)。黄色破線が43%(損益分岐)。bb_lower_touch・RSI売られすぎ(緑)は損益分岐を大きく超える。高値ブレイク(赤)は34%と最低水準。
5. シグナル種別の明暗
| シグナル | 全期間 勝率 | FWD 勝率 | FWD N | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| RSI売られすぎ反発 | 42.6% | 59.2% | 49 | ✅ FWD好調 |
| BB下限タッチ | 45.0% | 54.7% | 117 | ✅ FWD好調 |
| MACDデッドクロス | 40.7% | 48.1% | 81 | 🟡 中立〜やや改善 |
| 安値ブレイク | 38.0% | 40.7% | 27 | 🟡 改善するも損益分岐割れ |
| 高値ブレイク | 34.4% | 34.0% | 47 | ❌ IS・FWD両期間で損益分岐割れ |
最も注目すべきは RSI売られすぎ(rsi_oversold_bounce)FWD 59.2%。 下降トレンドの中で RSI が売られすぎ水準(≤30)まで下落した局面での逆張り買いは、このシリーズの中でも突出して優秀だ。
一方で 高値ブレイク(high_break)は FWD でも 34.0%と改善なし。 下降トレンド中に上値を抜いて仕掛けるシグナルは「トレンドに逆らう最悪のタイミング」になりやすく、IS・FWD で一貫して損益分岐を割り込む。
6. 解釈と考察
6-1. なぜ IS期は損益分岐割れだったか
IS期(〜2026年6月)は金属グループが不振(22.8%)で、かつ高値ブレイク系シグナルが多く発火していた時期と重なる。 これは #013(金属ロングのレジーム反転) で詳述した「金属の長期不毛期」の余波だ。
6-2. なぜ FWD期に改善したか
2026年後半以降、金属(特に金・銀)の価格動向が変化し、逆張り系シグナルの成功率が上昇。 「下降トレンドだから売られる → 逆張りで拾う → 反発で利食い」というパターンが機能しやすい環境になった。 これは #060(reversalL ⛔反証) とまったく同じメカニズムだ。
6-3. 構成シフトの影響
FWD期に金属シグナルの比率が増えたわけではなく(構成シフト≒0)、純粋に金属シグナル1件あたりの成功率が上昇した「性能シフト」が主因。 これが重要で、「金属を避ければよかった」ではなく「金属そのものの成績が変わった」ということを意味する。
gate「trend=下降」の⛔反証は、#030(ロング全般gate反証)→ #032(reversalL gate反証)→ #043(下降×reversalL 反証)→ 今回 #072 の流れに位置づけられる。 一連の反証が示すのは「IS期(2022〜2025年)の不毛期は特定の相場環境に起因しており、FWD期(2026〜)でレジームが転換した」という大きなストーリー。
7. 前向きトラッカー定点観測
📡 前向きトラッカー定点観測(期待値ベース)
| 仮説 | 種別 | 宣言基準 | 前向き現在値(平均R) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| group=metal×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.03 CI[-0.23~+0.29](90/204・勝率44%) | ✅昇格 |
| trend=上昇×reversalL | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.18 CI[+0.04~+0.31](97/192・勝率51%) | ✅昇格 |
| dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.09 CI[-0.01~+0.18](719/1544・勝率47%) | ⛔反証 |
| trend=下降 | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R +0.12 CI[+0.01~+0.23](273/567・勝率48%) | ⛔反証 🆕 |
| reversalL(逆張り買い) | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.19 CI[+0.05~+0.32](268/526・勝率51%) | ⛔反証 |
| tier=good | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.25 CI[+0.10~+0.40](194/363・勝率53%) | ⛔反証 |
| tier=good×dir=long | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.26 CI[+0.09~+0.42](183/340・勝率54%) | ⛔反証 |
| trend=中立・もみあい×dir=short | edge | 前向きN≥80かつ平均RのCI下限>0 | 平均R -0.28 CI[-0.46~-0.10](59/191・勝率31%) | ⛔反証 |
| trend=下降×reversalL | gate | 前向きN≥80かつ平均RのCI上限<0 | 平均R +0.31 CI[+0.05~+0.56](93/166・勝率56%) | ⛔反証 |
trend=下降 が本日 ⛔反証に移行。IS 35.8% → FWD 47.8%(tracker補正後 E(R)=+0.123)の逆転を前向き N=567 で確認。
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