🧪 AIシグナル研究日誌 #89
RSI売られすぎ逆張り買い FWD N=287——CI全域プラス確認・4H足65.9%・jpy_fx60.4%の構造分解
毎回ひとつの仮説を実データで検証し、勝っても負けても全公開する研究日誌の第89回です。前回の #88(2026年9月3日・FWD N=276)では4H足65.4%と1H足46.4%の時間足二極化を確認しました。今回はさらにN=287に増えた段階で、注目の指標を記録しました。
今回の最大のポイントはFWD全体の期待値信頼区間(RCI)が再び全域プラスに到達したことです。RCI[+0.099, +0.369]——下限が0を超えるということは、「前向きデータ全体でマイナスの期待値だった可能性を統計的に排除できる」水準に達したことを意味します。IS期間39.1%という低調な出発から、前向き期間53.0%への転換の全体像を3次元で解剖します。
① IS期間(登録前)は39.1%(52/133)だったのに、FWD期間(前向き)は53.0%(152/287)・E(R)=+0.234に改善
② RCI全域プラス確認:FWD E(R)のRCI[+0.099, +0.369]——下限が0を超えた(#82でストライク1/2、その後折り返しからの再到達)
③ 時間足格差:4H足 65.9%(56/85)E(R)=+0.535 vs 1H足 45.3%(86/190)E(R)=+0.055(CI±0またぎ)
④ 資産クラス格差:jpy_fx 60.4%(32/53)RCI全域プラス vs other_fx 50.0%(45/90)CI0またぎ
⑤ トレンド格差:上昇 66.2%(49/74)・中立 54.5%(55/101)は全域プラス、下降 42.9%(48/112)はCI0またぎ
① 今回の仮説——N=287でのCI全域プラス到達
rsi_oversold_bounce(RSI売られすぎ逆張り買い)は、RSIが30未満に低下した後の反発を狙うロングシグナルです。2026-06-16 の前向きトラッカー登録以来、#69・#74・#82・#86・#88と継続的に追跡してきました。
直近の #82(N=250)では「昇格ストライク1回目」を記録しましたが、翌日E(R)のRCI下限が−0.007に反転し、昇格確定まで届きませんでした(昇格は2回連続のCI全域プラスが必要)。N=287の本日、RCI[+0.099, +0.369]と再びCI全域プラスに到達しています。
事前に宣言した検証仮説(4つ)
- H1(FWD全体のCI全域プラス):FWD全体の期待値 E(R) の95%信頼区間下限(RCI下限)が 0 を超えるか
- H2(4H足 vs 1H足):FWD 4H足の E(R) が 1H足の E(R) を上回るか
- H3(jpy_fxのCI全域プラス):FWD jpy_fx の RCI 下限が 0 を超えるか
- H4(上昇トレンドのCI全域プラス):FWD trend=上昇 の RCI 下限が 0 を超えるか
② 検証方法(IS/FWD 分割・事前宣言)
前向きトラッカー登録日(2026-06-16)を境界として IS/FWD を分割します。
- IS(登録前):2026-06-16 より前に発火したシグナル
- FWD(前向き):2026-06-16 以降に新規発火したシグナル
- 対象:primary_signal=rsi_oversold_bounce・direction=ロング・結果確定(tp1/tp2 または sl)
- 勝ち:tp1(+1.333R)または tp2(+2.0R)に到達
- 負け:sl に到達(−1.0R)
- 信頼区間:ウィルソン法(小サンプルでも安定)
- E(R):期待リターン(tp1=+1.333R・tp2=+2.0R・sl=−1.0R で加重平均)、損益分岐 43%
③ 結果①:IS 39.1% → FWD 53.0%・RCI全域プラス
IS・FWD全体の比較から始めます。今回の最大の注目点は、FWD期間の期待値 RCI が全域プラスに到達したことです。
| 期間 | N | k(勝ち) | 勝率 | 95%WCI(勝率) | E(R) | RCI |
|---|---|---|---|---|---|---|
| IS(登録前) | 133 | 52 | 39.1% | [31.2%, 47.6%] | −0.089 | [−0.283, +0.105] |
| FWD(前向き) | 287 | 152 | 53.0% | [47.2%, 58.7%] | +0.234 | [+0.099, +0.369] |
FWD全体の期待値 RCI 下限 +0.099——0を超えたことで、「前向きデータ全体の期待値がマイナスだった可能性」を95%信頼水準で排除できます。IS期間の39.1%(損益分岐割れ)から、前向き53.0%(RCI全域プラス)への構造転換を確認しました。
図1:IS期間とFWD期間の勝率・期待値の比較。左:勝率(%)——破線は損益分岐43%。右:期待値E(R)——FWDのRCI下限+0.099が0を超えた(#82に続く再到達)。※ 過去データの集計結果であり、将来の成績を示すものではありません
④ 結果②:4H足65.9% vs 1H足45.3%の時間足格差
FWD期間を時間足(4H・1H)に分けると、明確な格差が続いています。
| 時間足 | N | k | 勝率 | 95%WCI | E(R) | RCI |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FWD 4H足 | 85 | 56 | 65.9% | [55.3%, 75.1%] | +0.535 | [+0.299, +0.771] |
| FWD 1H足 | 190 | 86 | 45.3% | [38.3%, 52.4%] | +0.055 | [−0.111, +0.220] |
4H足 E(R)=+0.535 vs 1H足 E(R)=+0.055——差は0.480R(約20.6pp の勝率差)。4H足のRCI下限+0.299は0を大きく超えており、CI全域プラス。1H足のRCIは0をまたいでおり([−0.111, +0.220])、1H足単体では統計的な確定打に欠けます。
なお参考として、1D足(N=12)は83.3%(10/12)E(R)=+0.942 RCI[+0.429,+1.455]と高水準ですが、N=12は小サンプルのため参考値にとどめます。
⑤ 結果③:資産クラス別——jpy_fx 60.4%が最上位
FWD期間を資産クラス(group)で分解します。
| グループ | N | k | 勝率 | E(R) | RCI |
|---|---|---|---|---|---|
| jpy_fx(円クロスFX) | 53 | 32 | 60.4% | +0.407 | [+0.097, +0.717] |
| index(株価指数) | 68 | 34 | 50.0% | +0.165 | [−0.114, +0.444] |
| other_fx(ドルクロスFX) | 90 | 45 | 50.0% | +0.165 | [−0.077, +0.407] |
| metal(貴金属) | 41 | 23 | 56.1% | +0.307 | [−0.051, +0.665] |
jpy_fx RCI[+0.097, +0.717]——下限+0.097 > 0 を確認。IS期間のjpy_fxは10.0%(2/20)と非常に低調でしたが、FWDでは60.4%(32/53)と逆転。index・other_fx・metalのRCIは0をまたいでおり、jpy_fxが最も安定したCI全域プラス(N=53で十分な件数)となっています。
IS期間のjpy_fxが10%台と極端に低調だった背景を確認しておきます。IS期間のjpy_fx=2/20=10.0%——これはN=20の小サンプルであることに加え、IS期間全体のRSI逆張り買いが円クロスで特に不振だったことを示しています。FWD期間に60%超への転換が起きたことで、「IS期間の低さはjpy_fxのIS特有の挙動だった」という解釈ができます。
図2:FWD期間のグループ別勝率。jpy_fxが60.4%でRCI全域プラス(CI[+0.097,+0.717])。index・other_fxは50%でRCI0またぎ。破線は損益分岐43%。※ 過去データの集計であり将来を保証しません
⑥ 結果④:トレンド別——上昇トレンド時が最も高勝率
FWD期間を上位足トレンドで分けると、明確な3段構造が現れています。
| トレンド | N | k | 勝率 | E(R) | RCI |
|---|---|---|---|---|---|
| 上昇トレンド | 74 | 49 | 66.2% | +0.543 | [+0.290, +0.796] |
| 中立・もみあい | 101 | 55 | 54.5% | +0.269 | [+0.041, +0.496] |
| 下降トレンド | 112 | 48 | 42.9% | −0.001 | [−0.216, +0.213] |
trend=上昇の RCI[+0.290, +0.796]——下限+0.290 > 0。中立・もみあいも RCI[+0.041, +0.496]で全域プラス。逆張り買いの勝率は、上昇トレンド中・中立時に相対的に高かったことが過去データ上は示されています。下降トレンド中(RCI[−0.216, +0.213])は0をまたぎ、確定打なし——下降トレンド中については、統計的な優位は確認できませんでした。
「上昇トレンド中の逆張り買い」が最も高勝率というのは直感と一致します。大きなトレンドが上を向いている中での一時的な押しは、戻りが来やすいと考えられます(ただしこれは統計上の傾向であり、個別取引の結果を保証するものではありません)。
⑦ 比較:bb_lower_touchとの対比
同じ逆張り買い系の bb_lower_touch(ボリンジャーバンド下限タッチ)と比較します。
| シグナル種別 | N(FWD) | k | 勝率 | E(R) | RCI |
|---|---|---|---|---|---|
| rsi_oversold_bounce | 287 | 152 | 53.0% | +0.234 | [+0.099, +0.369] |
| bb_lower_touch | 635 | 276 | 43.5% | +0.014 | [−0.076, +0.104] |
FWD期間で rsi_oversold_bounce の53.0%は bb_lower_touch の43.5%を9.5pp上回っています。bb_lower_touchのRCIは0をまたいでおり([−0.076,+0.104])、期待値の確定打がない状態です。「同じ逆張り系でも、RSI水準を条件に加えることで有意な性能差が生じている可能性」が前向きデータから読み取れます。ただしシグナル別の母集団が異なるため、この比較は探索的記録にとどめます。
⑧ 交絡点検
今回の結果に影響を与えうる交絡要因を点検します。
- jpy_fx IS期間10%問題:IS期間のjpy_fxは2/20=10.0%と極端に低く、IS全体39.1%を大きく押し下げていました。FWDで60.4%に逆転したことで、IS特有のjpy_fx不振が是正されたと解釈できます。
- 4H足 × jpy_fx の小サンプル集中:FWD 4H足×jpy_fx=16/17=94.1%(N=17)は非常に高い数字ですが、N=17は小サンプルです。4H足全体のN=85でも65.9%と高いため、4H足の優位はjpy_fx偏在だけでは説明できませんが、貢献が大きい可能性があります。
- 時期偏在:P2期間(2026-07-17〜08-18)の66.2%(53/80)が高く、P1(48.6%・54/111)とP3(46.9%・45/96)が低調です。特定の市場環境での高勝率が全体を持ち上げている可能性があります。
- 1D足の小サンプル:FWD 1D足は10/12=83.3%ですが、N=12は参考値にとどめます。
⑨ 仮説評価——H1✅ H2✅ H3✅ H4✅(通過A)
H1: FWD全体 RCI[+0.099, +0.369] → 下限+0.099 > 0 ✅
H2: 4H E(R)=+0.535 > 1H E(R)=+0.055 ✅(差0.480R・20.6pp差)
H3: jpy_fx RCI[+0.097, +0.717] → 下限+0.097 > 0 ✅
H4: 上昇 RCI[+0.290, +0.796] → 下限+0.290 > 0 ✅
⑩ 📡 前向きトラッカー定点観測
rsi_oversold_bounce の前向きトラッカー(signal-lab-tracker.json)の現況を記録します。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 登録日 | 2026-06-16 |
| FWD N | 287 |
| FWD 勝率 | 53.0%(152/287) |
| FWD E(R) | +0.234 |
| FWD RCI | [+0.099, +0.369] |
| status | 🟡蓄積中(promote_strikes=1・CI全域プラス再記録) |
| 昇格条件 | 2回連続のCI全域プラス(チェックポイント毎) |
| 前回状況 | #82(N=250)でストライク1記録→翌日折り返し→今回再到達 |
※ 表中の E(R) および RCI は本記事の解析スクリプト(claims.json 基準の信頼区間)による値です。signal-lab-tracker.json の内部値(avgR=0.236・rci_lo=+0.037・rci_hi=+0.435)はブートストラップ法で算出しており、算出方法の違いにより区間の幅が異なりますが、「RCI下限 > 0」という H1 の結論は両者で共通です。
前向きトラッカーの昇格ルール(2回連続で RCI 下限 > 0)に照らすと、本日が1回目(または「再1回目」)のCI全域プラス記録となります。次回チェックポイントでも同様の結果が続けば✅昇格となります。
昇格条件の「2回連続」というのは、「次のチェックポイントでも CI 全域プラスが継続することで、偶然のCI超えではないと確認する」という目的です。本日の1回記録は期待の持てる結果ですが、最終判定は次回に持ち越しとなります。
⑪ 次回に向けて
今後の観察ポイントをまとめます。
- 次チェックポイント(~N=310〜330):RCI 下限が再度 0 を超えれば昇格確定。P3期間(08-18〜09-04)の46.9%がP4で続くかどうかが鍵
- jpy_fx のサブ分解:jpy_fx FWD 60.4%の内訳(通貨別・時間足別)——4H×jpy_fx=94.1%(N=17)の小サンプルが拡大するか
- 下降トレンドの追跡:FWD下降 42.9%(RCI[−0.216, +0.213])——N=112でCI0またぎが続くか、確定(棄却or確認)へ向かうか
- 時期偏在の解消:P2(07-17〜08-18)の高勝率66%の後、P3が46.9%と軟化。P4以降でどちらに収束するか
本シリーズ(#69→#74→#82→#86→#88→#89)を通じて、IS期間39.1%の低調から前向き期間53.0%のCI全域プラスへという転換の構造を確認してきました。「4H足優位・jpy_fx優位・上昇トレンド優位」という3軸の整合性も見えてきています。次回チェックポイントの結果を引き続き公開します。
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